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REPORT

2022.12.18

斉藤朱夏、今年ラストとなるワンマンライブ“朱演2022「くもり空の向こう側」”で見つけたものとは――。ライブレポートで振り返る“斉藤朱夏と君”の2022年。

斉藤朱夏、今年ラストとなるワンマンライブ“朱演2022「くもり空の向こう側」”で見つけたものとは――。ライブレポートで振り返る“斉藤朱夏と君”の2022年。

2022年、数多くのライブを行った斉藤朱夏が今年ラストとなるワンマンライブ“朱演2022「くもり空の向こう側」”を日本青年館にて開催した。彼女がくもり空の向こう側で見つけたものとは――?2022年のライブを振り返りながら“朱演2022「くもり空の向こう側」”をレポートする。

「2022年最初のツアーでやっと人間になれた。やっと斉藤朱夏になれたの」

2022年4月13日(水)~24日(日)にかけて大阪、愛知、東京の3ヵ所4公演が行われた“朱演2022 LIVE HOUSE TOUR「はじまりのサイン」”では、「2022年最初のツアーでやっと人間になれた。やっと斉藤朱夏になれたの」と嬉しそうに語っていた。言い換えるならば、斉藤朱夏が歌う理由――しいては、生きる意味がはっきりと見つかったという意味だろう。「小さい頃からステージに立つことが夢だった」という彼女は、グループとして東京ドームやさいたまスーパーアリーナという巨大なステージに立ち、2019年夏のソロデビュー後には、ソロでのワンマンライブも行ってきた。そんな夢が叶ったあとに彼女はどこに向かって走っていくのか。その答えが、“朱演2022 LIVE HOUSE TOUR「はじまりのサイン」”にはあった。彼女はMCで「みんなとこの一瞬を生きたいがためにステージに立ってます。私が今、ステージに立ちたいと思うのは、バンドメンバー、スタッフ、そして、ここにいる“君”の笑顔が見たいからなの」と、歌う意味、ライブをやる理由が変化していることを伝えた。このツアーのために作られた新曲「はじまりのサイン」にも、しっかりと記されていた。これからもきっと何度も高い壁にぶち当たり、挫折や苦悩を味わうかかもしれない。それでも、“君”とこの一瞬を生きたい。笑顔を見せ合いながら走り続けていきたいんだという思い。それは、彼女の今の新たな“夢”でもあるだろう。

「“君”の喜ぶ顔が見たい。ただそれだけでステージに立っています」

続いて、2022年8月20日(土)~11月5日(土)にかけて、自身最長最多となる全国10箇所14公演に及ぶ“朱演2022 LIVE HOUSE TOUR「キミとはだしの青春」”を行った。このツアーは、大袈裟ではなく、驚くほどの熱気に包まれていた。前ツアーの「私たちは今、スタートしたばかりだから、止まりたくない! 君に会いに行くよ。止まらないよ!」という言葉を受けたオープニングナンバー「止まらないで」から観客の熱量は高く、「ノーサレンダー」では全員の拳が高く上がり、冒頭から会場が1つとなって大きな盛り上がりを見せた。「しゅしゅしゅ」でのタオル回し、「パパパ」でのフリ、「もう無理、でも走る」のジャンプ、「セカイノハテでのまるでシンガロングが聞こえるかのような一体感。そして、アコースティックコーナーでの朗読劇のようにも聞こえる表現力の高い歌い回しや、ブルースハープへの挑戦に向けられた温かく大きな拍手。さらに、ステージを所狭しと動きまわり、躍動感たっぷりに笑顔で歌い踊る朱夏に応えようと、クラップし、手を挙げ、ジャンプし、一緒に踊る。開演前からすでに沸き起こっていたクラップは、次第に大きくなり、それは、終演後まで鳴り止むことはなかった。

「このツアーを通して考えさせられることが多かったです。嫌でも自分と向き合わないといけない時間が多くて。すごく、ちっぽけだなと思う瞬間もたくさんあって。色んな現実を受け止めないといけないことが苦しい時もあったけど、ここにいる“君”の笑顔に何回も助けられてました。辛くて嫌だな、ほんの少しだけ疲れちゃったなと思うこともたくさんあるけど、不思議と“君”と会うたびに、こんなところで弱音を吐いている場合じゃない。もっともっと、ものすごいスピードで走らないといけないなと思ったし。もっと色んな武器を手にして、また君の街に会いに行きたいなとすごく思いました。自分1人ではこのステージには立てなくて。今は声を出せないけど、たくさんクラップで私を助けてくれて。そのクラップが、どれだけ私のハートに響いたか。まだまだ生きよう、真っ直ぐ前を向いて。“君”のために生きてるんだなと、このツアーを通して、改めてすごく思いました。“君”の喜ぶ顔が見たい。ただそれだけでステージに立っています。みんなが喜んでくれるんだったら、どんな障害が待とうとも、どんな壁が待とうとも、全部壊して、また最強になった朱夏を見せないとなって。この人を好きで良かったって、みんなで胸を張っていけるように、強くなろうとより思いました」

MCでは、2ヵ月にわたったツアーを振り返って、ファンへの感謝と新たな決意を語った彼女は、キャリア最長のロングツアーを無事に完走し、次のライブに向けて、「なんでくもり空なのか? 答え合わせに来てください」と呼びかけた。

「“君”が『朱夏は朱夏だよ』って、ライブをするたびに教えてくれました」

そして、約1ヵ月後という短いタームで開催されたのが、2022年12月3日(土)に日本青年館で昼夜2公演にわたった“朱演2022「くもり空の向こう側」”だ。ステージ上には3つの大きな雲が浮かんでいた。大きなクラップに迎えられて、赤いジャージにレースのフリンジがついたヒーローのような姿の斉藤朱夏が登場すると、床にはスモークが焚かれ、まるで雲の中のような空間となった。1曲目はTVアニメ「バック・アロウ」のEDテーマ「セカイノハテ」。地に足の着いた力強い歌声を放ち、胸を叩き、手を高く挙げて観客を沸かせると、冒頭からフロアの床が揺れるほどの盛り上がりとなった。そして、この曲でステージは一気に晴れ渡った。ステージで輝く存在になりたいという願いを込めた「リフレクライト」では、お立ち台に乗ってクラップを煽り、戦う女の子である朱夏が困難に立ち向かう瞬間の煌めきを収めた「ノーサレンダー」ではテンポチェンジも軽やかに楽しそうに乗りこなし、序盤から実に彼女らしい熱量に溢れたパフォーマンスを展開した。

「ぴぴぴ」や「しゅしゅしゅ」といったライブで定番のみんなで踊れる楽曲を連発したなかで、アクセントとして効いていたのが、アコースティクギターの伴奏でエモーショナルに歌い上げた「よく笑う理由」と、彼女の楽曲のメインソングライターであるハヤシケイ(LIVE LAB.)がボカロPのKEIとして12年前に作ったロックナンバー「ピエロ」のカバー。自分の居場所を見失い、探し、自分自身で作り上げるんだという決意を込めた「よく笑う理由」。そして、「ピエロ」にある“大丈夫 大丈夫 君が見つけてくれた”“忘れかけていた僕の顔”というフレーズにシンパシーを感じるものがあったのだろう。歌唱後には大きな温かい拍手が沸き起こり、会場は温かいムードで包まれていた。なかなか鳴り止ない拍手に、彼女は涙を脱ぎながら「私ってなんだろう?って思う瞬間がたくさんありました。けど、そこにいる“君”が『朱夏は朱夏だよ』って、ライブをするたびに教えてくれました。ありがとうね」というMCを経て、一転して、斉藤朱夏史上最速のテンポで言葉を捲し立てる「イッパイアッテナ」へ。クラップしながら一斉にジャンプする観客に朱夏は「もっと遊べる?」と焚き付けると、旗揚げゲームを繰り広げる「Your Way May Way」や拡声器でシャウトする「ゼンシンゼンレイ」といったパンクナンバーを畳み掛け、ホールのはずの会場がライブハウスなのではないか? と思うほどの大騒ぎとなった。

「『くもり空の向こう側』は最高の景色でした」

ここで観客に向けて「自由に遊んでくれるのが私は嬉しいです」と語りかけた彼女は、「この『くもり空の向こう側』というタイトルで、答え合わせをしようねって言って。今日、答えがしっかりと見つかりました」と明かした。

「“君”がいつも私に答えをたくさん教えてくれます。『くもり空の向こう側』は最高の景色でした。どんなにこれから先、くもり空の下を走っても、“キミ”がいるってわかったし。“キミ”がくもり空の下で走っている時は、朱夏がいるって安心して突っ走って。そして、また出会った時に、たくさん遊ぼう!これからも一緒に涙を流して、汗をかいて、笑顔を見せあったり。たくさん一緒に青春しようね」

初の作詞曲で、自身の過去・現在・未来を繋いだ「ワンピース」。前髪が乱れたままで歌い、床に突っ伏しては立ち上がり、最後には満面の笑を見せた「もう無理、でも走る」。彼女自身を象徴するような2曲に続き、本編のラストナンバー「ひまわり」に。2020年11月にリリースした2ndミニアルバムに収録されていた曲だが、歌詞に“曇り空の向こう側”というフレーズがあり、雨上がりに虹がかかる保証はないけれども、“光る未来にきっと連れていくと決めたんだ”と綴られている。答えは最初から楽曲の中にあったのだ。

彼女はインタビューで「私の人生の99%は曇りだけど、1%の晴れのために全力で走ってるんです」と答えてくれたことがある。その1%の晴れこそが、ライブであり、彼女にとっては、音楽をやる理由で、生きる意味で、自分の居場所でもあるのだ。

ステージ上には再びスモークが焚かれていたが、彼女は後ろ向きで右手を高々と掲げて締め括括ったあと、誰もいないステージは、七色のライトで彩られていた。

アンコールでは虹色の光景の中で「パパパ」と新曲「僕らはジーニアス」を披露。2022年に行われた全20回のライブを振り返り、「私の胸に“君”からのエネルギーがバシバシ刺さりました」と感想を述べ、新たなライブツアーを発表。「はじまりのサイン」では観客それぞれが思い思いのハンドサインを彼女に向けて、はじまりの合図を交わすという素晴らしい大団円を迎えた。自分自身と向き合い、ステージに立つ理由を見つけた彼女の歌は、以前に比べて強くなっている。2023年も彼女は、時に泣きながら、時に笑いながら、きっと走り続けるだろう。そして、ライブではさらに光り輝くパフォーマンスを見ることができるはずだ。

TEXT BY 永堀アツオ
PHOTOGRAPHY BY Viola Kam[V’z Twinkle]

“朱演2022「くもり空の向こう側」”
<セットリスト>
01. セカイノハテ
02. リフレクライト
03. ノーサレンダー
04. ぴぴぴ
05. しゅしゅしゅ
06. よく笑う理由
07. ピエロ
08. イッパイアッテナ
09. Your Way My Way
10. 月で星で太陽だ!
11. ゼンシンゼンレイ
12. ワンピース
13. もう無理、でも走る
14. ひまわり
<アンコール>
15. パパパ
16. 僕らはジーニアス
17. はじまりのサイン


●リリース情報
TVアニメ『齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定』OPテーマ
「僕らはジーニアス」
2023年2月22日発売

「僕らはジーニアス」
作詞作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.)
編曲:黒須克彦

【初回生産限定盤(CD+BD)】
品番:VVCL-2210~2211
価格:¥2,500(税込)
特製スリーブケース仕様

【初回仕様通常盤(CD)】
品番:VVCL-2212
価格:¥1,650(税込)

【期間生産限定盤(CD+DVD)】
品番:VVCL-2213~2214
価格:¥2,000(税込)
アニメ絵柄描き下ろしジャケット

●ライブ情報
朱演2023 LIVE HOUSE TOUR
2023年4月22日(土)愛知県 DIAMOND HALL
OPEN 17:00 / START 18:00

2023年4月23日(日)大阪府 BIGCAT
OPEN 17:00 / START 18:00

2023年4月30日(日)神奈川県 CLUB CITTA’
[1部] OPEN 14:00 / START 15:00
[2部] OPEN 18:00 / START 19:00

関連リンク

斉藤朱夏 オフィシャルサイト
http://www.saitoshuka.jp

斉藤朱夏 オフィシャルTwitter
https://twitter.com/Saito_Shuka

斉藤朱夏 オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCNZixANYOD3NyepS2lsAArg

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https://shuka-land.jp/

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