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INTERVIEW

2022.12.21

『プリキュア』との出会いが育んだ愛の歌と夢――ベストアルバム『Machico♡プリキュアのうた!』をリリースしたMachicoが語るシリーズへの想い

『プリキュア』との出会いが育んだ愛の歌と夢――ベストアルバム『Machico♡プリキュアのうた!』をリリースしたMachicoが語るシリーズへの想い

『ヒーリングっど♥プリキュア』(以降、「ヒープリ」)で初めて『プリキュア』シリーズの主題歌(前期ED主題歌「ミラクルっと♥Link Ring!」)を担当、以降『トロピカル~ジュ!プリキュア』(以降、「トロプリ」)『デリシャスパーティ♡プリキュア』(以降、「デパプリ」)と3作連続で主題歌を歌唱してきたMachico。彼女がプリキュアベストアルバム『Machico♡プリキュアのうた!』をリリースした。声優として『プリキュア』に初参加した『キラキラ☆プリキュアアラモード』(以降、「プリアラ」)で歌唱した曲も収められ、懐古の感情が引き起こされる一方、『プリキュア』のために作られた新曲3曲が聴く者のうちにある愛情を後押しする。しかも新曲中2曲はMachicoが自ら『プリキュア』シリーズへの募る想いを詞に込めている。聴けば感情がインフレーションするほどに想いの詰まった1枚を出発点に、Machicoと『プリキュア』の関係についてもつまびらかにしていく。

INTERVIW & TEXT BY 清水耕司

新曲も『プリキュア』に対する想いを込めたプリキュアソング

――今回のプリキュアベストについて、Machicoさんは驚きをもってその話を迎えられたと話されていました。しかも、新曲が3曲収録され、Machicoさんは2曲で作詞を担当されています。作詞については自身から手を挙げられたのでしょうか?

Machico 作詞に関しては最初から、「Machicoさんが作詞する楽曲も作ります」という感じでした(笑)。しかも、最初は1曲かと思っていたら2曲だったのでそこも驚きました。既存のプリキュアソングだけではなく、私が作詞で表現することで、プリキュアと過ごしてきた3年間の想いをファンの人に届けよう、というところからお話をいただきました。

――作詞された「ワタシイロ」と「POPPING NOW」に込めた想いを教えてもらえますか?

Machico まず今回の作詞は「四季」をテーマにすることが決まりました。「ワタシイロ」はテーマが「春」ということから『ヒープリ』の要素を入れつつ、さらに「出会い」をモチーフにしたいと考えました。そのとき、「私がプリキュアになるというテーマで歌詞を書いたらどんな歌になるんだろう?」と思ったんです。だから、この歌詞の主人公は私で、色んな出会いを経たあと、ラストサビ前の“私チェンジ!”はプリキュアになって世界が変わったことを表しています。“ワタシイロのキャンバス”というワードも、変わるきっかけがないことを言い訳にしていたけど、自分の中に素質はもうあるから、可能性にふたをしなくても些細なことが自分を変えるきっかけになる、ということを『プリキュア』に重ねながら書きました。『プリキュア』では、日常の中で妖精さんたちと出会うことがプリキュアになるきっかけになっているので。「日常に色んなワクワクが隠れているよ」という気持ちですね。あと、曲を聴いたときに空が開けていく印象を持てたので「空」というワードを盛り込んで、そこでも「変われる」というイメージを意識しました。

――すると「POPPING NOW」は『トロプリ』のイメージですか?

Machico そうなんです。「夏」がテーマになっていたので『トロプリ』の要素が入っています。『トロプリ』という作品は、今この時を大切にするとか、自分がいいと思うものを信じることがポイントになっていたので、彼女たちが持つ無敵感みたいなところを詞に込めたいと思いました。だから全体的に、「いいじゃん、かたっ苦しく考える必要ないよ」みたいなテンション感になっています(笑)。“昔に見たお姫様はかっこよくブーツを履いたんだ”は自分でもお気に入りのフレーズですが、お姫様だからってハイヒールを履かなきゃいけない理由なんかなくて、皆から邪道と思われても自分が似合うと思うなら、それで自分の気分がアガるのであれば、ブーツでもいいじゃん、という気持ちを書きました。それは『トロプリ』から、自分が思う「かわいい」を信じたらいいよ、常識を覆そうとする勇気を持つと視野が広がるよ、ということを教えてもらったからですね。常に自分が自分らしくいられることの大切さを込めたのが「POPPING NOW」でした。

――『ヒープリ』や『トロプリ』といった作品を歌詞に盛り込む作業は難しくはなかったですか?

Machico どちらかと言うと「作品にテーマがあるほうが言葉が出てくるんだな」と思いました。私も作品を背負って言葉を紡ぐことに対して難しそうなイメージがありましたし、勝手な苦手意識を持っていましたけど、実際に『プリキュア』をテーマに作詞させていただくと、作品が伝えたい気持ちを知っていることでいつもの作詞よりも言葉が浮かんできたんです。それと小さなお子さんも聴いてくれると思うので、聴いたときに想像しやすい言葉を選ぶことはすごく意識しました。

――もう1曲の新曲「日曜日のともだち」はこだまさおりさんが作詞されていますが、「あ、これは……」と感じさせるタイトルですね。Machicoさんの声もとても跳ねていて。

Machico 私もタイトルを見た瞬間にもう、「これって『プリキュア』じゃん!」みたいな(笑)。『プリキュア』と出会えた喜びをそのままルンルン気分で歌いましたね。私もプリキュアは友達だとずっと思っていましたけど、公式からお友達認定してもらえた気持ちになりました。最初に関わった『プリアラ』から始まり、『ヒープリ』『トロプリ』『デパプリ』まで『プリキュア』との日々を重ねてきましたけど、これは私のプリキュア歴であって、みんなもそれぞれのシリーズで「プリキュアのお友達」がいると思うんです。『プリキュア』は1年ごとに新しいシリーズが始まりますが、過去のプリキュアがいなくなるわけではないし、新しい『プリキュア』を観ながら前に出会った「プリキュアのお友達」のことも思い出せる。そうやってお友達の輪がどんどん広がると思うと、新しいシリーズも楽しい気持ちで迎えられるので、そういったハッピーの連鎖を歌にも込めるようにしました。だから、私に対していただいた新曲ではありますけど、歌っている内容は「プリキュアを愛する子はみんな友達だよ」っていう感覚です。

――2サビとラスサビで“プリティー”と歌うところはMachicoさんの声と相まってとても多幸感がありました。

Machico この“プリティー”は『プリキュア』のことだから、と言われたんですよ。あえてプリキュアというワードは使わないけれども『プリキュア』と歌っているような気持ちでレコーディングしました。

MVは広島県呉市と愛犬への愛の詰まった映像に

――現在放映中の『デパプリ』のOP主題歌「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」と、新曲の「POPPING NOW」は、Machicoさんの出身地である広島県呉市でMVを撮影されました。メイキング映像内でロケ地に関してはMachicoさんのアイデアだったとおっしゃっていましたが?

Machico MVをどこで撮りたいか聞かれたとき、私が「くれ観光特使」もやらせていただいているので、地元の呉で撮れたら嬉しいです、と軽い気持ちでお答えしたら、「それ、いいですね」という感じで実現しました。そのあとで撮影スポットについても聞かれたときに「呉ポートピアパーク」のこともお話しさせてもらって。街並みがヨーロピアン調の非日常っぽい世界観の場所で、「そこで撮影されるコスプレイヤーさんの方も多いんですよね」というお話をしたら、監督さんやスタッフの方も色々と調べて、港周りや島のレトロな街並みをピックアップしてくださって、ロケ地に決まりました。

――すごく呉の良さが伝わってくるMVになっていますよね。

Machico いや、もうホントに。音を消したら呉のPVみたいですよね(笑)。呉の名物を食べているシーンもあって……。

――「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」のMVには、Machico家の一員である愛犬のモコちゃんも出演を果たされました。そちらもMachicoさんからのアイデアですか?

Machico 監督から自然な表情を撮りたいという話が出たとき、自分が動物好きなので、「動物と戯れるシーンだったら自然と笑顔になれるかも」というお話をしたんです。で、呉で撮影できるのであれば実家の犬を連れてきますよ、みたいなことも言ったら、それも実現してしまって(笑)、うちの子のスクリーンデビューが決まりました。

――「POPPING NOW」の撮影で印象に残っていることはありますか?

Machico 「POPPING NOW」はレコーディング前にMV撮影をしたので、シンセメロを流しながらおしゃれにリズムを刻んだり歩いたりする撮影でした。だから実は「どんな仕上がりになるんだろう?」と思っていたんです。でも、スローモーション撮影を入れてくださったり、間に写真をポンポンポンと差し込んでくださったりして。あの短い時間で撮った映像がこんなにおしゃれに、しかも視覚的にもリズムが感じられる作品になるとは、「やっぱりプロはすごいな」って思いました。アンニュイな表情も多かったので「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」のMVとはまた違った側面を皆さんに見ていただけると思います。

――MVのメイキング映像内で、今回のロケ地の中に初めて訪問する場所があったという話でした。離れて気づいた地元の魅力というと?

Machico 地元に住んでいた当時は、電車に乗っていて海が見えるのは当たり前で、正直、何のありがたみもなかったんですよ。「船が浮いてるなぁ」くらいに思うだけで(笑)。でも、東京に出てきたら電車から海が見えないし、そもそもあんまり自然がないし。学校まで電車で1時間かけて通っていたことを話すと、よく「大変だったね」と言われるのですが、移動中にのんびり海を見る時間は好きでしたし、知らず知らずにリラックスさせてもらっていたとも思います。なので、皆さんが広島から呉に来るときは電車で来てみてほしいですね。ロケ地の一つである呉市豊町は、呉駅から車で1時間近くのところなので、呉に着いてからは車でのどかな時間を楽しんでほしいと思います。

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