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2022.11.29

快心の公演がファンの熱い想いを生み、奇跡を呼び込んだ―― “Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!”東京公演レポート

快心の公演がファンの熱い想いを生み、奇跡を呼び込んだ―― “Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!”東京公演レポート

9月25日、品川インターシティホールにて“Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!”の東京公演が開催。林 鼓子・森嶋優花・厚木那奈美の3人からなる声優ユニット・Run Girls, Run!(以下:ランガ)の結成5周年を記念して開催された全国ツアー、そのファイナルとなる東京公演ではツアーの集大成にふさわしい、ランナー(=ランガファンの総称)を巻き込むブラッシュアップされたパフォーマンスを披露。夜公演では、予定外のWアンコールまで行なわれるほどの高まりをもたらしてくれた。本稿では、その夜公演の模様をお届けする。

TEXT BY 須永兼次

凄み、きらめき、そして3人個々の魅力――5年間培った力をフルで発揮するステージ

開演直前にBGMとして流れた「never-ending!!」などの仕掛けもランナーのテンションを高めるなか、開演時間を迎えた品川インターシティホール。ステージ上をブルーの照明が照らすなか、荘厳なinterludeに乗せて3人が登場し、「蒼穹のBlue Grandia」でライブはスタート。終始キリッとした表情でシリアスに歌声を響かせながら、随所でトライアングル状のフォーメーションをとって周回しつつ美しく見せる。そのうえで1つ1つの振付には、迫力を感じる大きさが。続く「Share the light」は、楽曲冒頭の〝シェアする?”のフレーズでの、見返りのタイミングもピッタリ。その後もダンスのなかで各拍のリズムを活かしてメリハリをつけたり、間奏では次々と決めポーズを入れたりと、高いテクニカルさを要求されるダンスを見せてランナーを虜にしていく。黒がベースの1着目の衣装もよく似合う楽曲だからこそ、2番頭の厚木の歌声のピュアさもよく映えた。そして「スライドライド」は、冒頭ひらひらとさせた手の動きで麗しさを感じさせたかと思えば、猛々しいドラムが加わってからは一転してとにかく激しく力強いパフォーマンスを展開。その一方で、3人の表情には笑顔が交じり、この日初めて感情を滲ませる曲にもなった。

林 鼓子

林 鼓子

この日初となったMCパートでは、森嶋が冒頭3曲で作ったムードを受けて「この熱をヒートアップさせていきたい」と意気込みを語り「Break the Blue!!」へ。この曲、特に印象深かったのが林のパフォーマンス。力感と良好なコンビネーションの両立が同時に求められるという難易度の高い楽曲において、Bメロで笑顔も見せながらふわっと大きく跳ねるなど、自身もライブを楽しんでいることが伝わるものであり、そこからも成長が感じられた。また、さらにシリアスかつパワフルなナンバー「RADIANT」では、冒頭から森嶋の表情が楽曲の雰囲気に非常にマッチする、どこか見下ろすような勝ち気さのこもったものに。この曲でも三角形状のフォーメーションの頂点は目まぐるしく入れ替わり、横一列になってしなやかに連動するといったテクニックを見せる部分も。しかも、こんなに激しい曲を畳み掛けているのに、歌声にはライブならではの感情の膨らみによるはみ出しはあるものの無意味な悪いブレがない。この進化にも改めて注目してほしいと、序盤ながらすでに思わされた曲だった。

一気に畳み掛けるように、激しいナンバーを5曲続けてきた序盤戦。一旦場内のランナーたちとのコミュニケーションをとるMCパートを挟んでから、ライブは中盤のソロ曲コーナーへ。まず幕開けを飾ったのは、リーダー・森嶋の「感情にダッシュ!」。のっけから満開の笑顔とキュートさ全開のパフォーマンスで、さらに会場のボルテージをブチ上げていく。しかし、ただ楽しいだけのステージではない。スピンの鋭さや前述したような歌声の安定感など、クオリティも担保している。そうやってランナーの求めるものを発揮しきるという意味でも、特にこの曲の間、森嶋優花は“完璧”だった。

森嶋優花

森嶋優花

続いては、それとコントラストをなすかのようなゆるりと落ち着けるミドルナンバー「拝啓ディアナイト」を、厚木が披露。サウンドに合わせたしなやかな振付をベースにしつつ、メロラップ風のBメロでは節回しに合わせて客席を指差しながら、1人1人の心に寄り添うように優しく温かく歌唱。盛り上がる以外にも、こうして想いを交換するような場面もまた、ライブの醍醐味の1つだ。

そしてソロ曲のトリは、林による「点とミライ」。またもガラリとムードが変わり、ロックに対して熱く熱く突き抜けるような歌声をぶつけ、聴かせていく。サビのロングトーンなど力を込めるべきところにはぐっと込め、曲が進むにつれてさらにノッてきたのか歌声の圧はどんどん増していく一方で佇まいを見るとそこには余裕感が。それがまた、林の底知れない凄みを感じさせてくれた。

こうして三者三様の魅力が届けられたところで、影ナレによるRADIOタイムでそのソロ曲や公演ごとに入れ替わる歌唱曲についてのトークを展開し、ツアーを振り返る3人。そして衣装チェンジを終えて再登場すると、「ルミナンスプリンセス」から後半戦がスタートする。
ドラマチックな楽曲自体の魅力はもちろん、特に細部に至るまでそれぞれの個性が光ったのがこの曲。林はパフォーマンス中の表情の1つ1つにまで意味を乗せたうえで、終盤の伸びやかなソロの歌声には聴く者の胸を熱くするエモーショナルさが。また森嶋は2サビやDメロなどで一瞬の隙間にかわいさを盛り込み印象付け、厚木は2-Aメロ「OK」の瞬間に前傾になって客席と視線を交わすなどとことんランナーを意識したパフォーマンスを見せる。それに続く「プリマ☆ドンナ?メモリアル!」は、ゴージャスなサウンドに麗しさのあるダンスを乗せていきつつも、サビの冒頭ではぐんっと腕を回す振付で切れ味も見せ、かわいさとしとやかさを1曲の中でしっかり両立。Aメロ等のソロパートで、歌唱担当ではないメンバーがペアとなり手数の多いダンスを通じてキュートさを感じさせるのも、また見どころの1つだ。

厚木那奈美

厚木那奈美

そしてRADIOコーナーでも触れられた日替わり曲、ツアーファイナルのこの公演で歌われたのは「ドリーミング☆チャンネル!」。楽曲由来のアグレッシブさを乗せた精一杯のパフォーマンスが、クライマックス感のあるサウンドと合わさることで得も言われぬエモーショナルさを生み出す。ランナーと一緒に全力で駆け抜け続ける3人の姿が、やはりこの日もたまらなく胸を打ったところで、フルアルバムのリード曲「ランガリング・シンガソング」へ。1-Aメロの「足りない」のフレーズでの厚木の歌声にぶつけられた渇望感が、聴く側の感情をぐいっと持っていく。さらに2-Aメロでは林がラストをシャウトにするなど、とにかく心を熱くするパフォーマンスが目立ったのがこの曲。フォーメーションを入れ替えながらハイタッチを交わす姿も、楽曲を通じて3人の絆を確かめ合っているようでもあった。

次ページ:最高のツアーが生んだ予定外の1曲は、まさに“ウィニングラン”だ

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