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2022.11.11

2年越しのリベンジ!麻倉もも、自身初となるライブツアー<LAWSON presents 麻倉もも Live Tour 2022“Piacere!”>で見せた最高の笑顔

2年越しのリベンジ!麻倉もも、自身初となるライブツアー<LAWSON presents 麻倉もも Live Tour 2022“Piacere!”>で見せた最高の笑顔

2022年11月6日。大阪、福岡、愛知、東京と全国各地を回ってきた、麻倉ももにとって初となるライブツアー<LAWSON presents 麻倉もも Live Tour 2022“Piacere!”>が、中野サンプラザホールでの追加公演2daysにてフィナーレを迎えた。自分らしく、かつ声優として声の表現を追求した3rdアルバム『Apiacere』を引っ提げてのツアーは、未来永劫変わらない普遍性を持った「恋の歌」を歌い続ける彼女のスタンスをより盤石なものとしていた。

【インタビュー】麻倉ももは3rdアルバム『Apiacere』でどんな音楽を歌うのか? 自分らしく声優としての表現を追求した新作について、そこに込めた想いを聞く。

PHOTOGRAPHY BY 大庭 元
TEXT BY 青木佑磨(学園祭学園)

朝の目覚めから始まるおとぎ話めいたステージ

薄いベールが開くと、そこには宝石箱にも宮殿のダンスホールにも見える立体的なセットが。そこに横たわり眠る麻倉ももを、ジリリリと鳴り響く時計の音が目覚めさせる。生バンドを背負って最新アルバム収録の「ネムイケド」でライブは幕を上げた。続いて、「おはようー!」と客席に手を振りながら、1stアルバム『Peachy!』のトップを飾った「Good Job!」をダンサーと共に披露、同じく初期楽曲の「カラフル」も合わせて手振り・指差しの振付で客席が一体となり、目覚めの瞬間から観客のボルテージは最高潮に達していった。

MCではソロとしては初となるツアーについて、今日が最終日だなんて名残惜しくて信じられないと語る。またアルファベットで彩られた衣装について、「Apiacere」の文字にあたる部分だけがラメになっており「双眼鏡マンは気づいてるかな?(笑)」と冗談めかして最終日ならではのタネあかしをしてくれた。バンドメンバー“もも組音楽隊”との会話では、口々にファンの対応力や愛情の深さを讃えられ麻倉自身も誇らしげにしていたのが印象的だ。

ハイテンションなオープニングを経て、次のセクションは身勝手な相手を許してしまう複雑な恋心を歌った「シュークリーム」から。また本人の熱望で『Apiacere』に収録されたという、大人びたエレクトロダンスチューン「Love me, Choose me」では、ダンサーを引き連れ機械的でテクニカルなダンスを見せた。続く「ふたりシグナル」は、マイクスタンドを前に歌詞の世界を追うようなかわいらしい両手の振付で、すれ違いながらも2人の時間を大切にする少女の心を可憐に歌う。立て続けに届けられる色とりどりの恋愛模様。それは彼女がソロアーティストデビュー時から掲げている「恋の歌を歌う」という1本の軸を、様々な角度から垣間見ることができる時間だった。

本人いわく「小さなクマのような生き物の夫婦をイメージしてレコーディングした」という、ファンタジックな空気感を帯びた「フラワーズ」。彼女の発する一声一声に合わせてライティングが変化していき、会場を幻想的な雰囲気が包み込む。その余韻が残るなか、ツアー恒例のもも組音楽隊によるバンドセッションの時間。「トクベツいちばん!!」をアレンジして作られたインストで、バンドと観客はクラップのレスポンスにより1つに。先にMCで挙げられた「ファンの対応力の高さ」が伺える一幕となった。

ステージを覆っていたレースのベールが、ツアーを支えてきた“もも組ダンサーズ”のダンスに合わせて深紅のベルベットに変わる。シンデレラの舞踏会を思わせる雰囲気のなか、3rdアルバムを牽引するドリーミーなジャズナンバー「eclatante」に合わせて、青いドレスに着替えた麻倉ももが登場。高低差のある舞台を利用してのパフォーマンスは、さながら宮廷のダンスパーティのようであった。そして優雅なパーティを終えて、彼女は再びオープニング同様に眠りの中へ。ダンサーたちが眠り姫に毛布をかけると、そこで始まるのはピアノ主体にアレンジされた「ユメシンデレラ」。ミュージカル的でもあり、また彼女が愛する少女漫画の世界に迷い込んだ気分になれる演出が続く。

きらめく夜空が刺繍された青いドレス(本人いわく「服も食べ物も光り物が好き」とのこと)を紹介しつつ、MCではセッションで披露された「トクベツいちばん!!」の話に。「もちょが好きだよ」と叫ぶコールをしばらく聞けていないことから、引き続き声出しの難しい環境ながら「早くまたみんなの野太い声が聞きたい」と笑いに変えていた。

「最新アルバムの中で、女性人気が高い曲」と話しながら、大切な人同士が結ばれることを祝福しながらも胸の痛みを綴る「monologue」。そしてウィスパーボイスのポエトリーラップが映えるローファイヒップホップ「あしあと」を続けて披露。アーティスト活動6年間を一貫したテーマで歩んできたからこそ見せられる、多様な主人公像と恋の形で観客を魅了してくれた。

そんな客席について、年齢層のアンケートを取る一幕も。最年長だった60代には「足腰は大丈夫ですか?」と気遣い、最年少の10代前半のファンには「まだまだ何にでもなれるから頑張りなさい」と人生の先輩としてアドバイスをしてみせた。そんなほほえましい交流に温かな空気が流れるなか、ラストスパートを匂わせる「……まだまだですよね?」の一言で再度会場は熱を帯び始める。

次ページ:6年分の成長と変わらない軸、麻倉もものアーティスト像

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