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INTERVIEW

2022.10.21

【10周年記念連載】第7回:ZAQ 第八弾「Thanks for all notes」――9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

【10周年記念連載】第7回:ZAQ 第八弾「Thanks for all notes」――9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

2022年が幕を開けた1月31日、配信シングル「ZIGZAG」を皮切りに毎月シングルをリリースしてきたZAQ。そして、シングルとしては9ヵ月連続リリースの最後となる「Thanks for all notes」を8月31日に世に送り出した。10周年を飾るイベントとして残すのは、9月のベストアルバムと10月のワンマンライブだけとなった。配信シングル5曲を通じてシンガーソングライターとして自身と向き合った結果、「Thanks for all notes」に感謝の気持ちと共に込めた想いとは?葛藤、逡巡、迷走……、全速力で駆け抜けながらも10年で抱いてきた想いをZAQが今さらけ出す。

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普段の私が絶対に言わないようなことをちゃんと

――10周年という道のりの中で2021年がどのような年であったかお聞きしたいのですが、前回のお話(第6回)では「2020年という暗闇から抜け出し始めた時期」ということでした。10周年イヤー企画の立ち上げ時期でもあったと思いますが、振り返るとどのような年でしたか?

ZAQ 2021年は作家事務所(TaWaRa)に所属したことで作家の仕事を色々といただいていた時期だったのと、アーティスト活動としてはちょうど「ASEED」(『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』OPテーマ)や「悪夢」(『薔薇王の葬列』EDテーマ)を作っていた時期でした。ようやく時代が上向き始めたかな?という気持ちで過ごせるようになりましたね。9ヵ月連続シングルリリース後にベストアルバムを発売し、2022年は勝負の年にしましょう、と決めたのは2021年の冬、12月くらいだったと思います。それまでは3rdアルバムという話もあったんですけど、まだまだアニメの制作が延びたり、「ASEED」のリリースが2022年4月になったりしていたので。

――ZAQさんとしては「10周年!」というはやる気持ちはなかったですか?

ZAQ いや、「今年も生き残れた!」みたいな気持ちでしかなかったですね。来年にはもうZAQは存在しないかもしれない、と思いながら作り続け、歌い続けているので。だから、ようやく10年経ったか、という感じなのかな?私としては毎年毎年が記念日だから、正直、10で括る必要があるんだろうかという気持ちだったんですけど、レーベルとしては刻んだほうが色々と企画を打ちやすいという戦略も理解しているので、溜め込んだものを爆発させる1年になるだろうな、という覚悟はありました。

――10周年ならばこういったこともできるのではないか、させてもらえるのではないか、という願望はありましたか?

ZAQ 10周年ライブは絶対やりたいと思っていました。だから例えば、去年の12月くらいからめちゃめちゃギターを練習してワンマンライブで弾き語りする、というプランもあったんですよ。でも、ひと月ごとにシングルを1枚リリースというスケジュールになったので、練習する暇もなく。YouTubeチャンネルができたのでそれも頑張ろうとか、TikTokも、という気持ちもあったんですけど、目の前のことに追われすぎてしまいましたね。曲を出し続ければ10周年にZAQがシャカリキやっているというアピールにはなるので、面白そうだと思って飛びついたんですけど(笑)。でも、ワンマンライブだけではなく、セルフカバーライブをいつか絶対に、という気持ちはまだ持っています。カバーアルバムとか。最初の頃は色々とやりたいことを考えてはいました。

――ギターを、と思ったきっかけは?

ZAQ これまでまったくやったことがなかったので、全然弾けないんですよ。なので、YouTuberがよくやっている1年チャレンジみたいな感じで。でも、ようやく今、ちょっと押さえられるようになってきたくらいなので、人前で披露できる腕前にはまだまだ。

――では、あくまでYouTubeチャンネルの企画として?

ZAQ そうですね。それに、ZAQにはロックっぽい曲が多いのにシンガーソングライターっぽさを打ち出せていなかったのと、ギターをかき鳴らしながら歌い上げる姿にちょっと憧れがあったので。ただ、周りからは、それよりもピアノが弾けるところをもっとアピールしたほうがいいという意見もあって。そこで「たしかに」と思ったので、毎月配信しているYouTubeでチャンネルではピアノの弾き語りに挑戦しています。

――音大のピアノ科まで出た人となるとさすがにアニソン界にも少ないので、大きな武器ではありますね。

ZAQ 意外とそんなに弾けないんですけどね(笑)。

――2021年は、2022年に実現させることの準備期間でもあったんですね。

ZAQ そうですね。ベストアルバムにしてもライブにしても。ただ、スタッフさんと2022年のロードマップを考えてはいましたけど、次々と情勢が変わることでロードマップも崩れ。結局、行き当たりばったりというか、2022年になっても「この先どうなるかわからない」と思いながら進めていました。ようやくゴールが見えた感覚になったのは、9ヵ月連続リリースを発表してからですね。

――2021年の段階で、9ヵ月連続リリースシングルの構成や曲調のバランスについて、どれくらいイメージされていましたか?配信シングル各曲の頭文字を並べると「ZAQ 10(TEN)TH」になるというアイデアでスタートし、先にタイトルを決めて楽曲制作に入るという流れだとはお聞きしましたが。

ZAQ 1曲目にあたる「Z」では、始まりを予感させるようなスタンダードでシンプルなロックで、楽器をほとんど入れないとは決めていました。むしろ「ZIGZAG」というタイトルに決まるまでは結構悩みましたね。それから「QUEEN」は、TeddyLoidさんにアレンジしてもらって絶対ダンスチューンにするつもりでした。でも、タイトルに引っ張ってもらったところはすごくありますね。「ANTHEM」もEDM調にしようとは決めていなかったですし、「TENSION ENCHANTER」と「Thanks for all notes」に関しては最初、「TENSION」と「Thanks」ってシンプルなタイトルだったんですよ。その段階ではざっくりとテンションが高い曲にしようとか、集大成を歌う曲にするからバラードかな、くらいでしたし。作りながら「ENCHANTER」や「for all notes」がついてきました。

――最後の配信シングル曲「Thanks for all notes」はどのように生まれた曲ですか?

ZAQ 「Th」となったらタイトルは絶対「Thanks」しかない、とは思っていましたね。9ヵ月連続リリースのラストでもあるので、まずは「10年間ありがとう」というメッセージがたどたどしくもしっかりと伝わる楽曲にするつもりでした。そのうえで、これまでの10年間の活動で葛藤してきたこと、迷ったこと、成し遂げてきたことなどを振り返ってみて、ZAQがどういうシンガーなのか、どういう人間なのかを表現できる歌にしようと思ったんですよね。となるとどうやっても歌詞が強くなるので、今回は歌詞から作ることにして。で、普段の私が絶対に言わないようなことをちゃんと言おうと決めました(笑)。それがサビの4行です。

――詞先なうえに、最初に作られたサビには強い想い入れが込められているんですね。

ZAQ サビのどこかで「ありがとう」と入れよう、最後は「愛している」で締めようというのは決めていました。ライブでは、歌というよりもポエムとして伝わるくらいの歌詞にする感覚でしたね。でも、こっぱずかしい(笑)。下手なんですよね、こういうのは。だけど訥々と歌詞にしたためました。で、歌詞から作るとZAQは言葉数が多いので、譜割がめちゃめちゃ詰まっています(笑)。

――サビ以外では自身の弱い部分をかなりさらけ出しています。

ZAQ ZAQの性格を全部出していますよね。この9ヵ月は自分と向き合ってきた期間だったので、弱いところ、ダメなところ、自信のないところを全部書き連ねていきました。あとから詰めたBメロなんかはもう、めっちゃZAQ。“普通なだけじゃ美談も生まれず 変わり者は共感を得られず”って全部私なんですよ(笑)。普通になりたいわけじゃないんです。でも、変わり者すぎたら引かれるし。どこのラインにいけば私はアーティストと呼ばれるのだろうという気持ちの表れですね。

――ここ数年の宿題ですね。様々なインタビューでも話されていますが、色々なジャンルの曲を作り続けるなかで、ZAQの音楽とは?というところを見つけるというのは。「カーストルーム」で一旦答えが見つかり、落ち着きかけたけれども。

ZAQ そう、落ち着いたんです。でも実際、ZAQとして様々な楽曲を作って、歌って、ライブをしてきたなかで、何を歌えばいいのか、何を求められているのかわからなくなる時期があったんですよね。担当プロデューサーさんがいなくなったことで自分の道標もなくなってしまったこともあり。でも、友達のシンガーソングライターに「ずっとやっていると歌いたいことってなくなってこない?」みたいな相談をしたことがあって。そうしたら、その迷いすらも歌にすればいい、と言われたんですよ。ずっと背伸びしてかっこつけてきたけど、本当の自分はちっぽけで道を間違えたり止まったりもするし、マインドだって強くない、というところも含めてすべて自分だ……って。だから「Thanks for all notes」の歌詞では、私が音楽を10年間作ってくることができたすべてに対する感謝を書きました。

――音大出身らしく「note」という表現を使っていますが、これは音や音楽だけを指すのではなく?

ZAQ 自分の周りにある、ありとあらゆる「音」ですね。ファンの声も、アンチの声も、スタッフの声も、関わってきたミュージシャンの声も、楽曲提供したアーティストからの意見も全部が勉強になっているし、自分が生み出してきた音楽たちにも感謝を。だから、めちゃめちゃシンプルでストレートな歌詞ですね。

――自分と共に歩んでくれた音楽に対する感謝という点では「ZIGZAG」にも込められた歌詞と共通しますね。

ZAQ そうなんですよ。10年間支えてくれたのはもちろんファンではあるんだけど、音楽にしても、プライベートも含めた色々な出来事全部が今の私を作ってくれているので。

次ページ:背伸びをしない、ZAQとしては最高の9ヵ月

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