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INTERVIEW

2022.10.21

【10周年記念連載】第7回:ZAQ 第八弾「Thanks for all notes」――9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

【10周年記念連載】第7回:ZAQ 第八弾「Thanks for all notes」――9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

背伸びをしない、ZAQとしては最高の9ヵ月

――楽曲に関してもストレートに、歌詞に寄り添ったバラードにしています。

ZAQ 「Thanks for all notes」も、ZAQといえば激しくアップテンポでわちゃわちゃしている、バラードがあまり似合わない、というイメージがあるので、やっぱり照れはあったんですけど真正面から勝負しました。R&B調の、自分の感情を飾らない歌詞やメロディにして、それにつき従うアレンジに方向を持っていっています。ストリングスに頼った感動物ではなくて。音にしても全部打ち込みでパターンにして、ループ素材を使おうと思っていました。自分の声に合ったバラードがあるだろう、という考えだったんですよね。

――もちろん、自分の武器であるピアノも活かし。

ZAQ そうですね。それに、今まではMIDI進行で作ってきたんですけど今回はクオンタイズをかけず、生っぽい演奏にしているんですよ。

――きれいに整えず。

ZAQ はい、あえて人が弾いている感を出すために。そこを主役にしようとは思っていました。ピアノをトラックの中に入れるときも、人間には無理な演奏は入れないというか、すごく難しいけど絶対不可能ではないラインを攻めて弾いています。

――DTMが一般化したことで人間には不可能な伴奏も可能になりましたし、音楽の出自がそこにあるというクリエイターも増えていますが、ZAQさんが人間が弾けるラインを守ったほうがいいと思う理由は何ですか?

ZAQ でも、絶対人間には歌えないだろうメロディラインで突拍子もないことをやるのが私の中のアニソン、みたいな固定概念が昔はありましたよ。他人が考えつかないメロディを思いつくことで、変わったことをやることで、存在をアピールしたい、みたいな。ただ、人間が歌えることやわかりやすいメロディであることを大切にするようにはなりました。TikTokで流行る曲もリフレインが多くてシンプルで短いものですし、小難しいことをやりすぎるよりは、変なんだけどキャッチーなメロディとか、絶対に弾けないギターリフにはしないとか、その辺りを上手く合わせられるようにはなったとは思います。それは楽曲を作り続けるなかで気づいたことではあるんですけど。腕が4本ないと叩けないようなドラムを組んでいたけれども、人が演奏しているのを見て、「あ、タムとスネアは同時に鳴らさないほうがいいんだ」と気づいた感じですね。

――バランスがとれるようになったということでしょうか?

ZAQ めちゃめちゃとれるようになりました。作家に徹するときと、ZAQというアーティストでいるときはまったくマインドが違いますしね。ZAQというシンガーソングライターをやっているときは我が強くて、「私はすごい」「天才なんだ」という姿を見せてきたんですよ。……そう見えてなかったかもしれないですけど(笑)。「何でもやりますよ」「何でもできますよ」ってスタンスでした。でも楽曲を提供するときは、自分が前に出るのは好きじゃなくて、アーティストの存在があるからこその楽曲というイメージでずっと作ってきました。この10年間でその切り替えは上手になったかなと。あと、声優さんたちに「ZAQさんの歌は難しい」って言われすぎたのも効いているとは思います(笑)。昔はそう言われても、最後に「(笑)」がついているものとして受け取っていたのが、最近は言われすぎたことで、「私の歌ってそんなに難しいんだ……」って申し訳なくなってきちゃって。

――「顔で笑っているけどこの人マジだな」みたいな。

ZAQ そうなんですよ。鈴木愛奈ちゃんがソロデビューのときに提供した「ヒカリイロの歌」にしても、「明るいんだけどなんか泣けてメロディラインがコロコロ変わっていくようなZAQらしい曲」みたいな発注だったんですね。しかも、愛奈ちゃんってめちゃめちゃ歌える子じゃないですか?なので「よし、やったれ!」と思って作ったんです。愛奈ちゃんも、レコーディングでは「難しい、難しい」って苦戦していたんですけど、歌えるようになったら「ZAQさんの曲は本当に難しかったんですけど素晴らしくて。ありがとうございます」なんて嬉しいことも言ってくれて。だから、難しいけれども歌いこなしてほしいし、そうなったら私の難しいメロでも理解してもらえるんだ、って思っていたんですけど、今年の“Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-”のリハでマニピュレーターの毛利(泰士)さんに、「ヒカリイロの歌」は速すぎてマジでトラウマになっている的なことを言われて(笑)。

――改めて反省を(笑)。

ZAQ 今は、難しいけど歌えなくはない、というところをイメージしていますね。

――話を戻せば、「Thanks for all notes」は天才肌なZAQではなく、素の自分を見せた曲とも言えますね。

ZAQ 2ndアルバムのタイトルにもつけたように、「NO RULE MY RULE」、ルールがないのが私のルールだ、やりたいことをやる、人がやらないことをやる、我が道を行く……、と言い続けてきましたけど、意外とそうでもないんじゃないか、と思う瞬間ももちろんあって(笑)。その想いを粛々と歌詞に書いていますね。“ひとつひとつ星を数えて なぜ数えてるのかも分からなくなった”とかまさに!(笑)。

――その辺りは、連続リリースで得た感覚ですか?アニソンの場合、作品やキャラクターが持つメッセージの代弁ではあるので、ZAQの主張を混ぜ込むとしてもそこが主体にならない。シンガーソングライターとしてメッセージを発信する感覚とは異なると思うのですが。

ZAQ 本当にその通りで。タイアップは、作品の中にあるメッセージと、ZAQが共感できる部分を探して、取り込んで、歌にするんですよ。アニメファンの中には自分が思うキャラクター像もあるし、やっぱりアニメという大正解があるので。そのうえで正解を叩きださないといけないのでそこは外せないんですよね。だから、「アニソンは自由だ」と思ってこの世界に入ってきたけど、意外とそうではないところがあって。逆に、ノンタイアップで配信シングルを出すにあたって、今までもカップリング曲で挑戦してはいましたけど、歌詞に込めるメッセージに関してはすごく考えさせられましたね。

――2022年はシンガーソングライターとしての活動の比重が大きくなった年でもありますね。

ZAQ ZAQの色々な側面を見てもらって、ZAQという人間に興味持ってもらえたら、と思います。「Thanks for all notes」にしてもほかの曲にしても、どうしても自信が持てないけれどもどうにかして生きていかなきゃいけない、と悩んでいる子たちに聴いてもらって、「あ、ZAQでも普通のこと考えてるんだな」って思ってもらえたら嬉しいですよね。ライブの最後でもこういうMC ができたらな、とは今は思っています。

――作った楽曲に共感してもらえる喜びを感じられる時間でしたか?

ZAQ そうかもしれないですね。シンガーソングライターである以上、自分の想いを伝えることも大事だけど、共感していただくこともすごく大事で。自分の曲で気持ちを共有できるというのはシンガーソングライターでないとやれないことだと思います。だから、9ヵ月間ずっと、訴え続けてきて良かったとは思います。

――傍で見ていても、シンガーソングライターとして成長する期間だったんだろうと感じます。ベストアルバムとライブは控えていますが、シングル連続リリースを走り切った今の感想は?

ZAQ さっきもお話した通り、ずっと自分と向き合い続けた9ヵ月だったんですよね。「自分の音楽とは?」「10周年とは?」みたいなとこをずーっと考えてきた9ヵ月だったので、やり切ったという気持ちが一番大きいですね。もうちょっと言いたいことはあるような気もするけど、等身大のZAQとしてはこれ以上背伸びはしない方がいいので、今の自分としては最高の9ヵ月を過ごせました。「ZIGZAG」から「Thanks for all notes」まで様々なジャンルの曲を、アレンジャーさんを入れながら色々と表現できたので、集大成を見せられた感覚とともに、これからもっと幅が広げられるという未来への希望も見えましたね。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司

【連載企画第7回:ZAQUIZ!】

Q.7 ZAQが中学生のころにハマってたアメリカ出身のラッパーは次のうちだれでしょう?

1.2pac
2.Eminem
3.50 Cent
4.N.W.A

▼正解は第8回インタビューで!

連載企画第6回:ZAQUIZ!の答えは……

・推しが俺以外のヤツと結婚したオタクのための求憐誦○
・行きたいイベント消滅しすぎて優勝できないオタク交響曲○
・オタクはみんなそう言って強くなる○

でした!


●9ヵ月連続リリース情報
第八弾シングル
「Thanks for all notes」

作詞・作曲・編曲:ZAQ

配信リンクはこちら

■第一弾
「ZIGZAG」

作詞・作曲・編曲:ZAQ
配信リンクはこちら

■第二弾
TVアニメ『薔薇王の葬列』第1クールエンディングテーマ
21st シングル
「悪夢」

発売中

品番:LACM-24243
価格:¥1,320(税込)

<収録曲>
M1「悪夢」
作詞・作曲:ZAQ 編曲:石川智久
M2「耺」
作詞・作曲・編曲:ZAQ
各インストも収録の計4 曲収録

配信リンクはこちら

■第三弾
「ANTHEM」

作詞・作曲:ZAQ 編曲:ZAQ・RINZO
配信リンクはこちら

■第四弾
TVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』オープニングテーマ
22nd シングル
「ASEED」
発売中

品番:LACM-24239
価格:¥1,320(税込)

<収録曲>
M1. ASEED
作詞・作曲・編曲:ZAQ
M2. Coward
作詞・作曲・編曲:ZAQ
各インストも収録の計4 曲収録

■第五弾
「QUEEN」

作詞・作曲:ZAQ 編曲:TeddyLoid
配信リンクはこちら

第六弾
「TENSION ENCHANTER」

作詞・作曲・編曲:ZAQ
配信リンクはこちら

第七弾シングル
TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season』オープニングテーマ
「Dance In The Game」

発売中

品番LACM-24278
価格:¥1,320(税込)

<収録曲>
1.Dance In The Game
作詞・作曲・編曲:ZAQ
2.ライブを忘れたオタクに捧げる聖譚曲(オラトリオ) feat.内田真礼
作詞・作曲・編曲:ZAQ
3.Dance In The Game(Off Vocal)
4.ライブを忘れたオタクに捧げる聖譚曲(オラトリオ) feat.内田真礼(Off Vocal)

関連リンク

ZAQ Official Site
http://www.zaqzaqzaq.jp/

ZAQ Official Twitter
https://twitter.com/ZAQinfo

ZAQ Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCPsYjwzsmN8g2GEqaSei1-A?app=desktop

ZAQ Official TikTok
https://www.tiktok.com/@zaq39zaq39

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