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INTERVIEW

2022.07.21

【インタビュー】Machico、ベストアルバム『Trajectory』と10年間の歩み・足跡を語り尽くす――。 この10年の間に起こった「Machico 10 BIG NEWS!」も掲載!

【インタビュー】Machico、ベストアルバム『Trajectory』と10年間の歩み・足跡を語り尽くす――。 この10年の間に起こった「Machico 10 BIG NEWS!」も掲載!

声優アーティスト・Machicoが、アーティストデビュー10周年を記念したベストアルバム『10th Anniversary Album -Trajectory-』を7月20日(水)にリリース。新曲として、彼女が敬愛するシドの明希が作編曲を手掛け、自ら作詞を担当したジャジーなロックナンバー「Shall we…?」を収録。さらに人気のアニメ主題歌はもちろん、デビュー曲やアルバム収録の自作詞曲など全18曲を収めている。本稿では今年5月に開催された“Machico 10th Annivesary Live ~Trajectory~”の裏話も交えつつ、本作や彼女の10年間の歩みについて存分に語ってもらった。

また、インタビューの最後には「Machico 10 BIG NEWS!」と題して、アーティストデビューを果たした2012年から2022年までの間に起こった各年のMachico的BIG NEWSも掲載。ぜひ併せてチェックしてほしい。

目指したのは10周年の足跡でもあり、新しい入口でもある1枚

――今回の『Trajectory』はデビュー10周年を記念したベストアルバムです。数多くの曲の中から、この18曲をどのように選ばれたんでしょうか?

Machico 今回はまず、デビュー曲とアニメの主題歌は全部入れまして。次に過去の各アルバムから自分が作詞した楽曲を優先的に選んで、それ以外の自分が作詞していないアルバム曲は、ライブでファンのみんなが好きだと言ってくれる曲を選びました。例えば「紅花火」は、本当にライブ人気が高くて。主題歌以外でもそういう声をたくさんもらえている曲も選びたかったんですよ。あと「青春オーバードライブ」は、私が「ロックな曲を歌いたい!」と言ったときに作っていただけたロック系のオリジナル曲で、アーティスト活動初期の色んなライブを支えてくれた曲でもあるんです。

――そういった要素も加味して、選択していった。

Machico そうです。曲自体にもすごく勢いがあり、ライブでよく自分のスイッチを入れてもらっていたりもしていたので。

――「青春オーバードライブ」の頃のMachicoさんは、クールな曲が好きというお話をよくされていた記憶があります。

Machico デビュー曲の「Magical Happy Show!」みたいにポップでかわいらしい感じの曲ももちろん好きなんですけど、基本的にはロックが好きなので、当時は「ファンの方のイメージが“キュート”で固まっちゃったらどうしよう?」という自分なりの恐怖心みたいなものがあったみたいで。だから「私、実は、かっこいい曲も歌えるんだぞ!」みたいなアピールをしていた頃だったんです(笑)。あと選曲ではもう1つ、今まで出したアルバム全部から、1曲は選ぶということも心がけました。

――それは、どんな狙いから?

Machico 『Trajectory』を聴いたことをきっかけに、過去の作品にも触れてもらえたらいいな……という気持ちからです。そのアルバムを出した当時の私を知らなかった方が、ほかの曲にも興味を持ってくれるきっかけになるような、新しい入口にもなってくれるアルバムにできたらいいな……ということで。

――選曲の過程で実際に曲を聴きながら当時を振り返っていくと、思い出すこともたくさんあったのでは?

Machico ありました。特に思い出すことが多かったのは、デビュー曲「Magical Happy Show!」ですね。まず、今と歌い方が全然違うんですよ。「声変わりしたかな?」っていうくらい初々しいんです!(笑)でも当時の私の歌い方が全部こうだったかというと、全然そうではなかったんです。そもそも私、倖田來未さんとか宇多田ヒカルさん、あとはBoAさんみたいなハスキー系のかっこいい歌をうたう人が好きで。だからプライベートでは、そういう歌い方が主だったんです。でも「Magical Happy Show!」だけは、「真っ直ぐにも程がある」みたいな歌声なんですよ。

――そういう歌声になったのは、なぜだと思われていますか?

Machico “自分の歌声がオリジナルになる”という経験が、初めてだったからだと思います。それまではオリジナルのアーティストさんがいて、その方のマネをして歌えば上手く聴こえたんです。でも自分が本家になるときの表現の仕方が、全然わからなくて。しかも当時は表現の引き出しも、音楽の知識も全然なかったんですよ。ディレクションで何を言われているのかもわからず「とりあえず歌う」という感じでしたし……でも今思えば、1つ1つのことに感動していた、愛おしい記憶たちです。

――緊張もあったでしょうけど、感動も多かった。

Machico そうですね。そもそも「Magical Happy Show!」って初めてレコーディングブースで歌った曲なので、ポップガード1つにも感動していたんです。当時はお金もなかったから、家でマイク処理するときには100円ショップの湯船の垢取りネットを手で持ちながら歌っていたりしたので(笑)、「本物だぁ!」ってなって。なんならレコーディングのときに個人のブースを使うことすらも知らなかったくらいだったんです(笑)。でも、それからだんだん「自分はどういうレコーディング環境が好きなのか?」が、わかっていくようになって。

――例えば、どんなことですか?

Machico わかりやすいところだと、譜面台の置き場所ですね。いっぱいレコーディングをやらせてもらってきたなかで、譜面台が右にあると歌いづらいことに気づいて。今では絶対左側に置くんです。あとボリュームも、私は基本オケをガンガンに流して、オケの中のリズムをとるのが好きだったりとか……あれ?初期の頃って、どういう耳環境で歌ってたんだろう?モニターの調節の仕方とかも全然わからなかったから……写真撮っておけばよかったかなぁ。ただ、何が歌いやすいかもわからなかった時期なので、きっと初期設定のまま歌ったんだと思います。ツマミをいじった記憶も、ほぼないので。

――そういった思い出のほか、ご自分で成長を感じるようなところもありましたか?

Machico そうですね……特に自分が意識していなかった部分で不意打ちの成長を感じたのは、「fantastic dreamer」と「TOMORROW」を聴いたときで。「fantastic dreamer」の前にカバーアルバムを2枚出させていただいたりと結構経験は積んでいたはずだから、そこから歌い方の大きな変化や成長はないかなと思っていたんですよね。でも改めて聴いたら、「Magical Happy Show!」ほどではないにしろ「fantastic dreamer」には初々しさが残っているような気がしたんです(笑)。

――改めて今聴き返したことで、大きな差を感じられた。

Machico そうですね。2期も担当させてもらったということで、作品への理解度が上がったというのもあるのかもしれないですけど。あとアルバムの中盤には爽やか系の曲が並んだり、「勇気のつばさ」みたいなバラードもありますけど、後半には「Everlasting Glory」とか「ENISHI」みたいな歌い上げる系のバラードもあって。自分でも「そういう曲も歌えるようになったんだねぇ」って、嬉しくなりました。ただ、10周年のライブで久しぶりに「Everlasting Glory」を歌ったら、「むっず!」って思いました(笑)。

――それも改めて感じられた(笑)。

Machico そう(笑)。しかもライブだと、かなりの曲数を歌ったあとに「Everlasting Glory」歌ってからの「ENISHI」だったので、今考えたら恐ろしいセトリだなぁって思います(笑)。でもそれは、「ライブ本編は最新曲で終わりたい」という気持ちもあったし、「Everlasting Glory」は別のライブでラストを飾っているので同じ終わり方にするのは嫌だな……というのもあっての構成だったんですよね。

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