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INTERVIEW

2022.07.21

【インタビュー】Machico、ベストアルバム『Trajectory』と10年間の歩み・足跡を語り尽くす――。 この10年の間に起こった「Machico 10 BIG NEWS!」も掲載!

【インタビュー】Machico、ベストアルバム『Trajectory』と10年間の歩み・足跡を語り尽くす――。 この10年の間に起こった「Machico 10 BIG NEWS!」も掲載!

チャンスを掴む原動力、それは負けん気と丁寧さ

――ただ、その「ENISHI」が終わったときにあっという間のライブに思えましたし、声も最後まで生き生きとしていたところにもすごさも感じました。

Machico 嬉しい……!特に「あっという間だった」と思ってもらえたのが、すごく嬉しいです。今までのライブはアンコールを含めても歌って17~18曲だったんですけど、今回は「20曲以上歌う」というのはマストだったんです。だからこそ今回は、ファンのみんなに3ブロック構成の1ブロックごとを体感早く感じてもらえるように意識して、セトリを組んでいきました。

――それが顕著だったのは、例えばどんな部分だったのでしょうか。

Machico  1ブロック目から挙げるなら、カバー曲メドレーですね。最近知ってくれた方たちには初期の曲はあまり馴染みがないかもしれないけど、それでも全曲ちゃんと印象に残るようにしたかったんです。ただ、デビュー曲だけは知らなくても“デビュー曲”というだけでテンションが上がるものだと思うんですけど、それ以降が難しくて。そこで「カバー曲をメドレーにすれば曲の変化も出るし、一気に何曲も披露できるな」と気づいて、メドレーにすることに決めました。

――たしかに、最近ファンになった方はMachicoさんがアニソンカバーアルバムを出されていたことを知らないかもしれない。

Machico そういう方も、きっと多いと思います。でも曲自体はどれも有名なので、本家を知っていれば楽しんでもらえるかなって。それに、今回選んだ4曲は全部違うジャンルのものにしたので、メドレーの中でも変化をつけられたように感じています。

――同じタイトルを冠したベストアルバムと完全に曲目が一致しているわけではないので、それぞれ違った意図もあったのでは?

Machico 今回、ライブのほうでは勢いを大切にしたかったんですよ。だから「紅花火」も「人気だから入れたいけど、この3ブロックの中だとどういう意味合いの曲になるの?」と考えた結果、入れなかったりしたんです。

――逆にベストアルバムはバラード曲の割合がやや多めなので、じっくり聴いてもらいたい曲を多くされたように思いました。

Machico ライブはライブに特化した曲を、アルバムはアルバムだからこそゆったり聴ける曲を何も考えずに聴いてほしい……という気持ちで並べていったので、そこの違いを意識したつもりはありませんでした。でもたしかに、言われてみればそうだったのかも……?

――あと、ほぼ時系列で並んでいるからこそ感じたことなのかもしれないのですが、Machicoさんってチャンスがきたときに全部的確に撃ち抜いて、またレベルアップして次のチャンスを仕留める……ということを繰り返しているイメージがあって。そうやって頑張り続けられるための、原動力になったものは何なんでしょう?

Machico まず、ずっと大切にしていることは、先輩たちに言われていた「腐らないこと」ですね。自分にとっては、お仕事って常にいただけているというものではなかったから、周りの仕事の多い子たちと自分を比べると絶対に悲しい気持ちにはなるじゃないですか? でも「今いただけるお仕事に自分が丁寧に向き合っていれば、いつか良い結果が出るんじゃないか」という気持ちだけは大切に持って、丁寧に全力を注いでいこう……という姿を、10年間かけてみんなに見てもらえたというのはあるように思います。あとやっぱり、「アイドルマスター ミリオンライブ!」という作品は、私の中ですごく大きなもので。

――声優デビュー作でもありますからね。

Machico そうなんです。それに「アイドルマスター」って、周年の大規模なライブやリリースイベントなどがあって、おかげでソロでは立てない会場で歌う経験もたくさんできたんです。それに、近くにいた同世代の子たちにもすごい子がいるから、そばで見た「この人のここが良いな」というところはとにかく盗もう!という気持ちで、もう……盗みを働いて(笑)。

――盗みを働く(笑)。

Machico 言い方が良くないな(笑)。でも本当に、そういうものを学べる場所がたくさんあったから、それを自分なりに受け取って落とし込んで披露して、それがまたファンの人たちの評価にも繋がって……やればやるほどそのキャラクターのことも好きになってくれるという実感があったんです。それと、「アイドルマスター」を通じて自分の中に色んな気持ちが芽生えたんですよ。私が演じている伊吹 翼ちゃんは天才肌の子なのに、私はデビュー当時にはツーステップも踏めないくらいだった。でも「諦めたくない」という負けん気な性格も相まって、「ダンスもできるようになりたい」と思ったり……。

――「色んな気持ち」ということは、そのほかにも芽生えた想いが?

Machico ありました。アーティストデビューが声優デビューよりも先だったから、「Machicoは歌上手くて当然だよね。だってアーティストだもん」みたいによく言われて。何年経っても“声優”として認めてもらえなかったことが悔しかったんです。だから「あなたたちが認めている声優の方に勝てるくらい、ステージの上でキャラクターとして存在するパフォーマンスをみせてやる!」みたいな、「見返したい」という気持ちもあって。私がキャラソンをステージで歌うときに妥協したくない理由も、そこにあるんですよ。

――そこは、悔しさもエネルギーになった。

Machico はい。もちろんそれは私なりのキャラクターの愛し方がそういう表現だっただけで、ほかの方を否定するわけではないんですけど、単に「そう言ってくる人を見返したい」という気持ちがきっかけだった……ということなんです。

――その想いがあったからこそ多くのものを吸収されていったんでしょうね。

Machico そうかもしれません。あと、昔は稼働が少なかったぶん、個人練習が基本になっていた時期があって。そういうときは長時間スタジオだけ取っていただいて、「あとは自分でやって」という感じだったんです。だからそのなかで、考える癖や自分を研究する癖を、活動初期につけさせてもらいました。そのおかげで、いざお仕事をいただいたときに「ここはライブでパフォーマンスするとき、こうやったらいいんじゃないですか?」ということも言えるようになったから、あの時間はムダじゃなかったんだなって今では思いますね……孤独な時間ではありましたけど(笑)。

――そういうものが土台になって新しい挑戦をする度にさらに惹かれていくのかなと思いますし、今回の新曲「Shall we…?」でもジャジーなロックナンバーという、また新しいジャンルの曲に挑戦されていますね。

Machico 私、元々シドがずっと好きだったので、そもそも明希さんに楽曲提供をOKしていただけたことが本当に驚きでした!制作にあたってリモートで打ち合わせさせていただくなかで、2つのお願いをしまして……。

――どんなお願いか、それぞれお聞きできますか?

Machico まず今回は10周年記念曲だとお伝えしたうえで、「今までロックに特化した曲は歌ってきたけど、ジャジー系の大人っぽいロックにはまだ挑戦したことがないんです」という話になりまして。そこから「シドの中だと、こういうジャジーな楽曲が特に好きで……」と例を挙げつつお話していって、「大人っぽくて、リズムで引っ張っていけるような曲に挑戦したいんです」というお願いをさせていただきました。あともう1つは、「明希さんにお願いさせていただいた以上は、アニメ業界とかを意識せずに明希さんゴリゴリの曲を作ってほしいです!」というお願いをして、結果「Shall we…?」が生まれました。

――打ち合わせ後のデモの段階で、想像を超えてきた部分もかなりあったのでしょうか?

Machico もう「うわ!私の好きなサウンドだ!」ってテンション上がりました!でもすぐ「で、誰が作詞するんでしたっけ?……私かぁーっ!」って気づいて、すごくプレッシャーになっちゃって(笑)。シドの曲は基本的にボーカルのマオさんが作詞をされていて、私自身マオさんの歌詞もすごく好きだからこそ、自分が歌詞を書いて曲を台無しにしないかすごく不安だったんです。でもこうやって憧れの人に曲を書いてもらってたうえに自分が作詞をしてクレジットで並べる機会なんてないし、しかも10周年なんだから「ビビってちゃダメだ!」と思って、一生懸命書きました。

次ページ:10周年で見事に新たな顔をみせた彼女の、次なる目標とは?

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