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INTERVIEW

2022.07.01

【撮りおろしインタビュー】アイドル憑依コメディ、夏アニメ『神クズ☆アイドル』スタート! アイドルユニット“ZINGS”を演じる今井文也と堀江 瞬へ、彼らが歌う楽曲へのこだわりやお互いの印象について話を聞く

【撮りおろしインタビュー】アイドル憑依コメディ、夏アニメ『神クズ☆アイドル』スタート! アイドルユニット“ZINGS”を演じる今井文也と堀江 瞬へ、彼らが歌う楽曲へのこだわりやお互いの印象について話を聞く

アイドルユニット・ZINGSの仁淀ユウヤ(CV:今井文也)は歌わない、踊らない、ファンサにもやる気のないクズアイドル。そんな仁淀が、不慮の事故で亡くなり“幽霊”となった女性アイドルの最上アサヒ(CV:東山奈央)と出会う。アイドル活動に未練を残すアサヒを自分に憑りつかせた仁淀はトップアイドルを目指すことに……!いそふらぼん肘樹によるマンガ「神クズ☆アイドル」が7月よりアニメ化。

本稿では仁淀ユウヤを演じる今井文也、そしてZINGSの相方である吉野カズキを演じる堀江 瞬に、作品についての印象や自らが演じるキャラクターについての話を聞く。このアニメ、アイドルオタクにはむしろ“神アニメ”かも!?

今井文也と堀江 瞬。彼らのファーストインプレッションとは?

――今回お二人はリスアニ!WEB初登場ということで、まず声優になられたきっかけから教えてください。

堀江 瞬 からかわれることが多かったこともあり自分の声が嫌いだったんですが、そんなときにきっかけとなる作品や役者さんのお芝居触れて、声優を目指したのが大学2年生のときで。就職の内定をいただいたタイミングと、声優としての初めての出演が決まったのが同時だったんです。社会人として生きていくか、夢に手を伸ばすかで迷いましたが、声優の道へ。そこからは早かったです。もう7年経ってしまっていると思うと、驚きますね。今回の吉野カズキくん含めて、自分は高音のキャラクターをやらせていただく機会も多いので、高音声優として長く生き残っていくためにどうしていくかをずっと向き合っていかなければいけないな、と思いながら日々を精一杯生きています。

今井文也 僕が声優を目指したのは高校2年の終わりくらいですね。ビリヤードでプロになることが長いこと抱いていた夢だったんですけど、高校に入って色々と世の中を知っていくなかで、ビリヤードへの熱が入らなくなっていったんです。ちょうどその頃に見ていたアニメに涙を流すほど感動をして、それまで作品を見たり聞いたりして泣く経験がなかったので、その出来事が自分の中で印象的だったんです。それで声優という仕事に興味を持ったのがきっかけですね。

――そんなお二人が『神クズ☆アイドル』という作品に出会われました。この作品の印象を教えてください。

堀江 ただのアイドルものではないな、ということをひしひしと感じています。トップアイドルを目指していく過程自体も面白おかしく描かれているんですけど、とにかく相方である仁淀ユウヤくんに元トップアイドルの女の子の霊が憑りついている、というのも突拍子もなく面白い設定ですし、そんな仁淀くんと憑りついたアサヒちゃんに振り回される吉野くんという2人組を応援してくれるオタクたちも描かれているのがこの作品の特徴だなと思っていて。そのオタクたちの描かれ方が妙に生々しいんですよね(笑)。僕自身がオタクなので、話し言葉や考え方もオタクだからこそわかるニュアンスみたいなものを感じられるんですよ。きっと肘樹先生もオタクを知る人なのかな、と想像させるような表現で描かれていて、一度に二度三度おいしく、クスっと笑えるエピソードも描かれている。ときにはホロリとできる内容になっているのもこの作品の特徴で、魅力的なところなのかなと思いました。

今井 一番感じているのは、ギャグやコメディ要素の部分とちょっと考えさせられるようなシーンの塩梅が絶妙だなということです。普通に生活しているなかでもアイドルをやっている人に限らず刺さるものが色々とあり、見ていてハッとするような内容が散りばめられているんですよね。今回演じる役は男性のアイドルだけど、今までにも存在していたようなアイドルというよりは“アイドルらしくないアイドルの中に女性のアイドルが入ってくる”という落差がすごくあったので、クズ (仁淀)と神(アサヒ)というまったく違う2人の人格をどういうふうに見せていけば、この作品に馴染んでいくのかな、と考えることが多かったです。

今井文也

――オーディションの思い出を教えてください。

堀江 まずテープオーディションを受けさせていただいて、その段階で歌唱オーディションもあったので、セリフと歌を録らせていただきました。その音源が1話の挿入歌になっている「恋のBANG」で。その曲をアカペラで歌わせていただいたわけなんですが、セリフはすごくやりやすかったんです。受かる自信はなかったのですが、すんなりと吉野くんとして言葉に感情を乗せることができたように思っていて。対外的なキラキラとしたお芝居はもちろん、実はそんな彼も内に葛藤を抱えていたり、自分に自信がないところもある……そこが僕自身に似ていると感じられたので、その共感できる場所を軸にお芝居を作ることができたな、と感じていました。ただ、歌のキーが高くて。原キーでもご自身で下げても構いません、と書いてあったのですが、「これはキーを下げたらオーディションに落ちる!」と思ったので、下げずに頑張って歌った結果、スタジオオーディションに進みました。そこではほかであまり体験したことがないくらいのディレクションをいただいて。アフレコ初回ではなくオーディションの段階でキャラクターの表現を作っていくような作業があったので、「これで落ちていたらショックだな」と思いながらスタジオをあとにした思い出です。

今井 僕はアサヒちゃんのセリフを4、5回くらいディレクションいただいたことがすごく記憶に残っています。想像していたアサヒちゃんの熱量よりも、「10倍くらい出して」っていうディレクションがきたんです。アサヒちゃんが立っているステージっていうのは、イメージしている会場の大きさも、もっともっと広くて大きな場所なんだ、という説明をオーディションの段階でいただいて、テイクを重ねていくたびに楽しくなっていくし、「これ、受かった人は大変だろうな」と変に他人事のように思っていましたね(笑)。仁淀は僕の地声よりも低めなキャラクターなんですけど、アサヒちゃんになると急に僕自身の地声よりも高い声になるので、オーディションでも結構苦労をして録りました。受かったのであれば、何か自分のものにしたいな、と思って試行錯誤しましたね。「恋BANG」は、頭の中にメロディがすごく残っていたので、オーディションの合否の発表がくるまでの時間にもずっと鼻歌でうたってしまうくらいにキャッチーなメロディですし、「恋BANG」を歌うときはいつも楽しかったです。

堀江 瞬

――続いてアイドルユニットを組むお互いの印象を伺います。お芝居の印象や普段のイメージなどを教えてください。

堀江 チャラそうだな、と……(笑)。

今井 それは見た目じゃないですか(笑)!

堀江 え、違うの?(笑)。この作品はプレアフレコをしていて、1話の収録前に(アサヒ役の東山含む)3人で一度練習で収録をしようってことで集まったのですが、その当日にスタジオに向かって歩いていたら目の前を歩くオールブラックですごくいかつそうな人が視界に飛び込んできたんです。「まさかあの人がスタジオに行くはずはないよな」と思いながら歩いていたら、スタジオに入っていって。帽子も被っていて誰かもわからなくて、とにかく後ろ姿だけだと渋谷の公園とかで友達としゃべってそうな人で。それが実は今井さんで……。

今井 俺の苦手な場所です(笑)。

堀江 そうだったんだ(笑)。ということもあり、最初の印象はそういう感じだったんですけど、実際にご一緒するようになったら話しやすくて、現場の雰囲気作りも率先してしてくださるようなとても腰の低い人だなぁと。これが初主演とは思えないくらいに堂々としたお芝居を見せてくれて、しかもアサヒちゃんとしての東山さんのお芝居を自分の中に取り込んで表現しなければならないという実質二役を演じているなかでも、仁淀とアサヒちゃんとを切り替えながらの堂に入ったお芝居は素晴らしいと思います。

今井 第一印象でチャラいねって言われるのは「そうだろうなぁ」と思いましたが、そういう服装が好きなんです(笑)。実はデビュー1年目にイベントのサブアシスタントとして入ったことが1回だけあったんですが、本当の堀江さんとの初めましてはそのときなんです。3、4年前くらいですが。それを言ったら「あ、なんかいたね!」って。

堀江 そんな言い方、してない!(笑)。でも当時は今のようなファッションではなかった気がして……。

今井 衣装でふわふわしたものを着ていましたから(笑)。ただその場所にいたことは覚えてくださっていたんだな、というのが嬉しかったです。1話から普通におしゃべりをしてくださって、東山さんとも3人でわいわいがやがやしています。お会いする前から吉野くんみたいな感じだから、というお話を監督や堀江さんを知っている方から伺っていたのですが、共通している部分としても吉野くんほどおどおどする様子はなくて。どちらかというとこだわりの強い方なのかなという印象を受けたので、良い意味で似ている部分もあり、すごく俯瞰した視線も持っていて、むしろクレバーな吉野くんというイメージが強いなって思います。

自身の演じるアイドルの印象と歌唱への意識を聞く

――今回演じるキャラクターについて共感する部分と、お相手の演じるキャラについての印象を教えてください。

堀江 物語を楽しみにしている今、というところだと、吉野くんに対しての印象はキラキラした男の子で、仁淀に振り回されながらも支えながら懸命に頑張る健気な子、という印象をお持ちだと思いますが、そんな彼にも彼なりの葛藤があって。僕はその葛藤する様にものすごく共感しながらお芝居をすることができています。社長の信濃ヒトミ役の喜多村英梨さんともよくお話させていただくのですが、キタエリさんとも吉野くんの内面の葛藤についてお話をすることが多くて、「だからこの役は堀江くんなんだね」って言われたのが印象的なくらい、吉野くんのそういうところに共感しています。仁淀はすごくクズであることは間違いないんですけど、たまに優しさとか人間らしいところをふとしたときに見せるんですよね。そういうときにここまでのクズ成分がチャラになって「良いヤツじゃん!」と思わせるパワーが、その1回の優しさにあるなと思っていて。そこが今まで彼がのらりくらりと生きてこられた処世術なんじゃないかなと思えるところが面白いです。

今井 仁淀は、物語冒頭のアサヒちゃんと出会ってから少しの間というのは、彼にとってはハプニング続きで。言ってしまえば目の前の状況に対応するのに精一杯みたいな状態なので、どちらかといえばその彼のどたばたしている表情を楽しめると思うんですが、物語が進んでいくにつれて彼の周りの環境だったり人間関係が深まることに慣れていくにつれて、それを取り巻く環境そのものの問題や、アサヒちゃんが仁淀に入った状態で仁淀がなにを考えるかというところに対する面白味があるんですよね。成長というよりも変化や価値観が少しずつ変わっていって、面白みが増して人間味が深まっていくところが面白いなぁ、とすごく思います。慣れてきた頃にふと「今回はこれまでと違う面白さが見える」と思っていただけるんじゃないかなと。仁淀は散々クズだと言われていますが、僕はクズだと思っていなくて。自分に正直で「嫌なことは嫌だ」「世の中は金だ」と思っている彼の生き方は1つのアイデンティティになっているので、すごく素敵だなと思っています。あとは吉野くんとの対比を見ていると、すごく持ちつ持たれつな関係だなって思うんです。吉野くんはステージ上では自然と力を抜いてアイドルができる、その要素の1つに仁淀がいるんじゃないかなと思うので、それがお互いの魅力でもあるし、ふと「吉野くんはそれでいいの?」と思ってしまうんですよね。その2人のアンバランスさがある関係がどう変化して、どう変わらないでいくのかを見られるようなアニメになっていると思います。

――仁淀として、吉野として歌う際に意識していることや、音楽を担当されている佐藤純之介さんの印象的なディレクションについてなども教えてください。

堀江 吉野はキャラクターの声が高いですし、曲のキーも高いんですね。高い、高い尽くしで喉に鞭を打ちながら出すような感じではあったんですけど、声の高いキャラクターで歌うときってどうしても声量よりも雰囲気を重視するやり方で歌うのですが、雰囲気でキャラを保とうとして歌うとボリュームが疎かになってしまうんですよ。そうなったときに、純之介さんからは「ここはもうちょっとボリュームを出して」とか「アタック強めに」と、すごくスパルタなディレクションが飛んでくるんです。

今井 あはははは(笑)。

堀江 僕は地声も高めではあるんですが、地で歌うときは少し低めなんです。ボリュームを出そうとすると地の堀江が出てきそうになってしまうので、そんな自分を抑えながらディレクションに応えて歌ったので、何重にも表現を意識するレコーディングになりました。でもそれ以上に乗り移られた状態で歌う今井さんを見ていたら、僕は何も言えないな、と思って、従順にディレクションに従う犬となりました(笑)。

――吉野ならではの歌い方はありますか?例えば歌の癖とか。

堀江 それで言うなら、逆に癖はつけていませんね。吉野くんならビブラートも絶対につけないよな、と思ったし、語尾の抜き方も息っぽくはしないだろうなって思った部分もあって。息っぽく語尾を抜くと、より幼い印象になってしまうので。ほかのコンテンツでそういうアプローチをするキャラクターもいて、息を多めにすることで幼くしているんです。同じことをしてしまうと、そのキャラクターを彷彿とさせてしまいますし、キーの高いところでのカテゴライズって境界が曖昧で、ともすれば似てしまうので、そういうところは切り落としながら吉野くんだからこう、というよりも、吉野くんらしくない歌い方を排除しながら作っていきました。

――仁淀はいかがですか?

今井 僕も純之介さんからはテンポ速く歌うことを教わっているというか。「スピード感が大事だから!」と言葉にせずともひしひしと感じるディレクションを受けていて、そのアドバイスやオーダーがとてもやりやすくて、ありがたいなと思いながら歌わせていただきました。堀江さんから「スパルタだよね」と言われたときに「たしかに!ほかの現場では体験したことないかも……」と感じましたね(笑)。でも僕は逆にそのスピード感がありがたかったなというか……ただ、1日のうちに2役のパターンを録ることは体験したことがなかったので、スタミナは大丈夫かな、と自分と相談しつつやっていました。

仁淀、アサヒの2パターンを毎回録ることは1曲目の「恋のBANG」を録るときに知ったのですが、それぞれのパターンによって楽曲の表情がガッツリと変わる印象を受けることが本作では多かったです。例えば純之介さんや監督さんのディレクションや自分が感じたこと1つで、イメージしていた世界観が変わっていくというか。「じゃあこっちでやりたいです」というものが、どの曲も現場で生まれるんです。だから事前にイメージを固めていくよりも、現場で色付けしていくことが多かったかな。仁淀で言えば基本的には身体は直立不動でリズムも取らず、なるべくメロディには沿うけれど感情は乗せないことを意識するんですけど、物語の中で仁淀の変化もどんどん描かれていくので、どういうふうに仁淀が変わっていき、こういう歌い方をするようになったんだよ、ということがわかるように色を付けていきました。アサヒちゃんの歌についても、アサヒちゃんっぽく歌うというよりも、アサヒちゃんならこう考え、こう感じるんじゃないかということを意識して歌ったので、どの楽曲でもアサヒちゃんの違う顔が見られるのではないか思います。楽しみにしていてください。

次ページ:オープニング「Let’s ZING!」、エンディング「キミキラ」。歌うときの意識と取り組み。

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