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INTERVIEW

2022.06.22

【インタビュー】今、この瞬間の輝きを詰め込んだ作品に――MARiA、原田夏樹(evening cinema)提供曲やluz・堀江晶太との初コラボ曲などが収録された2ndソロアルバム『Moments』リリースインタビュー

【インタビュー】今、この瞬間の輝きを詰め込んだ作品に――MARiA、原田夏樹(evening cinema)提供曲やluz・堀江晶太との初コラボ曲などが収録された2ndソロアルバム『Moments』リリースインタビュー

GARNiDELiAのボーカリストとして活躍するMARiAが、自身2枚目となるソロアルバム『Moments』を6月22日にリリース。現代のシティポップを奏でる注目バンド・evening cinemaの原田夏樹による提供曲や、歌い手のluzとの初コラボ曲など、前作『うたものがたり』で広げたシンガーとしての表現の幅をさらに拡張しつつ、MARiAらしさをしっかりと刻んだ全10曲。彼女の今この瞬間の輝きが詰まった本作について、たっぷりと話を聞いた。

一瞬の煌めき、その“瞬間”を切り取ったアルバム

――今回のアルバム、全体を通してすごくポジティブな作品になりましたね。

MARiA そうなんですよ!前作の『うたものがたり』はどん底みたいな曲もあったのに(笑)。今回はキラキラした曲が多くて、ポジティブなアルバムになりましたね。

――それは意図してそういう作品にしたのか、あるいは自然とそうなったのか。どちらでしょうか?

MARiA 自然とそうなりましたね。『うたものがたり』は初めてのソロ作品だったので、MARiA節をあえて封印することをテーマにしていたし、10曲それぞれ10組のアーティストや作家の方々に自分の個性を発揮してもらう作り方だったので、基本、私が(曲を)選ぶというよりも、決め打ちで「この曲をどうぞ!」といういただき方をしていたんです。でも、今回のアルバムは、色んな曲の中から私が「これだ!」と思ったものをチョイスすることが多くて。そうすると、自分が好きなもの、自分が今伝えたい気持ちが自然と投影されていくので、明るくてキラッとした感じの曲が多くなったのかも。

――なるほど。

MARiA そのなかでも、evening cinemaの原田(夏樹)くんが書いてくれた「Think Over」に超ビビッときて。この曲のデモは制作の最初の段階でもらったんですけど、これが今回のアルバムのテーマだなと思ってリード曲にした部分もありますし、ここを軸にほかの収録曲も選んでいったので、この曲のキラッと感に引っ張ってもらったところはありますね。

――「Think Over」は“ほんの一瞬を 駆け抜けるようにして”という歌詞で始まりますが、そのフレーズも今回のアルバムタイトルの『Moments』に繋がりますね。

MARiA 『Moments』というタイトルは、「Think Over」を聴いて決めました。そのフレーズがずっと頭から離れなくて(笑)。それに(アルバム収録曲のうち)6曲くらい出来上がったところで、日常の瞬間を切り取ったり、一瞬の煌めきを歌った歌詞が多かったこともあったので、誰もが経験したことのある瞬間を切り取った10章、というイメージが浮かんで。それで“瞬間”“一瞬”を全体のテーマにしました。少しキラッとした少女の一面だったり、大人っぽい女性の一面だったり、色んな瞬間を切り取ったアルバムだと思います。

――『うたものがたり』では本間昭光さんがプロデューサーとして入っていましたが、今回のアルバムはどのような体制で制作されたのでしょうか。

MARiA サウンドプロデューサーとしては、清水信之さんに立ってもらいました。ディレクションも全部信之さんがやってくださって。原田くんとの出会いも、信之さんがきっかけだったんですよ。信之さんはSNSとかで最近の音楽もめっちゃリサーチする人だから、「面白いバンドがいるんだよね、聴いてみて」みたいな感じで紹介してくれて。そこから曲を書いてもらうことになり、「Think Over」のデモが上がってきたときに、すごくグッときたんですよ。なので原田くんには当初は1曲だけお願いする予定だったんですけど、もう1曲お願いして、「Long Distance」も書いてもらいました。

――前作は全曲ラブソングという縛りがありましたが、今回は楽曲を制作するにあたって何かテーマを設けていましたか?

MARiA 今回は特にそういう縛りはなくて、それぞれの作家さんが思うMARiAに合うんじゃないかという曲、MARiAに歌わせたい楽曲を提示してくれて、そのなかから選んでいく感じでした。アルバムの前半は、誰もが経験したことのある気持ちの一瞬を切り取った曲が多いけど、後半は世界観が壮大になっていって。でも、どの曲も描写の仕方が違うだけで、言っていることは同じなんですよね。君のことが好きで、あなたと共に生きていくっていう。ガルニデ(GARNiDELiA)のときは描いている愛の規模があまりにも大きすぎて、女の子とかを超えて“MARiA”っていう概念みたいな存在感があるかもしれませんが、MARiAという人間が歌うと、結局は愛をテーマにして歌うことになるんだなあって思いましたね。

原田夏樹(evening cinema)との出会いがもたらした新たな一面

――今作のリリースを発表した際に、「こんな私もいるんだ!と制作中から自分で自分に驚くことも多かったです」とコメントされていましたが、アルバムの収録曲の中でとりわけ新しい自分を発見できた楽曲を挙げるとすれば?

MARiA それはやっぱり「Think Over」ですね。「Think Over」と「Long Distance」はサウンド的にも80’sっぽくてちょっと懐かしい感じだし、MARiAがこういうシティポップを歌うことは今までなかったので。これは原田くんに直接聞いたんですけど、私はいつもリズムも音もカッチカチにハメて、いかにズレることなくスクエアに歌えるかで勝負しているところがあるので、今回はリズムをちょっともたらせたり、ピッチも幅の中であえて外していくような歌い方をしたらどうなるのかを聴いてみたくて曲を書いた、っておっしゃってました。だからめっちゃ音で遊ぶ感じの曲なんですよね。

――たしかに。しかもそれが心地良いグルーヴ感を生んでいますよね。歌詞の内容も、新しい場所に勢いよく飛び込んでいくようなワクワク感があって。

MARiA そう、その駆け抜けている感じがめっちゃ気持ち良くて。それもまた『Moments』の「この瞬間を生きてる!」って感じがするし、シティポップでありながらエモーショナルな感じもあって、不思議なバランス感の曲ですよね。リズムは淡々と進んでいくんだけど、歌詞の世界観はすごく熱い。この駆け抜けている感じは私っぽいなと、自分でも思いましたね(笑)。

――歌うにあたっては、いつもと違うアプローチをしたのですか?

MARiA 「Think Over」も「Long Distance」もサウンド的に80’sっぽいので、カイリー・ミノーグやマドンナみたいに、強さで押していくというよりは、キュートで少しあざとい要素もある歌い方で作りたいなと思って。だから普段のMARiAよりもキラッと感が出るように、語尾をわざとらしくしゃくったり、キュートな響かせ方を意識しました。ぶりっ子なんだけど、エネルギッシュで熱さもある!っていう。歌詞も面白いですよね。だって“大抵ゾッコンだった”なんて言わないじゃないですか(笑)。

――ちょっと昭和っぽい言い回しですよね(笑)。

MARiA きっとそれもリバイバル的な感じで、あえて懐かしさと新しさを共存させてるんだと思いますけど。「Long Distance」の“あぁ 血肉になるよ”も耳を惹くし、ただかわいいだけじゃないワードチョイスが面白いバランスだなあって。

――「Long Distance」はディスコっぽいテイストですよね。間奏のサックスとMARiAさんのフェイクの絡みもお洒落で。

MARiA 間奏のところは私も大好きで。レコーディングのときに原田くんが「フェイクやってみます?」って言うから「じゃあ原田くんも入れちゃえば?」ってなって、ディレクションしに来ただけなのに突然歌わされるっていう(笑)。「Think Over」と「Long Distance」に入っている男の人の歌声は原田くんなんですよ。ライブ(7月3日に開催されるMARiAのワンマンライブ“MARiA MUSIC LAND 2022 -Moments-”)にもevening cinemaがゲストに来てくれるので、楽しみですね。

――MARiAさんの歌声も、特にサビのところがすごく愛に溢れていて素敵です。

MARiA ありがとうございます!この曲、すっごくハートフルなんですよ。なので私もキラキラを炸裂させる歌い方をしました。今回のアルバムは、強く押すよりも抜け感を意識していたり、柔らかいんだけど耳に残ることを意識して歌っている曲が多いかな。眩しく輝いている部分が見えるといいなと思いながら歌いましたね。

――では逆に、今作で特に自分らしさ・MARiAらしさが出たと感じる曲は?

MARiA 「Galactic Wind」は自分で作詞しているので当然自分が出ているけど、それ以外だと「Star Rock」は私っぽいと思いますね。この曲を受け取ったとき、自分がステージで歌っている絵がバッと浮かんで。もうライブの画が見えているんですよ。最初はシルエットで出てきて、そこからバーンって歌うみたいな。それがやりたいがためにこの曲を選んだところもあります(笑)。

――ダンサブルなサウンドはもちろん、ありのままの自分を肯定するような内容の歌詞もMARiAさんっぽいですよね。

MARiA “どこか窮屈なこの世界で ただ待つのはやめたわ!”とか。もはや私が書いてそうですもんね(笑)。やっぱりパワフルでエネルギッシュなのが私なんだろうなと思っていて。元々、自分の中身が前向きでポジティブだし、伝えたいこともそういうことだから。あと、星がモチーフのところも私っぽいですね。「Asterisk」もそうだけど、意図せずして色々とリンクしているところがあって。私が引き寄せたんですかね?

――きっとMARiAさん自身に星のイメージがあるんじゃないですかね。人柄は太陽のように明るいですけど、歌声的には切ない曲調が似合う声質なので、その印象が合わさった結果、星や月のモチーフが合うのかなと。

MARiA きっと昼というよりも、夜を照らす人なんでしょうね。自分ではわからないけど、ほかの人から見るとそういうイメージがあるのかもしれない。でも、キラキラはしていたいですね(笑)。

――先ほど話題にあがった「Galactic Wind」は、tokuさんが作編曲ということで、ガルニデと同じ体制で作った曲になりますが、いつもと変化はありましたか?

MARiA やり方も作り方もガルニデそのものでしたね(笑)。でも結果的に「Galactic Wind」が入っていても浮かないアルバムになっているということは、このアルバム自体に私っぽさが出ているんだろうなと自分でも納得していて。この曲の歌詞と「Star Rock」の歌詞もだいぶ近しいですし、これまた意図せず引き寄せてるんだろうなと思います。

――自然とMARiAさんらしさが浮かび上がってくるアルバムになっていると。

MARiA 曲を集めていくなかで徐々に見えてきたんですよね。出来上がっていくにつれて、どの曲にも共通点がめっちゃあるなと思って。今回は前作よりも自分が踏み込んで選んだ部分もあるし、歌詞に関しても「こういうテイストを入れてほしい」という話は制作段階でしていたので、MARiA節が効いてる……というか、もうこれはMARiAだよねっていう(笑)。

次ページ:luz・堀江晶太との初コラボ曲「カフェラテのうた」

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