【ライブレポート】宇宙(そら)に響き渡るその歌声を聴けーー。森口博子、豪華ゲストを迎えた一夜限りのスペシャルコンサート「森口博子コンサート“Starry People”」レポート

1985年に17歳でデビューを果たしてから35年あまり、森口博子はTVや舞台、そして音楽ステージとさまざまな場所で活動をし続けてきた。近年は「ガンダム」シリーズ楽曲を数々歌う、「ガンダム」音楽のミューズとしても注目を浴び続け、今年3月には人気シリーズ最新作『GUNDAM SONG COVERS 3』をリリースし、これもヒット。シリーズ3作品全てがオリコンウィークリー3位以内を獲得するという快挙を成し遂げたばかりだ。そんな彼女がこのたび、『GUNDAM SONG COVERS 3』を伴うコンサート「森口博子コンサート“Starry People”」を開催した。今なお衰えることのない美しい歌声が響き渡る音楽世界の模様をレポートしよう。

会場となった昭和女子大学 人見記念講堂は、本来はクラシックのコンサートを目的とされたコンサートホールだ。そうした会場で、開演時間を過ぎた頃に、この日の“Starry People”のタイトルを思わせる、宇宙的なBGMが流れる。上質な音響のなかでまるで宇宙へとあがっていくかのような感触を覚えるなか、赤と黒のドレス姿の森口が拍手とともにステージに登場、“Starry People”は開幕を迎えた。そして、多重コーラス(30人の森口博子)をバックに「めぐりあい」のフレーズを歌い出す。宇宙的な空間のなかで森口の伸びやかで優しい歌声が反響し、まるでその声に包み込まれているようだ。そこからバンドが加わり、より壮大なサウンドに森口の声もどんどんと高揚していくエンディングを迎える。そこからバンドのキャッチーなサウンドに乗せて「”Starry People”へようこそ!みんな元気にしてた?今日は熱い夜にしましょう!」と森口が宣言して、「鳥籠の少年」がスタート。ステージ中央でじっくりと歌を聴かせた「めぐりあい」から一転して、バンドサウンドと呼応したアクションを見せながら力強くも美しい歌唱を聴かせる。そこから続けざまに1988年にリリースされた名曲のセルフカバー「サムライハート 〜2022〜」ではステージの左右へ動いて、パワフルかつ妖艶なステージングを見せる。この序盤3曲で森口の繊細さと力強さ、さまざまな声の魅力を堪能できた。

最初のMCでは、「みんな会いに来てくれてありがとう! 会えるのをモチベーションに生きてきたよ!」と喜びを爆発させる。そこから歓声が出せない観客に拍手でコミュニケーションをとるなど、お茶の間でおなじみの明るいキャラクターでステージを沸かせるMCもまた彼女のコンサートの醍醐味だ。そこから「この曲と出会ったときに、この曲の美しさ、切なさに私は涙がこぼれました」と語ったあとは、ピアノの伴奏で歌う「フリージア」へ。星々が溢れるようなライティングのなか、森口はピアノを演奏する半田彬倫のほうを時折向きながら切々と歌っていく。シンプルだけに彼女の歌心が伝わる素晴らしいパフォーマンスだ。そこからMCを挟んで、続いては『GUNDAM SONGS COVERS 3』にて、本家TM NETWORKもコーラスで参加した「BEYOND THE TIME 〜メビウスの宇宙を越えて〜」へ。森口の切なさも溢れる歌声に、TM NETWORKメンバー3人のコーラスが乗る重層的なエンディングが素晴らしい。その余韻のなかで今度はオーイシマサヨシが参加した「STAND UP TO THE VICTORY 〜トゥ・ザ・ヴィクトリー〜」へとつながる。こちらも観客に手を振るなど激しいアクションを見せながら、ロックな楽曲を聴かせていった。

続くMCでは、「『GUNDAM SONG COVERS』は豪華なゲストの方に参加してくださって、素晴らしい、誇らしい作品になりました」と語る森口。そして「今日は参加してくださった素晴らしいアーティストのなかから素晴らしいゲストをお迎えしています」といって、本日の最初のゲストであるジャズ・ヴァイオリニストの寺井尚子を呼び込んだ。そしてそのふたりで披露するのは、森口のデビュー曲である、「水の星へ愛をこめて」だ。寺井と向き合うようにして、まるで彼女のヴァイオリンと会話するかのように歌う。このバージョンは最初の『GUNDAM SONG COVERS』に収録されているが、改めて幾度となく聴いたオリジナルとは異なるエモーションが放たれる、素晴らしいアレンジとなっている。そのあとはふたたび寺井とともに「サイレント・ヴォイス」を披露。「水の星」同様に哀切に満ちたメロディー、そして森口の歌声に寺井の感情を揺さぶるヴァイオリンが見事マッチしたパフォーマンスを見せる。

そんな寺井とのスペシャルなステージのあとは、メンバーとの和気藹々としたバンド紹介を挟んで、後半戦に向けての”ツイートタイム”へと突入。これは森口の衣装チェンジの間、特別に観客の携帯電話の操作を解禁し、Twitterで“#森口博子スタピ”でたくさんつぶやこうというもの。前回の35周年記念コンサートではこれで見事トレンド入りしたということで、「トレンド入りめざしてレッツ・ゴー!」という宣言と共に“ツイートタイム”がスタート。この模様はTwitterで現在も確認できるので、“#森口博子スタピ”をチェックしてみよう。

そんな“ツイートタイム”が終わったあとは、白い衣装に身を包んだ森口がステージに再登場、彼女が出演した同名のバラエティ番組でもお馴染みの「夢がMORI MORI」から後半戦がスタート。当時を思い起こさせる軽快なサウンドに、森口も時折くるっとターンを見せるなどフレッシュなステージングを披露。そこからギアを上げるように「スピード」へ。ステージ上段へと駆け上がりながら瑞々しい歌唱を聴かせるなど、前半とは打って変わって元気印な森口のチャームを見せる滑り出しだ。そこからMCでは観客との記念撮影や、先ほどの“ツイートタイム”の結果を観客とともに確認したあとは、彼女の代表曲でもある「ホイッスル」、そしてその続編として昨年発表された「ポジション」と、ふたたび明るく激しい楽曲を続けて披露した。観客と共に楽しい時間を過ごせることに感激して、思わず涙が溢れそうになるなか、「みんなの声が聞こえなくても心で感じているので、この“めぐり逢いは奇跡”だと感じています。次の曲にその想いを託したいと思います」と語る。このフレーズが引用されたということは、もちろん次の曲は名曲「ETERNAL WIND 〜ほほえみは光る風の中〜」だ。透き通るような歌声を聴かせる一方で、徐々に変容していくサウンドのなかでまるで噛み締めるように歌っていくその姿は神秘的でもあり、改めて彼女が素晴らしいボーカリストであることを再認識する瞬間でもあった。

そしてそのあと本編最後の曲は、「ビギニング」。曲が始まった瞬間、ステージ後方の幕がおろされ、そこには『GUNDAM SONG COVERS 3』で共演したコーラスグループ・VOJAがスペシャルゲストとして立っていた。森口の甘く通る歌声に対して、それを空間的に支えるVOJAの重厚なコーラスワークが合わさる、まさに声が幾重にもなって会場を包み込むような、感動的な空間を生み出し、本編はエンディングを迎えた。

アンコールでは、今度はブルーのドレスに身を包んで登場した森口が披露したのは、彼女のデビュー曲「水の星へ愛をこめて」。本編で寺井と披露したジャジーなバージョンに対して、ここではオリジナルに近いサウンドで聴かせる。「ETERNAL WIND」でも感じたことだが、幾度となくステージで耳にするこうした名曲たちでの彼女の最初のフレーズは、オリジナルと聴き間違うほど”あの頃のまま”である。キャリアを重ねることで歌により深みが増す現在の彼女というものももちろん魅力的なのだが、一方で当時と変わらぬエバーグリーンな魅力を今なお出せるというのも驚愕すべきことだ。ボーカリストとして自身を探求するだけではなく、楽曲やその背景にある作品へのリスペクトというものを絶やすことない姿勢が、彼女を特別なシンガーとして確立させているのだと感じさせる。

そして続くMCでは、改めて6月1日にリリースする新曲、劇場版『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の主題歌「Ubugoe」を告知。この楽曲は、10代のデビュー曲に始まり、20代、30代、40代と各世代で『ガンダム』の主題歌を担当してきた彼女が、50代になっても『ガンダム』の楽曲を歌うという夢をライブで語ったことを会場で観ていた安彦良和監督からのオファーだったとのことで、「(『ククルス・ドアンの島』の映像化という)安彦監督の夢と、私の夢を叶えてもらった作品になりました」と語った。そんな喜びを改めて爆発させたあと、その「Ubugoe」をコンサートで初披露した。編曲を担当した冨田恵一らしい美しくも複雑なオーケストレーションのなか、森口の優しい歌声が響き渡る心温まるバラードだ。そんな新曲を披露したあとは、この日最後の曲となる「限りなき旅路」を、本編に続きVOJAと披露する。原曲の壮大なサウンドをVOJAの自在なコーラスワークが再解釈したような、大スケールの音像のなかで、森口もまた、自身を解放させるようにさまざまな表情を声で見せる。特にそれが最高潮となったエンディングでのパフォーマンスは筆舌に尽くし難いものがあった。

最後はこの日集まったミュージシャン陣とともに挨拶をし、「『GUNDAM SONG COVERS』で素晴らしい夢を見させていただいた気持ちでした。これからも形を変えて『ガンダム』ソング、そして森口博子のオリジナルを“一音入魂”でお届けしていきます」とたからかに宣言し、ステージを後にした。これまで数々歌ってきた『ガンダム』ソングを、そして35年以上のキャリアを通じて森口博子というシンガーの豊かな表現力、そして色褪せることのない歌声というものを存分に堪能できたこの日。彼女がいつも語る「夢に締め切りはない」という言葉通り、この先も「Ubugoe」をはじめ、彼女が思い描く夢には続きがあるのだろう。そうした森口博子のこの先というものも改めて期待したくなる、そんなコンサートとなった。

なお、この日の模様は5月28日から6月5日まで、PIA LIVE STREAMにて配信されることが発表されている。この日の興奮を追体験したい方、あるいは初めて森口博子の声の魅力に触れる方はぜひチェックしてみよう。

TEXT BY 澄川龍一/PHOTOGRAPHY BY 結城さやか

森口博子 コンサート “Starry People”
2022年5月3日(火・祝) 昭和女子大学 人見記念講堂
<セットリスト>
1. めぐりあい
2. 鳥籠の少年
3. サムライハート ~2022~
4. フリージア / with 塩谷哲
5. BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~ / with TM NETWORK
6. STAND UP TO THE VICTORY 〜トゥ・ザ・ヴィクトリー〜 / with オーイシマサヨシ
7. 水の星へ愛をこめて / with 寺井尚子 (Guest:寺井尚子)
8. サイレント・ヴォイス / with 寺井尚子 (Guest:寺井尚子)
9. 夢がMORI MORI
10. スピード
11. ホイッスル
12. ポジション
13. ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~
14. ビギニング / with VOJA (Guest:VOJA)
<アンコール>
15. 水の星へ愛をこめて
16. Ubugoe
17. 限りなき旅路 / with VOJA (Guest:VOJA)


●配信情報
森口博子 コンサート “Starry People” オンライン配信
5月28日(土) 開場20:30 / 開演21:00
アーカイブ配信:上記配信終了後 ~ 6月5日(日)23:59まで
チケット販売期間:6月5日(日) 18:00まで
チケット料金:¥4,400(税込)
購入はこちら

●リリース情報
森口博子
「Ubugoe」
6月1日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:KICM-93371
価格:¥1,980(税込)
スリーブケース仕様(安彦良和 描き下ろしイラスト)
ジャケットステッカー封入(安彦良和 描き下ろしイラスト)

【通常盤(CD ONLY)】

品番:KICM-3371
価格:¥1,430(税込)

【数量限定劇場盤(CD ONLY)】

価格:¥2,750(税込)
品番:NMAX-1386
※LPサイズジャケット仕様(安彦良和 描き下ろしイラスト)
※ジャケットステッカー封入(安彦良和 描き下ろしイラスト)

<CD>
1 Ubugoe
作詞:松井五郎 / 作曲:doubleglass / 編曲:冨田恵一
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」主題歌
2 いまはおやすみ
作詞:井荻 麟 / 作曲:渡辺岳夫 / 編曲:時乗浩一郎
「機動戦士ガンダム」挿入歌(COVER)
3 永遠にアムロ / with VOJA
作詞:井荻 麟 / 作曲:渡辺岳夫 / 編曲:小野塚晃 / コーラス編曲:時乗浩一郎
「機動戦士ガンダム」エンディングテーマ(COVER)
4 Ubugoe (Instrumental)
作詞:松井五郎 / 作曲:doubleglass / 編曲:冨田恵一

<Blu-ray>
1 Ubugoe(Music Video)
2 Ubugoe(Making of Music Video)

●作品情報
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』
公開:6月3日(金)全国ロードショー
配給:松竹ODS事業室

©創通・サンライズ

関連リンク

森口博子オフィシャルサイト
https://www.mogeshan.net/

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』公式サイト
https://g-doan.net/

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