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INTERVIEW

2022.04.28

【10周年記念連載】第3回:ZAQ「ASEED/Coward」――9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

【10周年記念連載】第3回:ZAQ「ASEED/Coward」――9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

10年という節目を迎えるなかで、これまでの活動期間の中でZAQにとって各年がどのような意味を持っていたのかを振り返っていく連載企画。

今回は、デビュー曲の「Sparkling Daydream」から8期連続タイアップを果たし、アニソンクリエイターとして一気に花開いた直後の2015年を掘り下げるとともに、早くからニュースが先行して誰もが待ちわびたTVアニメ『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』のオープニングテーマ「ASEED」とc/w曲「Coward」に込めた想いをZAQ自らが解説していく。

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「できない、できない」って泣きながらレコーディングを

――前回のインタビューで、「hopeness」(2016/2/3リリース)くらいまでは、「Sparkling Daydream」とは異なる自分を表現するために様々なアプローチを続けていったと伺いました。そのなかで2015年は、どのような気持ちで作品を生み出す時期でしたか?

ZAQ 「次は何をすれば?」と迷っていた時期だったんじゃないかな?ぶっちゃけてしまえば、自分の音楽の幅というところでネタ切れを感じていた時期でした。やりたいことをやり切ったわけではなかったんですけど、Hip-Hopやラウドロックまで振り切ったり、「Philosophy of Dear World」で大好きな茅原実里さんっぽい曲を作ってみたり、色々やった結果の迷いが生まれた時期だとも言えますね。

――デビュー後、まったく新しいジャンルや路線に踏み入れようとするアーティストは多いですよね。

ZAQ そうなんですよね。「新しい扉を開き始めなければいけない!」みたいな。もちろん出した楽曲すべてが自信作なんですけど、デビューして2、3年経つと最初の壁にぶち当たるので。この頃は多分、編曲にめちゃめちゃ手こずっていた時期だと思います。実は「Philosophy of Dear World」では、「作詞・作曲・編曲:ZAQ」となっていますが、ドラム周りといったアディショナルアレンジをA-beeさん、ストリングスアレンジを加藤達也さんにお願いしていて、ギターもアレンジをギタリストさんにお任せしているんですよね。自分のテクニック面で少し行き詰っていて、どうしたらアレンジが上手くいくのかプロデューサーに相談したら、「全然良い曲だから、ほかの人に頼めばいいよ」的なことになったんですよ。懐かしいなぁ。「Philosophy of Dear World」のc/wのうちの1曲「ハルイロライフ」という曲では自分に音楽の才能がなさすぎると思って、レコーディング中に泣き出したんです(笑)。それまで、「おりゃっ!私、すごいだろ!」って走り抜けてきたんですけど、さらに高いクオリティーを求めようとしたら背伸びをすることになってしまって、テクニックが追いつかない状態だったんですよ。次の「カタラレズトモ」もそんな感じでしたね。出来上がったものを聴いたら、「すごいものができた!」と幸せになれたんですけど。

――自身を取り戻すきっかけがあったんですか?

ZAQ 自信を持たずに演奏していることを周りの方から怒られてですね。アーティストらしくしゃきっとしろ、みたいに。で、「hopeness」くらいから開き直りはじめました。

――では、2015年だけが谷だったんですね。

ZAQ 谷でしたねー。凹でした、

――演奏という話でしたが、2014年に1stソロライブ、2015年に初ライブツアーを開催したことでの影響もありましたか?

ZAQ ありましたね。「絶好調UNLIMITED」は1stライブを終えたあとに書き始めた曲なんです。2014年の10月くらいかな?だから、「ライブが楽しいなぁ」みたいなバイブスだけで書いていて、めちゃめちゃライブ映えするアッパーなロックポップになっています。書き出しもスムーズでしたね。そのとき、ライブで外に出ず、人の顔も見ず、曲をアウトプットしているだけよりは、周りから影響を受けながら楽曲を作るほうが自分は自信を持って書けるとわかったんです。隣で笑っている人がいると笑う人っているじゃないですか?本質的にそういう性格なのか、皆が幸せそうにしていると私も頑張ろうと思えるんですよ。

――それは、喜ぶ顔を見たいから曲作りをしているというスタンスは、10周年記念連載でも毎回出る話ですね。ライブが制作の答え合わせであるとか。

ZAQ やっぱり、作詞作曲編曲の全部を自分で、という売り方をしている以上、手詰まりしてはいけないというプレッシャーがずっとあったんです。そこに一番落ち込んでいたのが2015年ですね。でも、ファンの皆とライブで出会い、スタッフさんに助けていただき、サウンド面でアドバイスしてくれる先輩達も増え、「あ、皆がいるから私はまだ大丈夫だな」と気付き始めたのが2016年、という流れですね。

――1stライブや1stライブツアーの思い出というと?

ZAQ 何だろう、めちゃめちゃ緊張していたから何も覚えていないかも?自分がZepp TokyoやCLUB CITTA’でライブするとは思っていなかったんですよ。それに、そのときの私は甘ったれで、豪華な花道を作ってもらうとか、色々やってもらうことにビビっていました。

――やりたい夢が叶ったという喜びを感じるのではなく?

ZAQ いや、やりたいと言っていたことがすべて叶ってしまって、「私はちゃんと皆に返せるのかな?」みたいな不安と共に走り抜けた最初のツアー、って感じでした。

――ただ、ライブの経験が楽曲制作のモチベーションになっていくわけですよね。

ZAQ 多分、2014年の日本青年館、CLUB CITTA’、2015年のBIG CAT、ElectricLadyLandを経て、Zepp Tokyoくらいからお客さんと一緒に盛り上がったり、コールをもらう喜びに気づいたりし始めたんですよね。イントロが流れた瞬間に膝から崩れ落ちる方とかいらっしゃるじゃないですか?ああいうのを見て、「この曲を書いて、このアニメに出会って良かった!」と思いました。最近のライブでも、2014、15年辺りで作った楽曲はめっちゃ盛り上がるので、その頃の曲に救われているな、とは感じています。

――ライブを楽しめるようになったきっかけというのは?

ZAQ 今も自分が一番楽しむことをライブのモットーにはしているんですよ。でないと、お客さんが楽しめるはずがないので。それは、私が5歳で初めてコンクールに出たとき、ピアノの先生が「その場を一番楽しむんだよ。そうすれば聴いている人達も楽しいから」と言ってくれたんです。それはずっと心に据えてきました。学生時代もオーディションでも。だからライブ前は必ず、「私は楽しむ、楽しむ、楽しむ」と繰り返しますね。あとは、スタッフの女の子にいつもハグする、というのがルーティン(笑)。ギューッてしてからステージに出ると歌詞を間違えないんですよ。

――2013年頃からイベントへの出演も増えました。Animelo Summer Live(以下、アニサマ)も2013年に初出場しましたね。

ZAQ アニサマはですね、あらかじめトラックを作って、曲と曲の繋ぎのMCをラップでやったんですよ。私は口下手なので、さいたまスーパーアリーナなんて大きなところでMCをする自信がなかったんです。最初は面白がってくれる人が5割くらいだったんですけど、次の年も歌詞に仕掛けを入れながらやったら受け入れられてきて。2015年にはmotsuさんと(「OVERDRIVER-ANISAMA Remix- feat.motsu」で) ラップバトルをしたんですよ。ここで、ラップの人、という印象が強くつきましたね。で、2016年のアニサマで「hopeness」をピアノで弾き語りをして……アニサマはいつもパフォーマンスで色々と挑戦をさせてくれる場所でしたね。だからこそMCができるようになったし、助けられていると思います。さっきも話したんですけど、(アニサマ統括プロデューサーの)齋藤さんみたいにZAQの音楽性を面白がってくれる人が、私に期待してくれる人がいると頑張ろうと思えるんですよ。この頃、シンガーソングライターとして一回り豊かになりましたね。

次ページ:2020年から溜め込んでいた、「かっこいいZAQ曲を作りたい」欲の結晶

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