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INTERVIEW

2022.02.01

【インタビュー】Hikaru//「昔はできなかった、今だからできた表現」――H-el-ical//、4thシングル「JUST DO IT」への想いと新しい表現への挑戦とは?

【インタビュー】Hikaru//「昔はできなかった、今だからできた表現」――H-el-ical//、4thシングル「JUST DO IT」への想いと新しい表現への挑戦とは?

Kalafina・Hikaruが発足した新たなソロプロジェクト・H-el-ical//の勢いが凄まじい。1月26日(水)に発売された4thシングルは4作品目となるアニメタイアップ。表題曲「JUST DO IT」は、現在放送中のTVアニメ『終末のハーレム』の幕開けを飾っている。

登場人物たちの心の機微を描いた歌詞、1つのジャンルに捉われない多彩な表現で孤高のスタイルを確立してきたH-el-ical//だが、本作でもまた新しい表現に果敢に挑戦している。大人びた色気を放ちながら、アニソンならではの疾走感を持った「JUST DO IT」。曰く「昔はできなかった、今だからできた表現」。そして「新しい出会いが新しい引き出しを増やしてくれる」と嬉しそうに語る。彼女の表現への欲求は留まることを知らない──。初の舞台演劇に挑戦することも発表したばかりのHikaru//へ話を聞く。

ライブでの感触

――2022年第1弾となる新作がリリースされます。先日ライブで披露されたそうですが感触はいかがでしたか?

Hikaru// 昨年12月、京都で開催された“京 Premium Live -2021-”で初めて「JUST DO IT」を披露したんです。年明けにあった、鹿児島の“りなメロ♪”というフェスでは「JUST DO IT」とカップリングの「IMPOSSIBLE LOVE」を歌わせていただきました。皆さんに生の音で新曲を感じていただける機会なので、歌っている身としてもより気持ちが入りましたね。ライブでは、そのときそのときのお客さんの反応を見ながら声に感情を乗せられるので、生とCDとでは違ったものがあるなと改めて感じています。

――「JUST DO IT」は疾走感のあるナンバーなので盛り上がるだろうなと。特にDメロは一体感がすごそうです。

Hikaru// 生で歌うとより皆さんと一緒に盛り上がっていく感覚がありました。ただ、結構大変で(笑)。ストレートで強いところもあれば、それだけじゃない色気を表現する場所もある。パートによって少しずつ感情を変えるようにしているので、どう組み立てていくかは考えました。レコーディングであれば繊細な部分も伝わるんですけど、ライブの場合は繊細に歌ってしまうと逆に伝わりにくい部分があるので、そこをどう昇華していくかというか。その難しさも、歌いがいがあって楽しいんですよね。

――「JUST DO IT」は前作とはまったく違うテイストですね。アートワーク然り、良い意味で毎回予想を裏切られるというか。

Hikaru// ありがとうございます。「H-el-ical//は色々な楽曲に挑戦しています」というのがジャケットを並べるだけでもわかってもらえるかなと。アートワークも含め、全部同じチームに制作してもらっているので毎回すごいなと思います。

初回限定盤ジャケット

――今回の「JUST DO IT」は『終末のハーレム』OPテーマ。作品にはどのような印象がありましたか?

Hikaru// 主題歌のお話をいただいて「どういう作品なんだろう?」と思って原作を読ませていただいたところ、すごく大人な作品で。「どこまでTVアニメとして描いていくんだろう」と思いつつ、こういう大人な作品にオファーをいただけるような年齢になったんだなと(笑)。この作品のSFっぽさと大人な感じを上手く融合して表現しなきゃなと思ったとき、「若い時期だったらできなかっただろうな」と……今だからこそできる1曲になったのかなと思っています。

――作品に寄り添っていることもあってか、歌声に色気が増したような気がします。

Hikaru// やった!年齢的にも少し大人な部分は見せていってもいいのかなとも思ってるのですが、色気はないほうなのでそう言ってもらえると嬉しいです(笑)。

――作詞は今回もHikaru//さんが手がけられています。アニメサイド側からは何かリクエストはあったのでしょうか?

Hikaru// 「かっこいい曲にしてほしい」というリクエストをいただいていました。今回は作曲・編曲を加藤裕介さんにお願いしていて。基本的にタイアップ曲の場合は、作曲家さんとプロデューサーの冨田(明宏)さんにお任せしているんです。楽曲が完成したあとに作詞を始めるという流れなので、「ああ、あの世界観と『かっこいい』というリクエストを組み合わせたらこうなるんだな」と驚きましたね。楽曲自体がすでにかっこいい状態だったので、歌詞は“かっこいい”に意識を置かなくても良くなるだろうなと。なので、作品の世界観や作品を読んだときに感じたものを書いていきました。

――オケがかっこいいですよね。H-el-ical//としては珍しく、王道のアニソンらしい疾走感があるというか。

Hikaru// ザ・アニソン!って感じますよね。自分でもすごく新鮮でした!今まではどこかJ-POP感があったり、色々なジャンルが混ざっていたりしたんですけど、今回は普段アニメをご覧になられている方たちにも「アニソン感があるな」と思っていただけるような曲になったかなと思います。

――先ほど「作品の世界観や、作品を読んだ時に感じたことを書かれた」とおっしゃっていましたが、作品を読んだときに感じたことについて、もう少し詳しく伺っても良いでしょうか。

Hikaru// 作品を読んだとき(主人公・水原怜人が)昔した約束を胸に、芯を貫いていくところが素敵だなと。そのメッセージをサビにしたいなと思ったところからスタートしました。いつもタイアップの作品の歌詞を書くときは、主人公のことと「ほかのキャラクターのことも歌っているのかな?」と思うようなところも入れているんですよね。ほかのキャラクターを好きな人も置いてけぼりにしないようにしているというか……。

――そこはアニメが大好きなHikaru//さんならではというか。

Hikaru// ふふ。パッと聴くと主人公の曲なんですけど、「深読みしたら……」ってところも考えて言葉を選びました。なので、男子目線からの風景と、「どのキャラクターかはわからないけど女性からの視点かな」と思うようなところを少しずつ織り交ぜています。

――アニメが進んでいくとさらに深みが増していきそうですね。

Hikaru// そう思ってもらえたら嬉しいです。“約束”というのも──アニメが進んでいくうちに「この人との約束のことを歌ってるのかな」って思う部分が出てくると思います。そこも楽しみにしていて欲しいですね。

レコーディングについて

――今回はコーラスが多いですよね。

Hikaru// 今回はコーラスも多重に録っているんです。上から下までびっちりと。3声だけでなく、たしか……4声でも録った記憶があります。上2本、下2本という感じで。今回のコーラスはめちゃくちゃ主張するわけではなく、自然と聴こえてくるものとして成立してほしいという想いが自分の中にあって。あえて歌詞は日本語にせず英詞にして、耳障りの良さを意識しました。

――耳馴染みはすごく良いんですけど、その一方で耳に残るところもあって。

Hikaru// アタック音はしっかり聴こえるようにしました。あまりに流れすぎてしまうのは違うかなと思っていて。そこはコーラスで気をつけたところかも……。実はだいぶ前に収録したんですよ。だから思い出しながら話すような感じになってしまうんですけども。

――アニメ放送が一度延期になった関係で、CDの発売も10月から延期になりましたもんね。3rdシングル「The Sacred Torch」(2021年11月リリース・TVアニメ『最果てのパラディン』OPテーマ)のレコーディング前後あたりで録られていたのでしょうか。

Hikaru//  3rdシングルの前辺りに録っていました。なので、3rdと4thシングルが入れ替わったような感じなんです。特にコーラスはレコーディングでしかやらないので結構前のことに感じますね。

――ではレコーディングについて、覚えてらっしゃる範囲で教えていただいでもいいでしょうか。

Hikaru// 加藤さんがお忙しくてタイミングが合わなかったこともあって、ディレクションは普段H-el-ical//の楽曲を作ってくれているグシミヤギ(ヒデユキ)くんがしてくれています。なのでいつも通りといいますか。Hikaru//がやりたいことを汲んでくれつつ、加藤さんが作ってくださった楽曲の世界観を表現していくような感じでした。ただコーラスが多かったのでいつものレコーディングよりは少し長めだったかな。

――このインタビューをしている今現在、TVアニメは2話まで放映されていますが、ご覧になられていかがですか?

Hikaru// 地上波での放送を観て楽しませていただいています。タイアップをいただいている作品はいつも親も一緒に観ているんですが、今回は1人で(笑)。時間もちょっと遅いですし、大人な作品なので、家族と見るには気まずい空気が流れてしまうかなと(笑)。

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