【インタビュー】声優アーティスト・駒形友梨、1stフルアルバム『stella』リリース――「“好き”という気持ちを持ち続けてこれからも進んでいきたい」と語る彼女に今の心境を聞く

声優アーティスト・駒形友梨がアーティストデビュー3年目に贈る1stフルアルバムをリリースした。これまで発表してきた4枚のミニアルバムそれぞれのリード曲、そしてデビュー曲「トマレのススメ」とそのシングルのカップリング曲「はじめからきっと」を収録し、このアルバムのために書き下ろされた新曲6曲を詰め込んだアルバム『stella』。先行リリースされていたリード曲「コンパス」からは、彼女の今の心境が見え隠れする。「過去と未来」をテーマに掲げた今回のアルバムで、どんな世界を見せてくれるのか。今作について駒形友梨に語ってもらった。

少し自分のことを認められるようになった今、誰かのために歌いたい

――リード曲「コンパス」は先行配信もされていましたが、ファンの皆さんの反応はいかがでしたか?

駒形友梨 これまでリリースしてきたミニアルバムなどを聴いてくれていた方は、私はどストレートなところにはいかないだろうと思っていたらしく、驚いていました(笑)。私がロックな明るい曲を歌うのが結構新鮮だったみたいですけど、皆さん喜んでくださいましたね。この曲はライブで映える曲なのでリリイベや対バンイベントなどで歌わせていただいているのですが、最初は歌うことで精一杯で……。でも、少しずつライブでの楽しみ方がわかってきた気がします。

――今回のアルバムのテーマが「過去と未来」なので、未来に関してはそういうストレートなこともやるよ!という想いも込められているのでしょうか。

駒形 テーマに関しては、タイミング的に私が30歳になったところで声優デビュー10周年イヤーでもあったので、改めてこれまでやってきたこととこれから自分がどうしていきたいのか……そういう姿勢を曲を通して皆さんにお見せできたらと思ったんです。だからこれまで以上にやってこなかったことに挑戦したり、今の私だから歌える難易度の曲や、主に矢野さんの曲なんですけど(笑)、作詞も含めて色々と挑戦はさせていただこうと思いました。

――作詞も、「コンパス」や「創だらけの詩」はテンポが速い曲の作詞というところで、別の難しさもあったでしょうし……。

駒形 確かにこれまではバラードっぽい曲の作詞が多かったので、「コンパス」のようなアップテンポな曲で、しかもリード曲を自分で作詞するというのはなかなか新鮮でした。

――30歳前後で新しいことにチャレンジをする面白さはあるでしょうね。

駒形 それこそ20代前半の頃、初めてのことに挑戦するとなるとビクビク怯えて、なかなか一歩を踏み出せなかったりしたんです。一歩手前で終わってしまい、もっと欲張りに色々やればいいのにって、皆さんも思われていたかもしれないんですけど、今はその経験があるぶん「失敗しても大丈夫だから、とりあえず思い切りやろう!」と開き直りができるようになったので、より楽しく色々なことに挑戦できるようになりました。

――30歳になってからが楽しいよって、よく言いますからね。

駒形 そうは聞いていたんですけど、30歳になるまでが一番しんどかったんですよ(笑)。29歳は本当にきつくて自分で自分の首を絞めちゃうみたいな苦しさがあって、それが吹っ切れたのが30歳になってからだったんです。

――辛かった時代と重なるかはわからないですが、「過去」という意味ではこれまでのミニアルバムやシングルからの曲も入れているので、それらの曲を聴いて「こういう道のりだったな」と感じるところはあったのでしょうか?

駒形 過去の曲を聴いてみると、歌が上手くて(笑)。「あれ?ここにこんなニュアンスを付けられていたんだ」とか「このときの声、乗っているな」とか「ここのリズムいいなぁ」って思って、今の私にそれができるのか?と思い始めて、逆に過去の自分に負けたくないという気持ちが強くなったんですよ(笑)。最近は自分の歌い方の中でこういうふうに歌うのが楽で落ち着くなぁというのが出てきていると感じていて、それはそれで良いことなんですけど、そこにずっと留まるのも違うんじゃないかなと。年齢的には歳を重ねているけど、そこに収まらずにもっと歌が上手くなりたいですし、過去の自分があったからこそ今の自分が一番良い!と思えるくらい、色々と極めたいなと、このアルバムを聴いて改めて思いました。

――ちょっと身が引き締まる思いというか。過去の駒形さんもかなり広いジャンルでチャレンジをしてきていますからね。

駒形 そうですね。ミニアルバムはコンセプトをはっきり決めてやっていたので。

――その過去に負けないくらい、今回も色々チャレンジされていたなと思いました。ちなみに「過去と未来」のテーマ以外に、「宇宙」というテーマもあったようですね。

駒形 「宇宙」というテーマは、ビジュアル面であったりこのアルバムの世界観を作るために設けたテーマなんです。タイトルの『stella』には恒星という意味があって、自ら光を発する星なんですけど、私も光だったりエネルギーだったりを発して、聴いている皆さんに何かを届けたいなという想いでこのタイトルにしました。

――それは今まで自分の中にはあまりなかった想い?

駒形 私は基本的に自分のために歌ってきたところがあって……。人前に立つ方は、「みんなに夢を」「元気を」と言われるのですが、私はとにかく自分のことで手一杯で、自分に自信が持てなくて。でも歌っているときだけはすごく楽しくて、気持ちが自由で、自分のことが好きになれるというのが原動力だったんです。ただ、色んなステージを、そして歳を重ねるうちに、少しずつ自分のことを認められるようになってきて。自分のためにも歌うけれど、結果としてそれが誰かの役に立つようなことがあったらいいなと思えるようになってきたんです。だから、自分から誰かに何かを与えます!というようなはっきりとしたタイトルは、これまでなかったと思います。

――歌っているからには、誰かに影響は与えているし、それを受け止める覚悟ができたのかもしれないですね。今回の収録曲は、アルバムのために書き下ろしていったのでしょうか?

駒形 そうです。新曲に関してどういう曲にしていこうかという会議があって、私にはライブ映えする曲が少ないので、もっとみんなで楽しめる曲を、という話になり。それで「コンパス」ができたり、私が大好きなバラード「孤悲」や、アコースティックな曲でゆくゆく私がギターを弾きながら歌える曲があってもいいんじゃないかということで「happy weekend」を書いていただいたり、時期的にクリスマスなので、しっとりした子守唄みたいな曲はどうだろうかということで「I wish」ができたり、基本的には全部テーマを設けてからコンペで曲を集めていました。あとは、大好きな元Shiggy Jr.のメンバーである原田茂幸さんに「キミと恋の予感」を提供していただけたり、BURNOUT SYNDROMESの熊谷和海さんに曲を書いていただき、共作で作詞をした「創だらけの詩」があったりします。

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