【ライブレポート】愛を歌い続けてきた旅路の果て――茅原実里、“Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~”ライブレポート。彼女の音楽は色褪せることなく、希望ある未来を描きながら生き続ける

ライブ終盤のMCでは、「歌が好きで、音楽が好きで、こうやって歌ってこれて、生きてこれてよかったなあってすごく思います」と語り、「みんなにはまだまだ伝えたい想いがあるので……聴いてください」と言って始まったのは、『Parade』の最後に収録された「everlasting…」だ。この曲が発表された2008年当時の茅原が、これまで歩んできた道を振り返りながら「Paradeは終わらない」と未来に向かって歌い上げる感動的なバラードだが、ここで茅原は様々な想いが去来したのか、歌っていくなかで思わず声を詰まらせる。しかし、目に涙を浮かべて声にならないながらもマイクをしっかりと握り歌を届けようとする、そんな彼女の姿に胸を打たれた。そして、“これまでの長い道のりが かけがえのないわたしの証明”と声を振り絞って歌う彼女の姿を見て、まもなくパレードの終着点が、この日のライブが終わりを迎えようとしていることに気づかされる。

万雷の拍手のなか、「今日は何があっても気持ちが途切れないように歌っていこうと心に決めて、ここにやって来ました」と話しながらも、抑えきれない涙を拭いながらじっくりと時間をかけて気持ちを作っていく。そんななかステージ上にはグランドピアノが用意され、CMBの須藤賢一の演奏とともに披露されたのは、2010年作『Sing All Love』から茅原自身初の作詞曲となった「sing for you」。様々な愛の形を綴ったアルバムの中で、自身がファンへの感謝を素直に込めたこの曲をこのライブの最終盤で披露するという意味はあまりに大きい。彼女自身の思い入れ、そして溢れる感情に寄り添うように一言一言を噛み締めて歌う姿が印象的だった。そしてそこから、『Re:Contact』の最後に収録された茅原作詞、須藤作曲の「Sing」へと続いていく。インタビューでも「このタイトルしか思いつかなかった」と語っていたが、「sing for you」と続けて披露されることでその想いがより一層伝わるし、やはり茅原実里が歌う姿というのは何より美しく輝いていたのだと思わせる。その2曲を歌い切ったあとに、須藤の「しっかり歌えたじゃないですか、素晴らしい」という言葉がそれを証明しているようだった。

そんな感動的な余韻のなかで、再びCMBのメンバーを呼び込むと、「宇宙一かっこいい演奏で私のライブを支えてくれました」とメンバーに向かって感謝を述べ、様々なスタッフやクリエイター、友人や家族にも丁寧に感謝の気持ちを伝えたあとは、ファンに向かって「みんな、いっぱい歌を通して同じ時間を一緒に過ごしてきましたね。思い出がいっぱいです。もう溢れています。皆さんと過ごした時間はかけがえのない私の一生の宝物です」と語った。そして「みんなと同じ空の下でこれからも繋がっていますし、みんなの笑顔と幸せを毎日毎日祈っています。みんなと出会えて私は本当に幸せ者でした」と伝え、次が最後の曲であることを告げると、名残惜しそうにたっぷり間をとったあと、「最後に歌うのはこの曲です。私とみんなの始まりの曲です」と「純白サンクチュアリィ」を披露。これまでのライブでは必ず歌われてきた、そして幾度となく茅原とファンを繋いできたこの曲が、茅原の活動休止前の最後の曲となった。白いペンライトで満ちた客席を前に、今までと変わらないイノセンスをたたえたボーカルは、ステージ天井から羽が降り注ぐ光景と相まって、どこか幻想的にも映る。途中、いつものライブと同じようにマイクを観客に向けて一緒に歌おうとするシーンも見られ、観客が声を出せないなかでも想いは共有していると、改めてみんなとの強い絆を感じさせた感動的なエンディングとなった。

すべての曲が終わり、晴れ晴れとした表情で客席の隅から隅まで手を振ったあと、「みんな、これまで私の歌を愛してくれて本当にどうもありがとうございました!」と告げ、ライブ恒例の幕引きである、オフマイクでの「みんなー!大好き!」と万感の思いを込めた愛を叫び、ステージを去った。その後鳴り止まない拍手に誘われてステージに戻ってきた茅原は、しばしの沈黙のあと「……寂しい!」と感情を爆発させながらも、「いつも笑っててね!私はみんなの幸せを毎日祈ってます!」と最後のメッセージ、そして再び「大好き!」と叫び、慣れ親しんだステージに別れを告げた。

15年以上の音楽キャリアをわずか一夜で凝縮、そして濃密でありながらコンパクトにまとめあげた“茅原実里”の道のりをしっかりと総括したようなこの日のセットリスト。その一方で最新作『Re:Contact』を軸に、現在から過去、あるいは過去から現在と時間を行き来する構成は、過去に語られたメッセージが今もなお彼女の変わらない想いとして我々に届いたことを示していた。愛を歌い続けてきた旅路の果てで、茅原実里はひとたび休息をとることを選んだ。しかし彼女の音楽たちは色褪せることなく、希望ある未来を描きながら生き続けるのだ。

TEXT BY 澄川龍一

Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~
2021.12.26 @神奈川県民ホール 大ホール

<SET LIST>
M1.Re:Contact
M2.Contact
M3.詩人の旅
M4.too late? not late…
M5.みちしるべ
M6.境界の彼方
M7.この世界は僕らを待っていた
M8.キラキラ輝く、世界の時間
M9.Dears~ゆるやかな奇跡
M10.いつだって青空
M11.CMB Inst
M12.Dream Wonder Formation
M13.TERMINATED
M14.Paradise Lost
M15.雪、無音、窓辺にて。
M16.a.b.y
M17.君がくれたあの日
M18.FEEL YOU FLAG
M19.Voyager train
M20.everlasting…
M21.sing for you
M22.Sing
M23 純白サンクチュアリィ


●リリース情報
「Minori Chihara the Last Live 2021 -Re:Contact-」Blu-ray
2022年5月11日(水)リリース決定!

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関連リンク

茅原実里 公式Twitter
https://twitter.com/Minorin_parade

茅原実里 公式ホームページ
https://www.minorichihara.com/

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