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REPORT

2021.11.30

【ライブレポート】2年ぶりのツアーが教えてくれた新しい景色――水瀬いのり“Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON”横浜アリーナ公演レポート

【ライブレポート】2年ぶりのツアーが教えてくれた新しい景色――水瀬いのり“Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON”横浜アリーナ公演レポート

ここでライブは小休止となり、幕間映像がスタート。水瀬が自然に囲まれた場所で園芸に勤しむ姿が映し出される。まず花壇を作った彼女は、そこに種を植えることに。「青のタネ」「赤のタネ」の2種類が提示され、会場のペンライトの色の多さによってどちらを植えるか決める、ファン参加型のユニークな仕掛けだ。結果、水瀬のイメージカラーでもある「青のタネ」を植えると、今度は休憩中の飲み物についても、「黄:キリンレモン」「ピンク:100%レモン果汁」という選択肢が。もちろん圧倒的な数の黄色いペンライトが上がる。映像は、いつの間にか寝入ってしまった水瀬が、まるで道しるべのように咲き誇る青い花に導かれて、地平線の果てまで一面の花が広がる場所に辿り着くところで終幕。さあ、ここからは、これまで丹精込めて育ててきた想いが一気に芽吹く時間だ。

地平線の夜明けをイメージしたという、水色や淡いオレンジのグラデーションカラーがあしらわれた優雅な衣装に着替えた水瀬が、ピアノの鮮烈なイントロに続いて歌い始めたのは、今回のツアーのタイトルにも冠された彼女の最新シングルの表題曲「HELLO HORIZON」。これまた本ツアーで初めてライブで歌われた楽曲だ。バンドのスケール感溢れる演奏と、それに呼応するかのごとく、凛々しく感情豊かに歌声を響かせる水瀬。サビでの一気に景色が広がるような解放感が素晴らしい。間奏明け、ステージ上のリフトで高く上がった彼女は、スクリーンに映された広大な地平線をバックに、誰かに必要とされたことで自分自身を肯定できた喜び、そして大切な誰かのために報いたい気持ちをドラマチックに表現する。その歌が紡ぐのは“見たことないあの地平”の先にきっとある、“新しい世界”との出会いの物語。サビの“ハローイエス”という力強い言葉は、そこにいるすべての人を勇気づけたのではないだろうか。

そこから水瀬の持ち曲のなかでもとりわけ劇的な曲調の「TRUST IN ETERNITY」に突入。スクリーンに映された大きな翼を背負い、神々しい姿となった彼女は、レーザーが照射され光と感情が盛大にスパークする会場のエモーションをさらに加速させるように、ダイナミックな歌声を響かせる。激しさを滲ませつつ、あくまでも高潔さを感じさせるが彼女の美点と言えるだろう。ラスト、大きく両手を挙げてバシッと締め括る彼女の振る舞いは堂々たるものだった。

続くMCで水瀬は、今回のツアータイトルでもある「HELLO HORIZON」に込めた想いについて改めて語る。新しいことにチャレンジしたくてもなかなか思うように動けないご時世のなかで、それでも新しい一歩を踏み出すために、自分自身だけでなくファンのみんなの背中も押したいという気持ちが、そこに反映されているという。また、夜明けの空のグラデーションをイメージした新衣装についても説明。彼女にとって“空”は日々を彩る大切な存在で、前回のオンラインライブで“星空”をテーマにした衣装を着たので、今回は“朝焼け”の空を纏いたいというリクエストをして作ってもらったという。元々は真っ白の生地をグラデーションに染めてもらったハンドメイド品とのことだ。

さらに、自身にとって初のTVアニメのタイアップ曲であり、声優としてもアーティストとしても「自分を次のステップに押し上げてくれた作品」と紹介して歌われたのが、水瀬も主人公のフーカ・レヴェントン役で出演した『ViVid Strike!』のEDテーマ「Starry Wish」。スクリーンに投影された銀河や星々のグラフィックが壮大さを演出するなか、この曲をリリースしてから約5年分の成長を胸に、逞しささえ感じさせる佇まいで、朗々とした歌声を会場いっぱいに響き渡らせる。その成熟したパフォーマンスに続いて、どこか青春の青さを纏った「三月と群青」を披露したのも面白いポイント。大人になることで変わっていくもの、それでも変わらない、変わりたくない想い。その誰もが経験する成長痛のようにむず痒い感情を、水瀬は歌で真っ直ぐに表現して、聴き手の心を射抜く。間奏では植田と沢頭のエモーショナルなギターソロが重なり合う場面もあり、演奏面においてもこの日のハイライトとなった。

そして小畑のピアノソロが始まり、ステージが一面の星明りに包まれると、ピンク色のドレッシ―な衣装に着替えた水瀬が登場し、アーティスト活動5周年を記念して制作されたシングル曲「Starlight Museum」へ。髪をポニーテールに束ねて、曲中で思いが高ぶったかのようにスカートをはためかせて舞う彼女は、まるで舞踏会に訪れた令嬢のようだ。無数のペンライトが横浜アリーナ全体を煌びやかに飾る光景は、まさにスターライトミュージアム。“ほらね 煌めく世界に出会えたよ”と歌う彼女は、この景色を直接見られる日が来るのをずっと待ち望んでいたのだ。締めの一節“星空になる”をこの日一番の伸びやかな美声で飾った水瀬は、上品にお辞儀をして、自身の夢を叶えてくれた人々に深い感謝の意を示した。

そこから、どこか懐かしさを感じさせる旋律が印象的な「アルペジオ」を披露。打ち込みのビートも加わったノリの良い曲調に合わせて、ピンクのドレス姿でくるくると回る彼女が実に愛らしい。続いて歌われたのは、流麗なポップチューン「Sweet Melody」。“まっすぐ伝えたい「ありがとう!」”という歌詞が象徴するように、この曲に込められたのは“みんな”への感謝の気持ち。水瀬はステージをあちこちと移動しながら、その場にいるすべての人たちに歌を通して感謝のメッセージを伝える。

そして早くも次がライブ本編のラストの楽曲に。水瀬は名残惜しそうにしながらも、次に歌う楽曲について「私の想いがすべて詰まっている曲と言っていいぐらい、自分の中にある大切な気持ち、人を思いやる気持ち、色々な愛を詰め込んだ1曲」と説明する。彼女がライブ本編の締め括りに選んだのは、自身が作詞した「ココロソマリ」。これまで自分を見守ってくれた人たちへの特別な気持ち、主に家族への“特別な愛”について綴った歌だ。ただ、歌唱前に「私をこの今日この日まで、このステージまでずっと支えてくれた、関わってくれたすべての人に向けて届けたいと思います」と語った通り、この日の彼女が届けた“特別な愛”の範囲はさらに大きい。この曲での演出はあくまでシンプル。主役は彼女の歌なのだ。水瀬は止めどない感謝の想いをしっかりと歌に乗せて、ライブ本編を締め括った。

一転、アンコール1曲目の「Dreaming Girls」では、ファンとお揃いのツアーTシャツに水色のロングスカートを着た水瀬がトロッコに乗って登場。溌剌としたロックサウンドとともにアリーナ席に飛び出して、1人でも多くの人と目を合わせるため、あちこちにせわしなく目を向けながら、オーディエンスとの至近距離での交歓を楽しむ。そして同曲のアウトロから矢継ぎ早に「Catch the Rainbow!」へと移行。水瀬が初めて自分で作詞したこの楽曲には、アーティスト活動を通じて見つけることができた自分の居場所、みんなと作り上げるライブという景色への想いがストレートな言葉で詰め込まれている。その明快なメッセージとブラス入りの華やかなサウンドに、客席もペンライトを思い思いの色にして応え、会場は虹のようにカラフルな世界に染まる。終盤、アリーナを一周してメインステージに戻った水瀬は、「最後は一緒にジャンプしてひとつになりましょう、せーの!」と呼びかけ、互いの絆を確かめ合った。

「改めて皆さんの近くで目を合わせて歌えて嬉しかった」と喜ぶ水瀬は、自身が身に着けているグッズのリストバンドや、「HELLO HORIZON」のMV撮影で使用したものを流用したというヘアアクセのリボンをアピール。そして次に披露する曲について「去年できなかったツアーも引き継いで、フィナーレにふさわしい曲を選びました」と語る。「みんなでこのときを一緒に生きるという気持ちを込めて、一緒に歌えたら」という想いを乗せて歌われたのは、「僕らは今」。昨年のツアー“We Are Now”で初披露の予定だった、人々の想いを繋げる団結の歌だ。この日初めてマイクスタンドを使い、マイクを両手でしっかりと握りしめ、力を込めて、1つ1つの言葉をたしかな感触とともに届ける水瀬。バンドの演奏も徐々に高まりゆき、堰を切ったように一気に爆発すると、彼女も一層パワフルに歌声を響かせて、会場の気持ちをひとつに高めていく。“Believe in me, believe in you”とリフレインするパートは、本来は会場全員で合唱するために用意されたものだろうが、この日は水瀬がみんなの気持ちを集約して歌唱。“誰一人ひとりじゃない”というフレーズがこの上なく胸に沁みる。オーラスで左手こぶしを力強く掲げた彼女は、「皆さん本当にありがとうございました、また絶対一緒に歌をうたいましょう!」と伝え、深々とお辞儀をしてステージから去った。

だが、この日のライブにはまだ続きがあった。鳴り止まぬアンコールの拍手に応じて再度ステージに戻ってきた水瀬は、ここで4枚目のアルバムの制作が決定したことを発表。彼女も出演するTVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』の第二部OPテーマ「REAL-EYES」などが収録されるとのことだ。リリース時期などの詳細は後日発表される。

そして彼女が初の横アリ有観客公演のラストに歌ったのは、キリンレモンのトリビュート企画で制作された「まっすぐに、トウメイに。」。彼女は冒頭の“キリンレモン”のフレーズをアカペラで歌い、イントロが始まると同時にセンターステージを駆け出す。自分自身の“大好き”という気持ちと純粋に向き合い、いつまでも色あせない想いを胸にステージに立つ水瀬の姿が眩しい。彼女の中に輝く“キラキラの夢”は、横浜アリーナ公演という大願を叶えたこの瞬間を経て、これからどのように広がっていくのだろうか。真っ直ぐに、透明に、ずっと変わることなく走り続ける彼女の夢の続きを、これからも追っていきたい。心の底からそう思わせてくれるライブだった。

PHOTOGRAPHY BY 加藤アラタ、三浦一喜
TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON
10月17日(日)神奈川・横浜アリーナ
<セットリスト>
01. Ready Steady Go!
02. ピュアフレーム
03. Million Futures
04. Morning Prism
05. アイマイモコ
06. クリスタライズ
07. Well Wishing Word
08. 思い出のカケラ
09. ソライロ
10. 茜⾊ノスタルジア
11. HELLO HORIZON
12. TRUST IN ETERNITY
13. Starry Wish
14. 三⽉と群⻘
15. Starlight Museum
16. アルペジオ
17. Sweet Melody
18. ココロソマリ
<ENCORE>
19. Dreaming Girls
20. Catch the Rainbow︕
21. 僕らは今
<W/ENCORE>
22. まっすぐに、トウメイに。


●リリース情報
10thシングル
「HELLO HORIZON」

発売中

品番:KICM-2092
価格:¥1,430(税込)

<CD>
01. HELLO HORIZON
作詞:岩里祐穂 作曲・編曲:白戸佑輔
02. ソライロ
作詞:藤林聖子 作曲・編曲:遠藤直弥
03. Morning Prism
作詞:磯谷佳江 作曲:鈴木航海 編曲:遠藤直弥

関連リンク

水瀬いのりオフィシャルサイト
http://inoriminase.com/

水瀬いのりオフィシャルTwitter
https://twitter.com/inoriminase

水瀬いのりオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCYBwKaLwCGY7k3auR_FLanA

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