【インタビュー】KENNが届ける“ファンの皆様に向けての感謝”――。ニューシングル「Love Story」制作の経緯や楽曲へのアプローチについて話を聞く

「アイドリッシュセブン」四葉 環役や、「明治東亰恋伽」菱田春草役などで知られる声優・アーティストのKENNが「Love Story」を12月1日(水)にリリースする。
「一夜ノ永遠ニ君想フ」(ドラマ「明治東亰恋伽』主題歌)以来、2年5ヵ月ぶりとなる待望のシングルは、KENNが今年39歳を迎えたことを記念して“ファンの皆様に向けての感謝”をテーマに制作。Akira Sunset、浦島健太、伊藤賢治などのクリエイターを迎え、本人の作詞曲含む4曲をパッケージしている。
いつも以上にナチュラルでぬくもり溢れる曲が揃っていることは、ジャケット写真の雰囲気からも伝わるのではないだろうか。感謝の気持ちを込めながら、ファンの日常に穏やかで優しい光を照らす。

“ファンの皆様に向けての感謝”、シングル制作の経緯

――今作は“ファンの皆様に向けての感謝”がテーマです。KENNさんからのご希望だったのでしょうか?

KENN 元々はプロデューサーさんからの提案だったんです。39歳になりましたし、シングルも2年以上出していなかったので、「39歳にかけて“サンキュー”ということでリリースしてみませんか?」とお声がけいただきました。自分の中でしっくりくるものがあったというか。シャレになってるのもシンプルでわかりやすいなと思いましたね。これまでも誕生日に感謝の気持ちをお伝えしたことはあったのですが、日頃からお世話になっているファンの皆様に色々な形で気持ちをお返しできたらなと常々思っていたので、「この方向性でやらせてください」とお願いしました。

――「Love Story」を表題曲に選ばれた経緯を教えてください。

KENN プロデューサーさんとどんな作風のシングルにするか、可能性を模索しながら、それぞれの曲のコンセプトを決めていきました。打ち合わせからしばらくして、「こういう曲いかがですか?」といくつか曲を持ってきてくれださった中に「Love Story」があって。スタッフさんも僕も「すごくキャッチーでかわいらしいね」って。幸せでポジティブな気持ちになる曲で、今回のコンセプトに合うんじゃないかということで、表題曲に決まりました。

――ほかの3曲には、Akira Sunsetさん、浦島健太さん、伊藤賢治さんが参加されています。KENNさんからラブコールを送ったそうですね。コラボレーションのきっかけなどを教えてください。

KENN 僕がお世話になってきたクリエイターの方々にお願いしたところ、ありがたいことに皆さん快くOKしてくれて。プロデューサーさんからのご提案を元に、それぞれのクリエイターさんへ楽曲のテイストなどをご相談させていただいて、今回のラインナップになりました。「聞こえていますか」(M-3)を手がけてくださったAkira Sunsetさんとは女性向けの作品のレコーディングで初めてお会いしたんですが、意気投合してすぐに仲良くなったんです。今回は「ポップで元気づけるようなアイドルソング的な曲にしましょう」という方向性になりました。「Laughter」(M-2)の作曲をしてくれた浦島さんは、僕の歌う曲の仮歌を歌ってくださっていたり、作曲もしてくださっていたりと日頃からお世話になっている方で。最近ではアイドル系の曲も書かれていますが、R&Bチックな曲を得意にされているイメージがあったので、そういう曲、もしくはバンドサウンドということになりました。

――そうだったんですね。「Honest」(M-4)はどのような経緯があったんでしょうか?

KENN 伊藤賢治さんは、僕が以前ゲーム系のラジオをやらせていただいているときに、ゲストに何度か来ていただいていて。あと個人的に、伊藤さんが携わられているゲームをプレイしていて……。もっと掘り下げると、僕が初めて入ったバンド(The NaB’s)のメンバーが伊藤さんにお世話になったことがあったそうで「いつかKENNくんと一緒にお仕事したいね」と15年前から言ってくださっていたんです。別作品ではお世話になっていましたが、今回は念願のソロ曲、という感じですね。伊藤さんというと、ゲームのバトルソングや、勢いのあるクラシックロックなどのイメージがあって、そういった方向性もいいなと思っていたんですが、僕は伊藤さんの作られるバラードも好きなんです。特に「Rising Sun」(「聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~」)が好きで。それで「バラードは伊藤さんにお願いしてもいいですか?」とリクエストさせていただきました。それぞれの曲で話し合いはしているんですけど、皆さんには「こういうコンセプトの作品ではあるんですけど、気を遣わず自由に作ってほしいです」とも最初にお願いしていました。

甘く軽やかな「Love Story」について

――ではそれぞれの曲について具体的にお伺いできればと思います。表題曲「Love Story」を聴いたときは「キャッチーでかわいらしい曲」だと思ったとのことでしたが、歌詞を読んでどのような印象を受けましたか?

KENN ちょっぴり自信のない男性が、背伸びしていたり、勇気が出なかったり。そんな中でプロポーズをしているような描写もあって。恋と愛の良いとこどりのようなイメージを受けました。

――“ふざけて 笑って何気ないこと喜び合うとなりで 二人で寄り添う日々送りませんか?”という言葉がありますもんね。レコーディングはいかがでしたか?

KENN 幸せムードが溢れる曲だったので、かわいらしさや初々しさなどの要素を入れるとマッチするのかなと。ラップっぽい要素があるなかでメロディもきっちりあるので、割とシビアなテンポ感なんです。こういった楽曲は初めてではないですが、そこまで経験がなかったので、チャレンジングな楽曲だなと思っていました。最初は苦戦したんですけど、楽しかったですね。難しい音ゲーをクリアしたときのような達成感がありました。「やってやったぜ」的な(笑)。

――ここまで甘く、軽やかな曲というのもKENNさんの曲の中では珍しいですよね。

KENN そうですね。今回の4曲ともロックっぽい歌い方はあまりしていなくて。意識したわけではなく、曲に寄り添った結果なんですけど。プロデュースをしていただくときの面白い部分ですね。「4人の僕」じゃないですけど、新しい自分に出会えたような感覚もありました。「Love Story」ではメロディを崩して歌って、ミュージカル的なエッセンスも入っていたり、小さい頃合唱団で培ったハモリの技術を「Laughter」では使っていたり。あんまり感情を出しすぎるとマッチしなさそうだなと思っていたので、引き算をしていく感じでしたね。

――皆さんのお力もあって、様々な表情のKENNさんが引き出されていますね。

KENN 本当におんぶにだっこです。4曲ともコンセプトは一緒なんですけど、それぞれ違ったアプローチになっていて、クリエイターの皆さんの色も出ていると思います。僕自身にはあまり自分の中に色や個性がないと思っていて……。

――えっ、そうなんですか。

KENN はい。こうやって取材を受けさせていただくたびに感じているんです。「突出した個性があんまりないな」って。だから色々な色に染めていただいてありがたいですね。

――ご自身の音楽性についても、同様に考えられているのでしょうか?

KENN はい。今まで僕が出してきたソロシングルを見ていただくとわかると思うんですけど、色々なジャンルに挑戦していて。「音楽ってこういうもんだろ!」とか「KENNがやる音楽は絶対こうだぜ」ってものがないんです。言葉にできていないだけで、芯にあるものはあるとは思うんですけど。

――でも、だからこそ作品ごとに挑戦できる。

KENN そうですね。だから一緒にやらせてもらう方によってカラーが違っています。受け身なところがあるので、自分でガツガツするよりも、与えられたものを「どう表現するか」考えるのも好きなんです。今回は自分で歌詞を書いたり、歌ったりして……僕自身が受け取る側に立ったとしても「嬉しいな」と思える曲を作りたいとは思っています。芯となる部分はそこかもしれません。でもまだまだ自分を探している感じですね。

――それはいずれ見つかるものなんですかね?

KENN 全然わからないですね(笑)。絶対こうじゃなきゃいけないという正解はない気がしていて。アーティストとしてだけではなく、声優や役者というお仕事をさせていただくなかで、色々なアプローチに挑戦してきたからこそ、自分を限定せずにチャレンジしてみたいなと今は思えています。昔の自分のほうが気持ち的に少し狭かった気がしますね。とは言え、過去の自分を否定するつもりはなく、そのときのベストを尽くしてきたんですが、今は過去の自分がやらなかったであろうことにも挑戦しているので、新しい自分と会えることができて嬉しいなという気持ちです。

――しかも4人も。

KENN そうですね。理想形の僕というか。「この世界線にいたとしたら、こんな感じだったのかな」って。

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