【ライブレポート】茅原実里、13年目の夏の野外ライブは、胸いっぱいの愛と感謝を込めて――。”SUMMER CHAMPION 2021~Minori Chihara Final Summer Live~”レポート

2009年8月1、2日に“SUMMER CAMP”として産声をあげた茅原実里の夏の野外ライブ。2013年から“SUMMER DREAM”に、2018年からは“SUMMER CHAMPION”と名前を変えながら、以降13年にわたって毎年夏に河口湖ステラシアターを舞台に行われてきた夏の風物詩が、茅原の年内での音楽活動休止をもって幕を閉じることとなった。

夏の野外という開放感のある場所で、特別なカバーやシャッフルバンドなど普段ではできないステージが見られるのも毎年の楽しみでもあったし、2017年には自身通算100回目という記念すべきステージも行われるなど、茅原実里の音楽キャリアのなかでもライフワークともいえるライブが、この夏の野外であった。13年目となった今年は、新型コロナウイルスの影響で無観客配信となった昨年を経て、“SUMMER CHAMPION”としてはおよそ2年ぶり、そして自身のライブとしても2019年11月に行われた15周年ライブ以来となる有観客ライブとなった。ライブ開催直前までは台風が近づくなど天候も怪しまれたが、初日は晴れ間も見えるなかで熱いパフォーマンスが展開された。そして2日目となるこの日も、前日夜に雨が降るなどぐずついた天候だったが、開演を迎える頃にはすっかり雨も上がり、最後まで晴れ女=ミス・サンシャインの名に相応しいステージが展開されていった。

開演を迎えた会場に「Tomorrow’s chance」のメロディを思わせるピアノの優しいフレーズが流れるなか、茅原実里バンド=CMBの面々がステージに現れる。その後、肩を露出した夏らしい出立ちの茅原が万雷の拍手に迎えられ登場。そして拍手とピアノが鳴り止んだ瞬間、「Tomorrow’s chance」のイントロが鳴り響き、「“SUMMER CHAMPION 2021”、いくよーっ!」のお馴染みの掛け声とともにライブがスタートした。

天に駆け上がるような馬場一人のギターが会場に響き渡ると、すり鉢状の客席は茅原実里のライブのトレードマークであるフラッグが一斉に舞う。そのなかで茅原は軽やかに、そして強く通る声を響かせる。この開放感はまさに誰もが待ち望んだ、2年越しに観られる“SUMMER CHAMPION”の光景だ。13年目の夏をこのうえない盛り上がりで幕開けたあとは、「河口湖ステラシアターへ……ようこそ!」と最初のご挨拶。「最後までよろしくお願いします!」と茅原が告げたあとには、こちらも夏らしく、アコギの音色が心地よいラテンフレーバーの「夏を忘れたら」へ。岩切信一郎の軽やかなベースラインや須藤賢一のエレピソロ、サビではフラッグが舞う美しい光景も含めて、気持ちのいい風が通り過ぎる夕刻にはぴったりな曲だ。

そんなリラクシンなパフォーマンスのあとは、あの聴き慣れたイントロが流れ、その直後、観客はそれに応えるように一斉に純白のペンライトをかざす。ここで歌われるのはもちろん、「純白サンクチュアリィ」だ。2007年1月に茅原実里がアーティスト活動再開を告げてから、これまでもっとも多く歌われてきた1曲、それが鳴らされるとこれまで閉ざされていたステージ後方、そして天井が開かれる。フルオープンの会場の中で凛とした茅原のボーカルをたっぷりと堪能したあとは、2007年10月にリリースされた名作アルバム『Contact』から「詩人の旅」へと続く。そして岩田ガンタ康彦のドラムロールが刻まれるなか、茅原の「みんな!フラッグ用意!」の号令がかかると、観客と共にフラッグを用いた振付が見られる“旗曲”である「Lush march!!」へ。サビでは茅原の振りと同じくフラッグが揺れるお馴染みの光景が広がり、およそ2年以上のブランクがあるなかでも一矢纏わぬその光景に茅原も「さすがだね~!」の一言。13年目の夏は、定番曲から夏らしさも盛り込んだ序盤のセットとなった。

久しぶりの観客を前にしてのステージに、茅原も「なんか夢みたいなんだよね、夢じゃないんだよね。本当にみんながいるんだよね」と喜びを隠せない様子。そんな興奮を抱えながらもセットはアコースティックコーナーへ。2016年のアルバム『Innocent Age』から温かいラブソング「Love Blossom」を聴かせたあとは、再び旗曲「Joyful Flower」へ。彼女のデビュー10周年を記念したこの曲もゆったりとしたアコースティック仕様となり、“SUMMER CHAMPION”のロケーションにぴったりなアレンジで聴かせる。そして「お花つながり」で「凛の花」が披露され、壮大なサウンドのなかに優しく伸びやかな茅原の歌唱が響いた。

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