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2021.08.04

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.11『TRIBALYTHM』

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.11『TRIBALYTHM』

今までリリースしてきたアルバム1枚ずつをコンセプトに、毎月1回、全12回の配信ライブとして全国、全世界、どこにいても体感できる配信ライブ“炎の12ヶ月”。リスアニ!WEBではそんな月イチオンラインライブをレポート!今回は『TRIBALYTHM』!

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■LIVE REPORT

のどかさのある九十九里にてセットの設営をするドキュメントムービーが流れる。ゲリラ豪雨によって中断する作業。スタッフとの会議の様子。「11回の中で一番エモい映像になります」と挨拶するTAKE。そこから雨のなか、水浸しの場所で設営が進む。セットの位置では足首まで水に浸かったスタッフが、雷の稲光が光るなかで、機材をチェックする彼らの尽力がこの日のライブへと繋がっていく――。オープニングSEはバグパイプのケルティックなサウンド。そこからジャンルレスに様々な民族音楽がエレクトロとの融合とともに響けば、アルバム『TRIBALYTHM』がどのような想いの元に作られたのかが伝わってくる。そんなOPムービーのあとにドラムのカウントで始まるのは、灼熱の熱さをもったラウドな「Break it down」。映画「フィールド・オブ・ドリームス」に出てきそうな緑にぐるりと囲まれた牧草地でのライブは、大地の存在感あるアルバムを視覚的に感じさせる。雨に濡れたあとの牧草の色合いとIWASAKIの背後に見える風車の回る様もまた、このライブをTAKEの言う“一番エモい映像”の印象へと変えていく。力強くもどこか切なさの滲む「火花」を夕暮れに近づく空へと放っていくKEIGOとKOHSHI。

「今日は野外ですけれども、沼に来たわけではないんですよ。本当だったら後ろに馬が走ったりもしたはずなんですけれども。なんとピンポイントでゲリラ豪雨が起きまして。こんな状態ですけれどもスタッフの皆さんが全力で準備をしてくれたおかげで、最高のシチュエーションなんじゃないかなと思っていますので、皆さん、それぞれの場所でラスト1枚! 最後までよろしく」とKEIGOの声に続いたのは、まさに先ほどまで鳴っていたであろう“雷鳴”を思わせるサビの爆発力あるメロディックな「サンダーボルト」。画面の向こうでオーディエンスが拳を上げて共に歌っている光景がくっきりと浮かぶ。メンバーのコーラスにはオーディエンスの声をも感じさせる強さが宿っていた。壮大でドラマチックな「BELIEVER」では、TAKEのギターが情感たっぷりに響き、鼓動のようなドラムと確かなGOT’Sの低音がバンドの音を支えがFLOWと大いなる大自然とのコラボレーションを聴かせる。躍動感と重厚感のあるバンドのセッションによるイントロにKOHSHIのギターも加わり一体感をもって放たれた「アイオライト」では、青い空のその先まで突き抜けていくような爽快さを表現。KEIGOの電子ピアノの演奏まで聴ける心躍る1曲のあとには、バンドがインストで轟かせる「TRIBALYTHM」。イントロにはケルティック旋律から様々な民族楽器の音を混ぜ込んでのエレクトロサウンドが。そして轟いたのは重厚かつ軽快なセッション。TAKE、GOT’S、IWASAKIそれぞれの音が重なり、グルーヴする。「PENDULUM」は美しいストリングスの音も疾走する楽曲の美麗なメロディを彩り、まるで楽曲が連れて来たかのように夕陽が五人を照らしていったのが印象的だった。

「晴れて来た!」(KEIGO)

「どうりで気持ちがいいと思った。「PENDULUM」が神々しかった」(KOHSHI)

「あとは「サンダーボルト」で今日の嵐を思い出しました」(KEIGO)

ラスト1枚までやってきた“炎の12ヵ月”。約1年前の9月からスタートして11枚やってきた、とこれまでのことを振り返る。かつては“炎の5DAYS”として5日間連続でやったこともあるが、今回は月1回。

「ツアーでしかやっていなかった曲を久しぶりにやることで懐かしさもありました」(KEIGO)

「個人的にはアンブレラとかは本当にやっていなかったので新鮮でした」(KOHSHI)

コロナ禍で通常通りにライブができない環境でのライブだからこそ、久しぶりの楽曲が聴けること、それを喜んでくれる声を感じられたという19年目のFLOW。たとえ配信であっても歩を止めることなく活動ができていることに感謝していると語る。

15年目にリリースしたアルバム『TRIBALYTHM』――。この作品ができたことで地に足をつけて、ファンと共に作ってきたものを改めて感じて、前へ進もうと思ったという喜びをKEIGOが告げて、「音色」のイントロへ。色彩感豊かでメロディアスなサウンドのこの曲は、ファンとともに作ってきた“FLOWの音楽”を感じさせ、オーディエンスの声も重なるような感覚のあるナンバー。

そして神秘的な弦楽の音から重厚でラウドな「BURN」が轟く。ライブ後半戦への突入だ。屋内のライブでは炎が立ち上がるイメージのあるこの曲を、自然の中で歌い上げ、ストリングスのハーモニーが空とシンクロしていく。

等身大のFLOWの言葉がリアリティと共に乗るミクスチャーロック「Smells Like 40 Spirit」の魂の熱を帯びた歌のあとには、FLOWと「テイルズ オブ」シリーズとのコラボレーションで生まれた名曲「INNOSENSE」が響く。彼らの周りには精霊たちが集まってきていそうな雰囲気で、夕闇に包まれていく会場はそんな神秘と神々しさある色彩感を称えていた。

そしてそのまま同じく「テイルズ オブ」の世界に寄り添ったFLOWの渾身の1曲「風ノ唄」へ。ケルティックな旋律とドラマチックなストリングスの重厚な音とが重なり、それが軽快なバンドの音と“溶け合う”ように放たれる。

「この12ヵ月、まだ1本ファイナルはありますけれども『TRIBALYTHM』まで皆さんと一緒に作ってこられたこと、本当に嬉しく思います。そしてありがとうございます。配信ライブならではの色んな場所で11ヵ月11本やらせてもらいました。今日もサンシャインステーブルスさん、こんな状況の中でも場所を貸してくださってありがとうございます。この11本、色々無理も言いましたし、自分たちのわがままを通させてもらったこともあります。最後の、11本目でまだこんなことがあるのかと思うほど雨が降ったりもしましたが、全力で準備をしてくださったスタッフの皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの力なくしてはこの11本はなかったですし、ライブを作ってこられたことはバンドの誇りですし、いい経験になったなと思います。毎月、離れている場所でライブを作ってくれた皆さん、本当にありがとうございます。まさかのコロナ禍という事態になり、1年間も続くと思っていなかったし、これが1年目、2年目のバンドだったら潰れていたかもしれないなと思います。でも皆さんと一緒にデビュー前から培ってきた音楽があり、ライブがあったからこそ。前をむいて皆さんとなら新しいことができるんじゃないかと思えたのも、みんなと歩いてきた19年間があったからだと思うし、1枚目からアルバムを紐解いて作ってきた音楽は間違いがなかったんだなと実感した1年間でした。それと同時に、みんなとライブがしたいなって心から思っています。また絶対に近いうちに戻ってくるので、またみんなで飛んで、拳を上げて歌って、泣いて笑って、またFLOWの音楽を作らせてください、ライブを作らせてください。またみんなで同じ空間で声を重ねられることを願って、『TRIBALYTHM』最後の1曲を届けさせてください」

“Wow Wow”と声が響く。心を重ね、繋ぐ「ONENESS」が『TRIBALYTHM』のライブのラストを飾った。バンドの音が雲を晴らすように、歌声が虹を掛けるように。雨上がりの空を昇っていく。“炎の12ヶ月”――そのセミファイナルとなる11枚目のライブは、夜の帳をまもなく連れて来る、そんな風の中で幕を閉じた。ラストのベストセレクションライブは有観客ライブが決定。どんな時間になるのか。心待ちにしたい。

<セットリスト>
01. Break it down
02. 火花
03. サンダーボルト
04. BELIEVER
05. アイオライト[FTC2021]
06. TRIBALYTHM-Inst-
07. PENDULUM
08. 音色
09. BURN
10. Smells Like 40 Spirit
11. INNOSENSE
12. 風ノ唄
13. ONENESS

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