名曲「青空のラプソディ」を生んだfhánaと『メイドラゴン』のタッグが再び! TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OP主題歌「愛のシュプリーム!」リリースインタビュー

名曲「青空のラプソディ」を生んだ、fhánaと『小林さんちのメイドラゴン』のタッグが再び! 7月より放送開始したTVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』のOP主題歌「愛のシュプリーム!」は、towanaとkevinのラップあり、切なくも多幸感に溢れる盛り上がりあり、楽しい振付ありと、様々な想いを“愛”へと昇華した最高のポップソングに。fhána流の讃美歌となった本楽曲がどのようにして生まれたのか、メンバー四人に話を聞いた。

「愛のシュプリーム!」が世界を明るく照らす讃美歌になった理由

――今回の新曲「愛のシュプリーム!」は、TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』のOP主題歌。fhánaにとっては「星をあつめて」以来、約1年半ぶりのアニメタイアップ曲になります。

佐藤純一 この曲、実は2年前に作り始めたんですよね。2019年の頭ごろにタイアップのお話をいただいたので、その春にはワンコーラスのデモを作って、京アニ(京都アニメーション)さんからのOKもいただいたのですが、そのあとに色々あり、アニメの制作自体がわからない状況になってしまって……。そこから、改めて制作を進めることが決まり、2020年の4月頃にフルサイズのレコーディングをした音源が完パケしました。

――メッセージ性やサウンド的な取り組みを含め、非常にトピックの多い楽曲ですが、まずtowanaさんとkevinさんのラップを大々的にフィーチャーしていることに驚きました。

佐藤 最初は普通の歌ものだったんですけど、制作サイドから「もっと攻めた楽曲にしてほしい」というお話をいただいて、1回作り直してこの形になりました。2019年当時、3rdアルバムのツアー(“fhána World Atlas Tour 2018”)で「今夜はブギー・バック」(小沢健二とスチャダラパーの楽曲)をカバーしたり、ラップをメインにした「Unplugged」(2019年のシングル「僕を見つけて」のカップリング曲)を発表したり、fhánaの中でラップの流れがきていたんですよね。

――当時の取材で“kevinラッパー化計画”のお話もされていましたよね。

佐藤 そうそう。なので「いよいよタイアップ曲でもkevinのラップをかましますか?」ということになって(笑)。

kevin mitsunaga 期待してもらえていることが嬉しかった反面、タイアップ曲となると意味合いが変わってくるので、話を聞いたときは、背負うものの大きさが怖くもありましたね(笑)。ただ、期待されたら頑張って応えたいタイプなので、「怖いけど……ちょっとかましてやりたいな!」っていう気持ちも結構ありました(笑)。

――fhánaと『メイドラゴン』の繋がりと言えば、TVアニメ1期のOPテーマ「青空のラプソディ」がありますが、今回の新曲を制作するにあたり、「青空のラプソディ」を意識することはありましたか?

佐藤 どうしても意識はしますけど、「ラプソディ」は「ラプソディ」だし、この曲はこの曲なので、なるべく意識しないようにはしていましたね。ただ「青空のラプソディ」を制作した当時は、ああいうディスコやフィリーソウルっぽい曲調がアニソンにはあまりなくて、僕らはシーンに一石を投じるつもりで作った楽曲だったんです。その意味では、今回もまた別の攻め方として、ラップ曲になったというのはありますね。

――お二人の掛け合いラップや、ストリングスやブラス隊も迎えて華やかに展開するサウンド、林 英樹さんによる愛に溢れた歌詞を含め、聴いていて泣きそうになるほどの多幸感に満ちた楽曲だなと感じて。「愛のシュプリーム!」というタイトルも素晴らしいです。

towana このタイトルは私が付けました。『メイドラゴン』は人間同士やドラゴン同士、人間とドラゴンの関係性が描かれている作品で、林さんの歌詞も『メイドラゴン』をベースに愛のお話がテーマになっている歌詞だったのと、もともと「A Love Supreme」という仮タイトルが付いていて。それを見て「愛のシュプリーム!」が良いなって。文法的にはおかしなタイトルなんですけど、パッと見たり聞いたときのキャッチーさでそうしました。

――この曲の歌詞で描かれる“愛”というテーマは、『メイドラゴン』の作品性に寄り添うなかで出てきたものですか?

佐藤 それもありますが、2019年の時点で作ったのはワンコーラスまでで、後半はその後の色々があった以降に制作したので、1番までは作品に寄り添ったもの、2番以降はかなり深いテーマになったと思います。どこか讃美歌っぽいじゃないですか。

――そういえば後半の歌詞に“さあ歌おう!讃美歌を”というフレーズがありますね。例えば「僕を見つけて」にも、どこかゴスペル的な雰囲気があったように思うのですが、そういった流れも踏まえての讃美歌なのでしょうか?

佐藤 というよりも、この曲に関しては、自分の外での仕事のフィードバックがありますね。この曲を作る少し前に「再生讃美曲」(『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド』主題歌)を作ったのですが、林くんも(「再生讃美曲」の作詞をした)中村彼方さんの歌詞に刺激を受けたみたいで。

――近年、アメリカでもゴスペルミュージックに改めて注目が集まっている流れがありますが、例えばそういう部分を意識したりは?

佐藤 そこはあまり考えていなかったですね。

yuxuki waga この曲を作った頃は、ゴスペルの流れが日本まであまり伝わっていなかったと思うんですよ。だからたまたま流れが合致していい感じになったのかなと思っていて。

佐藤 シンクロニシティ的なことですよね。今、世界的にもコロナの影響で、色んな人が“愛”や“祈り”について考えているタイミングだと思うんですよ。ただ、「星をあつめて」もそうですけど、個人的に2019年の頃から“愛”や“祈り”について色々考えるようになって。例えばザ・ビートルズに「愛こそはすべて(All You Need Is Love)」という曲がありますけど、それまではそこで歌われている“愛”という言葉に特別なことを感じていなかったのが、2019年の「where you are Tour 2019」ぐらいから急に重みが増したんですよ。世の中の流れも含めてそういうタイミングだったのかなと思います。

――「愛のシュプリーム!」のラップはオールドスクールっぽいノリでとてもキャッチーですが、レコーディングはいかがでしたか?

kevin 自分でどんなラップにするかある程度イメージしてからレコーディングに臨んだんですけど、そこからスタジオで長時間かけて、みんなで1行ずつニュアンスを組み立てて作り込んだ結果、このラップになりました。どうすれば聴いている人の耳に引っかかるラップになるかを試行錯誤しましたね。

towana レコーディングは去年の4月にやったんですけど、私はその頃、コロナのことなど、落ち込んでいた時期が続いていたんです。苦しいし、先が見えないし、ずっと不安な状態で。しかもその日は、初めての緊急事態宣言が発令された直後で、今よりももっと緊迫感がある状況だったので、「この曲を聴いてもらえるときが本当にくるのかな?」という不安のなかで、10時間くらいかけて録ったんです。だからそのときの気持ちは鮮明に覚えていますし、今はやっとここまで辿り着いたという気持ちでいっぱいで……。歌自体もラップも楽しい感じなので、今聴くと、あの状況のなかでよく頑張ったなって思います(笑)。

――yuxukiさんはどんな部分にこだわってギターを弾きましたか?

yuxuki 今回はグルーヴ担当だったので大変でした(笑)。佐藤さんの楽曲ってノリが難しいんですよ。カッティングを入れるタイミングにもこだわりがあるので、その塩梅を掴むまでに時間がかかって。あとは2サビのあとの楽器が派手になるところとか、キメキメのフレーズが多いので、楽器隊としても楽しい感じを表現できればと思いながら弾きました。それとこれを録った2020年当時は、ヴルフペック(アメリカのファンクバンド)をよく聴いていたので、ああいうノリを上手く取り入れたいなあとも思っていました。

――ちなみにこの曲、ファンクバンドのフリーダムが70年代に発表したダンスクラシック「Get Up and Dance」と、それをネタ使いしたスチャダラパーの「GET UP AND DANCE」を彷彿とさせますね。

佐藤 まさにその通りです(笑)。2019年の打ち合わせのとき、みんなで楽しくなれるラップということで、「ポンキッキーズ」のOPテーマ(スチャダラパー「GET UP AND DANCE」を下敷きにした「Welcome to Ponkickies」)みたいな感じがいいかも、という話になったんですね。

――その意味では「今夜はブギー・バック」のカバーも伏線になっていたわけですね。

佐藤 ラップのディレクションも僕がしたんですけど、結局、自分が90年代に聴いていたラップっぽいニュアンスなんですよね。スチャダラのBOSEさんとか、かせきさいだぁさん、TOKYO No.1 SOUL SETのBIKKEさんとか。

kevin レコーディングのときも佐藤さんから「BOSEさんになりきってみてくれない?」っていうディレクションがあって(笑)。

yuxuki 今はバキバキのラップが多いので、そのほうが逆に新鮮だと思うんですよね。

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