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INTERVIEW

2021.07.21

名曲「青空のラプソディ」を生んだfhánaと『メイドラゴン』のタッグが再び! TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OP主題歌「愛のシュプリーム!」リリースインタビュー

名曲「青空のラプソディ」を生んだfhánaと『メイドラゴン』のタッグが再び! TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OP主題歌「愛のシュプリーム!」リリースインタビュー

仕掛けと苦労が満載!? 「愛のシュプリーム!」MV撮影エピソード

――「愛のシュプリーム!」のMVについてもお聞かせください。何回も繰り返し観たくなる、仕掛けが満載の楽しい映像に仕上がっていますね。

kevin 曲も情報量が多いですけど、MVの情報量もすごいですよね(笑)。

佐藤 最初のイメージとしては「青空のラプソディ」のMVのパワーアップ版というのがありました。「青空のラプソディ」と言えばダンスなので、今回も振付のあるMVにしたくて。なおかつ、その振りをアニメのOP映像でキャラクターも踊る、というアイデアがあったので、まずワンコーラス分の振りを付けて、それを京アニさんにに共有して、OP映像の制作を進行していたんです。

――そういう流れであのOPアニメが実現したんですね。

佐藤 そこから「青空のラプソディ」みたいな長回し風で、ミュージカル的な展開があって、最終的にはみんなが大集合して大団円のMVにしようと。ただ、本当に大変でしたね。広いスタジオの四方に別々のセットを組んで、最終的にカメラが引いてネタバラシ的に全体が見える状態になる、っていう全体像を最初に僕が企画書を作ってまとめていて。それを具体的にどう実現するかを映像制作会社の方々とすごく時間をかけて話し合って。5~6時間くらいの打ち合わせを3~4回しましたから。

towana 私も打ち合わせに参加して、衣装とかやりたいことのアイデアを自分から出したので、すごく力が入っていますね。

――MVのオチで、towanaさんがいつの間にか一人になっている演出も良かったです。

towana あれも最初のプランでは、みんなは退場せずに全員集合で終わる予定だったんですけど、音的にも段々音数が少なくなってボーカルとビートだけになるので、最後は私だけが残って歌うほうがいいのでは?って提案したんです。足音も入れてくださって、いい感じになりましたよね。

――kevinさんは今回ラップをやっていることもあり、いつも以上に活躍されていますね。前面に出る場面も多いですし、カウントダウンに合わせてスイッチを押す係もやっていて。

kevin ライブで前に出ることはあっても、MVでは基本バンドの一員という映り方だったので、「towanaさんは毎回こういうプレッシャーを乗り越えているんだな」っていう気持ちになりましたね(笑)。スイッチもどこに置くか、どういうふうに押すか、指何本で押すかまですごくこだわったんですよ(笑)。

towana スイッチのシーンはkevinくんと私とダンサーの皆さんの一連の流れを合わせるのがすごく大変で、あそこが成功したときは、まだ撮影が残っているのに本当に泣きそうになりました(笑)。

kevin 全シーンの一挙手一投足が、そういう積み重ねで作っているので、すごく作り込んだ内容ですね。

――たしかに佐藤さんとyuxukiさんも、フロントの二人の後ろで細かい演技をされているのが印象的でした。

yuxuki 小芝居してますね(笑)。あれもタイミングがちゃんと決まってるので結構大変なんですよ。立ち位置とかもちょっとズレただけで撮り直しになるので。

佐藤 2番からDメロまでのシーンが全部繋がっていて、そこが1番の長回しだったんですけど、そこは10回ぐらい撮り直しましたね。あれだけの登場人物がいるなか、カメラマンさんの位置も含めて全部のタイミングを揃えなくちゃいけなくて。最終的には子役のピエロの子が泣いてしまって、「あの子の涙は無駄にしない、あとは頑張る……!」っていう感じで(笑)。

towana でも、その子、自分がその年だったらと考えると信じられないぐらい頑張ってくれたんです。

佐藤 出演している人も、裏方の人たちも、力を結集して撮影しましたね。絶対に過酷な撮影になるだろうし、時間通りには進まないと思っていましたけど、最後のほうは日付も跨いで深夜になり撤収の時間も迫っていて、怒号が飛び交う感じで。

kevin でも、その甲斐あってすごくいいMVになりました!

攻めの姿勢とfhánaらしさが詰まったカップリング2曲

――シングルのアニメ盤には、佐藤さんが作編曲した『メイドラゴンS』のキャラクターソングをセルフカバーした「GIVE ME LOVE(fhána Rainy Flow Ver.)」を収録。これもまたtowanaさんとkevinさんのラップ曲になりました。

佐藤 スーパーちょろゴンずが「青空のラプソディ」をカバーしてくれた流れもありつつ、キャラソンアルバム用に提供した曲がかっこよくできたので、これはfhánaでもやりたいなと思ってセルフカバーすることにしました。ちょろゴンずバージョンの歌詞は林くんが書いていて、fhánaバージョンはtowanaとkevinに書いてもらったので、歌詞の内容は全然違うんですけど。

――『メイドラゴン』と言えば“異種間コミュニケーション”の物語ですが、この曲の歌詞にもそういう要素がありますね。

佐藤 キャラソンのほうは明確なオーダーがあって、人間とドラゴンだったり、ドラゴンの中でも調和勢と混沌勢で分かれていたり、文化的背景も種族も違う人たちのディスコミュニケーションと相互理解みたいなところを歌詞にしたんですけど、fhánaバージョンの場合は、「同じ人間同士なのにそれでもわかり合えないことがあるよね」という部分をtowanaとkevinに膨らませて歌詞を書いてもらいました。

kevin 基本的に歌の部分はtowanaさん、ラップの部分は僕が歌詞を書いていて。僕とtowanaさんでコミュニケーションを取りながら作ったわけではなく、お互い佐藤さんのディレクションを受けて書いた感じですね。

佐藤 towanaに関しては、基本は上がってきたものをそのまま受けいるつもりで頼んでいて、towanaらしい儚げな言葉が入ればいいなと。kevinのラップの部分に関しては、徹夜でやり取りしながら作って……完全に漫画家と編集者状態でしたね(笑)。

kevin そもそもテーマ性に沿ったお話として成立するものにしつつ、自分でラップをするので、こういう韻を踏みたいとか、この言葉の方が発音的に気持ちいいとか、意味を壊さないようにそういう部分を入れていくパズルが、大変でもあり楽しいところで。すごく時間がかかりましたね。

――kevinさんはもはややっていることが完全にラッパーですよね(笑)。ラップ自体も「愛のシュプリーム!」より鋭さがあって。

kevin 韻を踏んでいる回数も多いし、いわゆるみんなが想像するラップに近いのはこの曲かもしれないですね。

佐藤 今流行っているラップはこういう固く韻を踏んでいくゲーム性の強いものですからね。ちなみに歌入れも、「愛のシュプリーム!」よりもこっちのラップのほうが大変でした。

――towanaさんのラップも言葉のアタック感が強くて、すごくかっこよかったです。

towana 私はラップの知識とか教養もないから、全部ディレクション通りにやっているんですけど、私にとってはメロディがないぶん歌よりも大変なんですよ。「このメロディ通りに歌ってください」というのはできますけど、メロディがない状態で抑揚をつけるのが難しくて。だから、これは自分にしかわからないと思うんですけど、結構不貞腐れているところがあります。自分で聴くと「あっ、ここの私、怒ってるな」って(笑)。

一同 (笑)。

kevin ディスコミュニケーションを歌った曲で、ディスコミュニケーションしてたわけですね(笑)。

towana そうそう。それもあってか、聴くと逆に良い感じなんですよ。アタック感を感じたのは、私が怒ってるからかもしれないです(笑)。「できないよ!」みたいな。

――アレンジもループ感のある、よりヒップホップっぽい作りですよね。

佐藤 リフメインですね、この曲は。

yuxuki アレンジでギターを弾くときに、佐藤さんから「とことん緻密に考え抜かれた、超お洒落なカッティングを入れてください」ってきて「えっ?」ってなって(笑)。とんでもないオーダーでしたね(笑)。

――そしてもう一方のアーティスト盤には、yuxukiさんが作編曲した「閃光のあとに」を収録。透明感あるシンセとビートのエレクトロニックな質感が気持ち良い、爽快なナンバーです。

yuxuki これは夏の終わりをイメージして作った曲ですね。花火大会を見に行ったあとの、ちょっと寂しい感じを曲にしたいなと思って。「愛のシュプリーム!」が賑やかな曲なので、落ち着いたものにしたかったんです。でもダンサブルな感じも残したかったので、トラックは最近の好み全開になりました。メインのシンセは佐藤さんに差し替えてもらったんですけど、シンセも含めサンプリングからほとんど自分で作り込んだので、割と趣味が出ている曲だと思います。

――音の雰囲気とtowanaさんの歌声がすごくマッチしていて。

yuxuki 歌良いですよね。レコーディングはめちゃくちゃ速かったです。2時間ぐらいだっけ?

towana yuxukiさんの曲はいつも早いんですよ。歌いやすいので。良い意味で抜いてる感じというか、切ない感じを意識して歌いました。

yuxuki ミックスも、佐藤さんが作った曲とはまた違った感じにしています。歌をダブルにして、その片方にオートチューンをかけることでちょっとした違和感を出したり、コーラスもBメロのところは1本の歌からシンセで広げて作ったりしていて。歌も攻めた感じで作りました。

――ラップをメインにした表題曲からキャラソンのセルフカバーまで、攻めの姿勢を感じさせるシングルになりましたね。さて、fhánaは今年の5月5日に結成10周年を迎えたわけですが、この先バンドとしてどのような活動のイメージを持たれていますか?

佐藤 まず10年の実感があまりないんですよね。割と自然にここまで来た感覚なので、「どうやら10周年らしいよ?」みたいな(笑)。で、これからのことを考えると、今は状況が状況なので難しいですけど……まずは普通にいいライブがしたい気持ちが強くて。もちろんアニメのカルチャーも大事にしつつ、良い楽曲を作って、良いライブができて、それを聴いてもらえたら心は満たされるので、今後もそれを続けていきたいですね。

――個人的にも「愛のシュプリーム!」を早くライブで聴きたいです。

kevin 僕らも早くやりたいです!

佐藤 特に2サビ終わりからのDメロ、Eメロ、ラスサビのくだりとかは、ライブを想像するだけで泣きそうになりますからね。「青空のラプソディ」もライブでDメロ、Eメロのところがすごく盛り上がるし、ライブで何度やってもカタルシスがあるので、今回もそういう楽曲にしたいなと思って、Dメロ、Eメロを考えるのは相当プレッシャーだったんですよ。

towana 私もファンの人と会いたくてしょうがなくて……。今は本当にライブがしたいので、そのときにはしっかり歌いたいです。

※本取材後に、「愛のシュプリーム!」のリリースを記念したツアー「fhána Love Supreme! Tour 2021」の開催が決定した。下記の詳細をご覧いただきたい。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●配信情報
「愛のシュプリーム!」
先行配信中

●リリース情報
アニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OP主題歌
「愛のシュプリーム!」
7月14日(水)発売

【アーティスト盤】

品番:LACM-24134
価格:¥1,320(税込)

<CD>
1. 愛のシュプリーム!
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
2. 閃光のあとに
作詞:林 英樹 作曲・編曲:yuxuki waga
3. 愛のシュプリーム!-instrumental-
4. 閃光のあとに -instrumental-

【アニメ盤】

品番:LACM-24135
価格:¥1,320(税込)

<CD>
1. 愛のシュプリーム!
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
2. GIVE ME LOVE (fhána Rainy Flow Ver.)
作詞:towana, kevin mitsunaga 作曲・編曲:佐藤純一
3. 愛のシュプリーム!-instrumental-
4. GIVE ME LOVE (fhána Rainy Flow Ver.) -instrumental-

●イベント情報
TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OP&ED主題歌発売記念配信イベント
7月24日(土)15:00 開始予定

イベント内容:トーク&ミニライブ
出演者:スーパーちょろゴンず、fhána
配信プラットフォーム:MixBox
アーカイブ配信:7月25日(日)正午~7月25日(日)23:59まで

※ネットワーク環境の状況により開始時間は、多少前後する可能性がございます。
※今後の状況により、配信の延期、中止、内容の変更なども検討させていただく場合がございます。
※生配信及びアーカイブ配信は日本国内からのみ視聴可能です。

参加方法
・アニメイト店頭で購入のお客様
対象商品①②の両商品を下記店舗にて、ご予約(全額内金)またはご購入いただいた方に、配信イベントがご覧いただける視聴用シリアルコードが記載された、視聴コード券をお渡しいたします。
対象店舗:全国アニメイト

※視聴コード券はなくなり次第終了となります。予めご了承ください。
※視聴コード券を紛失された場合、いかなる場合におきましても再発行はできかねますので、保管には十分にお気を付けください。

●ライブ情報
fhána
Love Supreme! Tour 2021

TOKYO – OSAKA
主催:株式会社ORB

9月12日(日) Billboard Live TOKYO
9月17日(金) Billboard Live OSAKA

詳細は各種公式サイトをご覧ください。

関連リンク

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「愛のシュプリーム!」配信リンク
・通常版
https://linkco.re/VYD9Tvdr

・ハイレゾ盤
https://linkco.re/Mr5MmEsr

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