TOY’S FACTORY内レーベルVIAより、星街すいせいとコラボした「3時12分」でメジャーデビュー!TAKU INOUEインタビュー

「アイドルマスター」シリーズの数々の楽曲や、DAOKOなどアーティストや作品への楽曲提供、そしてDJと様々なフィールドで絶大な支持を得るクリエイター・TAKU INOUE。そんな彼がついに、TAKU INOUEとしてメジャーデビューを果たすというニュースが報じられたのが6月のこと。歓喜の祝福を経て、いよいよ幕を開けたソロキャリアとしての第一歩となる、VTuberの星街すいせいを迎えて作られた最初の楽曲「3時12分」は、彼が愛してやまないクラブシーンへの愛をふんだんに詰め込んだクラブ賛歌となった。現代音楽シーンきっての人気者クリエイターは、自身のソロプロジェクトを、そして「3時12分」をどのように鳴らし、世界を変えに行こうとしているのか――。

――7月14日、いよいよメジャーデビューを果たすことになりましたが、僕からもひとこと言わせてください。“#イノタクおめでとう”(笑)。

TAKU INOUE いやあ、お騒がせしましたね(笑)。よくやりましたよ、あんなプロモーション。ドキドキしたなあ、ほんとに。マジで胃が痛かったですもん(笑)。

――メジャーデビューが報じられた瞬間、Twitter上には”#イノタクおめでとう”のハッシュタグとともにTAKUさんの顔写真がツイートされるという現象が起きたという。

TAKU あれはVIAの提案ですけど、「よくそれをやろうと思ったな」と。でも自分の曲を売るためにみんな頑張ってくれてるんだなって思って、腹にグッと力を入れて「やりましょう!」と。でも言ったはいいんですけど、情報解禁の数日前になると、飯食えないぐらい胃が痛くなって。”#イノタクおめでとう”ってハッシュタグを作ったはいいが、これ、誰も呟かなくて駄々滑りしたらどうしよう、「何やってんだよお前」って言われるかな?って、色々考えながらだいぶドキドキしました。いざ蓋開けてみたら僕の友人たちもそうだし、ファンの方々も温かい声をかけてくださる方がいっぱいいて、ありがたかったですね。

――こうしたムードはメジャーデビューならではだし、TAKUさんのキャリアのなかでもなかなかない機会ですよね。

TAKU そうですね。おめでとうと言われる瞬間って普通に作家としてやっているときはあまりないので……やっぱりそうですね、気持ちとしては違いましたね。

――そもそも、そうしたご自身の名前でリリースすることについては、2019年にトイズファクトリーとアーティスト契約を結んでから想定していたことなんですか?

TAKU えーっと、実は契約自体は2018年からしていて、自分の曲もリリースしていきましょうねってぼんやりと話してはいたんですけど、ありがたいことに作家仕事が多くて、全然やる暇がなくて。契約してから3年ぐらい経ちますけど、全然プロフィールページ更新されませんねって社内でネタにされるぐらいにはなっていたんですけど(笑)。

――そこからこうしてソロ作をつくるに踏み切った経緯は?

TAKU 春先に、ちょっと仕事の谷間のタイミングがあって、そういうときって色々考えてしまうんですよね。「わりといい歳だし、この先どうしていくんだろう俺は」っていうのを考え始めてしまって。今はありがたいことに作家仕事があるからいいけれども、そういえばトイズに入って一曲も出してないし、いまだにプロフィールページにCDの情報書かれてないしって(笑)。モヤモヤ考え始めて、そのときスタッフ内での打ち合わせのときに、「そろそろ自分名義の曲も1曲やってみようかな……?」って小声で呟いたら、あれよあれよという間にみんながセッティングしてくれて。逆に後に引けない状態になってしまって。

――スタッフもそのひとことを待っていたんですかね?

TAKU そうなのかな? 待っててくれたのかなあ。

――そうしてソロキャリアをスタートさせるにあたって、音楽性として「こういうことをやりたい」と考えることはありましたか?

TAKU とはいえ自分は作家仕事で来たオーダーと、自分のそのときやりたいことをマッチさせられることが多くて、その都度自分がやりたいことができていたので、ありがたいことに。なので今までもアーティスト欲というのを満たしつつやっていたんですよね。じゃあこのソロとして曲を書くときにどうしようかってなったときに、まず(星街)すいせいさんに歌っていただくというのは決まっていたので、彼女の声質がまず第一というのはあったんですよね。それと作家仕事ではなかなかできないことでミドルテンポというのがあって、これまではわりと派手でキャッチーでみんな騒げるみたいな曲が求められがちだったので、だったらこういうところでやっておきたいなと、しかもすいせいさんに絶対合うからというのもあって、今回こういう曲になりました。

――なるほど。また今回はトイズファクトリー内レーベルの”VIA”からのリリースとなります。デジタルストリーミング時代における新世代アーティスト/楽曲を発信する新興レーベルですが、それについてはどう思いますか?

TAKU まずトイズのほうから「VIAからリリースするのはどう?」っていう提案があって、自分もアルバムを1枚出すのに何曲か作ってリリースする方法よりかは、1曲1曲細かく出していくのがいいなって思っていたのもありました。また盤で出したいという気持ちもそんなになかったので、VIAは自分に合っているかなと。配信をメインでやっていきたいというのもあったし、その配信強いレーベルだったので、そこと自分が合致したのはありますね。

――リリース形態も含めてTAKUさんが考えるビジョンがVIAとマッチしたと。さてそんなデビュー作となる「3時12分」ですが、自分も含めて聴いた人たちは思わず込み上げるような素晴らしい楽曲だなと……。

TAKU 来るものがありましたか(笑)。

――そのあたりを今日は一つひとつ聞いていきたいなと。まず今回の楽曲はVTuberの星街すいせいさんをボーカルに迎えた1曲となっています。楽曲を作る前に星街さんを起用しようというのがあったんですよね。

TAKU そうですね。自分の曲をやろうとなったときに誰かボーカリストを立てようというのはあって、何人か候補をリストアップした名前のなかにすいせいさんがいたんですよ。そこからちょうどタイミンングよくいけますとなって、それですいせいさんに歌ってもらう曲を書き始めた感じですね。なのですいせいさんの声はすごく研究したし、彼女のオリジナルも含めて聴いて、「この辺の音域ならいいんじゃないか」っていうのは考えましたね。

――彼女自身、VTuberの活動のなかですでにオリジナル楽曲もいくつか発表していますが、また雰囲気のある実力派だなという印象で。

TAKU すごいんですよね。僕もびっくりして。上手なのは知っていたんですけど、こんなに魅力あるんだって改めてびっくりして、衝撃のレコーディングでしたね。

――そんな「3時12分」ですが、まず楽曲のタイプとしてミドルテンポを採用したというのを改めて伺いたいのですが……。

TAKU それなんですよね。最初の曲だし、派手で勢いあるやつののほうがいいよなって最初はもちろん思っていて。で、すいせいさんとやることが決まったあとも、その方向でも考えていたんですけど、自分のなかでミドルテンポの曲を書きたい欲がすごく高まっていて、どうしてもそっちの方向にいっちゃうなっていうのがあって、「じゃあこれだ!」と思って。

――たしかにTAKUさんのこれまでのキャリアから、アッパーな楽曲を想像する人も少なくないかとは思いますね。

TAKU なのでめちゃくちゃ悩んで。とはいえ、これをスタッフに聴かせるときに、「最初の曲っぽくないんですけど……」って小声の感じでメールしたら、ディレクターの反応はすごくよくて。「ミドルテンポだけど派手さもあるし、いい曲だし、これでいいじゃないですか」ってなって。

――なるほど。改めて、楽曲はどこから作り始めましたか?

TAKU まずサビのメロディがあって、そこから作っていった感じでした。すいせいさんの声でこの曲調だったら絶対よくなるというのがあったので、Aメロは声とエレピ一本でいこうって声推しで組み立てていったのはありますね。声がすごく聴こえるように、最後の調整も意識してやりましたし。

――そうした静かな序盤からサビに入った瞬間、一気に開かれる印象がありますね。

TAKU やっぱりデビュー曲だし、多少煌びやかな要素は欲しいなって思ったので、最初から派手にいきましたね。サビに入った瞬間の高揚感というのは、今回意識したいなと思った部分はありますね。

――この派手さがありつつミドルテンポでじっくり聴かせるという、ある種のギャップもまたいいなと。

TAKU あ、よかったよかった。狙い通り(笑)。でかい音でかけたいなってなるような感じですね。

――そしてサビが終わったところでギターソロが入りますが、ギターもドラムも非常に変則的な構成になっていて。

TAKU 遊んだというか、あそこも曲のピークとしてやりたかったんですよね。ドラムもドカドカ好き放題叩いているしギターも好き放題やっているし。それをミドルテンポの曲でやると面白いかなって。

――あの独特の陶酔感は実にクラブ的だなと。

TAKU そうですね、そこは意識しましたね。そう思っていただけるとソロをやった甲斐がありますね。

――ビートできっちり乗せるのとはまた違った新しさも感じられる構成ですね。

TAKU 自分の今、まさにやりたいことを詰め込んだというのはあります。あそこの気持ち良さはすごく意識しましたね。

――そうしたトラックメイキングの一方で、改めて星街さんのパフォーマンスについてお伺いします。改めてそのレコーディングでの歌声はいかがでしたか?

TAKU ビックリで。まずデモを送った次の日ぐらいに仮歌を返してくれたんですけど、その時点で相当仕上がっていて、「これで全然いいな、このままリリースしようかな」ってぐらいで(笑)。でも、ほぼこのまま歌ってくれたらいいなって思っていたら、レコーディングはすごかったですね。全然いうことなくて。

――それこそこの曲ではビートにしっかり合わせるタイプのボーカルではなく、空間のなかで感情の起伏を聴かせる印象ですが、その表情のつけ方も素晴らしいなと。

TAKU 起伏の部分でいうと、ほぼ彼女が思うようにやってもらった感じで。こっちから「もうちょっとここ盛り上げましょう」っていうのは言ってないんじゃないかな? そういう緩急のつけ方もすごく気持ちよくて、結構衝撃のレコーディングでしたね。

――そうしたディレクションの必要のないくらいのレコーディング経験も珍しい?

TAKU 少ないですよ。長く音楽やってきたなかでの有数の衝撃でしたね。

――TAKUさんの楽曲としても素晴らしい一方で、彼女にも今後注目が集まりそうですね。

TAKU 彼女のオリジナルでこういう曲はやっていなかったと思うので、すいせいさんのファンにも新しい一面も見てほしかったし。こちらも彼女の良さを引き出そうという気持ちはあったんですけど、いい球返してくれたなあって。

続きはこちら

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人