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INTERVIEW

2021.06.30

5年ぶりのオリジナルアルバムに込めた表現者としての想い――豊崎愛生、ニューアルバム『caravan!』リリースインタビュー

5年ぶりのオリジナルアルバムに込めた表現者としての想い――豊崎愛生、ニューアルバム『caravan!』リリースインタビュー

豊崎愛生が4thアルバム『caravan!』をリリースした。今作は自身にとっての第二章の始まりであり、そしてコロナ禍で感じた表現者としての並々ならぬ想いも込められている1枚。UNISON SQUARE GARDENの田淵智也、クラムボンのミト、土岐麻子、さかいゆうなど豪華な作家陣が楽曲提供を行っているのもポイント。本インタビューでは作品の話はもちろん、声優という枠を越えた自由なソロワークができる理由や、ライブに対する想いについても語ってもらった。

こんな時代だからこそ幸せを届けようと思った

――今日はリモートでのインタビューになります。

豊崎愛生 よろしくお願いします!

――先ほど「立て続けにインタビューですみません!(スタッフ)」「いえいえ! この感じ、久しぶりです!(豊崎)」という会話が聞こえてきましたが。

豊崎 ふふ、聞こえてましたか(笑)。オリジナルフルアルバムのリリースが約5年ぶりになるので、こういうプロモーション活動って懐かしいんですよね。リスアニ!さんにアニメ作品を介さず、豊崎愛生本人として関わらせていただくのが久しぶりで嬉しいです。

――アルバムのことを聞く前に業界の話からお聞きしたくて、近年は声優さんがアーティストデビューをする機会が急増しましたよね。この状況ついて豊崎さんはどう思いますか?

豊崎 声優はこうじゃなきゃいけないとか、あっちの領域に行ってはいけないとか、そういう決まり事って個人的には気にしていなくて。みんなが好きなことを思いっきりやれる場所があるのなら、それに越したことはないと思うんです。今、声優さんの中には、自分で曲を書いたり演奏したりする人もたくさんいて、本当にすごいなって。私は自分が出来ないことや想像ができない可能性を、毎度コラボさせていただいてるアーティストさんや作家さんに引き出してもらっている感覚があるので。少し情けないのかもしれないんですけど……憧れというか、皆さんに対しては「すごい!」の一言に尽きますね(照笑)。

――領域の話がありましたが、「声優はアニソンを歌うもの」というイメージを刷新して、「こんなにも音楽的なアプローチをするんだ」と世間の認識を変えた一人が豊崎さんだと思うんですよ。

豊崎 本当ですか!? そんなふうに言っていただいて……あ、ありがとうございます!(照)。単に私は音楽が好きだっただけで、自分の中で仕事とあまり直結させていなかったんですよ。

――楽曲もコラボされている作家陣も幅広いですし、本当に自由な姿勢ですよね。

豊崎 私の音楽活動には3つの顔がありまして。スフィアに関していうと私は声優ユニットのメンバーとして、タイアップの楽曲などをたくさん歌わせていただいます。もう一方で、作品の役として数々のキャラソンを歌ってきました。

――同じ時期に並行して異なるアプローチをしてきた。

豊崎 そうです! スフィアであればお客さんが見たいものや聴きたい音楽、若かりし頃は皆さんに喜んでいただける衣装とか、そういうものを突き詰めていこうと思っていて。キャラソンでは豊崎愛生が歌っていることは取っ払い、自分が演じているキャラクターが実際に生きていて、その子がライブをやっている聴き方をしてもらえるように、どちらかといえば演じることを意識してました。つまり、同時期に違うアプローチをやらせていただいたおかげで、ソロでは私の好きなことをやるチャンネルに切り替えられたんです。「今の流行りはこっちだけど、私はザ・ビートルズ臭のするこの曲が好き!」とか「今回はこの方とご一緒したい!」みたいなことをひたすら選択していって、それに周りの方が賛同してくれた。それが「声優アーティストの認識を変えた人」だなんて思っていただけたら、本当に光栄です。

――最初からご自身の好きなことができる環境だったんですか?

豊崎 声優という仕事が軸にあって、私が演じる役や作品が大前提にないとお客さんは耳を傾けてくれなかったと思います。なので全然違うことをやっているようで、全部繋がっているんですよね。「声優の私」「スフィアの私」「キャラソンの私」「ソロの私」を並行して10年以上もやらせていたからこそ、皆さんに応援していただけて、私自身も好きな活動ができていると思います。

――長いキャリアの中で気づいたことなどはありますか。

豊崎 やっぱり20代の頃は初めてのことばかりで、やる気はあるけど思うように形にできなくて……。なので自分に対しての反省も多々あって、周りが見えていないというか、「いっぱいいっぱいだったな」と思いますね。しかも私は自分に対してのコンプレックスが強くて「私が自慢できるものってなんだろう? 特にないよな」という感じだったんです。30代になってハっと気づいたのが、私が自慢できるのは“今まで出会ったお客さんや作ってきた作品たち”だと思ったら、これまでの日々が全部自分の自信に繋がっていたんですよね。だから私の音楽に耳を傾けてくれた人に対して、今度は自分が感謝を形にして返していく10年にしたいなと思っています。

――それが今回リリースするフルアルバム『caravan!』にも繋がっている。

豊崎 はい! ソロデビューをして、その間に3枚のオリジナルアルバムをリリースさせてもらいました。さらには、ベストアルバムを夢であったレコードとして発売させていただいて、そこで1つの集大成というか、第一章を終えた達成感があったんですよね。ここからは豊崎愛生の第二章を見せていきたいと。あとは、去年の夏からアルバム制作をしていたこともあり、コロナ禍で皆さんのライフスタイルが大きく変わった年に、身近なハッピーだったり世界平和を祈ることの幸せだったり、自分の周りにあるたくさんの幸せを楽曲に込めて、色んな形のハッピーを表現するポジティブな1枚にしたいと思いました。

次ページ:「エンタメを止めてはいけない」という想いを具現化した、4thアルバム『caravan!』

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