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INTERVIEW

2021.06.26

約2年半ぶりのオリジナルアルバムは「この世は地獄」がメッセージ……!? BURNOUT SYNDROMES、4thアルバム『TOKYO』ロングインタビュー

約2年半ぶりのオリジナルアルバムは「この世は地獄」がメッセージ……!? BURNOUT SYNDROMES、4thアルバム『TOKYO』ロングインタビュー

デビュー以来、TVアニメ『ハイキュー!! 』の楽曲をはじめオープニング・エンディング問わず、数多くのアニメとのコラボレーションを果たしてきた青春文學ロックバンド・BURNOUT SYNDROMES。最近では津軽三味線を軸としたTVアニメ『ましろのおと』で、1クールで2曲のOPテーマを世に届けたことでも話題となった。そんな彼らがシングル「BLIZZARD/銀世界」から時を置かず、4枚目となるオリジナルアルバム『TOKYO』をリリースした。今回は絶賛発売中のアルバムから、その収録曲を1曲ずつ、メンバーの言葉で紐解いていく。熊谷曰く、テーマにあったのは「この世は地獄」というメッセージ――!?

14曲中、9曲が新曲!フルコースが楽しめる1枚

――4thアルバム『TOKYO』がリリースとなりました。最近では精力的なアニメとのコラボが印象的な皆さんですが、今回のアルバムにはシングルを5曲収録しながらも、全14曲収録という力作です。

熊谷和海 10曲入りのアルバムだとしたら、2曲に1曲の割合でシングル曲が来てしまうので。やっぱりBURNOUT SYNDROMESのお客さんは僕たちのシングルは全曲買ってくれていると思いますし、2曲に1曲シングルが流れてきたら「この曲は持っているな、この曲も持っているな」と思ってしまう気がして。僕らも音楽ファンとしてはシングルばかりのアルバムを聴いたら「もうちょっと新曲が聴きたかったな」と思ったりするので、アルバム曲をいっぱい作ってあげないとということで、頑張って新曲を9曲作りました。

――とはいえ、収録されているシングル曲のカロリーが非常に高いですよね。新曲はどんなふうにしようと思ったのでしょうか。

熊谷 アルバムは料理で言うところのフルコースだと思っていて、今回のフルコースはどんぶりもの(シングル曲)が5品あるんです。そんなどんぶりをどう分けていくべきかと考えたのですが、もっと味の濃いものを入れるしか方法はないなと……思って。なるべく濃い味で、でもベクトルの違う濃さのある9曲を入れて、シングルを逆に際立たせるようにしたかったんです。「こういう曲だったんだ、このシングル」と改めて感じるような新しい聴き方ができたらいいなというのは考えていました。

――熊谷さんから届く楽曲を聴き、お二人はどのようなことを感じていましたか?

石川大裕 正直、「これはどんなアルバムになるんだろう?」と思っていました。熊谷くんの中には全曲のイメージがあっても、受け取る僕らは1曲ずつだったので。「次はどんな曲が来るんだろう」「こういうカラーの曲なのか」「次はこんな雰囲気の曲か」と思いながら作業をしていって、最後の曲を録り終えたときには「え!? このアルバム、どうなるの!?」って。

熊谷 最後までわからない(笑)。

廣瀬拓哉 あはははは(笑)。そうだったよね。最初に「アルバムは何曲入りにしますか?
」という話になったのですが「14曲」って聞いて「嘘だ!」と思いましたね。「このペースで9曲もの新曲を作れるのか!? 」って、僕はすごく心配だったんですが、続々と届いてくる楽曲群に、彼(熊谷)は死ぬ気で頑張っているんだな、ということが伝わってきていました。

石川 (作曲の)鬼でしたね。

――そんな『TOKYO』収録の楽曲について1曲ずつお話を伺おうと思います。まずは「2020年渋谷の旅」です。

熊谷 我々はだいたいアルバムの1曲目にはクラシックモチーフの曲を持ってくるのですが、今回は「ツァラトゥストラはかく語りき」(リヒャルト・シュトラウス)です。去年から僕が映画にハマりまして。特にスタンリー・キューブリックの映画は最高だなと思ったんです。なかでも「2001年宇宙の旅」に大感動しまして。音楽の使い方が絶妙なんですよね。「ツァラトゥストラはかく語りき」がパパーン!と鳴った瞬間に五感のすべてを奪われた気がしていて。あのオープニングのようにアルバムを始めたいと思ったんです。雑踏の音なども駆使して、あとは打ち込みで作ったトラックに僕が歌を入れる、というシンプルなものなんですが、クラシック曲を打ち込むときには指揮者のノリで変化がついているので、一定のリズムではなく一拍ずつテンポを変えています。

――続く「Good Morning World!」で一気に世界が開けます。

熊谷 「2020年渋谷の旅」自体が感染症に言及していて「振り返ってみればこれまでの日常って奇跡だったんじゃないの?」と歌っているのですが、そこからこの曲に続く流れがしっくりくると思ったんです。この曲はTVアニメ『Dr.STONE』のOPテーマで、「ゼロから再び始める世界」というアニメのイメージの強い曲でもあるので、味わい方も変わるかなと思ったんです。

石川 リリース以降、どんどん育っていった曲ですね。僕、この曲は「Good Morning」が「おはよう」であることや「おはよう」という意味を持つ言葉なんだというのを世界中へ広めたんじゃないかと思っているんです。海外から大きな反応をいただいていますし、「歌ってみた」動画やカバーをされるのもこの曲が一番多いんです。日本語の響きの気持ち良さがこの曲によって世界へと広がっているんじゃないかと思っています。

廣瀬 2020年は配信ライブなどでこの曲からライブが幕を開けることが多くて。それもあったのでアルバムの2曲目というイメ-ジがすでに出来上がっていたような気もします。

――そして「ロザリオをはずして」です。

石川 この曲はマンガっぽいですよね。女性の主人公がいて、銃を持っていて。熊谷くんもコミックをモチーフに作ってもいると聞いて、納得しながら楽しくベースをつけました。戦闘感に負けないような、ゴリゴリのベースをつけたので、アルバム曲の中では一番、ベースが暴れていると思います。

熊谷 「BLACK LAGOON」ね。銃を撃ちまくるのがすごくかっこいいなって思って(笑)。あの空気感を楽曲として表現したいなと思い作りました。

――なるほど。歌詞に滲むジャキジャキとした切れ味の由縁がわかりました。

石川 そう! ジャキジャキしてますよね!

熊谷 銃弾飛び交うなかでやたらと下品なジョークが飛び交うの、かっこいいなと思って、勝手に書きました。

廣瀬 こういった曲調は今までBURNOUT SYNDROMESにはなかったタイプでしたし、ドラムのフレーズもやったことのないものが多かったので、自分の中でも勉強になりました。あとはレコーディングのときにドラムテックに村上敦宏さんが入ってくださって、一緒に音作りをしまして。そのときに自分の概念を覆されて、これからの作品に活かされるような体験をたくさんさせてもらいました。

――「Good Morning World!」で幕を開けたら戦場へ。と思えば続くのはTVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』のOPテーマ「PHOENIX」です。

熊谷 このアルバムを買ってくださる方の中にはBURNOUT SYNDROMESにアニソン的な要素を見てくださる人もいるかなと思ったので、新曲の中でもアニソンっぽさのある「ロザリオをはずして」を先に持ってきまして、四番バッターに繋ぎました。

――「PHOENIX」は四番バッター。アニメ三期の白鳥沢戦を見終えた瞬間に書いた、という曲でしたよね。次のシーズンの制作が決まってもいない段階で。

熊谷 そうですね。熱のままに。絶対に次はある。それならこの曲だ!と。基本的に「全部俺に持ってこーい!(日向翔陽)」なタイプなので。僕も。なんだったら今も次の「ハイキュー!!」の曲を作っていますから。俺がやるから!全部持ってきてくれ!と(笑)。

石川 トスをあげてくれればな?

熊谷 全部、打つ!

石川 速攻すぎや。相手はまだサーブも打ってない(笑)。

熊谷 試合が始まっていないけどもう走ってます。その前のめり感も良かったと思っています。

石川 勝手に合宿に行った日向と一緒だ(笑)。

熊谷 まさに(笑)。

次ページ:ボーカル・熊谷が描く宗教、戦闘、死――

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