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INTERVIEW

2021.06.26

約2年半ぶりのオリジナルアルバムは「この世は地獄」がメッセージ……!? BURNOUT SYNDROMES、4thアルバム『TOKYO』ロングインタビュー

約2年半ぶりのオリジナルアルバムは「この世は地獄」がメッセージ……!? BURNOUT SYNDROMES、4thアルバム『TOKYO』ロングインタビュー

ボーカル・熊谷が描く宗教、戦闘、死――

――(笑)。そして「邪教・拝金教」です。「ロザリオをはずして」もそうですが、今回の新曲たちは、宗教観や死生観というような“信仰”といったテーマがあるような気がしました。

熊谷 僕自身もこれは宗教的な雰囲気のあるアルバムになるな、と薄々感じていました。これまでは手加減をしているわけではないのですが、今回は好きなことをやろうと思ったんです。僕が好きなテーマは宗教もの、戦闘もの、そして死。この3つを基に徹底的に好きな曲を作ろうと思っていたなかでのこの曲でした。これはお金に対しては最早、信仰のようになっているのではないか、という歌。実際の宗教観とはまた違いますが、そんなギリギリの曲にしたいなと思っていました。

石川 学校では教えてくれないことを教えてくれる歌ですよね。この歌詞に綴られていることって耳が痛い話だけど知っておかなければいけないこと。誰かに言われる以上に歌として届くと、ものすごい説得力が出ますよね。だからこそこの曲を録りながら、「このメッセージは最高だ」と思いました。熊谷にしか書けない曲です。

廣瀬 映画サウンド感があるのが新しいなと思いました。あとは単純にここまでお金のことを出すかということもありましたし、教訓にもなる1曲だなと思いました。

――クラシック楽器の音色が印象的ですが、これはどうして?

熊谷 2CELLOSという海外の、2台のチェロで演奏するユニットがいるんです。彼らの演奏がとにかくかっこよくて、そこを目指してチェロありきで作りました。バイオリンとビオラとチェロ、コントラバスとティンパニでシンプルに作りました。電子音では出ない荘厳さと禍々しさが出たなと思いますし、昔のビンテージ楽器が持っている怖さが宗教っぽさと共に出ますよね。ちなみにこの曲のイメージは「カイジ」です。

――なるほど! そんな拝金主義について歌っているのに続くのは「世界は愛で満ちている」です。

熊谷 それでも世界は愛で満ちているんじゃないかな?っていうことで、ド頭に「結婚行進曲」をもってきています。この2曲は、特に並べようと思って作ったわけではなかったんですよ。だけどやっぱりエグすぎる曲のあとには清涼剤となる1曲が欲しい。その曲でガラッとアルバムの空気を変えたいと思って書きました。もう、この並びしかなかったです。最近友人の結婚式に呼ばれることも増えていて、そこで感じたことを曲にしたのでぜひ結婚式で使ってほしいです。

――そして「銀世界」です。

熊谷 配信ライブで何回か演奏したのですが、我々はバンドなだけに演奏したときのノリがすごくいい1曲なんですよね。それこそ「BLIZZARD」よりも「銀世界」のほうがライブで大きく化ける気がしていて。アニメとともに皆さんの中でも育ってきているだけに、有観客ライブでやるのが楽しみになります。

石川 これはライブの最後とかにみんなで走り切る曲だろうと思います。勝手にお客さんの顔が浮かぶくらい、一体感を味わえるはずなので、必ずライブでやります!

廣瀬 叩いていて一番気持ちのいい曲です。すごく疾走感があって、ドラムで会場の空気を持って行けるイメージもあるので、ライブの後継が目に浮かぶんですよね。

――続いて「Love is Action!」はいかがですか?

熊谷 この曲は声優の駒形友梨さんに提供した1曲のセルフカバーですが、基本的には自分たちらしく作りました。僕らの歌はこれまでにも女性目線の歌詞はたくさんありますし、それは元々僕の音楽の始まりが「アイドルマスターシリーズ」なのもあって、女性目線の歌詞が作りやすいというのもあるからなんです。今まではそうして出来た曲を致し方なく男性である自分が歌ってきたのですが、それをちゃんと女性に歌ってもらえて、すごくよかったなと確認できた曲でした。ただ、人に提供する曲はちょっと柔らかくなっているものだなと再確認しました。自分が歌うためだったらもっと音運びや間についても難しくしてしまうのですが、提供曲には優しさが入るものだと思いました。歌いやすかったです。

石川 熊谷くんが歌うからこその良さがあるなと思いました。強い女の子の歌なので、男性が歌うことでより伝わるものがあるなと思いました。

廣瀬 歌とドラムの関係は繋がっているんですね。これはニュアンスが難しかったです。やっぱり駒形さんのイメージがどうしてもありますし、そこが熊谷の歌になるとどんなニュアンスにすればいいのか。「銀世界」のような男っぽさを入れたら世界観が変わってしまう。ビートの難しさがあったのを、編曲の岸田勇気さんに教えてもらいました。

――そして「BLIZZARD(Smoked silver Ver.)」。これ、Smoked silverって……。

熊谷 “いぶし銀”です(笑)。

――やはり(笑)。改めていかがでしたか?

熊谷 華やかさを生んでいた島﨑信長さんの声がなくて、いぶし銀1の僕が和歌を謳い、いぶし銀2はAUN J CLASSIC ORCHESTRAの井上公平さんの三味線と掛け声、という職人的なサウンドになりました。元々はこれがデモで。直前に「和歌は島﨑さんがいいです」と言った僕のわがままから実現してシングルとなりました。その前の段階の渋い方は気に入っていたので、今回入れました。

――いぶし銀とは真逆のCHiCO with HoneyWorksからCHiCOさんをゲストに迎えての「逢いたい逢えないfeat.CHiCO(CHiCOwith HoneyWorks)」が続きます。雄々しいBURNOUT SYNDROMESの楽曲に、その一声で華を咲かせるCHiCOさんのボーカルはいかがでしたか?

熊谷 CHiCOさんご本人もこういったゲストボーカルはほとんどやったことがないとおっしゃっていましたね。HoneyWorksさんの曲以外をあまり歌ったことがないので新鮮です、という言葉は嬉しかったです。まずやはり声がいいなと思いました。CHiCOさんの声が入るだけで自分が書いた曲ではないなって思ってしまいました。こちらも「Love Is Action!」に続き、CHiCOさんが歌ってくださるということで、曲の開け方にも優しさが入っている気がしましたし、CHiCOさんが気持ちを入れて歌える歌詞にしようと思い作詞しました。個人的に“せっかくの初雪も キミがいなければ にわか雨と同じ”という歌詞は気に入っていて、そこをCHiCOさんに歌ってもらえたのが会心の出来になりました。

石川 『ハイキュー!!』ファンとしては、第4期の『TO THE TOP』でのOPテーマ「PHOENIX」を歌ったBURNOUT SYNDROMESと、同じくEDテーマ「決戦スピリット」を歌われたCHiCO with HoneyWorksのCHiCOさんのコラボレーションに胸が熱くなりました。

廣瀬 歌声を聴いた瞬間に鳥肌が立ちました。いつかライブでコラボができたら嬉しいですね。

次ページ:『TOKYO』に込めたのは“この世は地獄だ”

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