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INTERVIEW

2021.06.14

新体制として初のアニメタイアップ!TVアニメ『86-エイティシックスー』OPテーマ「3分29秒」担当、ヒトリエインタビュー

2012年にVo&Gtのwowakaを中心に活動をスタートしたヒトリエ。2014年にシングル「センスレス・ワンダー」でメジャーデビューを果たし、アニメ「ディバインゲート」のOP「ワンミーツハー」、アニメ「BORUTO-ボルト— ANRUTO NEZT GENERATIONS」のED「ポラリス」でアニメとのコラボレーションも果たしてきた。そんな中、2019年4月にwowakaが急逝。同年9月よりメンバーのシノダがボーカルを務めた新体制に。2021年2月に新体制初のフルアルバム『REAMP』をリリースし、アルバムを携えて全国ツアーを敢行する中でアニメ「86-エイティシックスー」のOP「3分29秒」を発表。発売直後の彼らを直撃。ここまでの道程と「3分29秒」への想いを聞く。

――せっかくなので、まずは皆さんの記憶に鮮やかなアニメソングを教えていただきたいです。

イガラシ(Ba) 『新機動戦記ガンダムW』でTWO-MIXが歌っていた「JUST COMMUNICATION」です。TWO-MIXは『ガンダムW』のオープニングで「JUST COMMUNICATION」と「RHYTHM EMOTION」の2曲を歌っていて、本当は選ぶのは難しいんですけど、それでも強いて選ぶならやはり最初の1曲です。

シノダ(Vo,Gt) BS11で見ていたアニメ『白鯨伝説』のオープニング曲の「風とゆく」ですね。この曲はすごく印象深いです。僕は地上波はほとんど映らなくて、子供の頃から衛星チャンネルで番組を見ることが多くて、よく観ていました。あとは『KEY THE METAL IDOL』の「手のひらの宇宙」です。岩男潤子さんが歌っていたのですが、この曲も心に残る1曲です。

ゆーまお(Dr) 僕は『天空のエスカフローネ』の主題歌で、坂本真綾さんが歌っていた「約束はいらない」です。

――ありがとうございます! そんなヒトリエの皆さんですが、今回の『86-エイティシックスー』とのコラボレーションを前に、現在の体制になって初のアルバム『REAMP』を2月にリリースされたばかりです。新体制になってから現在までのご心境をお聞かせください。

シノダ 3人体制になってツアーもしましたし、アルバムも作って、シングルを出して現在もツアー中で。不思議といえば不思議なんですね。3人で動いていることに違和感みたいなものはぬぐえませんから。ただ今はずっと、やる以上はちゃんとしたものを作って、ちゃんと放っていかなければいけないな、という気持ちです。

イガラシ ちゃんと自分たちでどうしていくかを選択して、ライブをやって、編成が変わっても続けてきて、音楽を作っている。そこには選択や決断や、やることは変わらないけれど物を作る上でクオリティ高いものを届けているのですが、どこかでちょっとした浮遊感があって。夢遊病ではないですが、ふわっと浮いているような感覚は未だに感じています。曲作りなりライブなり、確信を持ってやっている瞬間はもちろんあるんですけれど、現実感が薄くなるときはありますね。

ゆーまお 自分たちの決断によって今の状況になっているのとは違うので。やらなきゃいけない、という想いの中で3人でいて、解散しない、離れない、活動を休止しない、ということだけが頭の中にあって今こうしてここにいるというのが事実なんです。意地でやっている部分は多少なりともあるのかなと思います。言葉にするほどのものでもないんですけれど、多少は意地もあるのかな。

――アルバム『REAMP』を制作しているときには3人での音楽を模索はされていたかと思いますが、どういったことを一番意識されていたのでしょうか。

シノダ 意識するのは1つしかないです。どうやったら作っているものがカッコよくなるか。その一点を追求していました。wowakaという個性の塊のような作曲家がうちにはいましたから。彼の手法を模倣することはナンセンスだと思っていて。それ以外の、バンドとして培ってきた部分のカッコ良さをどうやったら伝えられるか。そこでカッコいいものを作っていった方がバンドとして健康だろうな、と考えていました。

――そうして作ったアルバムの先に出てきたのが今回のアニメ『86-エイティシックスー』とのコラボ曲である「3分29秒」。原作というテーマありきでの楽曲制作はいかがでしたか?

シノダ 時系列的にはこの曲を作った方が先だったんです。

――そうなんですか!?

シノダ 去年の頭にお話をいただいたんですが、まだそのときの僕らには、ヒトリエとして新しいなにかを作っていくという発想がない時期だったんです。2019年にツアーを終えて、これから俺らはどうなっていくんだろうかというふんわりとした状況だった中だったので、新しくなにかを作るとてもいいきっかけをいただいたなと思っています。『86-エイティシックスー』という作品の内容もすごく深刻で、覆りようのない現実がずっと続いていくようなもので。その「覆りようのない現実」については僕らも身に覚えがあるんですよね。自分たちの状況と作品の世界観をうまいことシンクロさせたような曲が出来るんじゃないか、という気持ちで作っていました。ヒトリエらしさや、これからバンドとしてどんな音楽を作っていくかみたいなことが『REAMP』を作るマインドになっていましたが、まだそれに至る前の、とりあえずなにも考えずに作品に添える曲を、というスタンスで作ったのが「3分29秒」です。

――新体制での最初の一曲なんですね。

シノダ そうですね。

――最初の一曲を作るにあたってどんなお話をされたのでしょうか。

イガラシ アルバムに先に取り掛かるよりも、『86-エイティシックスー』に曲を書く、ということで背中を押してもらえたところは結構大きいです。逆になんの縛りもなくまっさらな自分たちの新曲を、という取り組みだったとしたらもっともっと時間が掛かったかもしれないです。覚悟や決意もそうですし、「どんなものを作ればいいのか」と思い悩んだかもしれないけれど、今回は作品へ向けての1曲なので、作品自体のテーマもありますし、そんな機会が楽曲を作るきっかけにもなって、これからのヒトリエの手掛かりにもなったと感じるんですね。この「3分29秒」があったから次へと向かえたのもあると思いますし、そういう意味ではすごく大事で、ありがたいきっかけでした。シノダがそんな『86-エイティシックスー』を踏まえて作ってくれた曲なので、これからどうしたらいいか、という思考を持ち込まずに届いた音に対して最高なのものを乗せて作ることだけを考えました。

ゆーまお 作っている時期と自分たちの心情を考えたときに、はじめは赤裸々なことを自分たちが語っていいのだろうかということが正直な気持ちとしてはあったんです。メンバーがいなくなったことに関して3人共にパーソナルな言葉をほとんど発信していないんです。ホームページに載せなきゃいけないときだけだった。ただヒトリエとして曲を作るとき、一体どんな言葉が乗るのかは興味が湧くとは思いますし、この曲が現体制の音楽として最初に世に出るとも思っていたので、悩みはしました。だからアルバムの後にこの曲が出ることはタイミングとしては良かったかもしれません。今は少しずつ自分たちの想いを出せるようになったので。

シノダ この曲を作っている時期にはまだそれはなかったよね。

ゆーまお なかったなぁ。

――完成してすぐのタイミングでのインタビューなら、まだ想いを吐露できなかったかもしれないですね。今、伺っているお話は、この曲を作り、その後にアルバムを作って、ツアーもしているからこそ出せる想いなのかも。

シノダ そうかもしれないですね。

ゆーまお それはあると思う。

――お話を伺っていると、現体制のヒトリエにとってこの曲は、エピソード0のような存在なのかなと感じます。

ゆーまお そうですね。もしかしたらそれはあるかもしれないです。向き合い方が少しずつ変化してきているからかもしれないです。

――しかも『86-エイティシックスー』の物語自体も非常にヘビーなお話ですし。

シノダ ド級のヘビーですよね。

ゆーまお よくアニメに出来たなって思います。

――その主題歌を作るときには、絵コンテや原作などには触れられたのでしょうか。

シノダ 原作を多少読ませていただいて、コミックスも読んで、ジャガーノートのデザインやバトルの雰囲気をある程度絵として見ることが出来たので、この曲のリフや前奏のサウンドもメカアクション的な印象を残せるようにしました。機械の駆動音があればカッコいいかな、とか。ちょっとしたサイバー感を出せたらいいな、と思って入れていきました。

――作詞についてはいかがでしたか?

シノダ 『86-エイティシックスー』についても歌っているし、自分たちのことも込められたらいいなと思って書いていきました。

――89秒というアニメのオープニングで聴いていた曲は、フルサイズで聴くとまた世界観が変わってきます。こちらはどのように差分をつけていかれたのでしょうか。

シノダ 基本的には2番でスッキリ終わる曲にしたかったんです。単純に構成の話としては自分の曲作りにはそういったセオリーがありますね。ちょっとひねくれてもいますが、89秒の部分……つまりは1番ではストレートに速い曲をカッコよく作ることでした。でもそれって実は難しいことだと思っていて。ストレートな曲のレジェンドというか、先人たちの作品が好きですし、すごくリスペクトもしているので、そういった楽曲と並んで恥じない曲を作らなければいけない、とだいぶ身構えてしまったんです。そんなストレートな部分は間奏やサビに委ねて、89秒では音色を減らしたりビートを落としたりしながらフックをつけて、一聴して忙しいけれど流れでスッと耳に入っていく曲にしていけばいいだろうと思いながら作っていきました。

――実際にアニメで流れているのをご覧になっての感想を教えてください。

イガラシ そもそもシノダも原作を読んで、イメージをして曲を作っていますし、曲のフックになっている部分もある程度把握しているので、そこに合せた絵作りをしてくれているなと思う部分もあれば、やっぱり映像の持っている力は想像を超えてくるなとも感じました。いろいろなオープニング映像も見ているし、さまざまなオープニング曲を知ってもいるけれど、音だけで作ったものに対して絵が乗ったときにはびっくりしました。それがたとえ思っていたカットが来たとしても、思っていた以上の感動がありました。

ゆーまお オープニングだけではなく、アニメーション全体に感動しているので。作品全体の気合がすごいな、と日々思っていますし、そういう作品に参加できている事実がめちゃくちゃ嬉しいです。

シノダ 原作を読んだときから、サビは絶対にジャガーノートとレギオンの戦闘の絵になるんじゃないかと思っていたので、見たときには「やったー!」と思いました。作品が本当に面白いですから、毎週、毎週とんでもない展開になっていきますし、演出もめちゃめちゃ渋いんですよね。ぼんやり見ていたら一瞬場を見失うような、すごくフックの効いた演出ですし、僕はこの映画的な絵作りが本当に好きなんです。そしてシーンの切り替わりでの、死を想起させる演出として食べ物を潰すところも意識してますし。毎週ドキドキしながら見ています。

――話数が進んでいくとますます「3分29秒」で描かれる言葉の意味も深まっていくような印象もありますね。

ゆーまお きっとそうだよね。

シノダ どんどん理解していって欲しいですね。

――この曲はもうライブでもやっていらっしゃるということですが、オーディエンスのみなさんの反応はいかがですか?

ゆーまお 「キタ!」感はあります。(フロアから)「やったー!」という感じはあります。

イガラシ 今はお客さんが声を出せないので、拍手で反応してくれるのですが、より大きな拍手が聴こえてきますね。

シノダ とは言え、演奏しているこちらは必死なんです。(現体制で)最初に作ったので、匙加減がわからなくてめちゃめちゃ難しい曲を作っちゃったみたいなんです。だから演奏はパツパツでやっています(笑)。

――今後もアニメとのコラボはしたいですか?

シノダ やらせてもらえるのならやりたいです。

ゆーまお 自分たちはわりと(アニメが)好き側なので。

イガラシ そこは「好き」で良くない?(笑)。

ゆーまお 好きです!

――では最後に皆さんからメッセージをいただきたいです。

ゆーまお 「リスアニ!」読者の方は、歌詞までしっかり読み込んで考察をしてくださっている方が多いと思うのですが、ヒトリエが『86-エイティシックスー』に寄り添ったらこうなりました、というものをサウンドと歌詞から理解してもらえたら嬉しいなと思っています。特に歌詞に注目して下さい。

イガラシ アニメを観て、もし、その後にヒトリエのライブを観に来たときには『86-エイティシックスー』の世界観を加味したものとして楽曲もその人の物になっていると思うんです。物語の世界観、スケール感を俺らは生の演奏で感じさせられるようにツアーに臨もうと思っているので、期待していてください。

シノダ 単純に僕自身がこのアニメのファンになっているので、みんなと一緒に物語がどうなっていくのかを見届けていきたいと思っています。それと共に僕たち、ヒトリエというバンドがこの先どうなっていくんだろうな、と気に掛けてくださればありがたいです。引き続きよろしくお願いします!

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち


●リリース情報
ヒトリエ ニューシングル
「3分29秒」
発売中

【アーティスト盤(完全限定生産盤、CD+BD)】

価格:¥5,500+税

<Blu-ray>
HITORI-ESCAPE 2021 –超非日常六本木七周年篇-
01. センスレス・ワンダー
02. curved edge
03. イヴステッパー
04. るらるら
05. 伽藍如何前零番地
06. SLEEPWALK
07. Loveless
08. RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY
09. (W)HERE
10. カラノワレモノ
11. トーキーダンス
12. アンノウン・マザーグース
13. 踊るマネキン、唄う阿呆
14. 青
15. ポラリス
Encore1. SisterJudy
Encore2. モンタージュガール
Bonus track YUBIKIRI [2021.1.21 HITORI-ATELIER LIVE Vol.2]

【アニメ盤(期間限定生産盤、CD+BD)】

価格:¥1,800+税

<Blu-ray>
TVアニメ『86―エイティシックス―』ノンクレジットオープニング映像

<CD>※全形態共通
01.3分29秒
02.Milk Tablet
03.3分29秒 -instrumental –
04. Milk Tablet -instrumental-

●作品情報
TVアニメ『86―エイティシックス―』
放送中

TOKYO MX、BS11 毎週土曜24:00~
読売テレビ 毎週月曜26:29~
中京テレビ 毎週土曜25:55~
※放送日時は編成の都合などにより変更となる場合がございます

ABEMA 毎週土曜24:00~
※地上波同時・単独最速配信 その他サイトも順次配信中

【スタッフ】
原作:安里アサト(「電撃文庫」刊)
原作イラスト:しらび
メカニックデザイン:I-Ⅳ
監督:石井俊匡
シリーズ構成:大野敏哉
キャラクターデザイン・総作画監督:川上哲也
美術監督:野村正信 堀越由美
背景:美 峰
色彩設計 安部なぎさ
CG監督:吉田裕行
CG制作:白組
撮影監督:岡﨑正春
編集:三嶋章紀
音響監督:明田川 仁
音楽:澤野弘之・KOHTA YAMAMOTO
制作:A-1 Pictures

主題歌
OP:ヒトリエ「3分29秒」(Sony Music Associated Records)
ED:SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki「Avid」(SACRA MUSIC)

●ライブ情報
ヒトリエ Amplified Tour 2021 開催中
6月15日 新潟 CLUB RIVERST OPEN 18:00 / START 18:30
6月16日 新潟 CLUB RIVERST OPEN 18:00 / START 18:30
6月30日 Zepp Diver City OPEN 17:30 / START 18:30
7月1日 Zepp Diver City OPEN 17:30 / START 18:30
7月6日 心斎橋 BIGCAT OPEN 17:45 / START 18:30
7月7日 心斎橋 BIGCAT OPEN 17:45 / START 18:30

©2020 安里アサト/KADOKAWA/Project-86

関連リンク

ヒトリエオフィシャルサイト
http://www.hitorie.jp

「3分29秒」配信リンクはこちら
https://smar.lnk.to/zRp17xWN

「3分29秒」購入はこちら
https://smar.lnk.to/u9eKoB

TVアニメ『86―エイティシックス―』公式サイト
https://anime-86.com/

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