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REPORT

2021.06.08

「ここに立つために生まれてきたのかもしれない」と彼女は言った。“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / FUKUOKA”DAY2レポート

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のライブイベント“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / FUKUOKA”DAY2が2021年5月30日、西日本総合展示場 新館ABCにて開催された。

DAY2にはイルミネーションスターズより櫻木真乃役の関根 瞳、八宮めぐる役の峯田茉優、アンティーカより月岡恋鐘役の礒部花凜、田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、三峰結華役の成海瑠奈、幽谷霧子役の結名美月、放課後クライマックスガールズより小宮果穂役の河野ひより、園田智代子役の白石晴香、西城樹里役の永井真里子、杜野凛世役の丸岡和佳奈、有栖川夏葉役の涼本あきほ、アルストロメリアより大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、ストレイライトより芹沢あさひ役の田中有紀、黛 冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、ノクチルより浅倉 透役の和久井 優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保、シーズより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根 綺が出演した。

開演前映像には283プロダクションの天井努社長と事務員の七草はづきが登場。ついに迎えたツアーファイナルに「より一層の気合を持って望んでほしい!」と言葉に力が入る天井社長だったが、七草はづきは居眠り中……という予想外の展開に面食らっていた。睡眠をとって体調万全の七草はづきは改めて諸注意を行なうと、「7つの願いが、星々を照らしますように。“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / FUKUOKA DAY2”開幕です!」と高らかに宣言した。

今回のツアーは、ソロ曲と一部全体曲を除いてはツアー6公演で共通のセットリストとなっている。チーム属性曲の「SOLAR WAY」「リフレクトサイン」「プラニスフィア ~planisphere~」には福岡DAY1でシーズの紫月杏朱彩と山根綺が、DAY2ではツアー初参戦となる白石晴香がさらに加わって厚みと色彩を増した。「Spread the Wings!!」を含めたオープニングブロックでは、パフォーマンスする演者たちの笑顔の多さ、華やかさが印象に残る。「プラニスフィア ~planisphere~」の冒頭でまっさきに白石晴香の笑顔を映し出したカメラに、これが待ちに待った参加であることが感じられる。白石の髪型は智代子をイメージしたツインテールだ。7つのユニットが揃ったステージの上空には虹の橋が架かった。

イルミネーションスターズより関根瞳と峯田茉優は、「Twinkle way」を披露。これから胸が高鳴る世界へと飛び出そうとしている少女たちのときめきとワクワクを詰めこんだような楽曲は、ユニットパフォーマンスの開幕を告げるのにこの上なくぴったりだ。動きと表情にめまぐるしいニュアンスを込めながら歌う峯田と、輝くような笑顔と慈しむような表情で楽曲にきらめきを与える関根。最終日はひとつひとつの動きや表現に一際気持ちと意志がこもっている気がした。歌い終えて関根と抱き合ってしまったという峯田は「一番最後だと思って気合が入ったパフォーマンスを見せられたと思います。確実に灯織を感じたの」。関根は「毎公演のことを思い出しながら大切に歌いました」と語っていた。

アルストロメリアの「ダブル・イフェクト」。印象的な“マージナル・マン”というフレーズは境界人を意味する。人の世界を訪れ、人を愛した天使は、どちらの世界から見ても異端の存在なのだろう。何があってもキミの側で笑っていたいという願いと覚悟を感じる歌だ。芝崎の輝くような笑顔、黒木の少し控えめな微笑みと、羽ばたきながらの楽しそうな姿、前川のイノセントな笑み。表情にもそれぞれの解釈がある。羽が生えたように軽やかなステップワークや、羽ばたきのモチーフを散りばめたダンス。落ちサビで3人がお互いに視線をかわしあい、“キミのもとへそっと舞い降りるから”のフレーズでは、前川と芝崎がセンターの黒木を見つめながら歌っているのが印象的だった。

放課後クライマックスガールズの「五ツ座流星群」には白石晴香が参加し、本ツアーで初めて5人フルメンバーが揃った。5人が並び立っただけですでに最強感があるのは、このツアーの間ずっと白石の立ち位置を空けて待っていた積み重ねがあるからだろう。歌い出しの河野の歌声から楽しい、嬉しい、幸せといった感情が弾むようにあふれだしていて、白石の参加が単なるプラスワン以上に作用していることが感じられる。真ん中に立つ河野や涼本に、下手の白石が応援して上手の永井がツッコミを入れるという左右対称の本来の掛け合いがようやく成立した。白石の元気さというピースが加わることで、丸岡の浮遊感や涼本の伸びやかなキュートさといった歌声の個性がさらに際立つ。そこに5人が揃った喜びやファイナルへの気合が加わるのだから、もはや無敵と言っていいだろう。“オーロラマントで進め”のフレーズで丸岡演じる凛世が感情を弾けさせたのには驚かされた。歌い終えた5人がピースで完成形の“五芒星”を描き出すと、会場の熱い拍手が包みこんだ。

アンティーカの「Black Reverie」は壮大な世界観が魅力的な楽曲で、イントロの暗転したステージで真紅のエフェクトの中に5人のシルエットが浮かび上がる。“うちのリボンは恋結び 月岡恋鐘”のカードをイメージして黒いドレスに薔薇をあしらった礒部や、“海と太陽のプロメッサ 白瀬咲耶”を再現した帽子やメイクが印象的な八巻など、衣装や表情の全てでアンティーカの世界を再現しようとする意志を感じる。道化に扮した成海の芝居がかったキメフレーズには、世界を転換させるような力がある。菅沼はダンスでの腰の使い方や、妖しい笑み、けぶるような表情が印象的。結名の歌声のふくらみのあるニュアンスや表情のひとつひとつにこめられた感情は、このツアーで一番成長したものかもしれない。歌い終えた5人も自分たちのパフォーマンスの進化を実感しているようで、礒部は「その時々の私たちの表情が見れます」と語っていた。

ストレイライトの「Hide & Attack」は、面で顔を隠して登場した3人が、それをステージ下に投げ捨てる放物線まで計算した見せ方が鮮烈だ。幸村のつややかな笑みと、北原のクールな表情、フードに隠された田中の強い意志を込めたまなざし。放つオーラが何より印象に残る。衣装はサイバーパンクに和のテイストを持ちこんでいて、衣装の布感や重みさえも表現の一部として使いこなしているように見えた。アイドルとして人生の大半をステージで生きてきた北原がダンスの面で牽引し、田中と幸村が限りなく重ねた努力と役者としての全霊の表現でこれに応える。お互いに刺激を与え合い、進化を続けるユニットだ。

ノクチルの「いつだって僕らは」。清涼なイントロとともにスクリーンに無数の泡が浮かぶと、さぁっとステージの空気が変わる。上昇するキューブ型のリフターで軽やかにステップを踏みながら歌う4人それぞれに唯一無二の個性がある。土屋演じる樋口はステージで笑わない……というのがこのツアーで積み重ねてきた物語だが、笑顔の和久井と頷きあってステージで交差する土屋の後ろ姿はどんな笑顔よりも雄弁で感情豊かに感じられる。落ちサビで笑顔で歌い上げる和久井の圧倒的な輝き。向かい合っての掛け合いで田嶌が高まったテンションをそのまま弾けさせると、岡咲の歌声がそれに応えるように温度を合わせる。ツアーを通して磨かれる絆とパフォーマンスを体現するような姿だった。

アンティーカの「純白トロイメライ」。彼女たちは直前にユニットMCを担当し、まだまだツアーを終わりたくない気持ちや、パフォーマンスの進化を確認しあった。礒部が「悔いのないようなパフォーマンスしよう」と声をかけて、ツアーの最後を締めくくるパフォーマンスへ。

玉座から立ち上がった八巻が悠然と歌う周りで、4人が命なき操り人形のような独特の舞踊を見せる。それぞれのソロパートを迎えるごとにその瞳に強い意志が宿っていき、礒部の「選んでよ!」の叫びがなんとも鮮烈だ。歌詞で「 」でくくられているフレーズがメンバーそれぞれのキーフレーズで、たとえば菅沼なら「悪い子に」なのは摩美々の性格的ににやりとしてしまうし、一見強くクールな表現の八巻が情感を込めた「寂しさも」なのは考えさせられる。間奏では八巻が礒部を抱き寄せ、群舞のようなダンスでも魅せる。クライマックスのソロの歌い継ぎでは、歌声と表情にそれぞれの全力の表現と意図が感じられた。アウトロでは玉座につくポジションを礒部に入れ替え、八巻もまた操られる存在として踊っていたのが暗示的だった。

アルストロメリアの「Anniversary」。流れ落ちる光が藤棚のように輝く中、歌う3人の姿は美しくも、どこかこの世ならざるような荘厳な気配がある。会場から舞い上がる光の粒子は魂の浄化を示すものだろうか。芝崎不在の東京公演という経験を経て、前川演じる甜花の包みこむようなしなやかで強い姉としての一面が可視化された気がする。芝崎と前川の歌声に支えられるように、黒木は「今日はもう泣かない」という開演時の誓いを懸命に守っていた。最後まで強く美しく歌いきった3人を拍手が包みこむと、黒木も「完成してきてるね」と満足そうに呟いていた。会場がある北九州からは関門海峡を挟んですぐに山口県があることから、千雪の出身地の近くで歌えた嬉しさについても語りあっていた。

ノクチルの「あの花のように」。ノクチルはデビューから日が浅いこともあり、「MUSIC DAWN」「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 2ndLIVE STEP INTO THE SUNSET SKY」そして今回のツアーと、持ち歌2曲のパフォーマンスを磨き上げ続けてきた。これは全ユニットの中でもノクチルだけの経験だ。サイドカメラに田嶌が大輪の笑顔を咲かせると、仮想の花火が上がる中4人はトロッコへ。4人は2曲を通じて振付を大きく、成長した姿を見せることを意識していたとのことで、たとえば“泳いでいこう”の振付で田嶌は「うー、ざぱっ」という動きを意識したそう。配信ではこの瞬間の田嶌は見られなかったので、現時点では会場の観客の特権か。これは映像化の際の楽しみとしたい。歌い終えた4人が、思わずこぼれるように「楽しかったね!」と言い合っていたのが、とても心に残った。ユニットMCの締めでは、和久井が「これからもどんどん羽ばたく私たちノクチルをよろしくお願いします!」と語った。ノクチルは今年の夏に開催される「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」DAY2に、アルストロメリアとともに参加することが決定している。

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