リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2021.06.08

「ここに立つために生まれてきたのかもしれない」と彼女は言った。“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / FUKUOKA”DAY2レポート

ソロコーナーは、白石晴香の「チョコデート・サンデー」から。チョコを感じる愛するチョコアイドル・園田智代子らしさあふれる楽曲だ。白石は歌い出しの“どぅいどぅい どぅ~”をかわいらしくもコミカルに響かせると、くるっと回って大きな投げキッスをプレゼント。サイドカメラをじっとのぞきこみながらの“ちょっとワガママ言うよ!”の距離感にドキドキしてしまう。サイドカメラの使い方がとても効果的で、“ちょこっと見てよ”で流し目を送ると、サイドカメラにきりかわってばちっと目が合う感じは配信ならではの見せ方だ。“One, Two, One, Two, Three, Go!”から始まる掛け合い部のキャラクター感が最高で、特に「え~!?」の声と表情の感情豊かさは智代子そのものだった。白石のソロの出番前には、放課後クライマックスガールズの仲間が駆けつけて応援の言葉をくれたそうだ。

峯田茉優の「HAREBARE!!」。黄色く光るキューブリフターに登場した峯田は、全身をいっぱいに大きく使いながら頑張れのエールを贈る。小柄な身体を誰よりも大きく動かし、表情の変化が遠くまで伝わる……というこのツアーで常に感じていた彼女の魅力を凝縮したようなパフォーマンスだ。弾みまわるような歌唱とラップのきらめき感、躍動する動きはこれぞ八宮めぐる。間奏に「We can go now!」の振付が取り入れられているのも隠れたアクセントだ。掛け合いに観客が声では応えられない分を、自身が放つ太陽のようなエネルギーで補っていく様子は、なんだか泣けてくるほど鮮やかだった。「ステージに立ったらずっとずっと楽しくて、めぐると一緒に最高の楽しい時間を過ごすことができました」という峯田の言葉にすべてがこもっていた。

結名美月の「雪・月・風・花」。控えめな幽谷霧子というアイドルが、ツアーのソロのトリを務めた。冬の木々をバッグに舞うようなダンスを見せた結名は美しい歌声を響かせる。語りかけるような調子には、童話や物語の一節をそらんじているような不思議な響きがある。彼女が背負う背負う映像は緑なす若葉の季節に、夏の緑に、そして桜の春に。色彩豊かな情景を歌声で紡いだ結名は両手を観客たちに差し出すと、小首をかしげてはにかむように微笑んだ。結名は普段のアンティーカのコンセプトとの色の変化と、日常の霧子をどう表現するかを考えながら歌ったこと、胸がいっぱいになりながらも楽しく歌えた感謝を語っていた。

ラストブロックはストレイライトの「Destined Rival」から。ツアーの間にも細かい振付やダンスのアレンジを加えてきており、現在進行系で進化し続ける楽曲だ。福岡に関しては、ソロダンスパートに三様のやり方で観客を撃ち抜く動きが振付が取り入れられていた。北原の動きのニュアンスが艶っぽく、暗い照明の中小指を立てた手を口元から胸元にはわせる動きが印象的。そうした間で見せる表現があると、“動”で見せる激しいダンスのがさらに際立って感じられる。歌い終えた幸村は「あっという間だった」。北原は「改めて最強のライバルで、最強のユニットで、最強の友だちになったと思います」とツアーを振り返った。田中はツアーでたくさんのステージを経験する中での成長の体感を語ると、「3人ならなんだってできるね」と自信と手応えを見せていた。

放課後クライマックスガールズの「学祭革命夜明け前」は、こちらももちろん白石晴香を含めた5人フルメンバーだ。暗転中にリズムを取っているシルエットが5人いるのがもう嬉しい。全員集合を改めて感じたのが“前夜祭を祝してハイチーズ”のフレーズでの記念撮影で、思い思いのポーズのピースサインでフレームに収まった。ジャンプのフォームにも個性が出る楽曲だが、白石は片足を斜め後ろにハネさせるキュートなジャンプを披露していた。4人でも無敵と感じさせた楽曲にもまだまだ上があって、もっと高く飛べるということを見せつけたステージ。最高のパフォーマンスを終えると、5つのピースが誇らしげに天をついた。

ユニットMCでは河野が「はるすけ、おかえり!」。白石は仲間に抱きつきたいのを我慢しながら「みんなと一緒にできました! 楽しかったよぅ!」と歓喜を爆発させていた。

イルミネーションスターズの「Happy Funny Lucky」は歌い出しにHappy、Funny、Luckyに対応した振付があるのだが、ステージから見るとプロデューサーも一緒に踊ってくれていたそうだ。このツアーの中で指導した振付を、ツアー千秋楽でたくさんのプロデューサーが一緒に踊ってくれるのは、ツアーで観客も一緒に成長していくことの証左だろう。福岡では“虹をかけよう”の振付でふたりが大きく振る手元からARの虹がかかっており、演出もさらに進化。演者、裏方、ファン、みんながよりよいステージを作ろうと頑張っていることが伝わってくる。イルミネとしてのツアーの最後を飾るステージがどんなに楽しかったのかは、歌い終えた関根の「うわぁぁぁぁぁ!」と感情を爆発させるような叫びからも感じられた。関根が「本当にたのしかったの!」と続けると、峯田も「楽しかった! 楽しすぎて言葉が出てこないの」と応えていた。

ユニットのラストを飾ったのは最新にして第7のユニット、シーズの「OH MY GOD」だ。どこか不穏で期待感の高まるイントロ、スタイリッシュな煽りとともに、ふたりのシルエットがステージに並び立つ。軽く拳を合わせると、圧巻のステージは始まった。前日よりさらに弾けているように感じたのが紫月のボーカル。ふたりがさらにパワフルかつ自由に歌声を響かせているにも関わらず、絡み合ったボーカルがぴったりと収まる完成度の高さ。間奏ではガチッとスイッチを入れ替えて、ダンスでシーズの世界を表現。緩急の効いた動きの表現に照明やSEが追随し、すべてを従えたふたりが「SHHー(シー)」。ラストのキメに至るまで、完璧に練られ鍛え上げられたパフォーマンスだった。

ユニットMCでは東京公演に比べてふたりの髪型がロングになったという話も。DAY1では紫月がウィッグと書いたが、どうやら地毛でこちらが本来の長さ。そこにグリーンのカラーを入れているようだ。山根はDAY2の前夜に「OH MY GOD」の先行配信がはじまり、iTunes音楽ランキングで1位になったことを紹介。「プロデューサーの皆さまのおかげです、本当にありがとうございます。これからもたくさんこの曲を愛してもらえるように私たちも頑張ります」と感謝を伝えていた。

ここでステージに全ユニットが登場。真っ先に関根が「おつかれさま! 本当に素敵なステージ、ありがとう!」と笑顔でシーズに声をかけた。ラストナンバーは全員揃っての「Multicolored Sky」で締めに向かう。ステージ組とトロッコ組に別れて笑顔のパフォーマンスを繰り広げた。サイドカメラの前にいた山根の肩を田中がぽんぽんと叩いて、一緒にカメラアピールをするのが新しい光景だ。成海と北原が一緒にふざけあう組み合わせが新鮮だ。トロッコの河野は客席に何かを見つけて大喜び。白石もトロッコに乗り、観客の一番近くまで行って歌う体験をしていた。

これで本編は大団円……というのがツアーの流れだったが、福岡DAY2にはこの日だけのサプライズが。流れ出したイントロは、「THE IDOLM@STER」5ブランドを横断したシリーズ15周年記念曲「なんどでも笑おう」だった。歌い出しのソロパートは、イルミネの関根と峯田が半分ずつ担当した。この曲は本公演の一週前の週末に山梨で行なわれた「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn」でも歌われており、「ミリオンライブ!」から「シャイニーカラーズ」へと歌のバトンが渡された形だ。間奏では各ユニットが5ブランドそれぞれを示すハンドサインを担って、他ブランドの魂がともにあることを示していた。

アンコールでは福岡公演からのシステムとして、視聴プロデューサーによるアンコール回数がスクリーンに表示された。その数が283万回に達したところで、スクリーンには事務員の七草はづきがふたたび登場。「シャイニーカラーズ」のゲームを中心とした最新情報を紹介した。

ライブオープニングのovertureが再び流れ、ユナイトバースプラネタリ衣装を身にまとったアイドルたちのイラストがスクリーンに投影されると、ステージには7つのユニットのアイドルたちがその衣装をまとって登場。配信映像では「Color Days」のポップな歌いだしを歌うシーズのふたりが大写しになった。白石はこの曲には初参加。なんといっても見所はシーズのフリーダムなソロパートで、あの調子っぱずれ感をしっかりコントロールするのは何度見ても見事だ。ハッピーな空気感の中、笑顔で最後のMCに入るのは“4年目”の「シャイニーカラーズ」の新しい風景と言えるだろう。

最後のMCではユニットごとに代表者が挨拶。シーズの山根は人生のつらい時間は、今日のような幸せな時間を照らすためにあるのかもと語ると、「私はここに立つために生まれてきたのかもしれないと思えるぐらい、楽しくて、幸せな時間でした」と、万感の想いを込めていた。放課後クライマックスガールズの白石はツアーに初参加できたこと、ライブに臨む不安やステージの幸せさ、なかなか智代子をステージに立たせてあげられなかった申し訳無さなどを語ると、「皆さんが待っていてくれることがすごく嬉しくて、今日は恩返しがしたいと思ってステージに立ちました。甘い時間、過ごせましたか?」と問いかけた。万雷の拍手の中、白石が深々と一礼する姿が記憶に残った。挨拶の最後は、ツアーを引っ張ってきたイルミネの峯田が担当。夢だった「アイドルマスター」の世界でめぐると仲間たちに出会えた感謝を語ると、「なんどでも笑おう」の歌詞にある“今 ここに自分がいる奇跡 奇跡のままで終わらせはしない”という歌詞を紹介しながら、これからもみんなでいっぱいいっぱい輝こうと誓いを新たにしていた。

ラストナンバーは「Resonance+」。7つの祈り、24の声が折り重なって美しい歌となる。会場いっぱいの色とりどりの光がステージを照らし出す。時にパレットに涙の色を混ぜつつも、強い光を放つ歌声は、いつまでも強く響き続けていた。ステージの終わりには、色とりどりの花火と、アイドルたちの無数の「ありがとう!」が舞台を彩っていた。

終演後、スクリーンには七草はづきと天井努社長が再び登場。天井社長は「ここまでの旅路は、お前たちの尽力なくしてなしえなかった。本当にご苦労だった。立派になったな、プロデューサー。これからもひたむきに、前向きに歩んでいってほしい」とねぎらった。天井社長が「そして、いつか……」としたあと言葉をにごす場面があったのだが、その続きはいつか語られる日が来るのだろう。

天井社長の「3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET、全日程を以上で終了する。プロデューサー諸君、また会おう!」との高らかな宣言をもって、「シャイニーカラーズ」と283プロダクションの初めてのツアーは幕を下ろした。

Text by 中里キリ

THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / FUKUOKA DAY2
西日本総合展示場 新館ABC
2021年5月30日(日)

<セットリスト>
M01:SOLAR WAY(Team.Sol/峯田茉優、八巻アンナ、永井真里子、涼本あきほ、芝崎典子、幸村恵理、和久井 優、岡咲美保、紫月杏朱彩)
M02:リフレクトサイン(Team.Luna/菅沼千紗、成海瑠奈、結名美月、丸岡和佳奈、前川涼子、北原沙弥香、田嶌紗蘭)
M03:プラニスフィア ~planisphere~(Team.Stella/関根 瞳、礒部花凜、河野ひより、白石晴香、黒木ほの香、田中有紀、土屋李央、山根 綺)
M04:Spread the Wings!!(シャイニ―カラーズ)
M05:Twinkle way(イルミネーションスターズ/関根 瞳、峯田茉優)
M06:ダブル・イフェクト(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M07:五ツ座流星群(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、白石晴香、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M08:Black Reverie(アンティ―カ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、成海瑠奈、結名美月)
M09:Hide & Attack(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M10:いつだって僕らは(ノクチル/和久井 優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保
M11:純白トロイメライ(アンティ―カ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、成海瑠奈、結名美月)
M12:Anniversary(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M13:あの花のように(ノクチル/和久井 優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M14:チョコデート・サンデー(園田智代子(CV.白石晴香))※表記は公式セットリストによる
M15:HAREBARE!!(八宮めぐる(CV.峯田茉優))
M16:雪・月・風・花(幽谷霧子(CV.結名美月))
M17:Destined Rival(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M18:学祭革命夜明け前(放課後クライマックスガールズ/河野ひより、白石晴香、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M19:Happy Funny Lucky(イルミネーションスターズ/関根 瞳、峯田茉優)
M20:OH MY GOD(シーズ/紫月杏朱彩、山根 綺)
M21:Multicolored Sky(シャイニ―カラーズ)
M22:なんどでも笑おう(シャイニ―カラーズ)
-ENCORE-
EN1:Color Days(シャイニ―カラーズ)
EN2:Resonance+(シャイニ―カラーズ)

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP