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INTERVIEW

2021.06.12

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』かつてない“大人のガンダム”をめざした制作の裏側。音楽:澤野弘之インタビュー

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』かつてない“大人のガンダム”をめざした制作の裏側。音楽:澤野弘之インタビュー

あの『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の物語から12年後。ブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアの成長した姿を描いた映画三部作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の第一部がいよいよ公開。本作で劇伴を手がけるのは、『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』とあらたな宇宙世紀作品のサウンドを鳴らしてきた作曲家・澤野弘之である。『UC』とも『NT』とも、あるいはこれまでのどの作品とは異なる新しいガンダム作品のなかで、澤野の音楽はどのように響いたのか。劇場公開直前のタイミングに話を聞いた。

『閃光のハサウェイ』は“劇場作品の音楽として”制作した初のガンダム作品になった

――澤野さんが劇伴を担当された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』がついに公開となります。今のお気持ちはいかがですか?

澤野弘之 今回のレコーディングをしていたのは昨年2月の後半頃だったんですよね。それから1年以上経っての公開となるので、時間があったぶんこの作品への思い入れも大きくなったのかなと思いますね。

――そんな本作の音楽を手がけることになった経緯からお伺いします。澤野さんとしては『機動戦士ガンダムUC』と『機動戦士ガンダムNT』に続くガンダム作品となりますが、『閃光のハサウェイ』へのオファーはいつ頃あったんですか?

澤野 『UC』が終わって、『NT』のオファーをもらうタイミングで『閃光のハサウェイ』の話はなんとなくいただいていて。そのときはプロデューサーの小形(尚弘)さんから「『UC』の派生作品をやろうとしているんですけど、実はもうひとつ計画しているものがあって、それをお願いしようと思っています」と言われていたんですよ。

――タイミング的には『NT』と同じ頃だったんですね。

澤野 そうですね。『UC』のTVシリーズが終わるときに”RE:UnChild”というライブをやったんです。そのときに小形さんが来て『閃光のハサウェイ』の話をしていたので、4年以上前になるんですね。

――同じ宇宙世紀ものではありますが、『UC』や『NT』とは作品背景も異なりますし、澤野さんとしても作品への向き合い方は異なりましたか?

澤野 『NT』は『UC』からのつながりもあったし、あと『NT』はもともと劇場用作品の予定ではなかったものが、最終的に劇場版になったという経緯もあったんです。なので『NT』を作っているときは劇場版の音楽を作っている感覚ではなくて、初めから劇場作品として音楽を作ったのが『閃光のハサウェイ』が最初となる。そういった意識の違いはありましたね。

――また作品としては『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から後の時代の物語になります。澤野さんにとって『逆襲のシャア』はどんな作品でしたか?

澤野 僕が初めてしっかりガンダム作品を観たなって思ったのは『逆襲のシャア』な気がするんですよ。『機動戦士ガンダム』と劇場三部作は自分が生まれた頃の作品で、子供の頃の思い出があまりないんですが……『逆襲のシャア』になるとTVCMとかで観た記憶があったり、いとこがガンダム好きでサザビーのガンプラを作っているのを見ていたり。「ガンダムってこれか」という気持ちがあったうえで高校生のときに観たんですよね。あとは当時TM NETWORKがめちゃくちゃ好きで、「BEYOND THE TIME~メビウスの宇宙を越えて~」が主題歌だったというので思い入れもあるし。

――そうした意識は『閃光のハサウェイ』の制作へも繋がりましたか?

澤野 『逆襲のシャア』に出ていたハサウェイが主人公である作品に携わらせていただくことで、自分的にはモチベーションにつながるところもありましたよね。でも、よく考えたら『逆襲のシャア』との繋がりはそこまで考えて作ってはいなかったです。どちらかというと、作っていたときは、『UC』の音楽を作ったうえでの『ハサウェイ』を作っていたので、終わってひと段落して今こうしてお話をしていて、思い入れのある『逆襲のシャア』の続きの作品なんだなと感慨深いです。なので公開されて、いろんな部分が落ち着いてリンクしてやっと感動していくんだと思いますね。

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