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REPORT

2021.05.27

ずっと此処へ、辿り着こうと走ってきたね。“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn”DAY1レポート

「アイドルマスター ミリオンライブ!」のライブイベント“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn”DAY1が2021年5月22日、山梨県・富士急ハイランド コニファーフォレストにて開催された。

DAY1には田所あずさ(最上静香役)、郁原ゆう(エミリー スチュアート役)、平山笑美(北上麗花役)、雨宮天(北沢志保役)、田村奈央(木下ひなた役)、香里有佐(桜守歌織役)、大関英里(佐竹美奈子役)、愛美(ジュリア役)、近藤唯(篠宮可憐役)、南早紀(白石 紬役)、渡部恵子(周防桃子役)、駒形友梨(高山紗代子役)、小岩井ことり(天空橋朋花役)、諏訪彩花(徳川まつり役)、原嶋あかり(中谷育役)、小笠原早紀(野々原茜役)、麻倉もも(箱崎星梨花役)、村川梨衣(松田亜利沙役)、渡部優衣(横山奈緒役)が出演した。

同ライブは一年前の2020年5月23日~24日、“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!!”として開催される予定だったが、新型コロナウィルスの影響により開催を中止。一年越しの開催にあたり、リベンジと再燃焼の意味を込めて「Reburn」と銘打った。

会場となるコニファーフォレストは、富士急ハイランドに隣接した野外会場。富士急ハイランドでは「THE IDOLM@STER in 富士急ハイランド」が開催中なこともあり、園内や移動手段も含めた富士急全体にアイマス要素があふれている感じだ。

「アイドルマスター」シリーズが野外での単独ライブを開催するのは史上始めて。会場付近ではライブ前日まで、はげしい降雨の中(田村曰くどっしゃぶり)準備が進められてきたが、ライブ当日は曇天で持ちこたえ、雨に見舞われることなく本番を迎えることができた。開演前の前説と諸注意は青羽美咲と永吉昴が担当し、昴の「しまっていこうぜ、プロデューサー!」の声が屋外会場にこだました。

特設された野外メインステージは、「Q@MP FLYER!!!」のコンセプトにあるキャンプをイメージして大型のテントのような装飾が施されている。メインステージはサイドの両翼がかなり広く取られていて、メインステージ中央の上段とサイドの両端には、キャンプファイアのやぐらが組まれていて存在感がある。メインステージからはT字の花道が伸びて、客席を大きく横切っている。花道というよりは、客席のど真ん中にもう一本ステージがあると感じるぐらいだ。心浮き立つように楽しく雄大なOvertureが流れると、メインステージには田所あずさがトーチを掲げて登場。メインステージのキャンプファイアに点火して(本物の炎だ!)、「Q@MP FLYER!!!、始めましょう!」の声とともに「ミリオンライブ!」初の単独野外公演はスタートした。

オープニングナンバーはライブタイトルになぞらえて「Flyers!!!」。一年越しのステージで、ようやく聴くことができたこの曲には特別な感慨がある。衣装は普段のアイドル衣装とは一味違った装いで、吊りスカートとネッカチーフが印象的な野外向けの服装だ。ガールスカウトをイメージしたそうで、足元がトレッキングシューズなのも徹底している。アイドルたちが花道を駆け出して観客の側に来ると、客席との距離が驚くほど近い。様々な方向を向いてパフォーマンスしていることもあり、あちこちのエリアがライブ最前列に早変わりした。

全員で歌った「Legend Girls!!」は2013年の「LIVE THE@TER PERFORMANCE 02」に収録されたグループ曲。「LTP01」は「Thank You!」であるため、「Legend Girls!!」は「ミリオンライブ!」最初のユニット曲だ。ユニット曲をミリオンスターズ全員で歌唱するのはあまりないパターンで、“ねえ、キミもきっと待っていたよね? わたし達のこのステージ”“みんなで目撃者になろう”といったフレーズの数々が、このタイミングのライブにぴったりであるように思えた。

オープニングの挨拶を挟んで、ここからは「キャンプで過ごす時間」や「野外でのライブ」に紐付いた楽曲多めのコンセプチャルな選曲が続く。まずはキャンプ場で遊び回るイメージで「ランニング・ハイッ」から。「ランニング・ハイッ」は2017年3月の日本武道館ライブに向けて結成された星座ユニットの1つ・キャンサーの楽曲だ。オリジナルメンバーの郁原ゆう、田村奈央、渡部優衣に加え、今回は平山笑美と駒形友梨が参加した。ミリオンスターズの中でももっともテンポの忙しい奈緒からもっとものんびりしたテンポのひなたまでが一緒にはしゃいで走り回る感じが魅力的なこの曲。そこに平山と駒形というボーカルブースターが加わることでさらに厚みが増した感じ。ただうまいだけでなく、ちょっと調子を外した楽しさを感じられるのはこの曲ならではだ。

「アニマル☆ステイション!」は原嶋あかり(中谷育)のソロ曲だが、今回はそこに田所あずさ、雨宮天、南早紀、諏訪彩花、小笠原早紀が加わった。完全にグループ曲にするわけではなく、原嶋のソロと5人の掛け合いを中心に進行。南のソロのメロディアスでありながらどこかコミカルな感じや、雨宮のソロの優しいニュアンスなど、蒼いボーカリストが楽しくハッピーな楽曲に加わったら、という裏テーマもあった気がする。原嶋の「みんなぁ集まって~!、一緒に遊ぼう!」の音頭に応えて、花道を走りながら動物の真似をみんなでするところが見せ場で、ラストは南の高らかな「ぱお~ん!!」の叫びが締めた。

「Helloコンチェルト」は原曲メンバーの田村奈央、大関英里、村川梨衣が担当。原曲ではこれに秋月律子が加わるが、それ以外の3人がこの曲をライブで一緒に歌うのは初めてのはず。大関の元気いっぱいな歌唱の中に美奈子らしさが溢れる感じや、田村が素朴にまっすぐ歌い上げる感じが心に残る。なんと言っても印象的だったのは村川の「レディースアンドジェントルメン、ヒアカムズ、ミリオンスターズ!!」のケレン味たっぷりな口上で、律子の名調子をしっかりと自分のものにしているのが頼もしい。

「空に手が触れる場所」は平山笑美と小笠原早紀が披露。言葉通り空に手が触れられそうな野外ライブならではの選曲で、平山(麗花)のソロ曲をユニット・TRICK&TREATのふたりが歌うという趣向だ。平山の突き抜けるようなハイトーンがどこまでも高く伸びていき、それに追随する小笠原の歌声から茜ちゃんらしさが弾ける。ふたりが一緒に笑顔でハイキングする姿が見えてくるようなステージだった。

「HOME, SWEET FRIENDSHIP」は近藤唯、渡部恵子、小岩井ことり、原嶋あかり、麻倉もも、村川梨衣、渡部優衣と、オリジナルメンバーのリコッタから3人+助っ人の分厚い編成で披露。この曲は大切な友達と一緒にいる時間の積み重ねを、アトラクションでいっぱいのテーマパークになぞらえた楽曲。それを本物の遊園地の側で歌う遊び心が楽しい。間奏では奈緒が音頭を取って、亜利沙が今日のために新調したカメラで記念撮影を行なう一幕も。シャッターが落ちる瞬間のそれぞれのポーズにもアイドルの個性があふれていた。

ここで最初の挨拶。みんなで遊んで、写真を撮って、キャンプの思い出を作っていくようなセットリストのイメージが見えてきた。

「Bigバルーン◎」は初期アルバム「LIVE THE@TER PERFORMANCE 13」に収録された楽曲で、これまでライブでは一度しか披露されたことのない幻の楽曲。オリジナルメンバーの小笠原早紀をセンターに、愛美、近藤唯、南早紀、小岩井ことり、諏訪彩花という新鮮な顔合わせで披露した。中でも「シアターデイズ」から仲間に加わった南がこの時期の楽曲を一緒に歌うことには特別な意味を感じる。センターとして大活躍したのが小笠原で、彼女が「ぐるぐるぐるぐる!」と手を回すと観客も追随。声が出せないライブでは嬉しいコミュニケーションだ。ラストも小笠原の最高のスマイルが大写しになって締めとなった。

たくさん遊んだあとはお昼寝の時間。原嶋あかり、田村奈央、香里有佐、渡部恵子による「Good-Sleep, Baby ♡」だ。「LIVE THE@TER PERFORMANCE 08」オリジナルメンバーの原嶋がセンターで、Aメロの入りは彼女のキュートすぎるソロから。田村、渡部と続く並びは、これがオリジナルなのでは? と思うぐらいしっくり来る。幼い子供らしい表現をしっかり演じきる桃子のプロ意識が見えてくるようだ。だが4人目でまったく違った表現が来る。桜守歌織こと、香里の歌声だ。それはまるでおねむの子どもたちを歌織先生が見守っているような優しく包み込むような歌声で、楽曲にまったく新しいニュアンスを与えていた。「ふわり あくび」「よるの扉」「夢の中へ」のゆったりとろりとしたリレーで夢の世界にいざなわれてしまいそうな、癒やしの時間だった。

「夢色トレイン」は麻倉もものソロ曲に、郁原ゆうが参加。同い年のアイドルを演じる同士で、姉妹のようにトーンを寄せたキュートな二重奏を響かせた。間奏で並んで腰に手を当てたポーズがとてもかわいらしい。「出発進行!」の宣言を郁原が担当したのがとても新鮮だったが、曲中にふんだんに登場する英語フレーズはほぼ麻倉オンリーなことにこだわりを感じた(エミリーは横文字を使わないため)。ラララのリズムに合わせて大観衆が一緒に手を振る光景には野外ならではの開放感と一体感があった。

「Melody in scape」は「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 04」に収録されたデュオ曲をオリジナルメンバーの大関英里、駒形友梨が披露。野外用のポンチョをイメージした衣装にチェンジしての登場だ。冒頭の「だけど動けないまま」の大関の歌声に込められた痛切な情感にふるえる。表現豊かな2つの歌声の音圧が全身をゆさぶるような時間だ。印象的だったのはキャンプファイアの炎を囲んだ2人が背中合わせで天を指す姿を捉えたカメラで、お互いに背中を預けながら自身の全力の表現に没頭する様を体現していた気がする。澄んだ空気の野外広場を歌と感情が満たしていく光景はまさに「Melody in scape」。ラストの“届けたい Melody in scape…”の叫ぶような強い歌唱が高原の空気に溶けていった。

「君だけの欠片」は郁原ゆうのソロ曲を、諏訪彩花を加えたCharlotte・Charlotteコンビで歌唱。ささやき語りかけるような郁原ゆうのロングソロから始まるのだが、奇跡的に雨が降らなかった初日に「明日もまた晴れるといいね」と歌うフレーズがあまりにぴったりと来て笑ってしまった。と思えば、みんなの前では平気なふりで笑顔のまま、というフレーズがどこかまつりをイメージさせてドキッとしたりする。郁原の優しく誠実な歌声を、諏訪の包み込むようなあたたかでしなやかに強い歌声が受け止め、1つに合わさって音楽となる。両サイドに別れて歌っていた2人が微笑みながら歩み寄る。長く歩いてきた2人だからこそ、積み重ねた日々が今日へ、明日へと続いていくこの歌がさらに特別なものになった。

そして、「Flooding」だ。歌唱メンバーは田所あずさ、平山笑美、雨宮天、小笠原早紀、麻倉もも、クレシェンドブルーのオリジナルメンバーが揃った。同曲はコミック「アイドルマスター ミリオンライブ!」、いわゆるゲッサン版の4巻特別版の特典CDに収録された楽曲だ。コミックの世界で歌う楽曲を特典CDに収録し、その楽曲が現実のライブでも歌われるという重層的な仕掛けがされている。コミック5巻で描かれる彼女たちのステージは、豪雨の中で行われた。今回ライブで雨が降ればシーン再現になるし、降らなければライブとして万々歳という王手飛車取りの構成だ。

今回は雨が降らずにライブを完遂できる方にサイの目が出たわけだが、ステージの上で5人の想いと気持ちがつながった瞬間の閃光のような輝きとパワーは、コミックそのままに再現されていた気がする。ステージから洪水のように押し寄せる、圧倒的な存在感と歌声。あたりに漂う霧が生み出した天然のスモークを、ライトの光条が切り裂いた光景がとても鮮烈だった。

ここでのMCコーナーは「Flooding」の余韻で大騒ぎの中スタート。今日のライブを、愛美演じるジュリアが“すごいキャンプ”、平山演じる麗花が“とっても普通なキャンプ”と評していたのが微笑ましい。2番目の衣装がポンチョをモチーフにしたものであることや、野外で客席がよく見えることなどで盛り上がっていた。

「プロデューサーが作ってくれた曲」という予告から、歌うのはもちろん「Do the IDOL!! ~断崖絶壁チュパカブラ~」! この曲は「ミリシタ感謝祭 2019~2020」において、会場のプロデューサーが選んだキーワードから制作された楽曲で、“新しい時代への挑戦”“断崖絶壁を登るような…”“ハードコアテクノ”“チュパカブラ”がテーマとなっている。本来昨年の“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!!”で初公開される予定だったのが、一年越しにオリジナルバージョン初披露となった。最初にステージに立った田所あずさ、郁原ゆう、近藤唯、小岩井ことり、村川梨衣の5人は、片手にチュパカブラのぬいぐるみを握りしめている。バックダンサーたちはチュパカブラカラーの衣装で、手にはもちろんチュパカブラのぬいぐるみを鷲づかみにしている。

冒頭の台詞パートにはそれぞれのアイドルの魅力と個性がつまっていて、中でも小岩井の慈愛に満ちたセクシーな「チュパカブラ」の声には拍手さえ起こっていた。途中からはチュパカブラを装備したアイドルたちがステージに次々と登場。2番以降の台詞パートは様々なアイドルが歌い継いでいった。カオスが徐々に収束してアイドルソングに着地していく中で、全員で声を揃えた「私たちは、アイドルです!」の声が決然と会場にこだましていた。

大関英里のソロ曲「SUPER SIZE LOVE!!」には、諏訪彩花、原嶋あかり、小笠原早紀が参加。キャンプで張りきって料理を作るのはもちろん美奈子の仕事だし、育とまつりがお手伝い、茜がつまみ食いをしていく姿が目に浮かぶような顔ぶれだ。「プロデューサーさん、晩御飯の時間ですよ!」の声とともにスタートすると、元気と愛情でいっぱいの大関の歌声に、3人それぞれのパワーに満ちた歌声が合わさってさらに最強になっていく。キラキラの「おかわりー!」の大合唱でラストを締めると、会場からは今日一番ハイカロリーな拍手が巻き起こっていた。

「ココロがかえる場所」は今日多く歌われている最初のアルバムシリーズ「LIVE THE@TER PERFORMANCE 12」の収録曲で、渡部恵子、田村奈央、愛美、南早紀が歌唱。歌い出しは、唯一のオリジナルメンバーである渡部恵子のロングソロから。アップで見ると、柔らかな茶色の髪とヘアセットに桃子らしさを感じる。この歌い出しは原曲では雪歩と千鶴が歌っていたパートで、桃子のパートではない。オリジナルメンバーであっても違うパートで挑戦をしているのだ。そして続くパートは愛美がキメッキメで歌うのだから、もはや別の曲に感じるぐらい新しくて、面白い。優しさの中に強さの芯がある田村の歌声、そして安定感と情感の豊かさをあわせもった南の歌声。田村と南の歌声のユニゾンのはっとするほどの相性の良さに気づいたのも、今までにない人と曲の組み合わせがあったからこそだろう。

夕闇がそろそろ迫り始める時間に「夕風のメロディー」。しっとりとした時間帯だ。歌うのは近藤唯と、香里有佐、駒形友梨の3人。ステージに3人が登場すると、情感豊かに歌うそれぞれの表現が溶け合って響き合う。基調にあるのはこの曲が持ち歌の近藤の歌声で、その軸に駒形と香里がぴったりと寄り添っていくような表現の協調が見事。燃えるようなオレンジのライトを浴びながら、キャンプファイアの炎を背負って歌う3人。間奏の優雅な舞は夢の中のように美しい光景で、中でも香里の楽曲の世界に入り込んだような微笑みが印象に残った。

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