シンガーとしてエンターテイナーとして、極上の一夜を見事形に! “大橋彩香 ワンマンライブ2021~Our WINGS~”レポート

5月1日、“大橋彩香 ワンマンライブ2021~Our WINGS~”が開催。声優アーティスト・大橋彩香が開催する約1年半ぶりのワンマンライブは、現地開催・オンライン配信のハイブリッド方式での開催。全20曲の歌唱を通じてシンガーとしての大きなレベルアップを感じさせたのと同時に、久々のドラムプレイやふんだんに盛り込まれた演出も交えた、極上のエンターテイメントをみせてくれた。

もうCD音源じゃ物足りない! 明るさもつらさも豊かに表現する大橋の歌声

この日は大橋にとって過去最大規模の会場ということで、ステージセットや演出にもこだわり満載。メインステージの床は網目状のもので、その隙間からレーザーが射出されての演出もステージを彩る。また2階ステージの側面中央部には、文字やドット絵を舞台効果として映し出せるLEDも。さらに曲の前後には過去の大橋のライブにおけるファンの歓声を流すことで、声出しNGだった会場での臨場感を増幅。ライブを楽しむための、今できる最高の環境を用意してくれた。

さて、前置きはこの程度にして、そろそろライブ自体の模様をお届けしていこう。まずはメインスクリーンに、OP映像が上映。グレーに染まった世界やライブ会場のイメージが次々映し出されると、ドアに一羽の白い鳥が飛び込んで世界に色を与える。そして白一色に染まったスクリーンの前、2階ステージに大橋が登場。1曲目「START DASH」を歌い始めると、そのスクリーンをキャンバスにするかのように描かれていくライブロゴが大橋の翼になる。メインステージへと降りた大橋は、のっけから会場の隅々にまで届くパワフルかつ伸びやかな歌声を披露。しかもただの力押しでなく、落ちサビのファルセットの用い方などには技術的な面の巧みさもあり、1曲目から前回のワンマンライブ“Give Me Five!!!!!”からの成長をはっきり感じさせてくれた。
大サビ後には下手側の階段上ステージに上り、高らかにロングトーンを響かせて最高の幕開けを果たすと、そのまま大橋は2階客席通路上に用意されたトロッコに乗車! 2階席の通路を駆け抜けながら、「シンガロン進化論」を披露する。サビ前の振付のような見せ場のキーポイントは残しつつ、目の前のファンと視線を交わしながらの歌唱で心の底からの楽しさあふれる表情をみせると、続く「NOISY LOVE POWER☆」ではメインステージへと帰還。ダンサー4人を従えて、この曲ならではのポンポンを用いたダンスを交えたパフォーマンスを披露。ファンのボルテージをいきなりこの3曲で急上昇させた。

見事なスタートダッシュを決めたあとのMCでは「#大橋彩香WINGS」をつけたツイートも目にしつつ、約1年半ぶりのワンマンライブについて「このステージに立てていることがうれしいです。めちゃくちゃ詰め込んでいるので、ハイパーに駆け抜けていきます!」と率直な想いと意気込みを言葉にし、「にゃんだーわんだーデイズ」からライブ再開。歌声もパフォーマンスもキュートさをベースにしつつ、Dメロでは差し色のようにスタイリッシュさも込めてメリハリのある歌声に。また、そのDメロ明けには2匹の愛猫・フレア(愛称:ふーたそ)とミラも写真で映像に登場するという、この曲ならではの演出も。続く「Super dreaming days」もポップなナンバーではあるが、サイドステップや伸びやかな歌声がとにかくダイナミックな印象を与える。その姿から、生ライブのエネルギーを浴びることができる幸せを感じたファンも多かったのではないだろうか。
と、一転してここからライブは失恋ソングゾーンへ。まずアップテンポな「キミがいないクリスマスなんて」では譜割りの細かいBメロもうまく乗りこなしつつ、中盤以降はさらに力のぐっとこもった歌声でさらに感情を乗せる。そして、続くバラード「バカだなぁ」が、前半戦のポイントのひとつ。歌声の厚みやロングトーン部分のビブラートの塩梅などのさまざまな要素が、1番Aメロだけで違いを感じられるほど非常に濃厚な仕上がり。サビで感情を爆発させたかと思えば、Dメロではさらにその上を行く激しさを現出。かと思えば落ちサビは虚脱感たっぷりに歌い、「痛いよ」のフレーズには強い痛々しさがあらわになったりと、彼女の進化が凝縮された曲のひとつだったように思う。

この4曲を振り返るMCを挟むと、今度は「心温まる曲ゾーン」と予告して2階ステージに上がり、まずは「Lovely Days」を披露。キーの高めな楽曲ではあるが、キュンとくるメロを伸びやかさそのままに歌いこなすと、続いては満月と星空の映像をバックに「お月さま」へ。メインステージで楽曲に合わせてストーリー性のあるパフォーマンスを繰り広げるダンサーを見守るかのように、優しく温かく歌いかけていく大橋。声質を極端に変えるわけでもなく、声の響かせ方や各フレーズの締め方だけで温かさを表現した点も、この曲で非常に素晴らしかったポイントだ。そして前半戦のラストを飾ったのが、「like the melody」。今の状況下において非常に多くの人の心に刺さるであろう言葉をもった曲を、光や希望を自然と感じさせるような歌声で表現して、前半を締めくくった。

ここで大橋は一旦降壇。影ナレによるバンドメンバーやダンサー紹介と、それぞれのソロプレイタイムが挟まれる。ここまでは、大橋のライブを経験した人にとっては“普段どおり”の展開に感じられたはず。だがこの日は、このパートにも大きなサプライズが存在した。それは他でもない、“Vocal & Drum 大橋彩香”のプレイである。いつの間にかステージ中央に据えられたドラムセットのもとに座ってスポットライトを浴びる大橋は、2018年の“PROGRESS”以来の、ワンマンライブでのドラムプレイをスタートさせる。中盤にはバスドラを鳴らしながら両手を振るといったパフォーマンス的な魅せ方も挟みつつ、1分半以上にも及ぶ堂々のドラムソロを披露。さらにはそのままバンドの演奏にツインドラムとして参加する姿、あまりにもかっこよすぎた。

演奏後に席を立った大橋は、床下から射出されたレーザーを用いてのパフォーマンスへ。ときに手のひらで操るように、ときにそのレーザーを身にまとうようにしたスタイリッシュなダンスパフォーマンスで魅せると、火柱が次々上がり音玉も炸裂するなか、ダンサー4人とともにダンスを繰り広げながら「Winding Road」で後半戦をスタートさせる。曲が始まるとレーザーが今度は会場中へ乱れ飛んだりと目立つ演出も多かった曲だが、大橋のパフォーマンスも非常に質が高いもの。ドラムプレイや冒頭のダンスを経ての歌唱にもかかわらず、歌声はへたれるどころか楽曲に沿った迫力あるものへとギアチェンジ。Dメロでは生ならではのトゲある歌声を聴かせれば、大サビの最高点も伸びやかに力強く突き抜けて、会場中を圧倒する。
曲明けには「まだまだ飛ばしていくぞー!」と叫ぶと、ハイテンポな楽曲を3曲畳み掛けていく。まずド真ん中のロックチューン「MASK」では楽曲に負けない強度の歌声を響かせつつ、2番ではギターと背中合わせになったりとバンドメンバーとも絡みながらの歌唱。お立ち台に足をかける姿などにも、アグレッシブさがにじむ。続く「HOWL」はアニメPVを背負いながらハイスピードな楽曲に食らいついていく一方で、2番Aメロのメロラップを極限まで脱力したかのように歌い、またも歌声の緩急で聴かせる。さらには「ロンリーサンシャイン」でも曲に沿った荒々しさを歌声に上乗せしてぶつけていき、最後まで凛とした表情のまま、タフなゾーンを締めくくった。

数秒の雑踏の映像を挟むと、今度はスタンドマイクを用いて「NOT YET」を歌唱。凛とした歌声に切なさを加え、オトナな葛藤を描く歌声をもって聴かせていくと、さらなる葛藤を描いた「Sentimen-Truth」へ。イントロ中にじっと客席を見回しながら楽曲に没入していく大橋は、この曲でもボーカルワークの巧みさで魅せる。特にA・Bメロの歌声はサビに向かっての感情の盛り上がりを確かに感じさせながら、硬さがなく自然とノドを通って放たれているようなイメージのもので、ボーカリストとしてのスケールの大きささえ感じさせる。もちろん要所要所ではぐっと力を込め、大サビでは逆に力を100%出し切るように歌うことで感情の吐露を表現。この曲のクライマックスに訪れた、このライブ中唯一理性でコントロールしきれなかったように見えた場面は、観る者の胸をぎゅっと締めつける。
そうして内面のモヤモヤを吐き出しきったところで、再び光を感じるナンバー「ハイライト」を披露してクライマックスへと近づいていく“Our WINGS”。この曲もトロッコ曲となり、「シンガロン進化論」とは逆に上手側から出発。再び2階席の通路を駆け抜けながら、間近に“キミ”と歌いかける存在を感じながらの歌唱となった。

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