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REPORT

2021.03.21

千葉翔也の魂の生ギターから、駒田航の深怪邪龍神リ・ヴァイア召喚まで!バラエティに富んだ “THE IDOLM@STER SideM PRODUCER MEETING WELCOME TO PLEASURE 315 G@RDEN!!!” DAY2レポート

プロミならではの実験的なライブ構成

ライブパートはF-LAGSの「夢色VOYAGER」からスタート。スクリーンに青空の下大海原を行く船が映し出され、三瓶由布子、比留間俊哉、浦尾岳大がF-LAGSカラーの三色旗を振るいながら登場。「迎えに来たよ!」「会いたかったぞ!」「共に行こう」と思いの丈を告げた。全力でジャンプし、にっかりと笑顔を見せて、駆け回りながら全身で表現する浦尾の姿が印象に残る。センターにSideM唯一の女性キャストである三瓶が立ち、新たに役柄を引き継いだ比留間がその隣にクールに立つ。この3人によるF-LAGSの待望の初ステージだ。比留間はMCで「念願だったこのステージでこの曲をできたことが感動というか……」と言葉を詰まらせていた。

Beitは堀江瞬、高塚智人のデュオバージョンで「想いはETERNITY」を披露。両サイドに分かれていたふたりが、ステージを大きく横切ってセンターへ。間奏ではさらに歩み寄ったふたりがキメポーズ。どこか控え目な感じが人柄を感じさせる。落ちサビでは堀江が正面に向けてまっすぐに誠実な歌声を響かせると、お互いに歩み寄りながら歌声を捧げあう。一対一の視線のやり取りはデュオ編成ならでは。ラスト、ゆっくりとターンしたふたりが客席を見渡す眼差しが記憶に残った。MCではこの曲をいつかまた3人で、という強い気持ちが伝わってきた。

S.E.Mは、伊東健人、榎木淳弥、中島ヨシキが楽曲アンケートでも上位に入っていた「Study Equal Magic!」を披露。タケノコダンスに代表される独特の動きは、何度見ても楽しい。ダンスもキレキレの仕上がりで、動きがキレるほど面白く、面白いほどかっこいいのはS.E.Mならではの味だと再確認した。若干振付が変わっており、象徴的なのはラストのキメポーズ。普段は伊東の背中に榎木と中島が頬杖をつくようなキメが、3人が全身を使って「S.E.M」を象った人文字を作るものに変わっていた。

THE 虎牙道は寺島惇太、小松昌平、濱野大輝が「情熱…FIGHTER」を披露。それぞれのらしさあふれる煽りと、振り返りからのキメポーズを順番に見せて並び立つ。歌い出し、抑えたトーンで内に燃える炎を表現する寺島と濱野と、たぎるような情感を込めたシャウトを響かせる小松のコントラストが印象的だ。赤と青の照明がステージを照らし出し、パフォーマンス全体からもタケルの静かなる蒼炎と漣の燃えさかる紅炎のカラーの違いが感じられた気がした。間奏の連続蹴り、パンチ、天空落とし(湯切り)の3連アピールにもそれぞれの個性がよくでていた。

Café Paradeは狩野翔、児玉卓也、小林大紀の3人が「Café Parade!」を披露。巻緒としてやや線の細い演技をする児玉、フェミニンな小林に挟まれると自然狩野が高らかな力強さを担う感じになるが、全体としてスマートにまとまるのは狩野の持ち味だろうか。普段東雲、アスラン、神谷の3人が順番に自分のカラーを出していく「Everyone」のフレーズは狩野がひとりで担当。ロングソロで児玉と小林の2人と掛け合う見せ場になった。それぞれの個性が際立ちつつ、やっぱり5人のカフェパレがまた見たくなるパフォーマンスだった。

Altessimoは永野由祐、土岐隼一が「The 1st Movement ~未来のための二重奏~」を披露した。壮麗なイントロと共に両サイドステージにふたりが登場。手を差し伸べながら客席を見渡した永野が優雅に一礼。高らかな歌声を響き合わせながらセンターステージに集ったふたりは優美なダンスでも見せる。格調の高さが印象に残りがちなユニットと楽曲だが、今回は「もっと…幸せ、喜び、愛の調べを!」のフレーズで手を差しのべあったふたりがにこっと笑った時の淡い、幸せそうな空気感が焼きついた。全体曲でも、永野がいい顔で笑うな、と何度か思ったように思う。ふたりが歌い終えたあとの一際大きく長い拍手はAltessimo名物と言ってもいいだろう。

ここからはソロのターン。まずは駒田航が「Undiscovered WORLD」を披露した。伸びやかで物語をはらんだ歌声が印象的で、船が出港した先に広がる未知なる世界と胸の高鳴りが目に見えるようだ。星に手を差し伸べたり、遠眼鏡を覗きこんだり、ステージを泳いでみせたりの動きと表情、歌声が連動してひとつの表現としてまとまっている印象が強い。優雅にターンしての「貴方の許へ!」のフレーズでの目力強めの視線を独り占めできるのは配信視聴の特権かしれない。

仲村は「THE FIRST STAR」を前日に続き披露。「一番星まで…!」のワンフレーズ、ワンアクションで世界をつかむ説得力が素晴らしい。さわやかな疾走感と、ど真ん中を行く力強さ。配信のカメラにまっすぐ感謝を伝え、投げキッスと共にはにかんだように笑ってフレームアウトしていく姿がにくらしいほどキマっている。歌が途切れたふとした瞬間ににかっと笑う少年のような笑顔や、逆光の中拳を突き上げる姿がとても絵になるパフォーマンスだった。仲村自身も「一番気持ちいい「THE FIRST STAR」だった」と振り返っていた。

古畑は「新世代ワールド・ビッグスター!」を披露。「プロデューサー、楽しんでるかー?」と問いかけ、カメラを指差しアピールする姿は志狼そのもの。キメポーズから、「BI BI BI BI ビッグスター!」のフレーズでの驚いたようなコミカルな表現までの切り替えがスパッと鮮やかだ。ステージを全力で弾みまわるように階段を駆け上がり、飛び降りる。少年らしい元気なステージを、キレ味するどい運動量と全身で見せる演技力が支えている感じだ。ラストの振り向きざまの吠え声まで、様々な表現が留まることなく続いた。

ソロのトリは千葉の「PRECIOUS TONE」。ドラムが印象的なバンドサウンドが響き、真っ赤なライトに照らされる中、千葉はギターを下げて登場! ギターはフェンダーストラトキャスターの赤、作中で隼人が使っているものと同じデザインだ。千葉は楽しそうな表情で、ステージを歩きながらギターを奏で始める。センターのスタンドマイク前でギターをかきならしながら、歌声にまっすぐ想いを込めていく姿には、High×Jokerの時とはまた違ったかっこよさと輝かしさがある。間奏のギターソロを自ら奏で、魂のこもった歌い上げを見せる姿はふるえるほどかっこよかった。MCで登場した駒田が「何それ!?」、仲村が「秋山隼人が見えた」と興奮気味に語っていたのが、こちらの思いを代弁してくれているようだった。

DAY1でもあった“生ドラマ×ライブ”で披露されたのが「Braver Beat」。ドラマCD「ビーストクロニクル ~Risin’ Soul~」に参加した寺島惇太、駒田、千葉、古畑、榎木、浦尾のオリジナルメンバー6人が揃った。ビーストクロニクル、通称ビークロとは劇中で子どもたちに大人気のトレーディングカードゲームの名前で、今回ライブで披露したドラマもキッズ向けトレーディングカードゲームアニメの文脈を知っている人ならニヤリとできるテイストだ。

冒頭、古畑演じる志狼が一人で登場してアニメのオープニング風のモノローグを演じる。驚いたのはほんの少し前まで素の志狼を再現した栗色だった古畑の髪に、「ビーストクロニクル」での役柄に合わせて赤いメッシュが入っていたこと。驚くべき早替えだ。古畑が作品の世界観を伝えると、ここで一旦スクリーンで繰り広げられるオーディオドラマにスイッチ。後半はそこにステージ上での朗読劇が合流する構成だ。駒田の芝居がかった悪役姿や、榎木の底知れなさを感じさせる演技、ちょっととんがった隼人を演じる千葉など、「劇中劇を演じるアイドル」という二重構成ならではの新鮮な姿を楽しむことができた。

朗読劇のクライマックスでは、駒田が召喚した深怪邪龍神リ・ヴァイアに対抗すべく、寺島(惇太)が迅雷神ライジングソーを召喚。ここからシームレスにライブパートに突入し、「ウェイクアップ!!」の声と共に寺島惇太、駒田、千葉、古畑、榎木、浦尾の「Braver Beat」ステージがスタートした。ライブパフォーマンスとしてもクールさや鋭さのニュアンスが強く、「ビーストクロニクル」の世界と役柄のイメージと余韻が演者にも、見る側にも残っているのが最高のスパイスだ。間奏にはそれぞれの切り札をけれん味たっぷりに召喚していくと、声をひとつに「このカードで、歴史を刻むぜ!」のキメ台詞を叫んだ。さらにテンションを増していくラストの畳みかけといい、本当にかっこいいヒーローたちのステージだった。

ここからは楽曲シャッフルパート。組み合わせや楽曲はプロデューサーによる事前投票で決定された。トップバッターはCafé ParadeとTHE 虎牙道、狩野、小林、児玉、寺島惇太、小松、濱野による「POKER FAITH -ポーカーフェイス-」。「アイドルマスター SideM 理由あってMini!」のエンディングテーマだが、“インテリ”属性のアイドルたちによって歌われた楽曲をこのチーム、特にゴリゴリの“フィジカル”属性であるTHE 虎牙道が歌うのはとても新鮮で面白い。その気になれば誰もがクールでスタイリッシュな表現も見せられるのは流石の一言だった。

「Sugaring Off Party!」ではBeitとF-LAGSの堀江、高塚、三瓶、比留間、浦尾が共演。同曲は世界を巡る「WORLD TRE@SURE」シリーズでカナダをモチーフにした楽曲。ポップでフレーズの響きが面白い感じはF-LAGSにぴったり。カナダの雄大な自然を歌うテイストはBeit寄りだろうか。間奏では三瓶と堀江が「やふー!」とピエールの名フレーズを唱和しながらジャンプし、高塚と浦尾が「カチコミじゃあ!」と声を揃えて渡辺みのりのちょっとやんちゃな過去を思い出させる。これぞコラボという感じのハッピーな時間だった。

「TOMORROW DIAMOND」ではAltessimoとS.E.Mの永野、土岐、伊東、榎木、中島が登場。まったくカラーの違う両ユニットがどんな化学変化を見せるのか。原曲ではBeit・ピエールの柔らかく素朴な歌唱が印象的な歌い出しはAltessimo組が担当。技巧的な歌が多いふたりのまっすぐな歌唱が新鮮だ。AメロではS.E.Mが前に出ると、メロディアスな曲調を情感豊かに歌い上げる。完全にシャッフルして混ぜ合わせるというよりは、AltessimoとS.E.Mという違った個性の楽器を持ち寄って合奏するようなイメージだ。ワルツ風の転調部はもちろんAltessimoのターン。ラストは五分割の画面で、5人がプロポーズするようなイメージで、それぞれのユニットカラーに輝くダイヤモンドを捧げた。

楽曲シャッフルのラストは、仲村、寺島、千葉、古畑、駒田による「笑顔の祭りにゃ、福来る」。最高に素敵な笑顔を持ったアイドルたちが、和の祭りソングで楽しくパーティを締めくくる選曲だ。寺島拓篤は今回腰痛のためボーカルのみの参加になったが、彼のソロパートの前に古畑が「冬馬もいっしょに!」と音頭を取って、一体感を盛り上げる演出が嬉しい。うちわ片手の5人と1人は笑顔の花を咲かせながら、ステージを祭り舞台に変えていく。315にハッピーな祭囃子に乗って、会場のプロデューサーたちの心の熱とステージを楽しむ気持ちまでが伝わってくる気がした。

出演者全員からの想いのこもった締めの挨拶では、久しぶりのステージの喜びと、次は観客と一緒に声を出して楽しみたいという希望が聞かれた。一言ではまとめられないという三瓶の「迎えに来たよ! また会おうね!」の明るい叫びは、全員に共通する想いだったように思う。舞台袖からステージを見守った寺島は「プロデューサー、楽しかったか? ステージのみんな、315だったぜ!」と声をかけると、次は仲間たちと共に最高にかっこいい天ヶ瀬冬馬を見せる決意を語っていた。

ライブを締めくくるラストナンバーは、本作のはじまりの楽曲である「DRIVE A LIVE」。会場をアイドルの数だけ色があるライトが控えめに満たし(各種アイテムを高く掲げすぎない意識が行き届いている)、配信のプロデューサーが画面をタップした分だけ、色とりどりの星の花火が上がった。

これでライブは大団円……というところで、スクリーンに乱入してきたのは315プロ・齋藤孝司社長。サプライズ告知では、新作ゲームアプリ「アイドルマスター SideM GROWING STARS」の制作が発表され、新たなはじまりの予告でイベントは幕となった。

世界は動き出し、未来に続く新しいストーリーがまた、はじまった。

Text by 中里キリ

THE IDOLM@STER SideM PRODUCER MEETING WELCOME TO PLEASURE 315 G@RDEN!!! DAY2
2021.03.14 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
セットリスト
M01:NEXT STAGE!(全員)
M02:夢色VOYAGER(F-LAGS/三瓶、比留間、浦尾)
M03:想いはETERNITY(Beit/堀江、高塚)
M04:Study Equal Magic!(S.E.M/伊東、榎木、中島)
M05:情熱…FIGHTER(THE 虎牙道/寺島惇太、小松、濱野)
M06:Café Parade!(Café Parade/狩野、小林、児玉)
M07:The 1st Movement ~未来のための二重奏~(Altessimo/永野、土岐)
M08:Undiscovered WORLD(駒田)
M09:THE FIRST STAR(仲村)
M10:新世代ワールド・ビッグスター!(古畑)
M11:PRECIOUS TONE(千葉)
M12:Braver Beat(寺島惇太、駒田、千葉、古畑、榎木、浦尾)
M13:POKER FAITH -ポーカーフェイス-(狩野、小林、児玉、寺島惇太、小松、濱野)
M14:Sugaring Off Party!(堀江、高塚、三瓶、比留間、浦尾)
M15:TOMORROW DIAMOND(永野、土岐、伊東、榎木、中島)
M16:笑顔の祭りにゃ、福来る(仲村、寺島拓篤、千葉、古畑、駒田)
M17:DRIVE A LIVE(全員)

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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