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2021.03.06

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.6『MICROCOSM』

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.6『MICROCOSM』

今までリリースしてきたアルバム1枚ずつをコンセプトに、毎月1回、全12回の配信ライブとして全国、全世界、どこにいても体感できる配信ライブ“炎の12ヶ月”。リスアニ!WEBではそんな月イチオンラインライブをレポート!今回は『MICROCOSM』!

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■LIVE REPORT

普段とは違い、音のない映像。静けさのあるホールで、ライブの始まりを待つ機材や楽器が映し出される。徐々に響き出したのは機械の動くモーター音。ぐーっと姿を見せたのはプラネタリウムにある投影機だ。「小宇宙」をテーマに作られたアルバム『MICROCOSM』のライブはプラネタリウムで行われる。ロックバンドがプラネタリウムでライブなど、前代未聞のことに違いない。しかしアルバムの世界をより深く表現して届けたいと願うFLOWは、その“前代未聞”も軽く飛び越えていく。

アルバムのオープニングを飾るインスト曲「ECHOES」。映し出される星空とともに、宇宙飛行士の通信のような音がリスナーを『MICROCOSM』の世界へと誘う。静かにつま弾かれるギターの音から伸びやかなKOHSHIの声が響き出して始まったのは「CALLING」。宇宙空間を旅するような映像と融合しながら歌い上げられる呼び声の歌に胸が熱くなる。プラネタリウムならではのドーム型スクリーンの映像の中でのライブパフォーマンスは観ている視聴者の平衡感覚を奪い、どこか浮遊感を味わわせるようだ。そんな広い空間を感じさせる曲に続いたのはアグレッシブなラウドロック「ENEMY」。UFO襲来! 強大なENEMYが襲い来る映像をバックに激闘を繰り広げるようなパワフルなボーカルが届く。

「炎の12ヶ月。『MICROCOSM』ということで。今夜はなんとプラネタリウムからお送りします」とKEIGO。「まさかの!」とKOHSHIも笑みを浮かべる。FLOWにとって最もコンセプチュアルなアルバムである本作ならではなプラネタリウムでの演出を活かした、アルバムのツアーとはまた違う表現方法でのライブを見せたいと話すKEIGO。「いつものFLOWのライブとは違って、ライブ感よりは世界観を1本のライブで表現できたら」とKOHSHIも口にする。

そして紡がれる『MICROCOSM』のストーリ。続いたのはグルーヴ感溢れるイントロに導かれボーカルが重なる「SOUL RED」だ。降り注ぐような星々の輝きは大きな星雲となっていく。綴られた想いも言葉という点の集合から大いなる塊になっていくような、そんな1曲なのだと改めて感じた。映し出されるのは母なる星・地球。美しいストリングスの旋律とともに急ぐように響くTAKEのギターリフが印象的な「UNION」。まるで太陽系の星々が並ぶようにGOT’Sのベースのネックに一列に光が灯り、鼓動のように力強くIWASAKIのドラムのビートが雄大な1曲を支える。星空の下での静かながらもタイトル通り“結束”への、彼らの強い信念が胸に迫るようだった。ドームに映し出されたのは雲が流れる様。ドラマチックで胸を打つイントロからKEIGOが言葉を確かめるように、1つずつ届けるように歌い出した「ATMOSPHERE」。KOHSHIの声が重なり、紡がれる命の歌。FLOWが明確に反戦を歌うこの曲が、平和の象徴のようなプラネタリウムで掻き鳴らされることに鮮烈なメッセージがあるのだと感じた。そんな1曲から続いたのは「PLANETARIUM」。プラネタリウムに響かせる、プラネタリウムをタイトルに戴く歌。静かに歌い出したKOHSHIの声にKEIGOの声が重なり、ゆっくりと音を重ねていくメンバーたち。ハートフルな1曲が胸に沁みる。荘厳なSEとともにスクリーンには太陽が映し出されれば、大いなる宇宙のアグレッシヴで暴力的なまでの生命力を感じさせるインスト曲「CORE」が響く。KOHSHIもギターを手にして重厚な音を怒涛の勢いで響かせると、そのままライブは「FREEDOM」へと突入する。外へ向かっていた小宇宙は、自分の内部という小宇宙の歌へ。攻撃的なバンドの音に尖ったラップが駆ける。

会場の雰囲気にも慣れてきたというKEIGO。その暗さと『MICROCOSM』の世界観も相まって歌っていると自身のインナースペースへと入り込んでいくような感覚があるのだとか。「特に私なんてサングラスをかけていますから。普段よりも(会場が)暗いうえにサングラスですから。とてもインナーな感じになっております」とKOHSHIは苦笑い。インナースペースへと入り込むからこそできる表現を見ることのできるこのライブが、いかに貴重なものかを感じさせた。さらにプラネタリウムの天井には、ライブの配信日である2月26日の星空を再現。そんな星々をKEIGOが解説するなど、プラネタリウムならではのMCも。オリオン座の話題から月の女神・アルテミスとの叶わぬ恋の物語の話へ。オリオン座は大切な人を想う星座であるという話に繋がるように、ライブは大切な人への想いの歌「TO-O-KU-E」へ。天井には星座が輝き、星々の物語が線となっていくなか、二人の歌声が響いていく。「皆さん! まだまだやれますかー!」とKEIGOの声が画面から飛び出す勢いで放たれるとスクリーンには人工衛星越しに見える月の光が映し出され、軽快なビートと激しいギターリフのイントロから「LUNA」へ。重厚でスピード感あるラウドロックがフロアを熱く彩りサビの伸びあるメロディが爽快に鳴ったあとには、TAKEとKOHSHIのギターが掻き鳴らされる「TONIGHT」。英語詞で歌い上げられる軽快なロックンロールでライブは一気にヒートアップ! 「今、世界中が痛みを知っているなかで俺たちは確実に強くなっているよ。絶対に大丈夫。俺たちはこれからもそのことを伝え続けるよ!」とKEIGOが叫ぶ。そして、世界中が歌う。そう、「Sign」だ。海外公演では日本語で大合唱が湧き上がるというこの1曲。世界で5000万回も再生されているという、多くの人々の心に寄り添う歌。その痛みがいつも君を守ってるんだ、と大きな歌声が、画面の向こうで鳴り響いているのを感じた。みんなと繋がっていることを感じている。俺たちは大丈夫だと伝えていく。その決意を改めて言葉にしたKEIGOと頷くKOHSHI、そしてTAKE、GOT’S、IWASAKI。ラストは「AMBIENCE」。世界を覆う現在の状況のことなど、微塵も感じていなかったときの歌なのに、この「AMBIENCE」に綴られたメッセージは現在の世界の状況にあまりにも重なる。きっと雨のちは晴れ。晴れることを信じて。FLOWの歌とともに。そんな熱いメッセージが込められた『MICROCOSM』のライブは地球の姿が映し出されて終演したのだった。

そしてライブは来月、『BLACK & WHITE』へ続く!

<セットリスト>
01. ECHOES
02. CALLING
03. ENEMY
04. SOUL RED
05. UNION
06. ATMOSPHERE
07. PLANETARIUM
08. CORE
09. FREEDOM
10. TO-O-KU-E
11. LUNA
12. TONIGHT
13. Sign
14. AMBIENCE

■DISC REVIEW

『MICROCOSM』

2010年リリース。FLOW初のコンセプトアルバムとして、「小宇宙」をテーマに制作された1枚。欧米44カ国でのリリースもあり、世界進出を本格的に果たしたアルバムでもある。フランスはパリで開催されている“Japan Expo 2011”において、2011年度に「最優秀J-MUSICアルバム賞」を受賞して話題に。アルバム自体はコンセプトのもと、インスト曲「ECHOES」から幕を開ける。宇宙船の中にいるのか、宇宙空間をそこから眺めているのか。静けさと荘厳さのある「ECHOES」から繊細にギターが紡がれていき、「CALLING」へ。日米合作で作られ、マーベルコミックの生みの親であるスタン・リーが原作を手がけたTVアニメ『HEROMAN』のEDテーマであるこの曲は、伸びやかなボーカルとメロディックで重厚なサウンドが印象的な、“世界規格”のFLOWロックである。TVアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のオープニングを飾った「Sign」。世界での再生回数が5000万回を突破したことでニュースにもなった大人気の1曲。繊細に紡がれた音が、あの日のナルトの痛みに寄り添い、今もナルトファンの心に流れ続ける珠玉チューンである。バイオリンの音色と轟くバンドサウンドが融合した「UNION」は、内なる宇宙を思わせる1曲だ。宇宙から見る地球。大気、または大気圏。雰囲気。そんなタイトルを冠する「ATMOSPHERE」は消えることない争いへの想いを綴った“反戦の歌”。美しい旋律がリフレインする1曲に静かながらも滾る強い想いが宿る。

クラシカルなストリングスのユニゾンとアコギの音とで優しく音を紡ぐバラード「PLANETARIUM」は、夜空に浮かぶ荘厳なまでの星空を模わせるハートフルで胸に沁みる1曲だ。星々の鼓動を感じるような深淵の音から激しく轟き渦を巻くラウドなグルーヴが響くインスト曲「CORE」から「FREEDOM」へ。海外ドラマ「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」のイメージソングでもあるこの曲はアグレッシブな音が圧倒するナンバー。この曲で歌われるのは“僕”という宇宙。社会の汚泥に切り込むような、もがくリスナーへと希望を手渡すような歌詞が衝撃的だった。ダンスビートとともに畳み掛ける轟音がグルーヴするエレクトロラウドロックナンバーの「ENEMY」に続く硬質なビートの音と歌うようなベースラインが印象的な「SOUL RED」は、KOHSHIとKEIGOの歌声が紡ぐメロディに哀愁と人間味が感じられる。

地球を飛び出す勢いのあるギターリフで打ち上げられるようなイントロからほとんどの部分を英語詞で歌い上げられる「LUNA」は月夜のダンスナンバー。月夜を歌い上げたあとは、夜の躍動を歌う「TONIGHT」。こちらの曲もほとんどの部分が英語詞で綴られた1曲。2度目の海外公演で成功を果たし、欧米でのリリースとなった今作で、彼らの視界に世界が広がっていることを改めて感じさせる。ゲーム「真・三國無双 MULTI RAID 2」のCMソングでもある「AMBIENCE」。イントロではオーケストラピット各楽器が音を確認しているような表現から楽曲の中でもフルオーケストラを思わせる層の厚いクラシック楽器の音色でヘビーなロックを爽快に彩っている。情感たっぷりのボーカルで聴かせるエモーショナルで壮大なミティアムロック「TO-O-KU-E」は“小宇宙”というテーマにありながら地に足の着いた感のあるどっしりとした存在感ある1曲。ラストを飾るインスト「F.O.E」の、本来のタイトルは「Friends Of the Earth」。地球上に存在するすべての生命への、FLOWからの賛歌だ。

TEXT BY えびさわなち

『MICROCOSM』
2010年6月16日発売

【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:KSCL-1598~KSCL-1599
価格:¥3,200+税

【通常盤(CD)】
品番:KSCL-1600
価格:¥3,059+税

<CD>
01. ECHOES
02. CALLING
03. Sign
04. UNION
05. ATMOSPHERE
06. PLANETARIUM
07. CORE
08. FREEDOM
09. ENEMY
10. SOUL RED
11. LUNA
12. TONIGHT
13. AMBIENCE
14. TO-O-KU-E
15. O.E

<DVD>
01. Sign
02. CALLING
03. Recording scene of “MICROCOSM”
04. Radio Program「FLOWのキャプテン26」Final 2010.03.26 Movie ver.
05. 「Sign」Launch event at LAZONA Kawasaki Plaza
06. 「CALLING」Photo Shooting
07. Offshoot at musix 2010 – Okinawa International Asia Music Festival-

●公演情報
FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月
Vol.6「MICROCOSM」
2月26日(火)配信

FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月
2020年9月26日(土)配信:SPLASH!!! ~遥かなる自主制作BEST~
2020年10月26日(月)配信:GAME
2020年11月26日(木)配信:Golden Coast
2020年12月26日(土)配信:アイル
2021年1月26日(火)配信:#5
2021年2月26日(金)配信:MICROCOSM
2021年3月26日(金)配信:BLACK&WHITE
2021年4月26日(月)配信:FLOW THE MAX!!!
2021年5月26日(水)配信:26 a Go Go!!!
2021年6月26日(土)配信:#10
2021年7月26日(月)配信:TRBALYTHM
2021年8月26日(木)配信:???

●リリース情報
TVアニメ『シャドウバース』OPテーマ楽曲収録
FLOWニューシングル
「新世界」
発売中

【通常盤(CD)】
品番:VVCL-1679
価格:¥1,200+税

【初回生産限定盤(CD+Blu-ray+グッズ)】
品番:VVCL-1676~1678
価格:¥3,000+税

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