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REPORT

2021.02.05

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.5『#5』

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.5『#5』

今までリリースしてきたアルバム1枚ずつをコンセプトに、毎月1回、全12回の配信ライブとして全国、全世界、どこにいても体感できる配信ライブ“炎の12ヶ月”。リスアニ!WEBではそんな月イチオンラインライブをレポート!今回は『#5』!

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■LIVE REPORT

直前開催予定だった有観客ライブ“FLOW THE CARNIVAL 2021~~新世界~”が延期となったこともあり、“炎の12ヶ月”が2021年最初のFLOWライブ! その幕開けはこれまでの“炎の12ヶ月”同様で、今回は『#5』のライブのために作られたOPムービー。2020年を振り返るFLOWのメンバーたち。その言葉は、未曾有の事態に対してとてもリアルだ。それは絶望ではない。彼らは音楽を止めない。そして自分たちの表現を止めないのだと改めて知る。

“骨太なアルバム”“初心に還る”“シンプルなバンドサウンド”とメンバーが口にするロッキンなアルバム『#5』のライブの1曲目を飾ったのは轟くバンドの音が画面の向こうからリスナーを圧倒する「HEAVENLY STARS」。KEIGOとKOHSHIの渾身の歌声が突き抜けるようなパワーを放つ。メロディアスなギターが疾走する「PULSE」ではボーカル二人のユニゾンとともにコーラスでのバンドの一体感と勢いを感じさせた。

「今日はまた見慣れないスタイルで!」とKEIGOが笑う。ライブ会場に選んだのは渋谷O-nest。バンドが初めてワンマンライブをやった場所である。原点回帰のアルバムということで、この場所を選んだという。ステージにドラムセットがあり、普段はフロアである場所にボーカル二人とTAKEとGOT’S。バンドが円となり、内側を向いているスタイルだ。違和感があると笑うKEIGOとKOHSHI。GOT’Sも「みんなの顔を見ながらやるのがちょっと恥ずかしい」と笑う。「さぁ、皆さん。それぞれの場所で繋がっていきましょう!」とKEIGOの声で「WORD OF THE VOICE」のイントロが。歌い上げるKOHSHIの声に導かれるように重厚な音が響き、ドラマチックな曲が。青い照明に照らされたところから赤も混ざって青と赤混ざる雰囲気のある光に包まれるサビ、そして間奏は赤い照明。視界でも曲の世界を堪能させる。渦を巻くように放たれる重低音。メンバーの向く中央のスペースでグルーヴしているのを錯覚するほどの熱い音で聴かせた「MUSIC」で熱を帯びたステージに続き、響き出したのは「BRAND-NEW DAY」。軽快にビートを叩き出すIWASAKI、重なるのは跳ねるGOT’Sのベースと軽やかなTAKEのギター。その音にクラップするKEIGO。その姿を眺めながら歌い出すKOHSHI。目と目で合図を送り合うように顔を見合わせる彼らのバンド感を強く感じた瞬間だった。曲に入る前のSEはグッと雰囲気を変え、民族的な音と共に燈明のような光が画面に映し出された。そして始まったのはレゲエのビートに熱い想いを乗せた「アンタレス」。2009年の彼らではない、2021年の彼らが歌うからこその大人の色香が漂うようだった。

O-nestでのワンマンは19年くらい前のこと。そのときのことを「憶えてる?」と話し始めるKEIGOとKOHSHI。当時はMCをやっていなかったKEIGOが、ベルトが壊れて袖に掃けたKOHSHIを直立不動で待っていた話など思い出話を披露していく。そんなO-nestは10周年突入の年の節目でもライブを行った。原点回帰といえばO-nestである、という彼らはみな、「帰って来る場所があるということは嬉しい」と表情をほころばせた。そしてアルバムの話題へ。このアルバムはミディアムテンポやバラードもあり、FLOWにとって初めての冬のバラードであると話すKEIGO。そのままライブは「SNOW FLAKE~記憶の固執~」へ。ストリングスの美しい旋律と切なさ滲むサウンドとで紡いでいく1曲は、やはり1月であるこの日にシンクロするナンバーだ。

そして“炎の12ヶ月”の「GAME」のときにもやったSNSでファンと繋がるゲームを行うことに。こうやって画面の向こうと繋がる企画をやるのもまたFLOWらしい。「皆さん、それぞれの場所でまだまだイケますかー!?」とKEIGOの雄たけびとともに激しくグルーヴする重厚な音が鳴り出して、「赤いサイレン」のイントロへ。衝動とエモーションとを内包する赤く鮮烈なアッパーチューンのあとにはガラリと雰囲気を変えてしまうのもまたFLOWらしさ!披露されたのはフィンガー5の名曲カバー「学園天国」だ。これは画面越しに思わず「ヘイヘイヘイ~♪」と歌ってしまう。きっとこの“炎の12ヶ月”の象徴でもある鳴子が日本全国あちらこちらで躍っているはず。そして鳴り出すしたのは「WORLD END」だ。色彩の歌、にふさわしく色とりどりの光に埋められるO-nestにKEIGOとKOHSHIの伸びやかな歌声が広がっていく。ここでKOHSHIが肩からギターを下げる。TAKEとともにギターを弾きながら「ANTHEM」へ。「さぁ、1つになろうぜ!」とKEIGOが声を上げ、感情とともに丁寧に想いを紡いでいくような1曲に心が震える。視線を合わせる五人。気持ちが、彼らの真ん中に集まっていくようだ。「いいか、絶対に忘れないでくれ。お前は一人じゃないからな。これからも歌おうよ。歌っていこうぜ!」とKEIGOの渾身の想いが画面から突き抜けてくる。2021年のスタートを切るにあたって言いたいことがあるというKEIGO。「世の中が変わったんじゃないから。世の中を変えるのは自分たちだから」と強い意志を持った声で告げる。「顔をあげて、前を向いて、自分たちで変えていきましょう。またライブをしましょう。また会えると信じています」という言葉で『#5』のライブのラストナンバーである「バタフライ」へ。“Let’s change the world”と、1つ1つの言葉をリスナーへと差し出すように大切に歌い上げる。この曲に宿る希望へのメッセージはまさに今、この時代にも響くもの。『#5』は12年前のアルバムだけれど“今”のアルバムでもある、と感じたライブだった。

そんな配信ライブの最後には最新シングル「新世界」に掛け、ファンから募集したそれぞれの「新世界」の中からメンバー賞を発表。そのまま新曲「新世界」をライブで初披露し、ポジティブなパワーに満ち、煌めくロックナンバーでライブは幕を閉じた。

<セットリスト>
01. HEAVENLY STARS
02. PULSE
03. WORD OF THE VOICE
04. MUSIC
05. BRAND-NEW DAY
06. アンタレス
07. SNOW FLAKE~記憶の固執~
08. 赤いサイレン
09. 学園天国
10. WORLD END
11. ANTHEM
12. バタフライ
13. 新世界

■DISC REVIEW

『#5』

2009年1月28日にリリースされた5thアルバム。前作『アイル』で広がった音楽のふり幅を、原点回帰とばかりにロック色を濃くした1枚。TAKEのディレクションで、セルフプロデュースでの制作の第一歩となるこのアルバムの幕開けを飾るのはTVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のOPテーマとなった「WORLD END」。ルルーシュの過酷で孤高な戦いを感じさせる切実な想いに満ちながらも、非常に明るく解き放つような1曲はコードギアスのファンからの評価も高かった。イントロのベースフレーズが印象的なラウンドチューンに畳み掛けるようなKOHSHIとKEIGOのボーカルが行き交う「HEAVENLY STARS」、唸るギターの疾走感に心逸る「PULSE」と、まるでライブの始まりのようなテンションの上昇気流で紡がれる前半。特に「PULSE」は2001年から2008年まで開催されていた世界最大級の屋内スノーボード競技会“X-TRAIL JAM”のテーマソングでもあったため、その疾風怒涛の勢いはうなずける。シングルとは違い、アウトロを追加した「SNOW FLAKE~記憶の固執~」はメロディアスなナンバー。サルバトール・ダリの有名な“記憶の固執”がタイトルにつけられているが、ストリングスの美しい音色と温かな温床でのバンドサウンドが非常に色彩感豊かでどこか絵画的な冬の情景の1曲だ。

カラフルなイントロに導かれるように始まる「ANTHEM」はドラマチックに展開する音と熱いメッセージが胸に刺さり、『#5』に彼らが込めた、彼らと出会ってきたファンへの賛歌のようだな、と感じる。快活なビートに躍動するボーカルで紡ぐ「BRAND-NEW DAY」を聴いていると、思わず一歩前へと踏み出したくなるような感覚に。ライブで共に歌っている姿が浮かぶようだ。ラウドな音がヘビーに轟くのは「赤いサイレン」。暗いフロアに赤い光が明滅するのが見えるようなイントロから軽快なメロディというコントラストでサビへと一気に盛り上げていくライブ鉄板曲。異国感あるSEが印象的な幕開けからメロウなレゲエサウンドで聴かせる「アンタレス」、そしてこれぞFLOWのミクスチャーロック決定版と言えるほど音が畳み掛け交錯していく「MUSIC」では、拳の木立が見えるようだ。

TVアニメ『PERSONA -trinity soul-』OPテーマの「WORLD OF THE VOICE」はペルソナ、女神転生独特の世界観を感じさせる叙情的かつエモーショナルなヘビーロック。雄大な大自然を感じさせるような広い場所を思わせる大きな存在感で響く「バタフライ」は、アルバムのエンディング感のある1曲……となると、フィンガー5による往年の名曲「学園天国」のカバーは“ボーナストラック”!? 『#5』に掛けてのフィンガー5という洒落はとてもFLOWらしい。音楽を、ロックを楽しみ尽す!と言わんばかりのパーティロックで締め括る本アルバムは、メジャーデビュー5周年の節目に、彼らの原点を聴かせる1枚だ。

TEXT BY えびさわなち

『#5』
2009年1月28日発売

【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:KSCL-1355~KSCL-1356
価格:¥3,048+税

【通常盤(CD)】
品番:KSCL-1357
価格:¥2,913+税

<CD>
01. WORLD END
02. HEAVENLY STARS
03. PULSE
04. SNOW FLAKE ~記憶の固執~ (ALBUM VERSION)
05. ANTHEM
06. BRAND-NEW DAY
07. 赤いサイレン
08. アンタレス
09. MUSIC
10. WORD OF THE VOICE
11. バタフライ
12. 学園天国

<DVD>
MUSIC VIDEO
01. WORD OF THE VOICE
02. WORLD END
03. SNOW FLAKE ~記憶の固執~

BONUS MOVIE
01. MAKING OF “WORD OF THE VOICE”
02. MAKING OF “WORLD END”
03. MAKING OF “SNOW FLAKE ~記憶の固執~”
04. RECORDING DIARY

●公演情報
FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月
Vol.4「アイル」
12月26日(土)配信

FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月
2020年9月26日(土)配信:SPLASH!!! ~遥かなる自主制作BEST~
2020年10月26日(月)配信:GAME
2020年11月26日(木)配信:Golden Coast
2020年12月26日(土)配信:アイル
2021年1月26日(火)配信:#5
2021年2月26日(金)配信:MICROCOSM
2021年3月26日(金)配信:BLACK&WHITE
2021年4月26日(月)配信:FLOW THE MAX!!!
2021年5月26日(水)配信:26 a Go Go!!!
2021年6月26日(土)配信:#10
2021年7月26日(月)配信:TRBALYTHM
2021年8月26日(木)配信:???

●リリース情報
FLOWニューシングル
「新世界」
2021年1月13日発売

【通常盤(CD)】
品番:VVCL-1679
価格:¥1,200+税

【初回生産限定盤(CD+Blu-ray+グッズ)】
品番:VVCL-1676~1678
価格:¥3,000+税

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