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INTERVIEW

2020.12.29

【対談】オーイシマサヨシとDIALOGUE+音楽プロデューサー・田淵智也が語る、オンラインライブの可能性と2020年のアニソンシーン

【対談】オーイシマサヨシとDIALOGUE+音楽プロデューサー・田淵智也が語る、オンラインライブの可能性と2020年のアニソンシーン

41歳の誕生日にあたる2021年1月5日に、自身初のオンラインワンマンライブ“世界が君を必要とする時が来たんだ”を開催するオーイシマサヨシ。そして、同年1月10日に有観客+生配信によるハイブリッドイベント“DIALOGUE+PARTY 2021「ぼくたちの現在地」”を開催するDIALOGUE+。この両者に共通するのは、今の時代を明るく照らす、新たなエンターテインメントを提供したいという想いだ。今回はオーイシマサヨシと、DIALOGUE+の音楽プロデューサーを務める田淵智也に集まってもらい、公演内容から配信チケット代まで様々な挑戦を盛り込んだ両公演のこだわり、そして2020年の活動およびアニメ音楽シーンの所感について、たっぷりと語ってもらった。

オーイシ&田淵が語り合う、2020年アニメ音楽シーンのあれこれ

――本題の配信ライブの話に入る前に、せっかくアニメ音楽の最前線で活躍しているお二人に集まっていただいたので、まずは2020年のアニソンシーンを振り返っての感想をお聞かせいただければと思います。

オーイシマサヨシ お茶の間的には『鬼滅の刃』の一強だったなか、我々が何を言うべきか、ちょっと難しいところですけど……(笑)。

田淵智也 何を言っても逆張りみたいになっちゃいますもんね(笑)。僕は例年と同じく飽和状態にあることは引き続き感じていて。なまじ、たくさん聴いているせいで、いい曲に当たる打率が下がっている印象があるんですけど、そのなかでも、楽曲的に新しいことにトライしたり、面白いことを仕掛けている人は結構いるんですよね。こないだ今年1年を振り返ってみたら、いい曲がたくさんあったんだなと思って。

オーイシ たしかに、その放送当時のクールには気づかなかったけど、年末にその年を振り返って「こんないい曲があったんだ」ってなることは結構あるよね。それは、カテゴライズの外にまで伝播できていないということで、より局所的になっている印象はありました。

田淵 それは僕も感じるんですけど、コンテンツの数が多いからなんですかね?

オーイシ 楽曲の平均値が高くなっているのと、それが高くなり過ぎたがゆえに、高い波のまま凪の状態になっている感じなのかなと(笑)。でも、例えば『アイマス(アイドルマスター)』なら、そのコンテンツの濃度がめちゃくちゃ濃くなっていたり、今年はコンテンツの輪の中で純度を高めていく1年だったんじゃないかと思いますね。お客さんの絶対数が限られているなかで、いろんなサークルごとに熱量を高めていく感じというか。

――より先鋭化していると。

オーイシ それと僕は、ジャニーズのSixTONESやSnow Man、紅白出場も決まった鈴木雅之さんのように、アニソン然としているクリエイターやシンガーとはまた違うジャンルの方々が結果を残した1年だったと思っていて。

田淵 たしかに「そのやり方ありなんだ戦争」みたいなものは、例年以上に面白かったですよね。それこそオーイシさんが(生田)鷹司くんと一緒に歌った地縛少年バンドもそうですし。クリエイターフィーチャー時代を経て、「あのクリエイターが楽曲提供します!」っていうアピールが普通になったなかで、シンガーを掛け合わせることでほかと差別化を図るっていう。その意味では、地縛少年バンドの楽曲(「No.7」)と、鈴木雅之さんと鈴木愛理さんの楽曲(「DADDY ! DADDY ! DO ! 」)は印象的でしたね。

――ジャニーズ勢や鈴木雅之さんの話題性は、アニソンシーン全体の裾野が広がってきている見方もできると思うのですが。

オーイシ どうなんでしょうね。今年は深夜アニメがお茶の間で話題になることが多かったですけど、みんな「『鬼滅』だから観る」「SixTONESやSnow Manだから聴く」という感じで、それも局所的に感じるんですよね。アニメやアニソンの裾野が広がるヒットというよりは、すごく尖った鉾で世の中をグサッと刺したような1年だったと思います。

田淵 僕はアニソンというカルチャーはすでに世の中に広がったものとして見ているので、この先、お茶の間をどう巻き込んでいくか?ということにはあまり興味がなくて。尖ったものが出てくるのも、それがアニメ制作的に必要なことだったからだと思うんですよね。『GREAT PRETENDER』がフレディ・マーキュリーの楽曲(「The Great Pretender」)を使ってましたけど、正直、昔の名曲を使ったほうが、アニメ制作側の人たちのクリエイター脳が刺激されることもあると思うし。制作側がどんな音楽を求めているのかも多様性の時代に入っているので、僕はその音楽を並べてチェックして好きなものを選ぶ聴き方をしていて。なのでマス的な目線では見ていないですね。作家仲間と「今、こんなムーブメントがきてるよね」みたいな話をするのは好きですけど。

オーイシ たしかにマスは結果でしかなかったりするしね。

田淵 『鬼滅』に関しても、楽曲やLiSAのすごさを後付けで解説することはできると思うけど、それよりも世の中の人が作品物語やムーブメントも含めて求めたということで、アニソンユーザーや『鬼滅』のファンの人たちが楽曲を育ててくれたということが何より大きいんじゃないかなと。

――では、田淵さんが2020年に気になった楽曲やムーブメントを挙げるとすれば?

田淵 さっき言った地縛少年バンドの曲は「こうきたか!」という意味で面白かったですし、『遊☆戯☆王SEVENS』のOPテーマになっている佐伯ユウスケさんの「ナナナナナナナ」は、聴いたときに「オーイシさん級のなんかマルチな人だ!」と衝撃を受けて。お恥ずかしながら佐伯さんご本人名義のこれまでの楽曲はあまり通ってなくて楽曲提供のお仕事の印象が強くて、ここ1年、いろんなところでお名前を見ていたんですけど、その流れで「ナナナナナナナ」を聴いて、「この人、マジで何でもできるんだ……!」と思って。

オーイシ 佐伯さんは昔からシンガーソングライターとしても活躍されてますもんね。僕、昔に佐伯さんがインストアイベントをやっていたフロアの別の階でイベントをやったことがあって、僕が間違えて佐伯さんの楽屋に入ってしまって挨拶をした思い出があります(笑)。

田淵 あとは、トラックメイカーが作る音楽の流れがアニソン界にもきてるなと思っていて。Yunomiさんが手がけている『トニカクカワイイ』のOPテーマ(「恋のうた(feat. 由崎司)」)とか。しかもアーティスト名義がYunomiで、歌はキャラクターが歌ってるのも、「そのやり方ありなんだ!」と思って。来年も、僕が最近注目してたNeko Hackerというトラックメイカーの人たちが、アニメの主題歌(『幼女社長』のOPテーマ「進め!むじなカンパニー」)を担当するんですけど、それもキャラクターが歌ってるんですよね。『電音部』もすごいトラックメイカーが大集合してアベンジャーズみたいになってますし(笑)、サブスク時代にも合っているので、今後アニソンのなかでもファンが増えそうなジャンルだと思います。

オーイシ クリエイターチームが1つのアニメコンテンツの音楽を丸々担うことも目立ってきましたよね。『ドロヘドロ』は(K)NoW_NAMEさんが全部の音楽を作ってましたし、みんなで役割分担して制作するやり方が増えてきたのかも。コライトの究極体というか。

田淵 有名クリエイターによる楽曲提供のネームバリューが頭打ちになってきた反動というか、その次の一手という気もしますよね。それって大事なことで、ずっと同じやり方を繰り返していても、カルチャー的に面白いことにはならないので、その意味では次の時代に差し掛かっている気はします。

オーイシ それを言ったらQ-MHzさんは完全に先駆者じゃないですか(笑)。

田淵 とんでもない(苦笑)。たしかにコライトはしますけど、外から見ると僕らもやっぱりいち作家としての見られ方が多いかもですね。

“奥行き=長く愛してくれるコアファン”を作ることの重要性

オーイシ 僕、この対談を行うにあたって、2020年のアニソンのCDのセールスをまとめたデータをチェックしてきたんだけど、CDの売り上げがすごく減ってるんですよ。コロナ禍で接触イベントが出来なくなったことが大きいと思うんだけど、いよいよアニソンもサブスクで聴く方向に拍車がかかったんだなと思って。

田淵 お客さんの熱量の矛先がCDとは限らなくなった時代がより顕在化したってことですよね。ただ、さっきオーイシさんが言っていた、局所的なサークルの中でコアに支えてもらって強くするというのは、そこにも通じてくる大事なテーマだと思っていて。昔はCDのセールスや紅白に出ることがステータスとしてありましたけど、それはもはや選択肢の1つであって、別にそれ以外でも、アーティストとユーザーがお互いWin-Winになるやり方は絶対にあるはずなんですよね。そのためには長く応援してくれる人の満足度を上げることが大切だし、まずは1つのブランドを確立して、超コアファンを徹底的に作るっていう。今やCDというコンテンツだけでは差別化ができないと思うので、ほかのやり方を探していくほうがイノベーション的には可能性がある気がしていて。

オーイシ たしかに。僕もセールスには「縦軸」「横軸」「奥行き」があるという持論があって。それは言い換えると「数」と「値段」と「いつまで愛されるか」。言い方がビジネスライクになりますけど、その人が自分に生涯でどれだけのお金をかけてくれるかは、今の時代、大事になってきていると思います。僕もコアファンの方々に支えられて20年間、シンガーソングライターをやってきたところもあるので、そういう人たちに向けて魅力的なことをどんどんしていかなくてはと思っていて。でも、ずっと奥行きを作っていくのは難しいんですよね。

田淵 たしかにコアファンに長く愛されるためには、その分、こちらも努力しないといけなくて。でもそれって当たり前のことだし、コアファンを作るというのは、決して楽しようってわけではないんですよね。局所的に盛り上げていくためにも結構な努力が必要だと思うので。

オーイシ 前に田淵くんと飲みの席で話したときに「自分のファンが嫌がることはしたくない」ということを発言していたのがすごく心に残ってて。それって矢沢永吉さんの「俺はいいけど、YAZAWAはどうかな?」っていう名言に通じるものがあると思うんですよ。自分をトータルプロデュースしつつ、ファンの目線も入っているというか。

田淵 僕も以前にライターの方から「田淵の中にリトルタブチがいる」と言われたことがあって。

オーイシ やっぱり田淵とYAZAWAは一緒だった(笑)。

田淵 それはたしか本田圭佑さんのリトルホンダを例にとってだったんですけど(苦笑)。今オーイシさんが言ってくれた「自分のファンが嫌がることはしたくない」をもう少し翻訳すると、自分がファンだったときに俺はそれを許せるのか?っていうことで、そこは常に一生懸命考えるようにしています。それはもちろんオーイシさんやどのアーティストさんも同じだと思うんですけど。

オーイシ マイブランドの確立って自分のプロデュースでしかないからね。

田淵 付き合ってくれるお客さんの満足度が高いものになっていれば、正直、良いと思うんですよ。お客さんの満足度が果てしなく高いものを作ることが、いわゆる局所的にコアファンを作ることになると思うし、その人がいいと思えば正解なわけだから。なのでファンを満足させることを考えたときに、世の中の基準やルールはまったくあてにならない。日本は特に音楽的なデフレ、値下げ戦争がすごいですから。まあ僕らもチケット代をめちゃくちゃ値下げしましたけど(笑)。

オーイシ このあとの話に繋がることだよね(笑)。

二人が2020年に感じたこと・考えたこと・その先に見つけたもの

――今のお話の流れで、それぞれ2020年の活動を振り返ったときに、どんな1年だったかをお話いただけますか?

オーイシ 僕は一言で説明するならパニックでした(笑)。

田淵 たしかにパニックにならないほうがおかしい状況ですからね(笑)。

オーイシ そう、人は未曽有の事態に出くわすとパニックになることを実感しました。実際、4月頃にスランプに陥ってしまって、初めて曲が書けない時期があったんですよ。それが1~2ヵ月ぐらい続いて、関係者の方たちにもご迷惑をおかけして。変な話、自分はそれまでスランプも特になかったので、メロディや歌詞も無限に出てくるものだと思っていた節があったんですよ。でも、改めて制作は有限だと思いましたし、パニックになったうえで自分に何ができるのかをものすごく考えた1年でした。それでメンタルの健康を保つために一番役に立ったのが、自分のYouTubeチャンネルで自宅から弾き語りを生配信することで。

田淵 あれ、カメラの画質と角度がいいですよね。ズルいなと思って(笑)。

オーイシ ありがとうございます!……でも、すごく恥ずかしい(笑)。元々歌う場所がなくなっていた時期だったのでガス抜きにもなったし、厳しい意見を含めてコメントをたくさんもらうことで、自分に興味を持ってくれている方がこんなにいるんだということを、ネットを通じて体感できて、実際に体温はないけども温度を感じることができたんですよね。今も定期的にやってるんですけど、つまるところ、僕の全てのぜい肉を削ぎ落したらここなんだなと気づいたし、ここが揺るがなかったら何とかなるかと思って、ようやくスランプを乗り越えられた経緯があって。それに気づけただけですごく良かったです。

田淵 スランプの直接的なきっかけは、今の社会情勢が理由だったんですか?

オーイシ 我々ミュージシャンは制作とライブの二毛作のなかでサイクルしていたわけで、その1つのライブ活動ができなくなったら、心が全然動かなくなっちゃったんです。しかも僕の周りのほかの作家さんはめっちゃ曲を書きまくってたので、「お前ら、なんでこの状況で曲書けるの!?」って焦りもあって(苦笑)。

田淵 クリエイターの友達が「僕元々家から出ないんで」って言っててなるほどと思いました(笑)。

オーイシ そうそう。なのでそういう人たちに無理やり連絡して、リモート飲み会で「実際のところどう?」って聞いたりして(笑)。やっぱり僕はどこまでいってもシンガーソングライターやバンドマンなんだと思いましたね。表に出て、裏方もやる。その2つがうまく回ることで、ようやく自分が形成されていることに気づきました。でも、自分の弱さに気づけたという意味ではポジティブでしたね。

田淵 僕も社会情勢に喰らったのは間違いなくて。トピックはいろいろありますけど、まず僕はその都度一番面白いことを考えて動きたいので、こういうときはすぐ動かないといけないなと思ったんです。ただ、僕は多くの人に支えられて仕事をしている立場なので、実際に動くためにはとにかく考えて提案の連続だったんですよ。とにかく最初は全然何も通らなくてそれがめちゃめちゃ骨折れたときに、「俺は何のためにみんなを振り回してるんだろう?」と思って。これは全然悪い意味じゃないので、ぜひ言葉として残しておきたいんですけど、大石さんのパニックに近い意味で、自分がポジティブに生きるためには、この業界じゃないのかも?と思った瞬間もあったんですよ。自分が落ち込んだりしなかったのは、「じゃあ別に次にいけばいいや」と考えていたからで、例えば音楽業界から去るのも1つの選択肢だと思ったんですね。でも、自分には音楽で何かすることのワクワク以上に勝るものがなくて、ほかのことをやってても「これは音楽に反映できるかも」ってなるんですよ。で、何とか動き出すことができたので、結局、ほかのことができない人生になったなと思いましたね。

オーイシ 田淵くんが音楽業界から消えるって大事件やで(笑)。

田淵 いやいや、なんかほかに僕に向いてる仕事ないですかね?

オーイシ 音楽以上のものはないね!(笑)。

田淵 でも、僕は今回割と勉強したうえで常に最悪のことを考えながら未来を考えるというスタンスでいたので、「いつか辛い時期が終わるから、また元通りの日が来るまで我慢して頑張ろう!」っていう感じは僕には合わなくて。じゃあ短期的に終わらなかったらどうするんだろう?と思うし、今はネットが発達しているので、配信ライブも出来るし、やり方はいくらでもあるだろうから、今はがむしゃらになって面白いことを仕掛けていくべきだろうっていう。

オーイシ それ、めっちゃわかる。

田淵 今も世の中的にそれほど良い状況にはなってないですけど、僕はこの時代が続く前提で物事を考えるようにしているので。ライブをやるにしても、今はUNISON SQUARE GARDENでツアーを回ってるんですけど、明らかに以前より客は減っているので、それは減ったものとして考えていて。俺たちは客が減ったから、ここからマジで頑張っていかなくてはならないっていう、現実を受け入れて今を全力で生きるほうが、僕の性に合っているなと。その意味では、この状況下で今の持ち札なら、まだ全然楽しいことが音楽で出来ると思うので、結果的には絶望的ではない締め括りで良かったです。波はありましたけど、色々考えられた1年だったので、人生的には1つ賢くなりました。

オーイシマサヨシとDIALOGUE+の配信ライブが1,000円で楽しめる理由

――ここからは本日の本題、オーイシさんとDIALOGUE+が2021年1月にそれぞれ開催する配信ライブについてお伺いしていきます。

オーイシ 本題までが長いなあ、オードブルがどんだけあるねん!っていう(笑)。

田淵 最後の肉がきたときにはもう結構お腹いっぱいみたいな(笑)。

――(笑)。まずはオーイシさんが1月5日に開催するオンラインワンマンライブ“世界が君を必要とする時が来たんだ”。今年9月にOxTの配信ライブ“OxTの日~2020 ON LINE”を開催していましたが、オーイシマサヨシ名義での配信ライブは今回が初になります。

オーイシ 元々は今年の5月にワンマンライブを有観客で開催する予定で、チケットもほぼ完売状態だったんですけど、コロナ禍の状況を受けて一旦延期にしたんです。その代替公演の日程が、自分の誕生日でもある2021年1月5日だったのですが、それもやっぱり状況的に難しそうだったし、ありがたいことにチケットを返金せずに保管してくださった方がほとんどだったのですが、都の条例に則って開催しようとしたら会場の席数が足りなくて、結局中止にしたんですよ。ただ、それだと面白くないので、同じ日に新しくオンラインワンマンライブを立ち上げて、みんなで集まることにしました。

――しかもその配信チケットが1,000円というリーズナブルな価格設定で話題になりました。そして、DIALOGUE+が1月10日に開催するイベント“DIALOGUE+PARTY 2021「ぼくたちの現在地」”は、有観客と配信のハイブリッドで開催。そのうち“1部:全曲パフォーマンス編”の配信チケットが同じく1,000円になります。

田淵 これは本当にごめんなさい! 僕は絶対にこのニュースを見たはずなのに、その後にDIALOGUE+の配信チケットを1,000円と発表して、パクった感じになってしまって……。

オーイシ そう、田淵くんからわざわざ謝罪のLINEがきたんですよ(笑)。「後出しみたいになってごめんなさい、完全に失念していました」って。どんだけ律儀やねん!って思いましたけど(笑)。でも、DIALOGUE+に関しては有観客のチケットを売りつつ、1部の配信チケットが1,000円なんだよね?

田淵 そうです。オーイシさんはオンラインのみで、FC会員限定のアフターパーティも1,000円なので、あまり利益を考えないで価格を設定したのかなと思って。

オーイシ 1,000円って大学生のサークルのパーティの価格設定だよね(笑)。

田淵 ほんとですよね、パー券ですよ(笑)。

オーイシ 懐かしい!(笑)。でも、この1,000円という価格には自分なりの理屈があって。僕はいろんな方が配信ライブでしか出来ないことをやっているのを観てたんですけど、いざ自分がオンラインワンマンライブをやるとなったときに、「俺は何ができるんだろう?」「自分のファンが喜ぶ形は何だろう?」と思って。それで一番最初に思い付いたのが、コメントだったんです。

――コメントというのは?

オーイシ 皆さんが配信ライブを観ながら打ち込むコメントを全部、LEDとかを使ってステージ上に反映したら、それが自分にとって一番の演出になると思ったんです。それこそ自分がスランプになったとき、YouTubeライブのコメントに助けられたように、そこには熱量や温度感が生まれると思いますし、セットの中にみんなのコメントが流れるライブはあまりないと思うので。そうなると、たくさんの方に配信ライブに来てもらって、コメントも盛り上がったほうが、自分的にはどんな特効や照明演出よりも面白いことになると思うんですよ。誕生日だしお祭り騒ぎということで。

田淵 自分の誕生日パーティを自分で盛大に開くぐらいの気持ちですよね。

オーイシ そうそう。なので値段設定を1,000円にさせていただきました。視聴チケットというよりも、いわば参加チケットですね。自分のコメントが反映されてライブを彩ることができるっていう。このやり方が、インターネットの陰ひなたで生きてきた僕らしいのかなと思って(笑)。

田淵 この話を聞いたら絶対にチケットを買おうと思うし、宣伝文句としてめちゃくちゃ面白い話じゃないですか。

オーイシ ありがとうございます! あと、ネットの住人って野次馬精神みたいなところがあって、人が集まるところに集まる性質があると思うんですよ。僕のライブ自体も、そういうアトラクションになればいいなと思っていて。そのときに財布のひもが緩くなるちょうどいい金額が1,000円だと思うんです。これが2,000円だと、ちょっと考えると思うんで。

田淵 たしかに。

オーイシ でも、そういう話をしたら、ネットで「オーイシマサヨシが最近の配信ライブは高いと発言している」って書かれて(笑)。いや、そういうことじゃないんですよ! ちなみにDIALOGUE+の価格設定はどういう経緯で決めたんですか?

田淵 値段が安いと観る人が増えるというのもありますし、今回はコアファンの人たちの口コミの熱量に賭けたかった部分があって。彼女たちは今年、本当に頑張ってくれたんですよ。せっかくデビューしたのに、この社会的状況で何も出来なくなって、やる気がなくなったり辞めたくなるのには充分すぎるタイミングだったけど、食らいついてくれて。僕は彼女たちが頑張り続けてきた歴史をみんなに見てもらいたいし、コアなファンは僕と同じぐらいの温度感で彼女たちの頑張りを知っていると思うので、そういう人たちが「ここで面白いことをやってますよ」と宣伝してくれたら、1,000円であればある程度の人数が観てくれるだろうし、そのうちの何人かは彼女たちにさらに興味を持ってくれるかなと思って。

オーイシ 根本はたくさんの方々を巻き込みたいということで、そのちょうどいい湯加減の値段設定が1,000円だったという感覚は似てるかもしれないですね。あと、すでに奥行きを持っているファンの方に、ある程度Win-Winな形でイベント自体を底支えしていただくスタンスは、僕も同じ考え方かも。

田淵 なるほど。面白いし嬉しい。

オーイシ ちなみに、僕はチケット代が格安になると、スタッフさんや演者さんのギャラを叩いているんじゃない説が出ることがすごく嫌で、実際にネットで「バンドメンバーに迷惑をかけるなよ!」みたいなことも言われているんですけど、ちゃんと正規のギャラをお支払いしてます! 勝算のある予算を考えたうえで1,000円に設定しているし、お客さんも安い金額で良いエンタメを体験できて、自分的にもたくさんの方々に集まってもらってその日限りの物語を作る、最高のシナリオを描いています。誰も損しないイベント作りが大事なので。

全力パフォーマンスで挑むDIALOGUE+、荒らし歓迎!?のオーイシマサヨシ

――ここからは具体的な公演内容についてもお聞かせください。DIALOGUE+は1部のライブで、現時点での持ち歌を全曲パフォーマンスするとか。

田淵 今年は彼女たちが頑張る対象を絶やしたくなくて、4月のミニアルバム(『DREAMY-LOGUE』)を皮切りに、自粛期間にシングル(「あたりまえだから」)、8月には新曲発表会を行うためにアルバムから先だって5曲作ったので、一気に曲が増えたんですよ。で、彼女たちの姿を見たときに一番響いてほしいポイントは、マジで真摯にパフォーマンスを頑張るというところなんですよ。僕も彼女たちの努力しているところに胸打たれたので、今回はMCとかではなく全曲やるところを見てもらおうと。どういう内容になるかは彼女たち次第ですけど、「えっ? この人たち、マジでこのペースで最後までやるの?」という感じのものを作れたら面白いなと思っています。奥行きのあるファンを増やすポイントは、彼女たちがマジで歌と踊りを頑張ってることを見せることだと思うので。

オーイシ いいライブになりそうだなあ。僕は「好きだよ、好き。」がめっちゃ好きなんですよね。特にサビ頭の歌詞が好きで。あれは田淵くんが書いたんだよね?

田淵 そうです。オーイシさんに歌詞を褒めてもらっちゃった。嬉しい!

オーイシ MVも素敵じゃないですか。皆さんがステージの上にいる、もらい泣きしそうになる内容で。あそこからこのライブの着地点を考えると、僕も観てみたいなと思いますもん。プロデュースをしている田淵くん本人も、「一生懸命やってる彼女たちを観てくれよ!」っていう一生懸命さがすごいし(笑)。

田淵 オーイシさんのライブはバンドメンバーがすごいですよね。これ、僕だったら予算回収する自信ないですもん(笑)。

オーイシ ぶっちゃけチケットを売り始めた初動を見たときはゾッとしました(笑)。バンドメンバーにも素晴らしい方々に集まってもらいますし、しかもダンサー4人とVJもいるっていう。これはもう僕というよりも、ポニーキャニオンさんに本気を出していただいた結果ですね。現状、ポニーキャニオンで一番頭を抱えている会議は、僕らの予算会議だと思いますが(笑)、ちゃんと勝算はありますし、それぐらい皆さんに満足してほしい気持ちに溢れているチームなので、そういう気概に触れられる瞬間になると思います。あと、これはおそらくなんですが、チケットの値段が下がることによってコメントの治安も悪くなっていくと思うんですよ。

田淵 まあ、そうですよね。

オーイシ 一部のファンの方からは、「これ以上値段を下げると見るに堪えないコメントが流れるからやめてほしい」という意見もあるんですけど、僕はその逆の考えで、コメントが荒れたらめっちゃおもろいと思うんですよね(笑)。

田淵 たしかに! それはめっちゃ面白い(笑)。

オーイシ 例えば、僕が歌ってる後ろに「うんこ」ってコメントが流れてきたら、クッソ面白いじゃないですか(笑)。しかもその人は、わざわざお金を払ってまで、そんなコメントをしているわけで、こんなにいじり甲斐のあるコメントはないなと思って。だから僕としては、僕のことをずっと応援してくれているファンの方も、荒らしに来る方々も、おしなべて楽しんでいただけるような立ち振る舞いをしようかなと思っていて。

田淵 すごい宣伝文句だな(笑)。大丈夫なんですか、これ?

オーイシ いや、もう全然! ぜひ荒らしに来てください(笑)。もちろん差別用語はNGワードとして設定しますけど、それがネット上でのエンタメだと思うし、きっとどれだけ演出に予算をかけたとしても生まれない面白さがあると思うんですよ。一期一会の物語をみんなと一緒に作りたいなと思っていて。とはいえ音楽的なところも含めて、ちゃんとフルバンドで皆さんをお迎えして、自分が出せるベストを尽くすつもりなので、音楽的にも楽しいものになると思います。なのでみんなで賑やかしに来てくれると嬉しいです。

田淵 今はファンも含めてみんなでシーンを盛り上げていかなくてはいけない時期だと思うし、家で配信ライブを観る行為も、現地でライブを観る置き換えというよりは、いろんな楽しみ方を探ればすごく面白い発見が生まれると思うんですよね。僕は酒を飲みながら配信ライブを観るのが好きなんですけど、その居心地の良さは現地にはないものだと思うし、ファンの人たちにもポジティブに捉えてほしくて。業界も含めてみんなで頑張るぞ!精神でやるのが僕的には性に合っているなと。

オーイシ たしかに自発的に面白みを見つけるというのはいいですね。それこそ生ライブの途中で「オーイシ、歌うめえ!」って言うのはただの野次だけど、「オーイシ、歌うめえ!」っていうコメントが配信上で流れるのは演出になる。それは配信ならではのことだし、そういうオリジナリティーや面白みをどんどん見つけていきたいですよね。

田淵 いやあ、コメントっていう発想は革命的だと思う。

オーイシ まあ完全にニコニコ動画ですけどね(笑)。僕も生配信していた生主だったし、今、YouTubeライブの実況で有名な方々も、意外とニコ生出身者だったりするんですよね。だからネットでの繋がり方の面白みって、実は十数年前のニコニコ動画の草創期とあまり変わってないし、結局、人の面白みはそこにあるのかなと、こないだとあるゲーム実況者さんと話しているときに感じて。なので自分もあまり気にせずマイペースにやればいいんだっていうのもありましたね。

――オーイシさんとDIALOGUE+、どちらのオンラインライブも、新しい楽しみ方や可能性を感じられるものになりそうですね。

田淵 そうですね。我々はお客さんが面白がれる環境を提供する仕事だということを強く感じた一年だったし、今がより頑張らなくちゃいけない時期だと思うので。「今回特別に1,000円でライブが観れます!」っていうのは、シーンとしても面白そうじゃないですか。来年以降もこちら側から面白いことを考えて定期的に提供していくのが、アニソンシーンが楽しみ続けられるカギになると思っています。

オーイシ 配信ライブ自体がまだ生まれたばかりの新しいコンテンツなので、今はまだみんなが試行錯誤している時期だと思うんですけど、逆にそれはチャンスだと思うので、自分にしかできないやり方をどんどん模索出来たらいいですね。ただ、僕はもう二度と1,000円でやりたくないとすでに思ってます(笑)。こんなに綱渡りで冷や冷やしたことはないし、最終的に「俺が自腹切りますから!」って言いそうになって(笑)。

田淵 言いたくなる! 超わかる!(笑)。

オーイシ それじゃあ元も子もないし、自分たちが一番嫌いなやつなのに、むきになっちゃって。でも、それぐらいの気持ちでやってるので、ぜひ遊びに来てください!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●ライブ情報
オーイシマサヨシ オンラインワンマンライブ「世界が君を必要とする時が来たんだ」
日時:2021年1月5日(火)

【ライブパート】
開場18:50 / 開演19:00
【FC会員限定アフターパーティー】
開場 21:20 / 開演 21:30
※本編ライブは約90分、アフターパーティーは約60分を予定しております。
※アフターパーティーはFC会員のみチケット購入・視聴が可能です。

出演:
【ライブパート】
オーイシマサヨシ
Guitar:奈良悠樹 Bass:工藤嶺 Drums:髭白健 Keyboard:岸田勇気
Trumpet:Atsuki(FIRE HORNS)Saxophone:Juny-a(FIRE HORNS)Trombone:Tocchi(FIRE HORNS)
Dancers:北條未季 赤迫美恵 島岡史織 林ひなこ VJ:大目貴之

【FC会員限定アフターパーティー】
オーイシマサヨシ
MC:植田健一

■チケット料金
【ライブパート】視聴チケット 1,000円(税込)
購入はこちら

DIALOGUE+PARTY2021「ぼくたちの現在地」
開催日:2021年1月10日(日)※3部のみ1月11日(月・祝)

【追加公演:全曲パフォーマンス編】
【1部:全曲パフォーマンス編】
現地開場 16:45/開演 17:30/終演 18:40(予定)
【2部:全力新年会編】
現地開場 19:45/開演 20:30/終演 21:30(予定)
1部&2部会場:なかのZERO大ホール(〒164-0001 東京都中野区中野2-9-7)

出演:DIALOGUE+

【3部:打ち上げ新年会編】
2021年1月11日(月・祝)開場 15:00/開演 16:00/終演 20:00(予定)
3部会場:新宿ロフトプラスワン(〒160-0021 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2)

出演:DIALOGUE+スタッフ(音楽プロデューサー田淵智也・ポニーキャニオン野島鉄平・コレオグラファー沢口かなみ ほか)

・追加公演&1部:全曲パフォーマンス編
これまでに発表された「DIALOGUE+」楽曲を全曲披露いたします!

・2部:全力新年会編
年明けもすぐわいわいしたい!トークありゲームありの楽しいひとときをログっ子のみなさんと過ごします。

・3部:打ち上げ新年会編
裏方スタッフが集結して、今後の展望などを話していきます。楽しいファンミーティングのはじまりです。

■チケット
▼現地観覧チケット一般発売(受付:イープラス)
◎対象券種
┗【追加公演】7,000円(税込) ※12月30日(水)正午から先着販売開始
┗【1部】完売
┗【2部】3,500円(税込)
┗【3部】完売
■申込はこちら

▼配信チケット一般発売(受付: ZAIKO)
◎対象券種
┗【1部】配信チケット:1,000円(税込)
┗【2部】配信チケット:3,000円(税込)
┗【3部】配信チケット:4,000円(税込)
※チケット代の他に別途手数料がかかります。
※【配信に関する注意事項】を必ずご確認の上、お申込みください。

■販売期間
2020年11月22日(日) 21:00 ~ 2021年1/月13日(水) 12:00(3部は14日(木)12:00まで販売)
■申込はこちら

※お申込みには、ZAIKO会員登録(無料)が必要となります。

▼アーカイブ視聴可能期間(3部以外共通)
2021年1月13日(水)23:59まで
※ライブ配信後に再配信処理を行いますのでご覧いただけない時間がございます。
※3部は2021年1月14日(木)23:59まで

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