TVアニメ『魔王城でおやすみ』EDテーマ「Gimmme!」をリリース!ORESAMAインタビュー

ボーカルのぽん、サウンドクリエイターの小島英也からなる音楽ユニット・ORESAMAが、ニューシングル「Gimmme!」を完成させた。話題の新レーベル・Purple One Starからのリリースとなる本作は、異色の“睡眠”ファンタジーコメディ作品となるTVアニメ『魔王城でおやすみ』のEDテーマ。主人公であるスヤリス姫の“眠り”に対する飽くなき欲求と追求心を、ORESAMAらしいダンサブルなディスコポップサウンドで表現した一曲になった。同じく“眠り”をテーマにした珠玉のバラ―ド「夜行ノ雨」を含め、今回のシングルに込めた想い、そして久々のワンマンライブへの意気込みなどを聞いた。

誰もが共感できる“睡眠”への思いを投影した「Gimmme!」

――新曲「Gimmme!」は『魔王城でおやすみ』のEDテーマということで、まずは作品の印象についてお聞かせください。どんなところが魅力だと感じますか?

ぽん タイアップのお話をいただいて初めて原作を読ませていただいたのですが、魔王城に囚われの身のお姫さまが、寝ることしかすることがないから、魔王城のなかで眠りの質を追求していくという、そのストーリーがすでに面白いなあと思いました。スヤリス姫は、あんなにも可愛らしくて、ふわふわっとしてそうなのに、魔王城のモンスターを襲ってアイテムをゲットしたりして、実はすごく破天荒じゃないですか。私はおばけふろしきが好きなんですけど、すぐ(姫に)倒されちゃうので「おばけふろしき~!」ってなっちゃって(笑)。そういうギャップがすごく楽しい作品で、夢中で読んでしまいました。

小島英也 あと、ゲームの要素がものすごくたくさん出てくるんですよね。「このゲーム知ってる!」となることも多かったので、自分もゲームをプレイしたような感覚になりながら、楽しんで読ませていただきました。

ぽん 小島くんは自粛期間中、主にゲームをやってたんだよね?

小島 もちろん仕事もしてたけどね(苦笑)。それと(スヤリス姫の)眠りに対する執着心も見習うべきところがあるなと思って。自分もあれぐらい音楽に対する執着心を持っていないといけないなと思いましたし、何かを成し遂げるためには、何かを犠牲にするぐらいの気持ちがいいなあと思いました。

ぽん 私もスヤリス姫が“眠り”に対してすごく貪欲なところが一番印象的だったので、そこは曲のタイトルや歌詞を書くにあたってすごく感化されました。「気持ちよく眠りたい!」という気持ちは誰もがわかるものものだし、毎回ゴールも明確じゃないですか。「枕をよくする」とか「シーツをよくする」とか。なので私も今回はストレートな歌詞を書きたくて、ゴールが「眠りたい!」という、ただそれだけの曲を書こうと思ったんです。「Gimmme!」という曲名も、本来の綴りは“Gimme”と書いて“貪欲”という意味なんですけど、文字面でも「眠りたい!」という強い気持ちを表現したくて、“m”を一個増やしたんです。

――ちなみにお二人は“睡眠”に関して何かこだわりをお持ちですか?

小島 僕は眠る時間というのはすごく貴重なものだと思っていて。忙しくなると、なかなか睡眠時間が取れなかったり、家のベッドでちゃんと寝れなかったりすることがあるので、どれだけ良い睡眠が取れるかということにはこだわっています。もちろん枕とか寝具にもこだわりますし、ハーブティーをいれたり、お昼寝ぐらいの時間であればコーヒーを飲んだりとか。僕は寝るのが本当に好きで、曲が行き詰ったときには、気分転換のために寝ることがよくあるんです。その意味でもちゃんと睡眠が取れるように注意を払っていますね。寝不足だとパフォーマンスが落ちますし。

ぽん 私は硬いマットレスじゃないと眠れなくて。特に夏場だとフローリングに直接寝たりするんですよ、布団も敷かず、枕もなしで。

小島 それは(フローリングの床が)冷たいから?

ぽん そう、冷たいし硬いし。床にそのまま行き倒れみたいな感じで寝てるので、家族にはいつも怒られます(笑)。ベッドで寝ているときも、枕はなしのことが多いし、硬くないと寝れないんです。柔らかかったり、枕が合わないと、頭痛が起きやすいんですよね。それならいっそのことないほうがいいと思って。床で寝たときは、目覚めると(身体が)バキバキだから、身体は休まってないかもしれないですけど(笑)。だから今の小島くんの話を聞いて、ちょっと反省しました。

小島 それでもいいんですよ。人それぞれ、一番ベストな環境を見つけるということが重要ですから。

――話を戻して、今回の「Gimmme!」は“眠り”をテーマにした楽曲で、なおかつアニメのEDテーマになりますが、いわゆるEDテーマにありがちなゆったりしたタイプの曲調ではなく、ORESAMAらしいノリのいい楽曲に仕上がっています。このアプローチはどのように導き出されたのですか?

小島 制作サイドからのリクエストとして、賑やかで、明るくて、80’sや90’sのようなレトロ感というキーワードをいただいたので、今回は僕が原作から受けたドタバタ劇や魔物たちの賑やかな雰囲気を曲に入れることにしました。なので今回はORESAMAのディスコでダンサブルなところをしっかりと入れつつも、可愛らしさや、展開の激しさを音に落とし込んでいって。結果的に、現実世界というよりも、夢の中での出来事を音で表現したような曲になった思います。

ぽん でも、歌詞ではまだ寝てないんですよね。寝ようとするところから始まっていて。アニメの制作サイドからも「おやすみ」というキーワードを入れてほしいというオーダーをいただいたので、それを冒頭に入れてみると面白いかなと思って、歌い出しは“おやすみ”から始まる歌詞にしました。家に帰ってきて「これからようやく寝れる!」っていうときは、めちゃくちゃ幸せじゃないですか。原作も良い眠りを求めるお話なので、眠りに至るまでの昂揚感という角度から歌詞を書いていて。自分の中では楽しくてハッピーな“陽”の曲なんです。でも、自分の性分として“陽”だけではいられないので、逆にカップリングの「夜行ノ雨」は同じ“眠り”をテーマにしつつ、とても悲しい歌詞にしました。そうすることでシングル一枚としても面白いものになると思ったんです。

――なるほど。サウンド的には、夢の中の世界をイメージしたとのことですが、具体的にどんな部分にこだわりましたか?

小島 夢というのは展開が激しかったり、シーンがバタバタと変わっていくイメージがあるので、J-POP的な起伏をより強調することで、場面転換の激しさというのを表現して、1曲通して聴くとより起伏のある作りにしました。あと、僕は“魔法”というキーワードが好きなんですけど、夢の中には魔法に似たものがたくさんあるなと思っていて。僕はよく夢の中で夢だと気づくんですけど、そうすると、だんだん夢の中で思い通りのことが出来るようになってくるんですよね。いわゆる明晰夢と呼ばれるものなのですが、僕はそれに魔法を感じるんです。なのでこの曲には、僕の中で魔法を意識した効果音もいろいろ入れていて。ベルの音も結構入れたのですが、それもレトロ感はあるけどキラッとしていて、魔法がかかったときに鳴る効果音をイメージしています。『魔王城でおやすみ』にも魔法が出てきますしね。

――SE的な音で言うと、星屑が落ちてくるようなシンセ音、いわゆる『うる星やつら』のSEで使われそうな音が印象的でした。

ぽん ラムちゃんが飛んでいくときみたいな音ですよね。

小島 その音は今回の曲で一番耳につくところかもしれないですね。あれは僕の感じるレトロ感でもあって、(作品の登場キャラクターが)よく空も飛んでいるので、今回の作品にぴったりかなと思って入れました。聴きどころの一つかもしれないです。

――落ちサビでオルゴール風のサウンドになるところも、作品の世界観や楽曲のテーマ性にすごくマッチしているように感じました。

ぽん 私、あそこに入っている時計の音が好きなんです。

小島 あの時計の音はぽんちゃんのアイデアなんですよ。最初はオルゴールの音だけだったんですけど、ぽんちゃんが「もう少しベッドルーム的な要素が欲しい」ということで、じゃあ時計の針の音を入れてみようと思って。この曲はワンコーラスだけ聴くと、先ほど話した夢の中のテイストが強いですけど、フルで聴くと眠りの要素も結構入っているんです。特にオルゴールの部分は、夜にベッドに入って、時計の音だけがチクタクなっている様子を想像しながら作りました。

――歌詞で描かれている、眠りに対する貪欲さや楽しみな気持ちは、スヤリス姫の心情に重ねたところだと思うのですが、例えば作品を離れたところで、ORESAMAらしさや自分らしさを出したところはあります?

ぽん いつもなら(作品の中の)「この心情、わかる!」とか「ここが私たちとリンクする」という部分を拾い集めて歌詞を書くんですが、今回はフィクションの世界だけど気持ち的には「できる限り質のいい眠りがしたい!」という、誰でも共感できる部分が描かれていたので、そのまま自分の気持ちにも沿った内容として書きました。みんなにも絶対にわかってもらえると思っていたので、楽しく書くことができました。

――個人的にはサビの“あきれるほどこの世界とまぼろしと その狭間だけの幸せを夢見てる”というフレーズがいいなあと思いました。

ぽん ありがとうございます。眠りにつく直前のふわあってなる瞬間が、一番幸せだと思うんですよ。自分もこのフレーズは気に入っています。

――このフレーズをORESAMAの活動に重ね合わせて考えた場合、例えばORESAMAのライブはステージや照明などの演出を含め、現実ではない特別な空間を演出されているじゃないですか。なのでその意味では、ORESAMAのライブも“この世界とまぼろしの狭間”と言えるのではないかなと思って。

ぽん そう思っていただけると嬉しいですね。

小島 僕はライブもファンタジックなものでありたい、現実をちょっと超越したライブをしたい気持ちがあって。その意味では、ライブでも常にファンタジーとか魔法というものがキーワードに上がってきますね。

ぽん この曲は、ライブでお客さんが「ここで盛り上がってくれるかな?」というのが想像しやすいなあと思っていて。BPMもそこまで速くないし。なのでワンマンライブで披露するのが楽しみです。

――ぽんさんの歌声からも、これから眠ることのワクワク感が伝わってきますが、レコーディングはいかがでしたか?

小島 落ちサビのオルゴールのところは、僕から「あまりはっきり歌わないで」とお願いしまして。ここはオルゴールの音と相まって、それこそ夢と現実の狭間というか、寝ぼけてる感じもあれば、夢の中で覚醒している感じもある、その狭間の感じを表現したかったんです。でも、“こっちの曲”の歌入れはスムーズでしたね。

ぽん “こっちの曲”って(笑)。

小島 ぽんちゃんの歌詞も、言葉だけじゃなく、音でもリズムでも遊ぶのがすごく上手なんですよ。今、別で作ってる曲もそういうテイストがあるんですけど、そっちでもその良さが顕著に表れていて。言葉とリズムのはめ方が上手いとレコーディングは早く進むので、“こっちの曲”は歌への感情の乗せ方も含めてスムーズにいきました。

ぽん 2回も言った!(笑)。

――察しました(笑)。リズムに対する言葉の乗せ方という意味では、2Aの展開が変わるところも、譜割りが変化して面白かったです。

ぽん 2Aのところは私もすごく好きなんです。歌詞もスヤリス姫に掛けたフレーズを入れたり、自分も遊べたなと思います。でも、だんだん小島くんの音に対する歌のはめ方というのが厳しくなっていってるんですよ。“スヤスヤ”のところも流す感じで歌ったら、もっとリズムにちゃんと乗せるように言われて。

小島 最近、僕の作るメロディが細かくてリズミカルになっているところがあって、特に「Gimmme!」の2Aはそれがよく表れていると思うんですね。なのでぽんちゃんも苦労してるだろうなと思いながら曲を渡しているんですけど、この2Aの歌詞が届いた瞬間に「勝ったな!」と思いましたね。

ぽん それは誰と戦ってるの?(笑)。

小島 自分です(笑)。メロと歌詞が合致したときの達成感は他で味わえないものがあって。たまに完全に一致したと感じるときがあるんですけど、それがこの2Aにはありました。

ORESAMAが夢の中で七変化! こだわりのMV裏話

――「Gimmme!」のMVは、ぽんさんの夢の中でいろんなことを行うという内容で、すごく面白かったのですが、最初に観たとき、情報量が多すぎて頭が追い付かなかったです(笑)。

ぽん そうですよね(笑)。今までのMVは、うとまるさん(ORESAMAのジャケットなどを手がけるイラストレーター/アートディレクター)の世界観が占める割り合いが多かったので、今回は佐伯(雄一郎)監督から、「実写の割り合いが多い新しいテイストで撮ってみませんか?」とご提案いただきまして。監督から「いろんな夢を巡る設定だから、もし、ぽんちゃんがやりたいことがあったら教えて」とおっしゃっていただいたので、「犬に埋もれたい」とか「マリー・アントワネットになりたい」とか「着ぐるみショーの中の人をやってみたい」とか、いろいろリクエストさせていただきました……現実的な問題で着ぐるみの中には入れなかったんですけど(笑)。最終的には衣装も10着ぐらい着させていただいて、撮影は大変でしたけど、パロディー感もある、新しい感じのORESAMAのMVになりました。

小島 今回はうとまるさんの絵が、実際に小道具として出てきたりするんですよ。

ぽん ベッドカバーとかもうとまるさんのイラストのものになっていたりして。うとまるさんのイラストのクッキーをかじるカットも撮影して、「うとまるさんのイラストを食べる!? そんなことしていいの?」となりました(笑)。すごくワクワクしましたし、うとまるさんの描いたイラスト(の熊)と一緒に縄跳びができたのがすごく嬉しかったです。

――2次元と3次元が交差するような映像になっているので、そこも夢みたいな感じでいいですよね。

ぽん そうなんです。セットもうとまるさんにプロデュースしていただいて。監督や撮影スタッフの皆さんも今までで一番活き活きしてたよね? 突然「この石膏を回してみよう!」とか言い出したり(笑)。「なんで回る台があるんだろう?」と思ったんだけど、あれ、小島くんが回った台でしょ?

小島 多分そう。僕が回った台に(石膏を)置いたんだろうね(笑)。現場でも監督のアイデアが爆発しながら撮ったので面白かったですね。

ぽん ライブシーンもいつものライブメンバーに出演してもらって。悪夢のシーンではパンクロックみたいな恰好をしたんですけど、みんな(ギターやベースの)ストラップをめちゃくちゃ長くしてもらってて(笑)。今まで見たことないぐらい低い位置で弾いていたので、新鮮だった。

小島 ああいう態勢じゃないと弾けなかった(笑)。人生で一番ストラップが長かったですね。最初は冗談半分で下げたんですけど、やってみたら、意外ときまってたんですよ。なので結果、使われることになって。

――詳細はぜひMVを観て確かめてほしいですが、今回、小島さんがおいしいところを全部持っていきますよね。

ぽん そうなんですよね。私にはできないポジションなので、ありがたいなあと思いました。

小島 もとからそんなに拒否するほうじゃないんですけど、自粛期間を経たら、新しいチャレンジにより寛容になって、すごく楽しんで撮影できましたね。自粛期間はずっと一人で曲を作っていたので、たまに人と一緒に音楽をやることがめちゃくちゃ楽しくて。僕はシャイな人間なので、普段ならあまりやりたがらなかったかなと思いつつ、今回はキーポイントとなる役割を与えていただいて、自分もノリノリになってしまいました(笑)。

ぽん 自粛期間はゲームか制作かだったんでしょ? でも、ゲームはオンラインがあるから(人と)繋がろうと思えば繋がれるよね。

小島 今はオンラインゲームが増えて、基本、コミュニケーションのなかでゲームをやってたりするからね。昔はオンラインはオマケの要素が強かったけど、今はPCだけじゃなくてコンソール機でもオンラインメインのものが多いので、自粛期間中のコミュニケーションツールとしてゲームは最高でした。

ぽん それは知らない人としゃべりながらゲームするってこと?

小島 僕はあまりやらないけど。例えば友達と時間を合わせて一緒にボイスチャットしながらゲームしたり。でも、戦闘系のゲームだと、たまに仲間内でもギスギスすることがあるんですよ(笑)。でも、そのギスギスもまたオンラインゲームのいいところなんですよね。

ぽん それ、いいところなの?(笑)。でもオンラインだと仲直りするのが難しくない?

小島 オンラインゲーム上だと、本心では怒ってないんだよね。

ぽん みんな大人なんだね。

――オンラインゲームもある意味、“この世界とまぼろしの狭間”ですよね。

ぽん たしかに! 小島くんは“狭間”にいたんだね。

小島 “狭間”に生きてました(笑)。

――ちなみにぽんさんは自粛期間、どのように過ごしていたのですか?

ぽん やっぱり家にいる時間が増えたので、今まで触れてこなかった映画とかアニメをよく観ていました。『海獣の子供』とか、今敏監督の作品にも『パプリカ』から入ってハマって、『PERFECT BLUE』や『東京ゴッドファーザーズ』を観たり。実写の映画も『怒り』とかいろいろ観ました。最近はようやく映画館で映画を観られるようになったので、久しぶりに観に行ったときは嬉しかったですね。

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