リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2020.10.15

TVアニメ『魔王城でおやすみ』EDテーマ「Gimmme!」をリリース!ORESAMAインタビュー

TVアニメ『魔王城でおやすみ』EDテーマ「Gimmme!」をリリース!ORESAMAインタビュー

歌い方の解釈を巡って一触即発!? カップリング曲「夜行ノ雨」

――カップリング曲の「夜行ノ雨」のお話も伺わせてください。先ほどのぽんさんのお話によると、この曲も“眠り”がテーマとのことですが。

小島 音作りの段階では実は“眠り”の要素は考えていなくて、僕の中では、ORESAMAとしてのスロウテンポの楽曲を作りたいということから始まった曲です。雨のSEも入っていますけど、それも実はぽんちゃんの書いた歌詞に合わせて入れたもので。なので最初は、ビートの効いたスロウバラード的なものというイメージでした。

――音のフィーリング的には「SWEET ROOM」(アルバム『Hi-Fi POPS』などに収録)とかに近い感じですね。

小島 そうですね。「SWEET ROOM」とか「秘密」「耳もと元でつかまえて」辺りの感じで。僕はスロウテンポの曲を作るのがすごく好きで、時間が空くと趣味気分で作ったりもしていて、まだぽんちゃんにも聴かせていないようなデモもあるんです。スロウテンポの曲のほうが、作っていて自分を試されている感じがするんですよね。メロディに関しても、音の入れ方に関しても、ごまかすことができないので。ダンスミュージックや4つ打ちの曲も、それはそれで別の難しさがあるんですけど、そういう楽曲を作る機会は多いので、こっちはまた別の挑戦というか。

――では、ぽんさんはデモを聴いたうえで歌詞のイメージを膨らませたのでしょうか?

ぽん そうですね。私としては「Gimmme!」のカップリングにまたハイテンションなものを入れるイメージはなかったし、元々こういう雨の曲が書きたくて。雨ってじめじめするので、あまり得意ではないんですけど、「雨が降ってるからしょうがないよね」みたいな感じで、ネガティブな自分への免罪符になるような感覚もあって。で、そういういろいろを全部まとめたときに、眠れない夜の行き場のない気持ちと、雨について書きたいなあと思って。

――歌詞では、一人の夜の孤独、急に一人になったときに気づく寂しい気持ちが描かれていて。

ぽん こういう夜は誰しも経験したことがあると思うんですけど……(小島に向けて)どうですか?

小島 ……しょっちゅうです(笑)。

ぽん そうだと思う。みんなとしゃべっているときの楽しさと、一人になったときの寂しさというのは、表裏一体じゃないですけど、一緒にあるものだと思うので、こういうどうしようもなく行き場のない気持ちに苦しくなる夜というのは絶対にあると思うし、私も実際、少なくはなくて。そういう気持ちを、「Gimmme!」のカップリングだからこそのユニークさとして収録できたと思います。

――あと、先ほどの小島さんの“こっちの曲”発言から察するに、お二人にしては珍しく、この曲の歌入れは苦労したようですが。

小島 まず意見の食い違いというか、歌い方のテイストの解釈でひと揉めしまして。

ぽん 一回、ワンコーラスぐらいを録った後に、全部録り直したりもしたんです。特に落ちサビの部分は、小島くんが「曲としてここはメロディをちゃんと歌ってほしい」という意見だったんですけど、私は「いや、ここは雨が明けてしまう絶望だから、絶望としてささやきたい」ということで意見が割れて、ちょっと揉めて冷戦状態になりました(笑)。で、スタッフさんが「聴き比べてから決めよう」と言ってくださって、はっきり歌うバージョンと、ささやくバージョンの両方とも録ってみたんです。でも、私はどうしてもささやきがよかったので、はっきり歌っているバージョンはちょっと変になって(苦笑)。

小島 えっ! そんな手法を使ってたんだ……(笑)。

ぽん 違う違う! わざとじゃないんだよ。でも、自分でも聴いたら気持ちがダダ洩れだなあと思って(笑)。小島くんも、その場で聴き比べて「ぽんちゃんは明らかにこっちがいいんだね」って言ってたじゃん。

小島 たしかに(はっきり歌うバージョンは)気持ちが入っていないとは思ったね。

ぽん そうだよね。私が「どうしてもこっちがいいんだ!」みたいな感じだったので、最後はみんながちょっと飽きれるっていう(笑)。

――ある種、ボーカリストとしての我を貫きたい部分があったわけですね。

ぽん 私は歌詞も書いて歌う立場なので、ここはどうしても譲ることができなくて。雨の音も最初は(楽曲の)最後のところまで入っていたんですけど、私が「最後に雨は降ってないんだよ」と主張していたら、最終的に小島くんが雨の音を抜いてくれて。そういうのは雰囲気作りではありますし、「自分の心にはまだ雨が降っているという意味では、最後に雨の音が入っていてもいいんじゃない?」という話もあったんですけど。

小島 ぽんちゃんから「音で雨が明けていく感じを表現したい」という、とても難しいリクエストがあったので、落ちサビは僕なりにそういうアレンジにしてみました。でも、結果としてすごくいい歌が録れたので、必要なひと悶着だったのかなと思います。

――実際、落ちサビが力なくつぶやく感じになっていることで、その後のラスサビの感情が高ぶっているような歌い方が、さらにドラマチックに響くようにも感じられました。

ぽん ありがとうございます。とはいえエモーショナルすぎる部分は小島くんのほうでちゃんと調節してもらって。

小島 ただ、感情が飛び出している感じの歌というのは、何回も繰り返し録っていたら抑えられてしまうと思うんですね。なので、今回はぽんちゃんには何回も歌ってもらったんですけど、結局いいなあと思える歌は1回目や2回目に固まるので、基本若いテイクを使いました。ぽんちゃんはレコーディングの前に歌い方を固めて(レコーディングスタジオに)入ってくるので、そういう意味でも毎回早いですし、今回もいろいろあったとはいえ、一発目からいい歌が出ているのがすべてかなと思いますね。

――個人的には2番以降の、ギターが歌に寄り添うような感じで入ってくる展開も好きでした。

ぽん この2番の展開、(1番の内容を)繰り返すのかなと思ったらガラッと変わるから、私もすごくいいなあと思いました。YouTubeの視聴動画は1番で終わってしまうから、「ここからもっと良くなるから、もうちょっと聴いてほしい!」ってなるんですよね(笑)。これは皆さんにぜひ確認してほしいです。あそこのギター、めちゃくちゃ(音が)大きいよね。

小島 大きいです(笑)。これはなぜかというと、楽曲的にはバラードではあるんですけど、完全にライブで演奏することも考慮してアレンジしたので、各々の楽器が目立つターンを多めに入れたんです。この曲は自粛期間中に制作したこともあって、ライブメンバーみんなで演奏しているところを想像しながら作っていたので。それとギターの話で言うと、最近SNS上でネオソウルギターというジャンルが流行っていまして、そういうものを参考にもしています。ジャンルの定義はちょっとフワッとしていて、いわゆる当時のネオソウルと違うこともないんですけど……何て説明すればいいんだろう?

――ディアンジェロにもギターが目立つ曲が多いですが、それに近い感じでしょうか?

小島 そうですそうです。まさにディアンジェロが代表の一人なんですけど、ソウルミュージックにジャズや、ファンク等様々な要素が加わって出来ているジャンルで。僕はそういうギターも大好きなので、その要素も入れながら作りました。なのでソウルっぽい雰囲気もあるのかなと思います。

ぽん 小島くん、ソウルとかゴスペルも好きだよね。いつだったか「ORESAMAにゴスペルの要素を入れたい」みたいなことを言ってなかった?

小島 できれば入れてみたい。それこそ学校に通っていた頃、教会にパイプオルガンとか合唱団の音楽を聴きに行っていた時期がありまして。

ぽん 『天使にラブ・ソングを…』みたいな感じ?

小島 そこまで派手な感じのはなかったかな。いわゆる讃美歌とかゴスペル、教会音楽が好きで聴いていたので。

ぽん 「綺麗なものばかり」の“Dressup cover”の2番にゴスペルっぽい部分があるよね。

小島 ああー。あれは恥ずかしながら全部自分の声を重ねて作った曲で。

ぽん 小島くん、ORESAMAの曲では意外と歌ってるもんね。

小島 加工してはいるけどね。

待望のワンマンライブと、今の状況を踏まえた新たな試み

――自分たちの楽曲をセルフカバーするシリーズ“Dressup cover”については、自分もお話を聞きたくて。6月からORESAMAのYouTube公式チャンネルで定期的に音源をアップしていますが、こちらはどのようなきっかけで始めたのですか?

ぽん 元々前からやろうという話はしていたんですけど、(新型コロナウイルスの流行で)こういう状況になって、(ライブなどの)現場もなくなって、よりネットが重視されるなか、私たちも、みんながおうちにいながら楽しめるコンテンツを出せたらと思いまして。かつ、自分たちももっとたくさん発信していかなくてはという気持ちもあって始めました。

小島 “Dressup cover”自体は、いわゆるライブアレンジが元になっていて。僕たちはライブで既存曲をアレンジして演奏することが多いので、それを音源化したいということで、前回のシングル「CATCH YOUR SWEET MIND」のカップリングに「ドラマチック」の“Dressup ver.”を収録したんです。それをその後もシリーズ化したいと考えていたときに、世の中がこういう状況になってしまったので、この期間中に僕らが発信できるコンテンツとして続けています。

――コロナ以降を踏まえた活動でもあったわけですね。10月18日には久々のワンマンライブ「ORESAMA ONEMAN LIVE “Gimmme!”」を2部制で開催、翌10月19日には“ディスタンスビューイング”という新たな試みも予定していますが、最後にこちらに向けての意気込みをお聞かせください。

ぽん 前回のワンマンのときとは状況がガラッと変わってしまったので、今まで通りのワンマンライブはしばらく難しいと思うんですけど、どうしてもみんなとORESAMAのライブを共有したい、体感してほしいということで、開催することになりました。でも、感染対策を考えるとキャパが半分どころではなくなるので、よりたくさんの人と一緒に共有したいと考えると、単純に回数を増やすべきなんじゃないかということで、今回は配信も並行して行いつつ、初めての2部制になります。“ディスタンスビューイング”については、私たちもまだ全貌がわかっていないのですが、(前日のライブと)同じ音響、照明、環境で、私たちの姿をスクリーンに投影するということで、もしこれがとても臨場感のある体験になるのであれば、今後、複数の会場で同時開催もできるんじゃないかという希望もあって。今は自分たちも可能性を探っている段階ですけど、ORESAMAの音楽やライブの楽しさを改めて感じてもらえたら嬉しいなと思います。

小島 僕は配信ライブも好きなんですけど、やっぱり会場でみんなと顔を合わせて、タイム的にも精神的にもラグのない状態でのライブを早くやりたいなと感じていて。今は音楽を爆音で浴びる機会というのがなかなかないじゃないですか。もちろん大きな音で楽しむのがすべてではないし、小さな音量で楽しむことも重要なんですけど、耳だけでは体感できない揺れから空気の細かい振動までを感じるという意味では、“ディスタンスビューイング”も音質を保証してくれると思うので、人と対面するライブ、そして普段経験できないような音量・音質で楽しむ音楽というのを、一人でも多く届けたいです。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
ORESAMA ニューシングル
「Gimmme!」
10月14日発売

品番:LAPS-4000
価格:¥1,200+税

<CD>
01.Gimmme!
作詞:ぽん/作曲・編曲:小島英也
02.夜行ノ雨
作詞:ぽん/作曲・編曲:小島英也
03.Gimmme! [Instrumental]
04.夜行ノ雨 [Instrumental]

●ライブ情報
ORESAMA ONEMAN LIVE “Gimmme!”
10月18日(日)
会場:Veats SHIBUYA
[1部] OPEN 16:00 /START 16:30
チケット:スタンディング:¥4,500(税込・ドリンク代込)
[2部] OPEN 19:00 /START 19:30
チケット:スタンディング:¥4,500(税込・ドリンク代込)

[2部]チケット:ストリーミング:¥2,200(税込)
※有料配信は[2部]公演のみとなります。
ストリーミングチケット販売中
詳細はこちら

YAMAHA×ORESAMA×Veats Shibuya presents
LIVE ON DISTANCE VIEWING “Gimmme!”
10月19日(月)
会場:Veats SHIBUYA
公演:OPEN 19:00 /START 19:30
チケット:スタンディング:1,500円(税込・ドリンク代込)
※10月18日[1部]公演を上映

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP