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INTERVIEW

2020.05.21

待望の1stアルバム『Run Girls, World!』が完成!Run Girls, Run!ロングインタビュー

林 鼓子、森嶋優花、厚木那奈美の3人で2017年に結成して以来、全速力で走り続けてきた声優ユニットのRun Girls, Run!が、ついに待望の1stアルバム『Run Girls, World!』を完成させた。TVアニメ『Wake Up, Girls! 新章』の挿入歌でもある初オリジナル曲「カケル×カケル」や、『キラッとプリ☆チャン』をはじめとしたアニメ作品とのタイアップ曲、そして各メンバーのソロ曲を含む6曲もの新曲で構成され、彼女たちのこれまでの活動と個性の集大成となる作品に仕上がっている。さあ、メンバーたちが思いの丈を語ったインタビューを入り口に、ランガの世界に飛び込もう!

──まずは、結成3年目にして、初のアルバムが完成した今のお気持ちをどうぞ。

林 鼓子 私たち自身、以前からずっとアルバムを作りたいという話をしていたので、ひとつの大きな目標、夢がかなったという気持ちです。ランガにはいろんなタイプの曲があって、今回のアルバムにも他にはないような新しい曲がたくさんあるので、早く皆さんに聴いてほしいです!

森嶋優花 3人の夢のひとつでもあったアルバムが完成したことは素直にうれしいです。しかもそれぞれのソロ曲も入っていますし、ここまで自分のやりたいことをやらせていただくことができたのは、周りのスタッフさんはもちろん、何よりここまで応援してくださったランナー(ランガのファンの呼称)さんのおかげなので、今は感謝が溢れています。

厚木那奈美 私もやっぱり素直にうれしいですね。しかも私たちの今までの歴史を振り返るような曲順になっているところもすごく気に入っていて。この1枚を聴けばRun Girls, Run!のことを知ってもらえると思いますし、もう知ってくださっている方には、さらに好きになってもらえるような1枚になりました!

──アルバムタイトルの『Run Girls, World!』には、どんな意味が込められているのでしょうか?

 Run Girls, Run!には本当にいろんな曲があるので、この「World!」という言葉には、ランガの世界観やユニットの色を皆さんに知っていただきたい、という思いを込めています。改めてアルバムの全曲を聴くと、こんなにいろんな顔の曲があったんだなって、自分でも思うぐらいで。

森嶋 タイトルは他に候補があったわけでもなくて、満場一致で「このタイトルでいこう!」ってすぐ決まったんですよ。みんなが納得できたタイトルでした。

厚木 私も最初にタイトルを聞いたときからビビっときましたし、Run Girls, Run!の名刺代わりとなるような一枚、私たちの世界観を詰め込んだ作品になればいいな、という希望を込めたタイトルなので、本当にピッタリだと思います。

──「ここから世界に飛び出そう!」という意気込みも感じられますよね。

森嶋 わ~!そういう勢いもつねに持ち続けたい思いはありますね。

 まずは日本全国のいろんなところに行きたいですけど、海外でもライブをしたいなとすごく思います。去年の春頃に中国に行かせていただいたので、またそういう機会もあればいいなと思っていて。

──アルバムのCD+Blu-ray盤のジャケットも、皆さんが今にも広い世界へ飛び出しそうな雰囲気がありますし。

 ゴールテープを切ってるようなジャケットですよね? あれ、実は私、その場で実際に走る動きをしながら撮影してもらったんですよ。なので躍動感のあるものになったと思うんですけど、撮影のときは、その場で走る動きをしているうちに、身体がだんだん後ろに下がっていっちゃって(笑)。頑張って撮りました。

──先ほど厚木さんがおっしゃっていましたけど、アルバムの収録曲のうち、シングル曲など既発のものは発表順に並んでいて、曲順にもコンセプトを感じました。

厚木 そうなんです。1曲目は私たちのデビュー曲でもある「カケル×カケル」から始まって、そこから基本的にリリース順で並んでいるんですけど、その間に入ってくるソロ曲も、ちゃんとゆかりのある並びになっているんですよ。例えば、はやまる(林)の「りんごの木」は『キラッとプリ☆チャン』関係の楽曲の前にあったり、もっちー(森嶋)のソロ曲(「Darling Darling」)は「Break the Blue!!」(森嶋がヒロインのグリペン役を務めたTVアニメ『ガーリー・エアフォース』のOPテーマ)の後にあったりして、ランガの歴史を辿るような曲順になっています。そしてアルバムのリード曲になる「ランガリング・シンガソング」が最後にきていて。普通、アルバムのリード曲は1曲目に収録されることが多いですけど、逆に「ランガリング・シンガソング」は今の私たちに寄り添った楽曲なので、またここから新しい歴史が始まる、スタートを切るという気持ちで構成されています。

──特にデビュー曲の「カケル×カケル」は、ランガ名義の作品に収録されるのは今回が初になるわけですが、自分たちの始まりの楽曲を、発表から3年経った今、改めて聴いてみて、どんなお気持ちですか?

 やっぱりこの曲がいちばん好きだなあって思います!この曲は何回歌ってもそのたびに思い出が更新されるんです。当時歌っていたときは、とにかく頑張って最後まで歌い切ろう、という気持ちが強かったんですけど、最近は歌っていると、がむしゃらにやっていた当時のことがすごく思い出されて。だから改めてこの曲を聴くと、「私たち、またここから頑張らなくちゃな」と思えるし、私の中ではある意味、スイッチになる曲ですね。

森嶋 私も「カケル×カケル」は今でもすごく大好きな楽曲で、思い入れが強くて。当時も歌詞が自分たちに寄り添ったものだと感じましたけど、今は今で、一緒に成長してきた歴史があるので、現在も寄り添っている感覚になれるんです。それを考えると、私たちにはこれからも「カケル×カケル」が必要だと思いますし、もっともっとこの曲と成長していけると思っていて。この楽曲には安心感がありますね。

厚木 やっぱり私たちの始まりの曲なので、このアルバムで初めてランガのことを知っていただく方にも、私たちの歴史と同じような流れで曲を知っていただけるのはすごくうれしいことだと思います。

──ここからはアルバム初出の新曲のお話を中心に聞いていきます。まずは林さんのソロ曲「りんごの木」。疾走感があってとてもかっこいいロックチューンです。

 私自身、ロックな音楽がすごく好きなので、もしソロ曲を作るのであればロックな曲がいいなあという話をしていたんですけど、「りんごの木」はまさにそういう曲で。最初に聴いたときも「こんなに私の好みを突いてくる曲なんだ!」ってすごくうれしくなって、(森嶋と厚木の)ふたりがいるその場で「よっしゃー!」ってガッツポーズしてしまいました(笑)。

森嶋 そうそう(笑)。

 でも曲調は爽やかで、歌詞も私にすごく寄り添っているものになっていて。成長したいけどなかなか届かない、もどかしい気持ちを表していて、結構ピュアな歌詞なんですよね。だからそれを表現するために、最初は透明感のある歌い方を準備していたんですけど、レコーディングブースに入ったら、この曲の作詞をしてくださった只野(菜摘)さんから、「カリスマロックシンガーっぽく歌ってください」というディレクションをいただいたので「おおっ!?」となって。

──突然ハイレベルな要求ですね(笑)。

 そのとき、私はクイーンがすごく好きなので、フレディ・マーキュリー(クイーンのボーカリスト)のことが頭の中に浮かんだんですよ。それでフレディを思い浮かべたまま歌い始めてみたいんですけど、そうすると、自分があらかじめ用意してきた歌い方はちょっと方向性が違うかなと思って。最初は綺麗に歌うことを考えていたんですけど、歌っているうちに、自分も楽しくなってきちゃって、もっと激しく歌いたいなと思ったんですね。だから本番では、練習のときよりも熱く、好き勝手に歌いました(笑)。

──よりロックなライブ感に重きを置いたアプローチと言いますか。

 そうですね。私は普段、音やリズム、楽譜的な部分を意識しながら歌を録ることが多くて、あまり曲の世界観に浸りながらレコーディングするタイプではないんですけど、今回は「りんごの木」を聴いたときのイメージ映像が頭の中にずっと浮かんでいて。すごく静かな湖に自分がいて、水面とか何も動かないところにひとりで立って歌っているイメージなんですけど、その意味では、今までの楽曲の中でいちばん曲の世界観に浸りながら歌えたし、自分としては新しいレコーディングの仕方でした。

──歌詞に林さんの名前やあだ名がダブルミーニングで入っているのもいいですよね。“はやまる上昇気流”とか。

 そうなんですよ! “座標軸は ここだ”という部分にも自分の名前が出てくるし、しかも“ここ”の部分はみんなで歌えるような形になっているので、ライブで盛り上がりそうだなと思って。それに自分の名前が出てくると、やっぱり力が入っちゃうんですよね。レコーディングのときに広川(恵一)さんもいらっしゃったんですけど、「マイクを投げ捨てそうな勢いで歌ってるね」って言われました(笑)。

──完全にロックシンガーじゃないですか。

 慣れてますかね(笑)。ライブのときは本当に投げ捨てちゃうかもしれないです。

──フレディばりのマイクスタンドを使ったパフォーマンスも期待しています(笑)。森嶋さんと厚木さんは、この曲を聴いて林さんらしさみたいなものを感じましたか?

森嶋 もうビシビシ感じました!はやまるの自分の曲に対する熱量がハンパなくて、自分なりの解釈やこだわりをもって歌っているからこそ、私たちもこの曲からはやまるらしさを感じられるんだなって、今の話を聞いて確信しましたね(笑)。

厚木 私もまんまはやまるだなって思いました。私は綺麗に歌っているはやまるも好きだけど、感情をぶつけるような熱い歌い方ができるのも、はやまるの良さだと思うので、本当にいい曲だなあと思います。めっちゃリピートしちゃう。

 ありがとうございます!

──続いて森嶋さんのソロ曲「Darling Darling」は、ランガとは初顔合わせとなる高田 暁さんが提供された、アイドルソング風のキュートなナンバーです(作詞は高田とSoflan Daichiの共作)。

森嶋 この曲は全面に「かわいい」が出ている、曲を再生した1秒目からかわいい楽曲に仕上がりました。私は昔からアニソンとか声優アーティストの楽曲を聴いていた身なので、高田さんとご一緒できたことがすごくうれしくて。ソロ曲をいただけること自体がすごいことなのに、さらに高田さんに書いていただけたことで、すごく舞い上がってしまいました(笑)。かわいいのに加えて、ランナーさんが一緒にコールできるような部分が盛り込まれているのも、この曲のポイントだと思うので、レコーディングでは、ライブでランナーさんがサイリウムとかを振って応援してくれてる姿を思い出しながら歌いました。

──森嶋さんの歌声も、素晴らしくかわいらしいですね。

森嶋 いや~!わかりやすく「かわいい」を感じてもらうのが、私のテーマのひとつでもあるので、そう言ってもらえるとうれしいです(笑)。この楽曲のかわいらしさを崩したくなかったので、レコーディングまでの間に、必死にこの曲に向き合った期間もありました。それこそ私が憧れてきた大好きな声優アーティストさんのライブ映像を観たり、曲をたくさん聴いて、「ここがかわいいポイントだな」というのを汲み取って、その中でさらに私らしさを入れられたらと思って取り組みました。

──ちなみにその成果が最も出ていると思う部分を自分で挙げるとすれば?

森嶋 わ~!全部お気に入りだから難しい……!でも、ひとつ挙げるとしたら“I love you”の部分です。「I love you~♪」って叫んでいるところが、自分的にはいちばんキュートさを見せられる部分だなと思いましたし、私のその投げかけでランナーさんが応えてくれたらうれしいなあと思いながら録りました。

──林さんと厚木さんは、この曲を聴いていかがでしたか?

 私ももっちーの声とか雰囲気は高田さんの楽曲に合うだろうなあと思っていたので、ドンピシャでした。なんならいつもより10割増しぐらいかわいくなってるなあと思っていて(笑)。普段からランガの中ではいちばんアイドルらしいキラキラした歌声だと思うんですけど、それがさらに強くなっていて、「こんなにかわいかったんだ!」って思いました。

森嶋 気付いちゃったか(笑)。

厚木 元々のかわいさもあるけど、より甘いテイストになっていて、本当にもっちーの良さが全開だよね。

森嶋 自分的にも、これからライブでたくさん歌って、いろんな表情をつけたり、どんどん進化させていけたらいいなあと思っています。

厚木 そのライブに混ざりたい!(笑)。

──続いて厚木さんのソロ曲「逆さまのガウディ」ですが、Dメロでラップが登場したり、ポップだけどすごく個性的な曲になっていますね。

厚木 この曲はひと言で言い表すことが難しい曲なんですけど、そのぶん、ひと言では言えないほどの魅力が詰まっていて、きっと聴くたびに新たな発見があると思います。“ガウディ”とか“フニクラ”とか、日常ではあまり聞き馴染みのない言葉が入っているので、私も歌う前に言葉の意味について一生懸命調べて、曲への理解を深めてから歌いました。

──自分もガウディはともかく、フニクラの意味がわからなくて調べましたが、これはアントニ・ガウディがサグラダ・ファミリアの設計図を書く際に取り入れた曲線構造のことらしいですね。

厚木 そうなんですよ。(この曲の作詞を担当した)只野さんが、すごく専門的な用語をピンポイントに持ってきてくださって。ちょっと理屈っぽいところが、自分で言うのは難しいんですけど、私っぽいなあと思って。私、こんな年にもなってあれなんですけど、多分、一生厨二病をこじらせてると思うので(笑)。だってかっこいい言葉って、かっこいいじゃないですか。

──ハハハ(笑)。

厚木 そういうところが私っぽいなあと思って。只野さんは本当にすごいなと思いましたし、なんか自分を見破られたみたいで、恥ずかしい気持ちになりました(笑)。

──そのように「ガウディの逆さ吊り実験」をモチーフにしつつ、恋する女の子の「相手に会いたいけど会いたくない」という二律背反の感情みたいなものが、この歌詞にはうまく落とし込まれています。

厚木 ちょっと恋愛的な曲なんですよね。その乙女心の不安定さ、繊細さを、すごく綺麗に表現してくださっていて。私は別に経験が豊富とかではないんですけど、きっと好きな人のひと言で、すごくうれしくなったり、逆に落ち込んでしまったりすると思うんです。そういう繊細さが、只野さんの世界観で表現されているのが本当に素敵で。かわいいし、かっこいいし、不思議だし、いろんな側面を持った、これ1曲でお腹いっぱいになれる楽曲だと思います。

──あと、Dメロのラップ部分も、主人公の女の子が、自分の頭の中で整理のつかない感情をバーッと並べているような感じが伝わってきました。

厚木 そうですよね。この歌の主人公の女の子はきっと、フニクラみたいに難しい言葉を使ってしまう、頭が良くて、物事を頭で考えてから行動に移すタイプの子なのかな?って勝手に妄想していて。そういう子が恋愛をして、頭では理解できない、整理ができないような心の動きがあって、それに翻弄されて……みたいなことを想像しながら、ラップの部分を録りました。

 この曲は本当にあっちゃん(厚木)にしか歌えないんじゃないかと思いますね。掴みどころのない、不思議な感じが、あっちゃんっぽいし、聴けば聴くほど新たな発見のある曲だと思うので、ライブでどうなるのかが気になる。生で歌ったらどんな感じになるんだろう?

森嶋 私も「あっちゃんを曲で表すとこういうふうになるんだ!」って、すごく納得できた。

厚木 うれしい!

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