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INTERVIEW

2020.05.21

待望の1stアルバム『Run Girls, World!』が完成!Run Girls, Run!ロングインタビュー

──さらに本作には、シングルのカップリング曲で恒例となっている只野菜摘×石濱 翔コンビの四季曲シリーズの第4弾、夏をテーマにした新曲「水着とスイカ」が収録されています。

 この曲は衝撃でしたね。「水着とスイカ」というタイトルではありますが、今までの四季曲の傾向から考えて、明るい曲ではないだろうなと思っていたんですけど、全編ラップと朗読のような感じになっていて、こうやって夏を表現してきたか、と。夏って、爽やかだけど切ない、ちょっと懐かしい感じもあるじゃないですか。その夏の儚い感じが、朗読やラップにすることによってすごく表れているなあと思いました。

森嶋 私は夜中に聴きたくなる。曲自体がいいので、一度聴いたらループしたくなるんですけど、歌詞の内容とか今までの四季シリーズのことを考えると、すごく切ない解釈になるじゃないですか。だから何回も繰り返し聴きたいけど、もう切ない思いはしたくない!というせめぎ合いにやられちゃう楽曲です(笑)。この曲は歌を収録するにあたって、3人とも感情がグッと入ったので、アルバムの中でも一押しの曲になります。

厚木 今までの四季シリーズの楽曲は、主人公の女の子の切ないところとか葛藤、早く大人になりたい気持ちに「わかる!」って共感しながら歌うことが多かったんですけど、今回はなぜか男の子の側の視点になって聴いている自分がいて、「やっちまった……」っていう感情になったんですよね。

 それ、すごくわかる!

厚木 今までは女の子のほうが男の子のことを好きで、手紙を渡そうとしても思い切りがつかなかったり、親離れが出来ていなかったり……っていう、あどけない少女を見て、男の子は余裕でいたのに、この曲ではそれが逆転していて。よく女の子の方が成長が早いって言いますけど、女の子は知らぬ間に成長してしまって、なんなら男の子のことを吹っ切れるところまでいっていて。“ずっとずうっと忘れないよ”なんて優しい言葉をかけてくれるけど、女の子はそんなの絶対に忘れるじゃないですか(笑)。

 私とあっちゃんは男の子の気持ちに感情移入してしまったんですよ。自分が追いかけられていたつもりだったのに、いつの間にか自分が追いかけていた、みたいな。女の子は知らない間にこんなに大人っぽくなっちゃうんだっていう、自分だけ置いていかれたような切なさを感じて。

厚木 彼女は夏にチェックのビキニを着ちゃうぐらいの女の子になっていて。そのビキニだって、親が選んだものではなくて、彼女自身が「私、今年の夏はこれを着る!」って思って選んだものに決まってるじゃないですか。その想像に、もう、やられてしまって(笑)。

 わかる!男の子の立場だったら絶対にショックだろうなあと思う。

厚木 だってこの女の子は、去年の夏は絶対にお腹を出すような子じゃなかったんです(笑)。なのに、夏が来て、久しぶりに再会したら、すごく大人になっているし、もう次の恋を探すぐらいの勢いを見せるから、男の子からしたら本当に「やっちまった……」感があるなあと思って。

──これまでの四季曲(「サクラジェラート」「秋いろツイード」「スノウ・グライダー」)では、主人公の女の子は引っ込み思案で自分の恋心を打ち明けられないでいましたが、今回の「水着とスイカ」ではビキニの水着でアプローチする一面を見せていて、女の子の成長を感じることができる歌詞になっていますね。

 私は“脚も胸もまだ白すぎるからはずかしいな”という歌詞が衝撃的で。たぶん「秋いろツイード」の頃の彼女であれば、そんなことはどうあっても言わないと思うんです。なのでこのひと言から、「ああ、この子も大人になっちゃったんだなあ」と思ったし、私はずっと一緒にいるつもりでいたから、友達が急に大人になっちゃったような気持ちになってしまって、私もちょっと寂しかったです(笑)。

──過去の四季曲のフレーズを散りばめたセリフのようなパートもあるところが、声優アーティストならではの楽曲とも思いました。

森嶋 演技面で言うと、録りながら微調整したところがたくさんあって。この曲は歌詞が深いので、感情を込めすぎると、重たくなるんですよね。

──個人的には、林さんが2番のラストで「スノウ・グライダー」のフレーズを引用して語るセリフ“もういいの”にグッときましたね。

厚木 あれはキラーですよねえ。

 あの部分はめちゃめちゃ録り直しました(笑)。最初は「スノウ・グライダー」のテンションで録ってみたんですけど、そのときよりももうちょっと軽い感じで言わないと、この曲の解釈には合わないかなと思って。なので、もうちょっとすかした感じというか、「本当に興味ないです」みたいな感じで録りました(笑)。

──また、テレビアニメ『キラッとプリ☆チャン』シーズン3のOPテーマとしてオンエア中の新曲「イルミナージュ・ランド」も収録。同作とのOPタイアップは5曲目になりますが、これまでのOPテーマと比較してどんな楽曲になったと感じますか?

 今までは、シーズンの始まりの楽曲は元気で明るい曲調だったんですけど、この曲は想像していたよりも落ち着いた感じで、それが逆に、(桃山)みらいたちの成長を感じられるところだと思いました。みらいたちももう中学3年生になって、「プリ☆チャン」のアイドルとしても3年目になるので、余裕が出てきた感じがあって。それと『キラッとプリ☆チャン』のシーズン3が、キラ宿にプリ☆チャンランドというテーマパークができたというお話になるので、みらいたちが先輩として、これから「プリ☆チャン」を始める子たちを迎え入れるような「ようこそ!」感も感じます。「キラッとスタート」はみらいたちがこれから「プリ☆チャン」を始めるワクワク感、「ダイヤモンドスマイル」は、そのみらいたちがちょっと成長して、友達と一緒にこれからの新しいストーリーに向かって突き進んでいくワクワク感があるとしたら、今回はみらいたちのもとへ行く子たちのワクワク感が詰まっている気がします。

──今までの楽曲とはベクトルが逆で、今回は受け止める側の曲になっていると。

森嶋 今のはやまるの話にも通じますけど、私たちはデビューから間もない時点で『プリ☆チャン』のタイアップを歌わせていただいて、「キラッとスタート」のときはまだ右も左もわからない状態で、『プリ☆チャン』に助けてもらった部分もたくさんあったんです。だから次は私たちが作品を引っ張っていくタイミングなのかなと感じていて。それぐらいのパワーを見せなくちゃいけないし、責任感はありますね。

厚木 私はパレード音楽が個人的に大好きなんですけど、今回の『プリ☆チャン』はテーマパークがコンセプトということで、このOP自体もテーマパークのパレード音楽みたいで、すごく好きなんです。それとシーズン3では『プリティーシリーズ』らしさが増して、めが兄ぃさんとか過去のキャラクターが新しく登場したり、歴代の『プリティーシリーズ』みたいにマスコットが登場するようになって。だから『プリ☆チャン』としてはもちろん、『プリティーシリーズ』としても新たな歴史を刻む一曲になったのかなと思います。

──そしてアルバムの最後を締め括るのが、本作のリード曲「ランガリング・シンガソング」。皆さんの「これまで」と「これから」を感じさせるようなエモい曲ですが、受け取ったときの印象はいかがでしたか?

 「カケル×カケル」を受け取ったときに「この曲は私たちの曲だな」と強く思ったんですけど、それと同じぐらい、「これは私たちのための曲なんだ!」と思いました。「カケル×カケル」も私たちにすごく寄り添った曲ですけど、「ランガリング・シンガソング」は今の私たちに共感できるポイントがすごく多くて。私たちは声優という夢に向かって走り出したけど、うまくいくことばかりではなくて、でも、このお仕事が好きだから、「このまま突き進んでいくんだぞ!」っていう強さも感じる曲です。

──レコーディングではどんな部分にこだわりましたか?

 この曲はとってもエモいので、私たちの歌が負けるわけにはいかないという気持ちが強くて、熱く歌い上げるつもりで準備していたんですけど、今回のアルバムのディレクションをしてくださった木皿(陽平)さんから、「泥臭く歌ってください」という指示をいただいたんです。今までの曲では「かわいく」とか「キラキラした感じ」と言われることが多かったので、「泥臭さって何だろう?」って考えたんですけど、そのときに浮かんだのは、自分たちがレッスンで悔しかったり、お仕事でうまくいかなかったときのことだったんですね。変に「熱く」とか「エモく」って意識するより、自分たちが歩んできた道のりを思い出しながら、自分の今の気持ちをぶつけることが「泥臭さ」なのかもと思って。この曲ではふたりも歌い方の印象がいつもと違っていたので、きっとそれがふたりの「泥臭さ」なんだなと思うと、また「カケル×カケル」から成長した私たちが見せられるんじゃないかなと思います。

森嶋 私ははやまるの次にレコーディングしたので、はやまるが歌に乗せた「泥臭さ」を感じながら臨んだんですけど、最初は「ちょっと大人っぽすぎる」というディレクションが入ったんです。「もう少し少女感のある、若々しい感じで」ということだったので、そこから調整しながら歌いました。自分の感情をぶつけながら歌えるのは気持ちいいなあと思いましたし、この曲をライブで3人で歌ったらどうなるんだろう?と思いますね。

厚木 私は最後にレコーディングしたんですけど、この曲はアルバムのリード曲なので、3人で「大切に歌いたいね」ということで、かなり練習をしたうえで臨んだんですよ。でも、練習したときのものと、実際にふたりがレコーディングした歌とでは、感じられるものが全然違っていて、ふたりはそれこそ気持ちを優先したり、今までのことを思い出しながら歌ってくれたことが、すごく伝わってきたんです。私も木皿さんに「もっと感情を優先していいよ」と言われたので、前もって3人ですり合わせをした技術的な部分ではなく、感情を意識して歌って。でも頭の片隅では、3人で一生懸命練習した技術的なことも何となく染みついていて、それ自体も思い出とか感情のひとつとして歌に乗せることができました。今まで応援してくださっているランナーさんは、一緒に走ってきた景色を思い浮かべながら聴いてもらえるとすごくうれしいし、初めて聴いてくださる方は、今の等身大の私たちを受け取ってくださったらと思います。

──初のアルバムは、どんな作品になったと感じますか?

 もう自信作としか言いようがないです!ランガの新たな要素が見える曲もありますし、これ1枚でランガの色だとか、どんな曲を歌うのか、こういうメンバーがいるんだなっていうことがすごくわかるので、ランガのことをより好きになってもらえると思いますし、このアルバムからランガに入門する方も、これ1枚でランガのことが大体わかっちゃうぞ!と思いますね。

──では最後に、このアルバムを経ての目標や今後の活動への意気込みを、おひとりずつどうぞ。

 まずはこのアルバムをたくさんの方に聴いていただきたいですし、私たちはゆくゆくはアニソンとアニメとお客さんとを繋ぐ架け橋のような存在になりたいと思っているので、声優としてもアーティストとしても引き続き頑張っていきたいです。それとさっきも話しましたけど、せっかく『Run Girls, World!』というアルバムタイトルなので、海外にもライブに行きたいなと思いますね。

森嶋 私は海外に行ったときに、3人でフォトブックみたいなものを作りたいですね。自分たちのことを表すアルバムを作った次は、私たちのことを知ってもらえるような本を作りたくて。まだまだ私たちを知ってもらうことを諦めたくないし、これからもたくさんの人たちと出会って、お客さんと一体になっていろんな景色を見るのが、私のRun Girls, Run!としての目標です。

厚木 私はやっぱり地元でライブをしたいなと思っていて。メンバーの地元だと、今のところ京都公演(森嶋の出身地)はやったことがあるんですけど、まだ浜松(林の出身地)と長野(厚木の出身地)ではやっていないので、そろそろ地元に帰りたいなと思っています(笑)。

──ちなみに皆さん、海外ならどこに行ってみたいですか?

森嶋 私は海がきれいなところ!

 あ~、写真を撮るなら絶対にいいね。私も行きたいところはいっぱいあるんですけど、ロンドンに行きたい!早くイギリスに行きたいです!

森嶋 お洒落なフォトブックができそう。

厚木 私はスイス。これは本当に個人的な理由なんですけど、私、ピングーがすごく好きなので。スイスはピングー生誕の地なんですよ(笑)。それと中国にもまた行きたいですね。中国からランガを応援してくださってる方も結構いらっしゃって。文化的にも日本のアニメやジャパニーズカルチャーを好きな方がたくさんいらっしゃるので、中国でランガのことを好きになってくれる人がもっと増えたらうれしいです。

──とりあえずブルーバックですかね。

厚木 合成か~(笑)。

 それならいろんなところに手軽に行けますしね(笑)。

Interview & Text By 北野創(リスアニ!)


●リリース情報
1stアルバム
『Run Girls, World!』
5月20日発売

【CD+BD】

価格:¥4,800+税

【CD only】

価格:¥3,300+税

<CD>
1.カケル×カケル(TVアニメ「Wake Up, Girls! 新章」挿入歌)
2.スライドライド(TVアニメ「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」OPテーマ)
3.りんごの木
4.キラッとスタート(テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」主題歌)
5.Go! Up! スターダム!(テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」主題歌)
6.Break the Blue!! (TVアニメ「ガーリー・エアフォース」OPテーマ)
7.Darling Darling
8.never-ending!! (テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」主題歌)
9.ダイヤモンドスマイル(テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」主題歌)
10.水着とスイカ
11.逆さまのガウディ
12.Share the light(TVアニメ「アサシンズプライド」OPテーマ)
13.イルミナージュ・ランド(テレビアニメ「キラッとプリ☆チャン」主題歌)
14.ランガリング・シンガソング

<BD>
1.ランガリング・シンガソング
2.スライドライド
3.キラッとスタート
4.Go! Up! スターダム!
5.Break the Blue!!
6.ダイヤモンドスマイル
7.Share the light

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