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REPORT

2020.03.18

約2年ぶりの開催!angela“ミュージック・ワンダー★大サーカス”濃密レポート!<2日目:12月31日>

2019年12月30、31日の2日公演で行われた“ミュージック・ワンダー★大サーカス 2019”。前夜、「生きている限り、ぢぇらっ子と会える時間を設けたい」(atsuko)と感動の涙で公演を終えたangela。千穐楽となる2日目はセットリストもMCも大きく変え、両日とも来場したぢぇらっ子たちを決して飽きさせない、趣向を凝らした演出でたっぷりと楽しませつつ、公演の間に様々な伏線を張り、終盤にはあっと驚く気づきが待っていた。

※1日目のレポートはこちら

“ミュージック・ワンダー★大サーカス”のお祭り感を支える要素のうちの重要なひとつに舞台周りの装置がある。長年、angelaのライブを見守り続けているバンドロゴの看板は、今やちょっとレトロな趣となり、サーカスのノスタルジックさを伝えてくれる。一方で最新のホールであるLINE CUBE SHIBUYAのライティングは音と連動した様々な演出を可能にしたり、今回のステージ階段の電飾や赤いカーテン、舞台に敷かれたレッドカーペットは明るく楽しげな印象を与える。そして、昨日から鎮座する大きな象のオブジェもまた、サーカスを象徴する存在だ。昨日と同じく、開演はクラウン(道化師)たちのパフォーマンスから。ラグビーネタを摂り入れたドタバタから、この日もダイアナの人形を手にしてパワーアップしてスイッチを入れ、緞帳を上げた。オープニングナンバーもサーカス感溢れる「LOVE★CIRCUS」から。クラウン、超踊り子隊(ダンサー)、超金管隊(ホーンセクション)と総登場で、ミラーボールにビームが乱反射し、オーディエンスはクラップで多幸感を表明する。2曲目は早くも前日と異なる曲目が投入された。TVアニメ『K』OPテーマの「KINGS」だ。ウォーミングアップとして、客席を上手(赤)と下手(白)に分けて旗(サイリューム)の上げ下げと振り付けの練習を行う。ファンにはおなじみでも、こうした段取りを決して疎かにせず間口を広く開け続けているのがangelaだ。また、サビの“BIG BANG”の箇所で普段は関西方面での公演でしか行わないという(BANで)撃たれて仰け反ったポーズをするリアクションというコメディ要素も入れ、楽曲はスタート。ダンサーも紅白の衣装を纏いキレキレの踊りで彩り、KATSUのギターのフレットには赤いLEDライトが照らされ、そして何より客席のジャンプやウェーブによって、ビジュアル的にも楽しめる楽曲で、落ちサビではオーディエンスとともに合唱を繰り返しボルテージを上げて展開。

短めのMCを経て「2019年も頑張ったぢぇらっ子にYell for you!」と、エモいメロディのスピードナンバー「Yell for you」を投入し、ボルテージを高める。サビでポーズを付けながら吹くトランペットの音は煌びやかで、女子ダンサーはへそ出しの衣装で熱演。続いて「懐かしい曲を」とatsukoが紹介したのは2004年の2ndアルバム『I/O』に収録された「maybe..maybe..」。現在のangelaを中心に聴くファンにとっては新鮮な楽曲で、リズム隊の太いサウンドとシンセのメロに乗せて伸びやかに歌い上げる。8灯の拡散ライト以外に演出はなく、じっくりと音と歌を聴かせていった。次の「明日への brilliant road」でatsukoはステージセットの最上段まで登り声を聴かせていく。定番中の定番曲だが6人のダンサーとともに展開されるとインパクト大。クラップは熱が高く、間奏でも応援が大きい。また、おなじみの“私がいて、ぢぇらっ子がいる”という歌詞チェンジの言葉も、前日の最後のメッセージを受け取った人にとっては意味の深さを感じられたのではないだろうか。そしてこの日もビジュアルインパクト大の劇団かかし座によるシャドウパフォーマンス(影絵)が行われた。atsukoが「果て無きモノローグ」を歌うなかでスクリーンを準備し、この公演でライブ初披露となる『蒼穹のファフナー THE BEYOND』第5話、第6話EDテーマ「君を許すように」を歌い、舞台上ではシャドウパフォーマンスが展開。この日初めて観たオーディエンスはもちろん、昨日も観た人も改めて驚きの表現だったに違いない。続くMCで「蒼穹のファフナー THE BEYOND」トークが盛り上がる最中、突然鳴り響く轟音。それまで舞台大道具の一部だった象が動き出すと、会場全体は驚きに包まれた。そしてまもなく(天の声で)関西弁を喋り始めると笑いが巻き起こる。atsukoは象に「ぱおちゃん」と名付けると、ぱおちゃんはすぐさま大きなクシャミで舞台を賑わせる。

「何故に..」のサウンドがライブでも細かいところまでしっかりと聞けるのはLINE CUBE SHIBUYAの音響によってだろうか。感動的なバラードの歌声や楽器隊はもちろん、ストリングスやシンセまでしっかりと堪能することができた。「THE BEYOND」ではホーンセクションが前に出て、ギター、ベース、ドラムのバランスが心地良い。間奏部分ではバンド楽器隊がそれぞれの良さを示しつつ、ダンサーは創作性の高いダンスをキレよく見せていく。「イグジスト」(TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』OPテーマ)は、angela屈指の人気曲だが前日には演奏されなかったため、両日来たぢぇらっ子にとっては待望だっただろう。バキバキの低音に乗って体を折ってエモくシャウトし、ライトが乱れ飛ぶ。2番では客席を1つに分けて「“follow me、follow you”のコールアンドレスポンス。さらに象のぱおちゃんもそれに加わると喝采を浴び、客席全体が熱く合唱し最後は、ぱおちゃんも含めてみんなのジャンプで締めくくった。「Beautiful day」はダンサー各人がムーンウォークやブリッジなどを繰り出し、そこに衣装チェンジをしたatsukoとDJのKATSUが登場し、トランシーなサウンドで盛り上げる。次の「年下未知数脳内HD」ではモールを付けたダンサーが登場。派手な振り付けで歌うatsukoにモールをかけ、オーディエンスは終始軽快なクラップでノリ良く楽しむ。

MCでは、ぱおちゃんを交えた軽快なトークを展開し、「私もこの世界で生き残っていたい」(atsuko)と、「SURVIVE!」をドロップ。その瞬間にペンライトをすばやく赤に変えるオーディエンス。男子ダンサーがふたり登場し、熱烈な掛け声がステージに向けて飛ぶなか、バキバキの低音にアグレッシブなギターで展開していく。スクリーン上にはコールの歌詞が表示され、定番曲ほど置いてきぼりを作らない姿勢だ。間奏のコールアンドレスポンスではぱおちゃんも一緒になって雄叫びをこだまさせ、大サビでは絞り出すように大きくシャウトするとともに大きなスモークがたかれて締めくくった。シリアスな雰囲気から一転、軽快に流れてきたのは「全力☆Summer!」のイントロ。KATSUは太鼓を叩き、“ウー、ハーをぱおちゃんも交えて全体で歌い、1番が始まるとangelaはステージから通路に降りて客席を練り歩き、歩きながらサビのタオル回しも。昨日も含め、angelaのライブでは度々行われるこのパフォーマンス。一度でも近くで感じられたファンにとって、ずっと記憶に残るライブになることだろう。そしてこの曲でも客席を「大晦日の」「大サーカス」と左右に割り、大合唱で大盛り上がりだ。続いてライトの数が絞られ、ピアノの音に乗せてatsukoはangela屈指のしっとりとしたバラード「幸せの温度」を歌う。2003年の1stアルバム『ソラノコエ』収録の楽曲だが、歌詞の温かさからも根強い人気で、ライブでもここぞという場で演奏される楽曲。この日も前曲からのコントラストで幅の広いクリエイティビティを示したのだった。直後のMCでatsuko自身も語ったように、ぢぇらっ子は「感情のジェットコースター」に乗せられている。atsukoは「楽しいこともやりたいしかっこいいこともやりたいし、素敵なバラードもやりたいし、全部ごちゃまぜにしたのが大サーカス。今年の大晦日にできてよかった」と話すと喝采を浴びる。

そして、またもぱおちゃんとのトークが展開するなか、驚きの事実が彼(=象年齢89歳)の口から語られる。この象は“転生後”の姿で、その以前はアイドルだったというのだ。そんな流れでアイドル的なMCを行い、そのまま曲紹介で「DEAD OR ALIVE」(TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』第2クールOPテーマ)へ。神々しいサウンドとコーラスから始まりアグレッシブにサビへと突き進む。サビのキメの部分は声を合わせるファンもいれば聴き入るファンもいたりと楽しみ方はそれぞれだ。2番に入るとビートはさらに強くなり、途中には“follow me、follow you”も交え、鬼気迫るボーカルワークとコールアンドレスポンス、そしてスモークの演出で盛り上げていき、最後はジャンプでキメた。ダンサーとクラウンらが全員登場すると「cheers!」の時間だ。皆が自由にステージ上を練り歩いて、クラウンと影絵の劇団かかし座という同時にはステージに立っていない人同士の絡みなどもあり、全員で今日というステージを作っていったのだと感慨深げだ。2番後のドラムソロに続いてクラウンの紹介と一芸の披露。この日の芸はテーブルクロス引きで、本職の彼は難なくキメて、KATSUの番。静まり返り緊張の一瞬に見事、一発でキメると緊張から解放されたKATSUに大きな拍手が送られ、その後は伸び伸びとした空気の中での演奏と歌唱が展開されるのだった。最後の曲となり全員が中央段に集って、atsukoは「メンバーさんやスタッフさんが集まれるのか怪しいなか、大サーカスを決めた部分があって、2daysできるのか不安だったんですけど、昨日を演って今日演れて本当に楽しいです」と話し、大きな拍手を浴びる。その後、「Beautiful day」の冒頭の歌詞“僕らは皆、いずれ死ぬ”に触れ、クラウンのひとりだったダイアナの使用していた帽子を被った人形を横に「身近な人の寂しいお別れがあったりする現実です。だからこそ生きている間にたくさんの愛を放って笑って楽しんで、ぢぇらっ子と一緒にこの空間で大サーカスができてよかったです」と、語る。そして「Peace of mind」の歌詞をスクリーンに映し出しピアノ伴奏のみで全編をぢぇらっ子と一緒に歌っていく。ときにatsukoは首を横に振り、鼻をすすり、目を拭っている様子が見られた。客席にマイクを向け、KATSUはイヤモニを外して皆の合唱の声を聴き、atsukoは真っ直ぐに前を向いて「ありがとう」とひと言。またも温かい拍手を浴び、最後のサビを涙まじりで歌い上げ、盛大な拍手に包まれてステージを後にしたのだった。

アンコールでは昨日同様“家族愛”と表示されドメスティック♥ラヴバンド登場、と思いきや、ぱおちゃんがくしゃみをし、萎んでしまう。その代わりに現れたのは、「angelaの事務所の後輩、幻の新人アイドル」アイドルあっちゃんだった。日本武道館での「特大サーカス」(2017年3月)以来の登場に、爆発したような歓声がホールに巻き起こった。ぢぇらっ子の中にも大勢のファンがいたことが伺える。小型宇宙船に乗って挨拶するマイペースなキャラクターぶりも健在だ。代表曲「お願い!シャングリラ」で、ステージには動物の着包みが2体現れ、演奏陣もあっちゃんTシャツを着用して盛り上げに一役買う。そんなMCのなか、あっちゃんの言葉に関西弁が混じり、KATSUは「彼女はぱおちゃんの転生前姿なのでは?」という疑問を口にする。そんな思いをよそに「紅白を狙う」という新曲「バイビー☆伝説」をあっちゃんは披露。ステージには女子ダンサーが加わり、サイドステップの振り付けを行いながら独特の音楽性を発揮し、歌い終え何度も左右に手を振りながら「バイビー」と繰り返して去っていったのだった。

Wアンコールで登場したatsukoは「ここ15分くらい記憶がない」と証言。ぱおちゃんとの遣り取りを経て「今、みんなで生きている今がいちばん幸せ。今こうしてここでぢぇらっ子と一緒に歌ったり踊ったり笑ったりできる場所が、いつだってわたしたちのShangri-La」と、「Shangri-La」を熱唱。続けてスクリーンに歌詞を出して、「最初から最後まで歌ってください」と「騎士行進曲」を歌う。atsukoは指揮棒を振るい、KATSUは足を大股に開き力強くドラムを叩く。そんな彼らのパフォーマンスにますますオーディエンスのシンガロングは大きくなるばかり。磨きがかかった歌とサウンドで最後まで盛り上げ、敬礼で締めくくると直後に大歓声が。最後にメンバー紹介が行われ、ダイアナのコールの際にはより一層大きな拍手が届けられた。KATSUは「公演中、こんなに楽しいのになんであの人たちはいないんだと、自分の中で(ダイアナと、12月の山内“masshoi”優の急逝が)まだ受け止められてなくて、急にいなくなることが癒えることないんだなって」。「ダイアナさんも武道館のあと、4ヵ月ぐらいで急に。そのときどうやったら大サーカスでダイアナさんを思い出せるかと思ってできた曲が『LOVE★CIRCUS』なんです。そうしたら少なくとも大サーカスをやるたびにダイアナさんを思い出せられる」という。続けて「All Time Bestライブ」のときにメンバー内で大流行したという「We are “masshoi”」のコールを会場一体となって4回続けて山内をみんなで弔うangelaらしい送り方だった。「ありがとね!」と力いっぱい叫ぶKATSU。atsukoは「生きてる限り、頑張らなくてもそこにいてくれるだけでangelaのライブで会えるだけで絶対に残っていく記憶なんだと思います。私は私に関わった人、誰のことも忘れません。そうしてみんなと歳を重ねて生きたいと思います」と挨拶した。

会場全体での写真撮影のあと、スクリーンにはそのまま告知動画が上映され、2020年4月にTVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』の主題歌をリリースすること。また、2020年に3年ぶりのオリジナルアルバムを発売すること、そして2020年12月27日(日)パシフィコ横浜国立大ホールで“ミュージック・ワンダー★大サーカス2020”を開催することが発表された。しかも先の主題歌新曲となる「乙女のルートはひとつじゃない!」はすでに完成しており、ドラムは生前の山内“masshoi”優が演奏していたことも明かされると一段と大きな歓声が湧き起こった。2020年の大きな動きを前に、atsukoは「みんなもどうか、生きて2020年笑顔で会いましょう」、KATSUは「2020年はもっと驚かせてやる!」と絶叫し、2019年最後の日の公演を終えたのだった。

TEXT BY 日詰明嘉

angela ミュージック・ワンダー★大サーカス2019
2019年12月31日セットリスト

01. LOVE★CIRCUS
02. KINGS
03. Yell for you
04. maybe..maybe..
05. 明日への brilliant road
影絵転換 「果て無きモノローグ」
06. 君を許すように
07. 何故に..
08. THE BEYOND
09. イグジスト
10. Beautiful day
11. 年下未知数脳内HD
12. SURVIVE!
13. 全力☆Summer!
14. 幸せの温度
15. DEAD OR ALIVE
16. cheers!
17. Peace of mind
EN1(アイドルあっちゃん)
18. お願い!シャングリラ
19. バイビー☆伝説
EN2
20. Shangri-La
21. 騎士行進曲

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