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2019.09.14

チコハニ最大規模のツアー“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks 5th Anniversary Hall Tour 2019 LiVE 5’s ON !!”ライブレポート

中野4daysの最終日となる“LiVE 5’s ON !! ”2019年8月22日@東京・中野サンプラザ

今年初、自身最大公演回数となった全国ツアー終盤を飾ったのは、8月18日~22日までの東京・中野サンプラザ4daysだった。間に1日休演日を挟んでいたとはいえ、同じ会場で4日間ライブを行うのは初めての経験。ツアー開始前、「リスアニ!」本誌「リスアニ!WEB」の短期連載でCHiCOに会ったときも彼女は、「中野サンプラザは、チコハニの“ホーム”と呼べる安心してステージができる場所だし、2daysは経験済みだけど、4日間公演は初めてだし、発表したときから“ほんとに?”とびっくりしてました(笑)。体力的な心配とか、喉が持つのかな?という不安はちょっとあるけど、とにかく頑張ります!」とよく語っていた。

そんな4daysファイナルとなった8月22日。中野サンプラザ前の広場には、開場前からたくさんのファンが詰めかけていた。ここ数回のワンマンライブを観るにつけ、感じられるのは、男性ファンの数がとても増えたことだ。以前は全体の7割から8割が若い女の子のファンで占められていたが、今は男性の姿も5割近く。ファンの年齢層も、以前は中高生がメインだったが、今では下は小学生から上は社会人まで、幅を広げている。そんな客層の変化も、チコハニの5年間の成長といえよう。

さらに、東京公演としては8月6日、Zepp Tokyoでの“LiVE 5’s ON !! -0806-”のほうが先だったが、ゲストが登場するお祭り感の強かったZepp Tokyoのステージと、ワンマンツアーとしての中野サンプラザ公演では、やはり観るほうの意気込みも違う。アーティスト・CHiCO with HoneyWorksとして思う存分、真価を発揮するステージを待つファンの表情は、とても明るい。

今回のツアーには、CHiCOと同じオーディション出身の・halcaが同行。この中野サンプラザシリーズもオープニングアクトとして開幕を飾ったのはhalcaの歌声だった。開演時間の18時半を過ぎて、薄い柄物のワンピースにキラキラと光る白地のボレロを纏ったhalcaが、ニコニコと手を振りながら登場すると、客席から「halcaちゃーん!」と大きな声援が飛ぶ。かわいい振り付けを交え、最新シングルの「センチメンタルクライシス」と、8月28日リリースのインディーズ時代の楽曲に新曲4曲を加えたミニアルバム『white disc +++』の中から「君だけ」をキュートに歌い上げ、客席を温かな雰囲気に包み込んだ。

halcaのステージが終わると、ステージ中央にお立ち台が設置されて、チコハニ登場のムードがグッと高まり、ダンサブルなBGMが流れ出す。まずはチコハニバンドが手拍子に迎えられて登場。オーディエンスの声援が次第に大きくなり、ステージの中央にCHiCOの姿がパッと照らされて、本ツアーのオープニングナンバー「ヒカリ証明論」で勢いはトップまで一気に盛り上がる。CHiCOは黒のミリタリー調の帽子に黒地にダイナミックな赤文字が描かれたTシャツ、キラキラと輝くスカートが添えられた黒のホットパンツに身を包み、超クールに決めている。3日間の中野サンプラザシリーズを駆けてきたCHiCOの歌声は疲れを感じさせることもなく、当初の心配を払拭するように力強く、伸びやかにホールの奥まで届き渡る。オーディエンスの目一杯の掛け声が、「identity」「プライド革命」まで絶えることなくチコハニの演奏に食らいついていった。

今ツアーのセットリストは、ファーストブロックは“ロックでかっこいいチコハニ”ゾーン、セカンドブロックはポップゾーンがあり、しっとりとしたバラードを聴かせる“チコバラ”コーナーを挟んで……と、バラエティに富んだ楽曲をジャンルとテイストではっきりと分けて構成されていたのが印象的だ。筆者が観た8月18日の中野DAY1は、最初のロックジーンに「identity」の代わりに「ウルフ」がポジショニングされていた。

「中野DAY4! そして今日は(ツアー)セミファイナル、14公演目です!」とCHiCOは元気に言葉をかけて、「ミスター・ダーリン」を優しい声で歌い上げる。昨年11月23日、同じ中野サンプラザでこの曲が披露されたときは、コラボ相手の中川翔子との初デュエットが実現していたことを思い出す。中野DAY1では、ここからドラマチックな「ノスタルジックレインフォール」へと繋がったが、DAY4は間もなく終わる夏休みを名残惜しむような「サイダー」を、みんなで振り付けしながら歌われた。今日はよりキュートでポップなチコハニの音楽性が、多面的に楽しめるセットリストになっている。

続いて、昨日からの雨模様を心配しながら“チコバラ”のコーナーへ。切々と歌われた「Love Letter」、武道館公演では合唱隊と一緒に卒業のドラマを紡いだ「贈り歌」(DAY1は「ツノルキモチ」と「贈り歌」がセットに)……5周年アニバーサリーという節目のツアーだという想いが聴くほうにもあるからか、1曲、1曲に過去のワンマンで歌われたときの印象が重なって、いっそう感慨が深くなる。それは筆者だけではなかったはずだ。

歌が染み入る静かなコーナーを盛大な拍手で終えたのち、ステージは再びバラエティ豊かな楽しいコーナーへと進む。「次は、halcaちゃんと、ツアー後半からツアーを一緒に盛り上げてくれているHanon(はのん)ちゃん、3人で歌っていきたいと思います!」とCHiCOがhalcaと、同じHoneyWorksファミリーの一員としてHoneyWorksのサポートボーカルとしても活躍しているシンガー・Hanonをゲストに呼び込む。大阪公演からツアーに合流した緊張気味のHanonに、CHiCOが「私のほうがHoneyWorksのゲストボーカルとしてはセンパイだから、よろしくお願いしますね!」と顔を近づけて挨拶すると、バンドメンバーが「怖いよ怖いよー」とはやし立てる。仲良しのチコハニバンドならではの楽しいジョークに、女子3人が弾けたような笑顔を見せる。

ここで披露されたのは、キーボードの圭輝が手がけた本ツアー初公開の新曲「胸キュンライト♡」だ。CHiCO、halca、Hanonの3人がキュートな振り付けで一緒に歌うこの曲は、ペンライトを振り、一体となって観客がアーティストを応援している、幸せな光景を描いたライブならではのかわいらしい楽曲だ。1番ではピンク、2番ではイエローのペンライトを振って欲しいとCHiCOがお願いし、カラフルな空間を作り上げた。(なお、客席のキレイなペンライトの変化をムービーに残そうとAtsuyuK!がドラムの横にカメラをわざわざセッティングして撮影したが……まったく客席が映らなかった!という事態にCHiCOがガッカリするというハプニングも!(笑)

そしてもう1曲、HoneyWorksの人気曲「金曜日のおはよう-another story-」を3人でカバー。イントロの目覚まし時計の音からテンションもアップし、大きな声で客席とステージの楽しい掛け合いが続いた。halcaとHanonを見送るともうひとつ、本ツアーならではの楽曲が。「5周年ということで、お世話になっているHoneyWorksさんの楽曲をカバーさせてもらいます」とCHiCOが紹介し、始まったのは「告白予行練習」(DAY1では「ヤキモチの答え」が披露された)。これまでのワンマンでもHoneyWorksのカバーは何曲も歌われてきたが、HoneyWorks大ブレイクのきっかけとなった「告白実行委員会」シリーズの原点となる曲をCHiCOの声で聴けるのは、とても新鮮だ。改めて聴くと、HoneyWorksがボカロが歌うことを前提としてHoneyWorksナンバーとして作ってきた曲と、CHiCOが歌うことを前提としてCHiCO with HoneyWorksナンバーとして作ってきた曲との違いも感じられて面白い。そこもHoneyWorksファミリーにとっては、5年間の変化なのかも知れない。

ここで、チコハニワンマンではおなじみのバンドセッションタイム。CHiCOを支えるOji(g)、中西(g)、宇都圭輝(key)、Hiroki169(b)、AtsuyuK!(ds)がテクニカルな演奏を見せつけて、セットリストは後半戦へ。ストローハットを被り、鮮やかなオレンジ色の開襟シャツと薄青のふわりとしたスカートにコスチュームチェンジしたCHiCOが華麗に「私、アイドル宣言」をダンスする。Zepp Tokyo公演と同じように、最新シングルの2曲「乙女どもよ。」と「恋人ツナギ」もここでお披露目。軽やかで爽やかな風が、CHiCOの歌声とともに吹いてきた。

チコハニ全員でツアーグッズの紹介を終えると、中西が「どうですか、盛り上がってますか、皆さん! 最終日ですよ! 1日目、2日目、3日目めっちゃ良かったです、4日目も負けんなよ!」と吠え、CHiCOが「もっと声出していきましょう!」と煽って、曲紹介されたのは「ロデオ」。(この日替わり曲枠は、中野初日は超ドラマチックな「ヒストリア」が久々に歌われた) 「ロデオ」はZepp Tokyoでのsanaとのデュエットも良かったが、CHiCOが1人でパワフルに歌い上げるのもまたいい。オーディエンスの掛け声と叫び声も、一段と大きくなる。その勢いを止めることなく、「ラブホイッスル」では笛の音で心を1つにし、「今日もサクラ舞う暁に」ではオーディエンスと歌い、タオルを振り回しながらバンドと一緒にステージ狭しと走り回り、ジャンプする。チコハニのライブアンセムのひとつ「ホーリーフラッグ」では、CHiCOがステージを降りて1階客席を奥まで練り歩き、客席は大興奮に包まれた。

笛の音と「アンコール!」の声が賑やかにクロスし、ツアーTシャツに着替えたCHiCOとバンドメンバーが再びステージへ。「アイのシナリオ」で振り絞るようにCHiCOが「中野、そんなもんじゃないだろ! もっと声出していけよー!」と大声を挙げると、「うぉー!」と客席が応え一緒にサビをシンガロング。「もっと!もっと!」と言うように、歌いながら手を振るCHiCOの圧倒的なパワーに胸が熱くなる。

MCでCHiCOは、「私がみんなに手を振ると、大きい声で合いの手を返してくれるのが本当に嬉しくて。チコハニを応援してくれる人だけの合い言葉のような気がして、すごく好き。皆さんに応えてもらう楽曲も増えて、楽しくライブができています。デビュー当時は盛り上げ方も分からなかったし、バンドメンバーに頼りきりでした」と、この5年間を改めて振り返る。

「CHiCO with HoneyWorksは毎年たくさんのステップアップをさせてもらい、いろんなものが自分の強みになりました。皆さんに歌を伝えるために、もっとレベルアップしなきゃいけないなと自分を奮い立たせることもできました。中野4daysでたくさんの方々と5周年を祝うことができて、本当にうれしいです! 6年目も楽しいライブを皆さんと一緒に作っていくことは変わらず、ビタミン剤、エナジードリンクのように、皆さんに元気を与えられるアーティストになろうと思います。6年目もよろしくお願いします!」

アンコール最後は、色とりどりのペンライトに囲まれたデビュー曲「世界は恋に落ちている」。大切な人に大切な言葉を伝える勇気を与えるこの曲は、5年間、CHiCOがライブでファンに言い続けてきた「みんな大好き!」のメッセージを歌で伝えているように思えた。5年間、“忘れない忘れられない 輝く1ページ”を刻んできたCHiCO with HoneyWorksは、6年目からも必ずや、ファンと想いを通じさせ、光り輝く大切なページを1枚ずつ増やし続けていくことだろう――。

<“LiVE 5’s ON !! ”2019年8月22日@東京・中野サンプラザ セットリスト>
M01. ヒカリ証明論
M02. identity
M03. プライド革命
M04. ミスター・ダーリン
M05. サイダー
M06. Love Letter
M07. 贈り歌
M08. 胸キュンライト♡
M09. 金曜日のおはよう -another story-
M10. 告白予行練習
M11. 私、アイドル宣言
M12. 乙女どもよ。
M13. 恋人ツナギ
M14. ロデオ
M15. ラブホイッスル
M16. 今日もサクラ舞う暁に
M17. ホーリーフラッグ
――ENCORE――
M18. アイのシナリオ
M19. 世界は恋に落ちている


●ライブ情報
夏の全国ホールツアー
LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks 5th Anniversary Hall Tour 2019 LiVE 5’s ON !!
7月13日(土)宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)
7月15日(月・祝)北海道・道新ホール
7月20日(土)神奈川・神奈川県民ホール
7月27日(土)香川・サンポートホール高松
7月29日(月)福岡・福岡市民会館 大ホール
7月30日(火)広島・JMSアステールプラザ 大ホール
8月11日(日)・12日(月・祝)大阪・グランキューブ大阪
8月16日(金)新潟・新潟市民芸術文化会館・劇場
8月18日(日)・19日(月)・21日(水)・22日(木)東京・中野サンプラザホール
8月31日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

【出演】
CHiCO with HoneyWorks
Vocal : CHiCO/Guitar : Oji/Guitar : 中西/Keyboard : 宇都圭輝/Bass : Hiroki169/Drums : AtsuyuK!/Manipulator : Kaoru
halca/Hanon

●リリース情報
TVアニメ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』OP主題歌
「乙女どもよ。」
発売中

【CHiCO with HoneyWorks盤】
品番:SMCL-607
価格:¥1,241+税
※HoneyWorksヤマコ描きおろしジャケット
※超豪華特典付き

【アニメ盤 (期間生産限定盤)】
品番:SMCL-608
価格:¥1,241+税
※絵本奈央先生 描きおろしジャケット
※超豪華特典付き
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