『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』の主題歌で小林幸子とコラボが実現!中川翔子「風といっしょに」インタビュー

中川翔子が『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(1998年公開)の主題歌「風といっしょに」を、原曲で歌唱した小林幸子とデュエットする。今夏、その『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』としてフル3DCGでよみがえるにあたり、主題歌も亀田誠治によるプロデュースで生まれ変わることとなった。同時に中川翔子は『ポケットモンスター サン&ムーン』のEDテーマも担当。奇しくもこちらも1998年にアニメ『ポケットモンスター』5代目EDテーマであった「タイプ:ワイルド」を歌唱する。記念すべき劇場版シリーズの第1作主題歌、そしてサトシ演じる松本梨香が歌ったEDテーマという2曲と対峙し、数々のポケモン仕事に携わってきた中川翔子にも、興奮と幸福感とプレッシャーが怒涛のように押し寄せたようだ。

――「風といっしょに」の制作ドキュメント映像(「完全生産限定盤」付属DVD収録)を見させていただいたのですが、レコーディング現場で小林幸子さんと会われた早々に泣かれていましたね。

中川翔子 幸子さまとは以前に、中川翔子コラボ企画として「無限∞ブランノワール」という曲でコラボさせてもらっているんですけど、(涙をこらえるのは)無理でした。『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の主題歌「風といっしょに」を幸子さまと歌う、というだけでもう感動しすぎて。

――しかも、その小林幸子さんが歌ったあとでの歌入れでした。

中川 そうなんですよ。幸子さまのレコーディングを一発で決めて去っていく姿は、伝説のポケモン・ルギアのようでしたね。去年(『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』で)、むっちゃくちゃ人間ドラマがワチャワチャあってからの最後にルギアが飛んできてこっちをチラッと見て飛び去る、ああいう感じですね。ルギア感が半端なかったです。

――今作のプロデューサーとして、レコーディングをディレクションしていた亀田誠治さんもほぼ一発OKに少し戸惑い気味でした。

中川 でも幸子さまは、「あら、そうですか」って淡々としてるんです。幸子さまは10歳で、サトシと同じ年で芸能界デビューしてから戦い続けて55年ですから。一発で歌を決められちゃうんですよ。すごいですよね。それがあっての私のレコーディングだったので、プレッシャーと戸惑いが喜び以上にありました。私が(「風といっしょに」で一緒に)歌う意味というのはすごく難しかったです。

――ただ、小林幸子さん自身はとても優しくて穏やかで。中川さんが小林幸子さんを、母であり、ポケモンとしても強力な「ガルーラ」と称していたのが印象的でした。

中川 ガルーラってメガシンカという概念が加わると、「おやこあい」を発動できるんですよね。お腹の子供が外に出て、「グロウパンチ」を親子でつかう。今回のデュエットはそんな感じかもしれないですね。

――たしかに小林幸子さんも進化し続けています。コミケに出たり「千本桜」を歌ったり。

中川 完全にそう。全部を否定しないで、大ベテランであっても「面白そうね」という気持ちで楽しんでくれているのはすごくうれしいことですよね。ポケモンの曲を歌われていることもそうですけど。だって、「ラスボス」って呼ばれて怒らなかったのかな? とか思いますよ。

――呼ぶ側の愛を受け止められたのかもしれませんね。

中川 「ありがと。でもラスボスって何?」という感じが最高ですよね。大人になると、「最近の若い人ってさ」とつい言ってしまいそうで、そんな自分が嫌なんですけど、幸子さまは時代が変わるにしたがって大変なことや理不尽なことを乗り越えながら、否定しない。それってすごく大事なことなんですよね。「面白そうね」とか「まぁいっか」ってよく仰るんですよ。魔法の言葉ですね。すごく素敵。心のチャンネルをそっちに切り替えられるところが超かっこいいです。私も否定する人になりたくないです。それに幸子さまは本当にガルーラのような母性で。まさに「ガルーラのこもりうた」(アニメ『ポケットモンスター』第34話、小林はガルーラとガルーラを操るタロウの母親役を務めた)。「しょこたんは子どもの頃“ぼっち”だったけど、ポケモンがあったから友達できたもんね」ってお母さんみたいな声で言われるんです。季節の変わり目とかにも、何かと気にかけてメールをくださるんですよ。免許が取れたら「おめでとう」とか。(愛猫の)マミタスが亡くなったときは、「だけどずっと一緒にいるのよ」とか。あとは「今年もお米ができましたよ」とか。「無限∞ブランノワール」でご一緒させてもらって、でもそれで終わりじゃなくて本当に優しいお母さんのようです。しかもうちの母は、少女時代にモデル活動で幸子さまと雑誌に一緒に出たことがあって、「無限∞ブランノワール」のときにいきなり、「そういえばね」って初めて知らされたんですけど。母の妄想かと最初は思いました。でも本当だったんですよね。なんでそんなすごいこと言わないのか分かんないんですけど、でもそういうご縁もあるんです。だから今作の「風といっしょに」では、幸子さまがいて。私がポケモン1st世代だけど『ポケモン☆サンデー』からのお姉さんとして子どもたちと触れ合って。つまり、私もお母さん世代ですよね。それでいつか、2019年も、令和元年も子供たちやみんなにとって「うわー懐かしい」っていう日になるのかと妄想すると楽しくなってきます。「懐かしい」ってすごい原動力だと最近思っているので。プロデューサーの亀田誠治さんも、息子さんを連れて映画館に第一作目の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を観に行っていたんですって。今回仕事するにあたってDVDを観たら、(『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』の劇場公開時に同時上映され、DVDにも収録されている)『ピカチュウのなつやすみ』を観てすごくそのときの光景を思い出した、と仰っていました。お父さん目線というのもあるんですよね。それも新鮮な驚きでした。その愛情ものっかったプロデュースになっていると思います。幸子様のラララに私がラララと付いていくところは、いっしょに歌ってくれたポケモンキッズ2019の声と重なって、ポケモンの世界が広がっていく感覚がありましたし、私もすごく「ここにいていいんだ」って思えました。

――一方、「風といっしょに」のカップリングでは、同じくポケモンの人気曲をカバーしました。

中川 「風といっしょに」の話もビックリでしたけど、「タイプ:ワイルド」も「いやいやいやいや!」「ちょっとちょっとちょっとちょっと!待って!」ってなりました。10歳の少年、サトシが歌う曲っていう刷り込みが私にもみんなにもあるし、だから人気曲だし私も大好きだし。私が歌って、「意味わかんないと思われたらどうしよう」ってレコーディング当日まで悩んでました。(サトシ役の)松本梨香さんの歌が体に染みついてるからどうやって歌っていいかわからなかったんです。でも、プロデューサーのヒャダインさんが「サトシとして歌うのは無理だから。『ポケんち』(テレビ東京系『ポケモンの家あつまる?』)の大人のお姉さん「中川翔子」が、子供たちに向けて歌う今のアニソン、そう思ってください」って言ってくれました。大事なのは、サトシらしい「少年み」ではなくて、「お姉さんみ」「ハピナスみ」「ジョーイさんみ」だと聞いたとき、すごくしっくりしました(ジョーイはポケモンセンターでポケモンを回復してくれるお姉さん。ハピナスは弱ったポケモンを治るまで看病する優しいポケモン)。ポケモンがわかんない人にとっては「何それ?」ってアドバイスだと思うんですけど、ポケモンを知ってればむちゃくちゃわかりますよね? 冒頭の(『風といっしょに』のメロディをなぞるイントロ)部分も、「翔子ちゃんが「風といっしょに」を歌う人になったから、この冒頭にしたんだよ」って言われて、「あ、だからなのか!」って納得できるところでした。ヒャダインさんはこれまでの私のしくじりを見てくれているし、私が(友達がいなくてぼっちだった)光を求めていた黒歴史の時代も知っているし、(亡くなった愛猫の)マミタスの曲(「愛してる」)も書いてくださったし、今回のプロデュースはヒャダインさん以外ありえなかったですね。原曲へのリスペクトがすごくありつつ、全然違う曲になっているので、めちゃくちゃお気に入りで毎日聴いています。この歌は今後、フェスや海外のイベントやいろんなところで歌える曲になると思うんですよね。タオル曲だし、「タイプ:ワイルド!」とか「オーオー」とか言いたくなるし、それでいてエモーショナルだし。「タイプ:ワイルド!」っていう叫び声は全部、番組で共演しているあばれる君やヒャダインさんや大谷凛香ちゃんという、大人になってから出会ったポケだちみんなの声なんですよ。最初は自分でも「なんで中川翔子が歌うんだよ」って思っちゃったんですけど、今は『ポケんち』までの、ポケモンとの道のり全部があったから歌えるんだと思えています。(解禁まで)ずっと(歌うことを)言えなかったので早く言いたくて死にそうだったんですよ。(「風といっしょに」のリリースイベント)『ポケだちツアー』で早く子供たちと歌いたかったです。絶対一緒に歌ってくれると思っていました。でも、子供たちにとってはきっと初めて聴く曲なので、今の子供たちには「がんばれ」の気持ちを込めました。

――劇場版へのゲスト声優出演、情報番組の司会など、ポケモンの仕事にも数々携わってきました。大人になってからの「ポケモンとの道のり」で印象に残っていることを教えてください。

中川 『ポケモン☆サンデー』の出演者に入れてすごく楽しい日々を送っている中で、ポケモン映画の15周年を記念した『ピカチュウ・ザ・ライブ 2012』というイベントはよく覚えていますね。初めて幸子さまにお会いしたんですけど、幸子さまは「風といっしょに」を歌われて、そのとき、「この曲を聴いて育ちました。神曲です」って伝えました。それを幸子さまが覚えてくださっていたんですよ。語彙力を失った結果、「神曲です」っ言っちゃったんですけど。でも、「風といっしょに」という曲自体、心が落ち込んだりぶれたりしたときに聴いて、幸せだったんだ瞬間に心を戻すってことをよくやっていた曲なので。今回、はじめて歌わせていただきましたけど、ずっとずっと一緒に歩いてきた曲のような感覚がありますね。それから、ロカルノ映画祭で(出展作『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール アルセウス 超克の時空へ』の主題歌)「心のアンテナ」を歌うためにスイスまで行ったときの(映画祭からの)帰り道。建物がパステルカラーで三角のとんがり屋根でファンシーな景色だったんですけど、綺麗な星空とともに水面に反射して。湯山監督やスタッフのみなさんと一緒に縦に並んで歩いていたらなんだかエンドロールっぽくて、「この瞬間を忘れない」って思ったのを覚えています。あと、『ポケモン☆サンデー』のときは共演していたロバート秋山さんや(TIM)レッド吉田さんたちとめっちゃ仲良しで。もはや仕事じゃないんですよね。みんなポケモンが大好きすぎて楽屋に帰らないんですよ。スタジオにあるテーブルでずーっとポケモンを交換したりしゃべったり。あと、オリジナルの漫画を描いてました。秋山さんが(ロバートの)山本(博)さんに「お前は今日からマサキね」と言い出して、マサキの漫画をずっと描いているんですよ。その3人以外、誰も存在を知らないマンガだったんですけど、それで毎回泣くくらい笑っていました。そしたら、(『ポケモン☆サンデー』の後番組)『ポケモンスマッシュ!』が終わるとき、私の誕生日に全力でロバートさんとスタッフさんがその漫画を実写映画にしてくれたんですよ。カット割りもスタイリングもメイクもちゃんとやって。私を喜ばせるためだけに。今の『ポケんち』でも、やっぱり『ポケモン』でいくらでもしゃべれるし笑えるし、という現象が起きていて、やっぱりみんながすっごい仲いいんですよ。一緒にお弁当食べたり、リアル脱出ゲームを遊びに行ったり。高校時代の、闇にまみれて光を求めていた頃、ヒャダインさんのコスプレをあばれる君がして、そのコスプレをまたヒャダインさんがして。聞いててもよくわからないですよね。そしたら(大谷)凛香ちゃんが、私の、友達がいなかった黒歴史の頃のコスプレもして。だから、無駄だと思っていた時間も全部意味があったんだな、と感動しました。なんだか過去の自分に私が手紙を書くような気分というか。ポケモンのおかげで全部が「うわー、楽しい!」に変換できているので、ポケモンのおかげでここまで来られたって思います。

Interview & Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
「風といっしょに」
小林幸子&中川翔子
7月10日発売

【完全生産限定盤(CD+DVD+グッズ)】

※デジパック仕様/ポケモン絵柄ジャケット
品番:SRCL-11181~11183
価格:¥2,407+税

【通常盤(CDのみ)】

品番:SRCL-11184
価格:¥1,204+税

【期間生産限定盤(CDのみ)】

※デジパック仕様/ポケモン絵柄ジャケット(完全生産限定盤と同絵柄)
品番:SRCL-11185
価格:¥1,389+税

<CD>
M1.小林幸子&中川翔子「風といっしょに」
M2.中川翔子「タイプ:ワイルド」
M3.(Bonus track) さち&じゅり「ポケットにファンタジー」
M4.「風といっしょに」instrumental
M5.「タイプ:ワイルド」instrumental

<DVD>
01.「風といっしょに」Music Video
02.「風といっしょに」制作ドキュメント
03.「タイプ:ワイルド」Special Music Video

<グッズ>
・ポケモンカードゲームスペシャルキラカード「ピカチュウ」
・中川翔子とBEAMSが共同プロデュースする「mmts」ポケモン絵柄クリアポーチ(全5種のうちランダム1種封入)

タイアップ情報
M1.「風といっしょに」・・・『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』主題歌(7月12日(金)公開)
M2.「タイプ:ワイルド」・・・TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』エンディングテーマ

●作品情報
「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」
7月12日(金)ロードショー

キャスト・スタッフクレジット:
特別出演/市村正親・小林幸子・山寺宏一
サトシ/松本梨香 ピカチュウ/大谷育江 ムサシ/林原めぐみ コジロウ/三木眞一郎 ニャース/犬山イヌコ ナレーション/石塚運昇
原案:田尻智
監督:湯山邦彦・榊原幹典
脚本:首藤剛志
製作:ピカチュウプロジェクト
配給:東宝

TVアニメ「ポケットモンスター サン&ムーン」
毎週日曜ゆうがた6時よりテレビ東京系にて好評放送中!
※一部地域では放送日時が異なります

●ライブ情報
中川翔子ファミリーコンサート2019〜えほんとうたのせかい〜
8月16日(金)
1.12:30 / 13:00
2.14:30 / 15:00
3.16:30 / 17:00

会場:サンシティホール 小ホール
チケット料金:座席指定
大人¥2,000(込)
子ども¥1,000(込) ※小学生以下

©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
©Pokémon©2019 ピカチュウプロジェクト

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