リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2019.07.05

息を呑む歌劇やギター演奏で可能性を拡張したライブ。“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!” 福岡公演「Fairy STATION」初日レポート

「アイドルマスター ミリオンライブ!」ライブツアー“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!”を締めくくる福岡公演「Fairy STATION」初日が2019年6月29日、マリンメッセ福岡にて開催された。

福岡公演には最上静香役の田所あずさ、北沢志保役の雨宮 天、ジュリア役の愛美、白石 紬役の南 早紀、周防桃子役の渡部恵子、天空橋朋花役の小岩井ことり、所 恵美役の藤井ゆきよ、永吉 昴役の斉藤佑圭、二階堂千鶴役の野村香菜子、舞浜 歩役の戸田めぐみ、真壁瑞希役の阿部里果、百瀬莉緒役の山口立花子、ロコ役の中村温姫が出演。

今回のツアーは、各公演が同属性のメンバーで構成された4つのユニットと司会の青羽美咲が繰り広げる歌番組「UNI-ON@IR!!!!」というコンセプトだ。Fairy属性のアイドルが出演する福岡公演には、D/Zeal、EScape、夜想令嬢-GRAC&E_NOCTURNE-、Jelly PoP Beansの4つのユニットが登場する。

相棒たちの凱旋公演から幻想のミュージカルまで

今回の会場であるマリンメッセ福岡の住所は博多区沖浜町。博多駅から歩けないこともない距離ということもあり、博多の街をプロデューサーたちがライブTシャツで歩く姿が散見できたり、博多駅から会場までピストン輸送する臨時バスが何本も走っていたりと、福岡のこの週末のメインイベントのひとつになった感じがある。会場は可動席を備えた近代的なアリーナで、正方形に近いスクエアな会場構成が特徴だ。

今回のツアーは各公演4つのユニットを軸にしていて、ライブ本編ではそれぞれのユニット衣装を着てステージに立つ。1曲目の属性曲「FairyTaleじゃいられない」では全員が衣装をまとって登場することもあり、各ユニットのビジュアルのショーケースのようにも感じる。Fairy属性の4ユニットはD/ZealとJelly PoP Beansが赤を基調とした衣装で、全体でも赤、青、白、黒といったまとまりのいいカラーリングに収まっていることもあって、全員が揃ってステージに立った時の統一感がある印象だ。

ステージ上で展開される歌番組「UNI-ON@IR!!!!」の最初の出演者はD/Zeal、田所あずさと愛美のユニットだ。赤と黒のチェック地をベースにした衣装は、「ミリオンライブ!」の原点の衣装プロローグ・ルージュに彼女たちの個性と音楽の色を加えて昇華させたようなイメージもある。愛美は帽子や左目の下の星でもジャケットイラストを再現していた。

「ハーモニクス」ではステージをジュリアの赤と静香の青で鮮烈に世界を染め分け、ふたりの全力と全力がぶつかりあい、高みに向かうようなパフォーマンスを見せた。マイクもハーモニクス仕様の形状なのだが、このマイクを正面に構えて鋭く見る田所の視線がその先に広がる世界を見つめているような、今までにない眼差しだったのが印象的だ。ささやきかけるようなアウトロからの鮮烈な締めはあまりにかっこよすぎて、会場からは拍手が巻き起こった。ユニット1曲目からクライマックスだ。

次の曲でピンスポットの中、愛美がギターを奏でながら歌い出したこと、その曲がジュリアの「流星群」だったこと、歌い出しが田所だったこと……それらの驚きが複合した波は、このツアーで最大のサプライズだったかもしれない。この驚きには、仙台公演、神戸公演ではユニット曲と共に765プロASの楽曲を新旧問わずカバーする構成が中心だったという伏線がある。だが実は、765プロのカバーがコンセプトである、と明言されたことはない。楽曲をユニットの側に引きつけ、ユニットの新たな魅力を引き出すアプローチの手段のひとつが、765プロのカバーだったということだろう。

続く「SING MY SONG」では今度は静香の楽曲をふたりで奏でた。愛美がつま弾くのはアコースティックギター。しかしアコースティックという表現以上に、笑顔で楽しそうに歌う2人の関係性が「SING MY SONG」という楽曲に新しい色合いを与えていた。

「餞の鳥」は力強い想いのこもったエモーショナルな歌唱。歌う2人の表情に影を落とし、逆光気味にコントラストを作り出す演出がD/Zealのまた違う魅力を浮き彫りにする。ハイレベルなボーカルと表現が高いレベルでせめぎあった先に生まれたD/Zealのステージだった。

ユニット・夜想令嬢-GRAC&E_NOCTURNE-(以下、夜想令嬢)のステージの冒頭、ここからは座ってご覧ください、という旨の表示がされた。夜想令嬢のステージは、「昏き星、遠い月」で描かれ、「Everlasting」へと至る美しくも哀しいヴァンパイアと人間の物語を、1本の歌劇、ミュージカルとして再構築するというこれまで例のない、贅沢な時間となった。

舞台「昏き星、遠い月」には4人のキャラクターが登場する。

エドガー(所 恵美/藤井ゆきよ):荒んだ都に住む孤児
クリスティーナ(天空橋朋花/小岩井ことり):永劫を生きる美しい少女の姿をしたヴァンパイア
アレクサンドラ(二階堂千鶴/野村香菜子):大切な妹を守るために剣を取る誇り高き騎士(舞台に直接は登場しないが、アレクサンドラの妹・ノエルは水瀬伊織が演じている)
エレオノーラ(百瀬莉緒/山口立花子):アレクサンドラに吸血鬼殺しを強いる悪女

エドガーとクリスティーナは出会い、おぼろげな希望を目指して旅に出る。一方、悪女エレオノーラは、アレクサンドラのある弱みをにぎって吸血鬼殺しを命じる。永遠を生きる吸血鬼の孤独と、かりそめの希望にすがり生き続ける者たちの物語だ。衣装は物語の世界を再現したもので、少年のような装いの藤井や、誇り高き騎士装束で長剣を振るう野村の姿は特に印象的だ。「昏き星、遠い月」の楽曲を編曲したBGMが流れる中、ところどころでシームレスに歌い始める構成は歌劇そのものだ。

舞台「昏き星、遠い月」を演じ終えたあとは、カーテンコールに所 恵美、天空橋朋花、二階堂千鶴、百瀬莉緒たち「アイドル」がステージに登場し、観客に挨拶するという二重性を持ったステージ。誰もが夢想しながらも実現は難しいと思っていた表現がそこにあった。

EScapeはココロを知っていくアンドロイドたちを描く物語と、それを演じる「クール系美少女ユニット」という響きにまんざらでもない志保、紬、瑞希のかわいらしさが魅力のユニットだ。演じる阿部里果、雨宮天、南早紀は、ジャケットをイメージした近未来衣装で登場。衣装にあしらわれた電飾がサイバー感をさらに後押ししている。

「I.D~EScape from Utopia~」では、バネのようにメリハリのきいたテキパキとした動きが印象に残った。頭から足元の中心線を動かさなかったり、歩みをリズムに合わせたりと、動きの中にアンドロイドを宿そうとする意図を感じる。

EScape最初の765プロASカバー楽曲は、三浦あずさのソロ曲「Mythmaker」だった。背景スクリーンにアンドロイドたちの保守画面? データリンク場面? といったイメージのサイバーな映像が表示され、ボーカルや歌詞と連動した精密で物語を感じさせる演出を見せていた。EScapeに関してはスクリーンの情報量が多すぎて、演者を見ているととても追いきれないので、一刻も早いライブBD発売が待たれるところだ。

「Melty Fantasia」は大会場の良さを感じた1曲で、サイバーな衣装に身を包んだアイドルたちを照らし出す映像と光の洪水が、3人を楽園から逃れるアンドロイドそのものに見せていた。3人が手を合わせながら回る印象的な動きや、最後スイッチが切れたようにうなだれた3人の衣装の白電飾の様子が、アンドロイドの機能停止と連動しているように見えた。

これは単なる765ASカバーではなく、ユニットとしての物語を重視した表現である、ということをこの上なく伝えていたのが「LOST」だった。出会えた喜びと“あなた”への切ないまでの想いの発露を、ココロを知ったアンドロイドの“感情”になぞらえた表現は圧巻だった。ラスト、ステージに次々と倒れ伏したアンドロイドたちが放射状に並ぶ姿は、イベントメインビジュアルを再現したもの。この様子を、上空からのカメラが元ビジュアルと同じアングルに捉えてメインスクリーンに映し出して見せた。このアングルは雑誌グラビアなどでよく用いられる技法だが、それをステージ上でリアルタイムで表現して見せたのには驚かされた。

最後のユニットはJelly PoP Beans。1曲目はロコが仲間と一緒にクリエイトする喜びを表現したソロ曲「ART NEEDS HEART BEATS」をJelly PoP Beans4人全員で披露。リーダー・ロコの視点と感情を軸にした楽曲で、4人の絆と関係性を生き生きと描き出してみせた。

Jelly PoP BeansのステージやMCで印象的だったのは、ナンバリングライブ参加は久しぶりの斉藤佑圭が、そこにいるのが当たり前のように溶けこんでいたこと。斉藤は仲間たちやプロデューサーがステージに昴を存在させてくれていたから、と語っていたが、Jelly PoP Beansの自然であたたかいファミリー感が寄与していたのは間違いないだろう。

「I did+I will」では懐かしい思い出をセピア色のフィルムに刻むような映像演出が行なわれた。いろんな場所に散って歌う4人のダンスの連動具合が楽しく、ひととき離れていても4人がつながっていることを感じた。

「月曜日のクリームソーダ」は、「UNI-ON@IR!!!!」のトリを締めくくる壮大なステージになった。冒頭に5人のタップダンサーが登場してステージにリズミカルなタップを刻んだり、レビューショーのようにきらびやかに装った男女(に扮したダンサー)が一糸乱れぬラインダンスを見せたり。最後には仲間の3ユニットもステージに登場し、本ツアー最大人数の豪華な陣容でロコとJelly PoP Beansが描くエンターテイメントの世界をステージに現出させた。

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP