亜咲花、「無」の境地に辿り着く。TVアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』OPテーマ「この世の果てで恋を唄う少女」インタビュー

先ごろ自身初のツアーを完走した新世代の人気アニソンシンガー・亜咲花が、TVアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』OPテーマ「この世の果てで恋を唄う少女」をリリースした。ライブでも熱い歌声を披露する彼女だが、今回の楽曲では真逆の姿勢ともいえる感情を「殺す」ことでこの難易度の高い楽曲に取り組んだという。そのアプローチすら楽しむようすからも彼女の大きなポテンシャルを感じさせる。新時代を担う成長著しい姿に今、耳を傾けよう。

亜咲花の挑戦 パワーでは押しきれないアニソンをいかに歌いこなすか?

――先日は初めてのツアー“亜咲花 1st Tour 19BOX ~Once In a Blue Moon FMA~”を完走されましたが、心境はいかがですか?

亜咲花 まずは乗り切ったことへの安堵感があります(笑)。初めてのツアーで、最後をきちんと飾りたいという思いや、アニソンカバーも歌わせていただくことに対してのプレッシャーもありましたので。

――カバーする曲目をそれぞれの会場で変えていましたね。

亜咲花 大阪公演のときに(ツアー最初の)「名古屋と違う!」というリアクションがあって、してやったりの思いでした(笑)。全公演に来てくれた人がすべての会場を楽しめるようにという狙いからだったので、次にツアーがあるときにはまた楽曲を変えようと思いました。「亜咲花にはアニソンを歌い続けてほしい」という声をたくさんいただいているので、これからもアニソンコーナーは続けていければいいなと思っています!

――ツアーではミニアルバムの新曲も数多く披露されました。

亜咲花 なかでもアンコールで歌った「CITYSCAPE」はこみ上げてくるものがありましたね。「ひとりだったら辿り着けずにいた光」という歌詞はどうしても堪えきれなくて涙が出てしまいました。いつもは泣かないと決めているのですが、ワンマンライブ3回中2回、アニサマでも泣いているので泣き虫キャラがついちゃっているかも(笑)。「feat. future」はワンマンライブで初めてお披露目をしました。リハーサルのときからバンドサウンドにムチャクチャ合うなと思っていたのですが、お客さんを目の前にして歌うと曲の完成度が凄すぎて、レコーディングで歌ってるときとまったく違いましたね。仲間と一緒にステージに立ってこのライブを作っているんだという今の自分の気持ちをまさに代弁してくれたかのような楽曲でした。今後のライブでも定番曲になるんだろうなと今回思いました。

――ライブではニューシングル「この世の果てで恋を唄う少女」をいち早く披露されました。MCでは「難しい曲」という発言もありましたが、この曲へのアプローチはどのように?

亜咲花 志倉(千代丸)さんの作曲はデビュー曲(『Open your eyes』)と3rdシングル(『Play the game』)と、今度3回目なのですが、やっぱり何回歌っても難しいですね(笑)。私はハードルが高ければ高いほど燃えるタイプですが、今回はレコーディングがとにかくとにかく大変で、これは自分との戦いでした。志倉さんの曲って独特なので、パワーで乗り切ろうとしてもそれが通用しないんですよ。楽曲と真剣に向き合わないと攻略できない。レコーディングで歌ってみると、最初に自分の中で思い描いていたイメージと合わず、私だけ突っ走っちゃって音楽が置いてかれてる状態になってしまっていたんです。収録を進めるにつれ、ある一定のラインで抑えることでちょうどミステリアスな表現ができたので、この「無」の状態で行けばよいのだと分かり、その感情をキープしつつ歌っていきました。

――現場で再調整するというある種の反射神経も歌手には必要なんですね。

亜咲花 そうなんです。歌ってみないと分からないところはどうしてもあるのでそうした姿勢はレコーディング現場で必要になってきますね。でも現場でイメージを擦り合わせるという作業も楽しいんです。みんなの意見を聞いて混ぜ合わせていくことで、私ひとりではなく本当にみんなで作っていると実感できるので。たとえイメージと違えども試行錯誤をしている間もまたすごく幸せな時間ですね。

――この歌のように謎めいた歌詞が多く並んでいるタイプのアニソンは伝え方においてどのような意識をされましたか?

亜咲花 “無限の並列世界”とか“運命の出会いさえ それは奇跡じゃなくて”と意味深な歌詞が多くありました。基本的には作品について調べてから臨むのですが、この歌については作品や歌詞の内容、志倉さんの意図など読み取ることが多すぎて、そのままだとループに陥ってしまうと思ったので、敢えて深くまで頭に入れないようにしました。レコーディングが終わってからの方が、「これはどういう意味なのだろう」と探っているような気がします。

――アニソンとひと括りにしても楽曲へのアプローチの仕方は作品の性質によって様々なんですね。

亜咲花 そこを見つけていくのが面白いんです。全部を知りすぎることが正解というわけではないことも今回の楽曲で学びました。

――先日のツアー名古屋公演ではいち早く披露されました。まだ誰も聴いたことがない状態で歌う際にはどのような点を意識されましたか?

亜咲花 アニメあっての主題歌なので、世界観を大事するため音源のときは自分のカラーを制御することを意識します。ですが、ライブの場合は私を観に来てくれた人の前なので亜咲花カラーを強めに出すところが違いますね。この曲も歌えば歌うほど亜咲花カラーに染まっていくと思うので楽しみです。

――収録され、改めて仕上がりを聴いていかがでしたか?

亜咲花 とても気に入っています。最初は出だしが民族音楽風だったので意外に思ったのですが、進むに連れていわゆる志倉節といえるEDMがどんどんかかっていったので安心しました(笑)。コーラスもガッツリ入っていて、ヨーロッパ風な感じもしますね。ここまでコーラスを入れるのも初めてなんです。ハモリも普段より強めに入れているので、ハーモニーの美しさをより感じていただければと思います。

この記事を書いた人