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INTERVIEW

2019.01.08

やなぎなぎインタビュー 新曲入りベストアルバム2種同時発売 「自分が聴きたい音楽を作ること」が存在証明

思わず口ずさみたくなるようなメロディと練りに練った音楽的構築を並立させ、独自の世界観を成り立たせる、アニソン界においても稀代のシンガーソングライターであるやなぎなぎが、ソロデビュー7周年を目前に2種のベストアルバム『-LIBRARY-』と『-MUSEUM-』をリリースする。ここに収録されている多彩な楽曲を生み出す根源と彼女の音楽に対する姿勢を新録音の解説とともにこの機会に改めて聞いた。

ライフワークとして音楽を作り続けた7年分

――ベストアルバム発売おめでとうございます。率直にどんな思いですか?

やなぎなぎ 1曲1曲を作っているときは夢中だったので、周りからそろそろベストかなって言われて、「気づけばこんなに」という感じでした。2枚あるとはいえ、選ぶのがとても難しかったです。ライブの定番曲を入れたり、自分にとって思い入れが深い曲を入れたりと、悩みに悩んでセレクトしました。たぶん、皆さんはいろんな所から私のことを知ってくださっていると思うので、このベストアルバムをきっかけに他の曲を味わってもらえたらなと思います。

――まもなくデビュー7年を迎えられますが、今回、改めてやなぎさんのディスコグラフィーを拝見したところ、ほぼ途切れることなくリリースをされていて、ご自身で作詞作曲も手がけられ、なおかつ発表される楽曲も多彩です。ご自身ではこのエネルギーの根源はどこから来ると思いますか?

やなぎ たぶん、つねに何かを作っていないと自分はダメな人間なんです(笑)。仕事とか関係なしに、作っていないと死んじゃうくらいの感じなので、頑張ってきたなという意識はまったくないんですよ。とにかく音楽が楽しいから続けている。頼まれたからという気は全然なく、自分のために作っているんです。最終的に、聴いてくださる人が拾い上げてくれればすごくうれしいんですが、いま自分がいちばん聴きたかったり歌いたかったりするものしか作ってなくて。創作することが昔からの生きがいで、それが自分のライフワークになっている感覚です。タイアップ作品であれば、その作品から創作の意欲をいただきますし、ゲームをしたり映画を観たり、自分が好きな本当にいろいろなことからもらっています。ライブを観に行くことも多いのですが、「帰ったらすぐに作らなきゃ」と刺激をもらうことも多いです。日々のそうした刺激を自分の作品に戻して行っているという感じですね。

――曲によって様々かと思いますが、完成したときにはどんな思いを抱かれますか?

やなぎ 自分で最初から最後までの過程を追っているので、自分の手元にあるまでは自分のものみたいに思っているのですが、そこから先は聴いてくれる皆さんのものになるので、完成したうれしさと同時に、「これからあなたは旅立っていくのね」みたいな寂しさがあります。例えばライブでお客さんの反応を見ると、それぞれの方によって重視している歌詞の部分も違ったり、予想もしなかったような感想をいただいたりするので、良い意味で成長して皆さんの所に届いていってるなという感じになります。

――今回、ベストアルバムは『-LIBRARY-』と『-MUSEUM-』の2種類ありますが、それぞれどのような狙いで振り分けられたのでしょうか?

やなぎ 互いに同じような枠に入りながらも、それぞれ独立したものであるというコンセプトがありました。『-MUSEUM-』はずっと飾っておきたくなるもの、遠くから眺めておきたいようなものを中心にセレクトして、『-LIBRARY-』のほうは何度も何度もじっくり読み返すことで味わい深くなってくるようなイメージで選曲をしています。

――今おっしゃった考え方について、興味深く思いました。発信する側としてはどの曲もリスナーに何度も何度も聴いてほしいとおっしゃるのかなと。

やなぎ 『-MUSEUM-』の方はどちらかというと、時々思い出して聴きたくなるイメージが強いですね。もちろん、これらの曲を何度も聴いてくださることはうれしいのですが、私の中では何かあったときに改めて、「こういう曲もやってきたんだな」とハッとするような曲を集めたつもりです。

――『-MUSEUM-』での収録にあたり、特に考えられた楽曲は?

やなぎ 「mnemonic」はこの中で唯一のシングルのカップリング曲です。そのシングルの表題曲の「アクアテラリウム」を作ってくださった石川智晶さんと(主題歌となった)『凪のあすから』という作品に影響を受けて作った曲です。頼まれてもいないのに、もっと曲を生み出したいと思って作った曲で、そうしたら挿入歌として使っていただけて、とてもうれしかったです。カップリングの中で入れるとしたらこれだろうと思って絞り込んで入れた曲ですね。

――『-MUSEUM-』には前山田健一さん作曲による「Continue」が新録曲として収録されていますが、どのような作り方を?

やなぎ この曲は「エンゲージプリンセス」というゲームの主題歌で、前山田さんが作ることは決まっていて、そこから私の方にお話をいただきました。前山田さんには以前「Burn Out The Energy」というかなりハードな曲を作っていただいたのですが、今回はかなりポップな曲で、1曲の中で目まぐるしく移り変わっていくところがありますし、曲を聴いた時点では歌は入っていなかったのですが、前山田さんが女性の声に変えて歌っているイメージが曲を聴いたときに感じられて、前山田さんらしい曲だなと。

――そんな曲に対してどのような歌詞を書かれていきましたか?

やなぎ この楽曲は出会いがテーマになっています。ゲーム自体も作られた方が「自分がネットとかで出会ったことを思い返して作った」とおっしゃっていました。ですので、歌詞もそのテーマに沿って、「君が君に出会わせる」といったフレーズを入れています。出会った人がまた次の人に出会い、いろんな連鎖が輪のように広がっていくようなイメージです。

――歌う際にはどんなふうにどんな思いを乗せて歌われていたでしょうか?

やなぎ 歌ってるメロディは一緒なのですが、周りの音がどんどん変わっていくので展開が大きい曲です。そこでいろんな声色を出せたらいいなと思って、場面場面でいろんな声や歌い方を使ってみました。

――さらに『-MUSEUM-』には11月に開催されたばかりのコンセプチュアルライブ「color palette ~2018 Black~」から選曲された14曲入りのライブ音源が付属しています。5日間の中からどのように選んでいかれましたか?

やなぎ 来てくれた皆さんにリクエストを募り、多かったものと自分が収録したいと思った楽曲を選び、もしこのライブに6日目があったらどんなセットになるかを想像して曲順を作っていきました。

――終わってみてから振り返ると、あの5日間はいかがでしたか?

やなぎ すごく楽しかったです。ライブのMCでも話したのですが、いつもよりも健康的な生活を送っていました(笑)。毎日毎日、早い時間に寝て早起きして、会場入りしてリハをやって本番をやって……というサイクルで、それが本当に健康的すぎて(笑)。いつもよりも調子が良くて、喉も日に日に良くなっていく感覚がすごく面白かったです。最終日がいちばん調子良かったぐらいの感覚でした。私もいろんなミュージシャンの方と演奏できてすごい楽しかったですし、ご覧になった方もハープなど、なかなか見られない楽器を間近で楽しんでいただけたかと思います。準備は大変でしたが、公演が始まってからはすごく楽しかったです。

――今回のライブにあたっては大胆なアレンジを加えられた楽曲も多々ありました。先ほど「作った楽曲が戻ってくる」とお話がありましたが、これらをどのように受け止めましたか?

やなぎ 今回に関して言えば、かなり違うものになったので、ほぼほぼ新曲として受け止め、一度原曲を忘れるようにしました。覚えていると歌えないと思って。アレンジだけとにかく考えることにして、歌い方も原曲を気にせず新しくしています。

――とすると、この5日間に向けて本当に数多くの「新曲」をご自身で受け止めて歌うことになり、労を尽くした日々だったのでは。

やなぎ そうですね。今まででいちばんだったと思います。演奏に関してはすべて新しくなったので、音に関しては作り込んだライブだったかなと思います。普段だともう少し原曲の記憶があるので、ここはこうすれば大丈夫だってわかるけど、そういうのはまったくないなかでスタートしているので。ただ、3日目を超えたあたりでただただ楽しくなったんです(笑)。これまで2日連続を超えたことがなかったので、どうしようと思っていたのですが、やってみたら思った以上に声が出るし、そこからはただただ楽しかったので、5日間が意外と早かったという感じでした。

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