リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2018.11.22

“PROGRESS”の先にあったのは、大人っぽさ。TVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』OP主題歌「ハイライト」担当・大橋彩香インタビュー

“PROGRESS”の先にあったのは、大人っぽさ。TVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』OP主題歌「ハイライト」担当・大橋彩香インタビュー

5月にアルバム『PROGRESS』をリリースし、それを引っさげて開催された“大橋彩香 Special Live 2018 ~ PROGRESS ~”も大成功。大橋彩香は音源・ライブの両面から、自身の進化を見事に提示してくれた。そんな彼女がこのたびリリースするニューシングル「ハイライト」は、爽やかさのあるアッパーチューンに乗る伸びやかなボーカルが実に魅力的なナンバー。リリースにあたって彼女に話を聞くと、そこにはさらに、今年リリースの作品とも結びつく大人っぽさも少し交えられていることがわかった。

――まず、パシフィコ横浜でのSpecial Liveの思い出からお伺いしたいのですが。

大橋彩香 いやぁもう、初めてのホールライブだったので今までのライブの中でもいちばんプレッシャーがあって。当日のリハまで本当に緊張で死にそうだったんですけど(笑)、ステージに立ったらそんなことも全部忘れてただただ楽しくて。やっぱりファンの皆さんがいるっていうのは大きいんだなっていうのをすごく感じたライブでした。それぐらいパシフィコって本当に大きな会場で。でも先日お客さんとしてもパシフィコに行ったときは、もっと大きく感じましたね。

――ステージの上と、客席からとでは全然違う。

大橋 はい。全然。そのときは2階席の真ん中の列ぐらいから観てたんですけど、やっぱりちょっと遠いなって感じて。上を見ると3階席もあるし……でもパシフィコへ行くまでの道がすごくわくわくして。「私のライブを観に来てくださったファンの皆さんも、こういう気持ちで駅から歩いてきてくれたのかな?」って考えると、すごくうれしいですね。グッズを買いに行ったときも、「私のグッズもこのへんで売ってたのかな?」とかいろいろ思ったりして(笑)。

――スタンディングとは、ステージ上からの景色も違いましたか?

大橋 そうですね。スタンディングだとお客さんがぎゅうぎゅうにされててつらそうに見えたこともあったんですけど、ホールだとそれぞれパーソナルスペースがあるので、みんなが安心して私のことを観てる感じがあって。それがすごく、こっちから観てても安心しました。あと、アコースティックは座って聴いてほしいなって思ってたので、初めて「座ってください」って言えたのがうれしかったです。

――そして今回ニュー・シングル「ハイライト」がリリースになりますが、表題曲はTVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』のOP主題歌に起用されています。

大橋 『ミリオンアーサー』のシリーズには結構長く関わらせていただいていて、何年か前に自分が演じさせていただいている輝夜としてキャラソンも歌わせていただいているんですけど、まさか自分が主題歌をうたう日が来るとは思っていなかったので純粋にうれしかったです。今まで主題歌を担当されてきてる方って、すごい方が多いじゃないですか?水樹奈々さんとかも歌ってたりするから……「どきっ」ってなって(笑)。

――目標ですからね。

大橋 そう。なので余計に「頑張らなきゃ」って思いました。しかも歌詞の部分で作品の要素に合わせて大橋彩香要素も取り入れてくださっているのも、うれしいところでした。

――大橋さんのこの曲のお気に入りは、どんなところですか?

大橋 この曲は「ワガママMIRROR HEART」みたいにサビが二段階あるつくりになってるんですけど、サビが終わったかなと思ったら「あ、まだあるんだ!」っていう感じが私的にはすごくわくわくして大好きなんです。それに今回は「のびのび歌おう」というテーマがありまして。サビの譜割りもあまり詰まってない感じにしたかったので、情報が詰まりすぎてなくてのびのびと歌える感じの曲になってます。

――しかも作品のキービジュアルの青空を連想する、爽やかさを感じる曲になっていますよね。

大橋 そうですね。最初は「めちゃめちゃかっこいい系になるのかな?」って思ってたんですけど、意外と作品の中にギャグテイストのシーンが多いので、かっこよさに寄りすぎず爽やかな感じも欲しいという感じだったんです。なので爽やかさとかっこよさと、ちょっと元気さみたいなものが同居しているような雰囲気の曲になりました。

――この頭サビから始まるのも、ゲームの曲っぽいですし。

大橋 たしかに!頭サビ終わったらロゴ出そうですよね(笑)。

――「ハイライト」は今までの明るさ全開でずっと走っている楽曲以上に、Aメロで葛藤のようなものが感じられたりと、サビで開けるまでのプロセスがはっきり見えるように思います。

大橋 そうですね。だんだん希望が見えてくるというか、そういうクレッシェンドな感じで歌うようにはしました。それに『PROGRESS』を経てからの初めてのシングルなので、明るい曲でもただ明るい曲じゃなくて、大人っぽさとかちょっとかっこよさも交えた、明るくて力が出るような曲にしたかったんです。

――サビも前後半で雰囲気が変わりますし。

大橋 はい。なので特に前半はかっこいい感じで歌うようにしましたし、どこをファルセットで歌ってどこを地で行くかとかも、結構相談しながら録っていました。

――実際にレコーディングで、発見したことや感じたことってありました?

大橋 聴いているだけだとあんまり難しそうに感じない曲なんですけど、歌うと意外と難しい曲なんですよ。いちばん苦戦したのはサビなんですけど、Dメロの「Highlight for life」のところも気持ちと技術がうまく噛み合わずに、何回も録り直したりして。というのも、2サビ終わりからDメロまでは、テンション感もあるので絶対に繋げて録る!っていうふうになってたんですけど、サビを終えてからのこのロングトーンのパートが、息が続かなくて非常にしんどくて。でも「ライブでは歌うんだよなぁ」って思うと(笑)、頑張らなきゃってすごく思います。

――ただ本当に歌声の伸びやかさが随所に感じられる曲ですし、そういう部分は大橋さんらしさのように思うんですよ。「おしえてブルースカイ」みたいな曲での伸びやかさもすごく魅力的なので。

大橋 でもたしかに、速い曲よりはゆっくりな曲のほうが自分は歌いやすいです。あとロングトーンも好きで。特に高音で音を伸ばすっていうのが、結構好きなんですよね。

――ちなみに、発売にだいぶ先駆けてMVのshort sizeが公開されていましたが、どんな反響がありましたか?

大橋 すごく前よりも成長した大橋彩香が見られる楽曲だなぁ、みたいな感想はいただきましたね。あとはMV自体がちょっとドラマ仕立てになっていて、黒髪の私もいたりするので、そういう「久々の黒髪!」みたいな反響もありました(笑)。

――今回は黒髪と明るい髪とで大橋さんがふたり登場しますが、アーティストの大橋さんとそれを観ている普通の女の子、のような関係性なんでしょうか?

大橋 そうですね。キラキラしているアーティスト・大橋彩香と、内気でまだちょっと踏み出せない大橋彩香、みたいな(笑)。そういう対比みたいな感じで髪の色も違うんですけど、後半で「ふたりは実は、ひとりだった」というのがわかるんですよ。結構ギミックの多いMVになっていて最後まで観ないとわからない部分も多かったりするので、ぜひフルサイズを観ていただきたいですね。

――そしてカップリング曲が、今回は盤種ごとに違う曲になっています。まず彩香盤の「Finding Lover」は切なくて大人っぽい曲で。

大橋 そうですね。この曲はダンス曲がもう1曲欲しくて作っていただいた曲なんですけど、『PROGRESS』の「Break a Liar」が四つ打ちで結構速い曲だったので、今回はスピード遅めでサビの音数もあまり多くない、歌よりも踊ってるほうにスポットが当たるような曲にしてくださいっていうお願いはしました。

――バースデーイベントでも目標としておっしゃられていましたが、アーティストとしてもまた大人の女性に一歩近づける曲になった気がします。

大橋 そうですね。やっぱり歳を重ねていくと、ずっと“元気で明るい”だけだと厳しかったりもすると思うので、未来のこともいろいろ考えながら曲を作っていきたいなってすごく思っていて。なので大人っぽい曲とかバラードがあったりしつつ、「ENERGY☆SMILE」みたいな明るくて元気もな曲がもあったり……「ジャンルに縛られたくない」っていう気持ちもあるので、うまく配分をしながらこれからもいろんなジャンルの楽曲を歌っていければなって思ってます。

――では、歌う際にはどんな主人公像を思い浮かべながら歌われたんでしょうか?

大橋 好きなんだけど、しっかり前には踏み出していけないというか。行動しようとするけどどこか踏み出せない、みたいなもどかしい感じがする楽曲なんです。でも歌詞がわりと今までの楽曲と比べるとちょっとイマドキな感じがして。ちょっとひと味違うな、って思いました。

――その他にレコーディングで、気をつけられたことはありましたか?

大橋 サビがちょっと暗くなりがちだったので、そこは明るめにするように気をつけて。あと、2-Aメロが普通のメロと違って若干ラップっぽいので、「そこはもっとノリノリで、やっちゃっていいよ!」って言われましたね。ラップはかわいいのは昔「にゃんダフルらぶ」でやったことがあるんですけど、かっこいいのはやったことがなくて……でも興味はあります。ただ、たぶん今やってもすっごいヘタクソなんで、もうちょっと勉強してからやりたいですね。普段はほとんどラップがつきものみたいなアーティストさんばっかり観てるんですけど、カラオケとかで自分で歌うと「なんだコレ?」みたいになっちゃうんですよ(笑)。だけど最近『ヒプノシスマイク』とか声優がラップをする機会も増えてきているじゃないですか?だから、今のうちに練習しておけばそういう作品の女性バージョンがあったときに「大橋さんはラップがうまいらしい」と思ってもらえるかな、って……。

――戦略的な(笑)。

大橋 あはは(笑)。

――そして輝夜盤収録の「いとうつくしき光の中で」は、『ミリオンアーサー』の輝夜として歌われたキャラソンです。

大橋 この曲は輝夜のお当番回のストーリーのあとに聴いてもらえると「輝夜ちゃん、今こんな気持ちなんだなぁ」っていうのがわかるんじゃないかなと思うんです。オンエアはまだちょっと先なんですけど、ぜひお当番回を観たあとに、またこの曲のフルを聴いていただきたいと私は強く思っています(笑)。

――実際歌ってみて、いかがでしたか?

大橋 輝夜で歌うのは4年ぶりぐらいだったんですけど、今回は「ここは絶対コブシにしてください」みたいな指示がたくさん歌詞カードに織り込まれていたので、そこでまず「ひえー」ってなりました(笑)。私、よくカラオケで精密採点するんですけど、ずっと「コブシって、演歌とかの『んんっ』って行く感じなのかな?」って思ってたんです。でも今回の現場で初めて「あ、こういうことなんだ」って知れました。

――どうすればいいかも落とし込めて。

大橋 そうですね。それで今回はキャラソンだし、誇張してやってたほうがかわいらしいということで、コブシ要素をマシマシにして歌いました。でもそれをキャラで歌うのは、やっぱり難しかったですね。しかも前作よりも歌詞が大人っぽくなっていたり、使われている言葉も固めのものが多かったので、それも難しさを感じたところでしたね。でも前作も今回と同じく松井(洋平)さんが作詞してくださっていたのを考えると、「4年の月日を経て、輝夜はこういう曲も歌えるようになったんだな」とも思います。

――そういうテイストの曲ですけども輝夜らしく、御自身で歌われているときよりは少し幼さもあったり。

大橋 そうですね。キーも高めでちょっと大変だったんですけど、キーを下げるとオケの感じがガラッと変わっちゃう曲なんです。だから結局下げずに歌ったので、上ハモがめちゃくちゃ高くて死にそうでした(笑)。いちばん高いのは「高いソの音」だったんですけど、私は基本高いレまでがパッと出せる音なので、「だいぶかけはなれている……」って思いながら。でも私、ハモ録るのは大好きなんですよ。人の声にハモるのが大好きなので、ハモを録るときは自分の本線の声をめちゃめちゃ上げて歌う、みたいなことが多いです。

――オフボーカルバージョンには、ハモは入るんですか?

大橋 いや、入らないんです……。私、マイナス1っていうハモだけが残ってるカラオケがいちばん好きで。CDを買うと絶対にカラオケを聴くんですけど、よく「あぁ、ハモ入ってない……」みたいな感じになるので、全世界のカラオケ音源がマイナス1になればいいなって思ってるんです。ハモの威力ってすごいじゃないですか?ハモがなくなるだけで歌うとちょっと寂しくなっちゃうっていうか。

――淡白になっちゃいますよね。

大橋 そうなんですそうなんです。だからカラオケ屋さんのカラオケも、全曲肉声コーラス入ればいいのになって思ってるぐらいで……すごくコスパ悪そうですけど(笑)。

――さて、このシングルがリリースされるともう年末です。そこでタイトルにちなんで、2019年に大橋さんが作りたい、ハイライトにできるようなシーンを教えていただきたいのですが。

大橋 そうですね……やっぱりいちばんは、声優業もアーティスト業も両方充実したものにしたいなということで。アニメもいっぱい出たいし、歌もいっぱいうたってまたワンマンライブもできたらいいなって思ってますし……ほかのコンテンツのライブとかも頑張りたいですし。だから毎日がハイライトになるような、そういうめまぐるしい忙しい日々を送りたいです。

――今以上にですか?今でも相当お忙しいんじゃないかなと思うんですが……。

大橋 いやいや、私仕事してないと死んじゃうんで(笑)。でもあとは、プライベートも充実させたいですね。旅行も行きたいし、あと外国語も習ってるんでもっと喋れるようになりたいし、トレーニングもしてるからもっと体鍛えたいし……。

――仕事とプライベートの両面で、どこを切り取ってもハイライトになるような1年に。

大橋 はい。1日1日を大切に、ムダなく生きていきたいです。

Interview & Text By 須永兼次


●リリース情報
大橋彩香 8th single
TVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』OP主題歌
「ハイライト」
11月21日発売

【彩香盤(CD+BD)】

品番:LACM-14814
価格:¥2,100+税

<CD>
1. ハイライト (TVアニメ『叛逆性ミリオンアーサー』OP主題歌)
作詞:Kanata Okajima 作曲・編曲:佐伯高志
2. Finding Lover
作詞:FUNK UCHINO 作曲・編曲:TAKAROT
3. ハイライト (Off Vocal)
4. Finding Lover (Off Vocal)

<Blu-ray>
1. ハイライト -Music Video-
2. ハイライト -Making of Music Video-

【輝夜盤(CDのみ)】

品番:LACM-14815
価格:¥1,200+税

<CD>
1. ハイライト
作詞:Kanata Okajima 作曲・編曲:佐伯高志
2. いとうつくしき光の中で/輝夜(CV.大橋彩香)
作詞:松井洋平 作曲:小高光太郎、UiNA 編曲:石倉誉之、小高光太郎
3. ハイライト (Off Vocal)
4. いとうつくしき光の中で (Off Vocal)

©叛逆性ミリオンアーサー製作委員会

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP