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INTERVIEW

2018.06.06

パステルカラーな楽曲に、歌声でつけたコントラストとは? 鹿乃「春に落ちて」インタビュー

パステルカラーな楽曲に、歌声でつけたコントラストとは? 鹿乃「春に落ちて」インタビュー

シンガー・ソングライター鹿乃のニュー・シングル「春に落ちて」は、自身初となる配信シングルでのリリース。TVアニメ『実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-』のEDテーマに起用されたこの曲は、旧知のクリエイター・keenoが手掛けた、淡く切ないバラード。その持ち前の儚さをはらむ歌声で、リスナーに楽曲の情景を鮮やかに想起させる1曲として楽曲を見事に表現している。今回はそんな新曲への想いはもちろん、シンガーとしての彼女の今後の目標や挑戦してみたい事柄についても聞くことができた。

――まず、「春に落ちて」がEDテーマに起用された『実験品家族』という作品にはどんなイメージをお持ちですか?

鹿乃 最初は「む、虫さんか……」ってビジュアルをぱっと見たときにちょっとびっくりはしたんですけど(笑)。でも蓋を開けてみれば家族愛がテーマで、しかもちょっとコミカルで。親しみやすさを感じました。ただ、中盤からはちょっとクライマックス感のあるエピソードもあって、最終回に向けて伏線を回収し始めてるのかな?って思います。

――急にシリアスになって。

鹿乃 そうなんですよ。なのでいい意味でハラハラドキドキしながら、毎週観させていただいています。あとは単純に「作画きれいだなぁ……!」って思います。「いいのかな?」っていうぐらい、背景がきれいで。それに映画っぽさもちょっとあって、特に第1話の最後のほうとかは「いい最終回だったなぁ……」って思いました。

――傍から見ると、音楽にゆうゆさんが入られていたりと、鹿乃さんも含めて若手の伸び盛りの方を起用されている作品ですよね。

鹿乃 結構音楽に力を入れている印象はあります。かなりBGMもきれいですし、「春に落ちて」をアレンジしてくださったものを使ってくださったり、鼻歌でOPテーマ(「Early Days」暁月凛)を歌われていたり……OP・ED曲も含めて大事にしてくださっているところに、愛を感じます。

――その「春に落ちて」を手がけられたkeenoさんとは、昔から交流はあったんでしょうか?

鹿乃 はい。6年ぐらい前からちょこちょこご一緒はさせていただいていて、曲を書き下ろしていただいたこともあって、かなりお世話になっています。そのときいただいた曲にも「本当にありがとうございます。尊いです……!」みたいな気持ちしかなかったんですけど(笑)、今回も最初は「ありがとうございます……!」っていう感じでした。

――今回keenoさんにお願いすることになった、きっかけは何だったんでしょう?

鹿乃 まず「バラードとかきれいな感じの曲を想定してるんだけど、頼みたい人はいる?」って聞かれて、名前を挙げさせていただきました。

――では、最初に曲を聴かれたとき、率直にどのように思われましたか?

鹿乃 期待を飛び越えたもので、「さすがkeenoさん!」って思いました。それに、「ひとりぼっちで、桜が散ってるような公園を歩いてる」みたいな風景も思い浮かびまして。

――たしかに。歌声も含めて、パステルカラーのイメージがあって。

鹿乃 ちょっと淡い感じがしますよね。それで、歩きながら言葉を噛み締めてる……みたいなイメージで歌っていました。

――最初に聴いたときからお気に入りのポイントも?

鹿乃 ありました。入りから、「なかなか『ザラつく世界には』っていうフレーズ出てこないよなぁ」とか。keenoさんの世界観って私の中にはないもので、「素晴らしい……!」と思っています。それは「春に落ちて」っていうタイトルもそうですし、サビの“君が想うよりもっと強く抱きしめて”なんて乙女な発想も私には出てこないようなものなので。

――サウンドは淡いですけど、その部分も含めて感情的には激しさもある歌詞ですよね。

鹿乃 はい。なのでサビではあふれちゃう感情感を出しつつ、でもA・Bメロでは抑えて歌っていて。そのあたりは表現できていたかな、と思っています。

――しかも「具体的にこの言葉が」という感じではないですけど、『実験品家族』とも繋がる雰囲気もあって。

鹿乃 妄想を掻き立てるような、深読みしやすい単語が多くなってるように思います。やっぱり1番は、アニメで流れるということもあってkeenoさんも意識されてると思うんですけど、最初の“ザラつく世界には 私の居場所なんてなかった”とか“迷いながらそっと触れてみたの”みたいな部分は結構作品に寄り添ってるなぁと思いますし、2番でも“狂って歩いた世界の先に”みたいな、ちょっと痛々しいワードがそうなのかな?って思いました。

――なので本編後に「春に落ちて」が流れると、曲調も相まってすごくいい余韻を感じさせてくれるというか。

鹿乃 そうですね。曲の持ってるパワーがありすぎて、毎回「いい最終回だったなぁ」っていう気持ちで観てたりするんですけど(笑)。レコーディングで歌ったときからそういうイメージもあったんですよ。映画の最後にエンドロールが流れながらかかっていそうというか、「最終回感すごいね」みたいな話もしていたので。それにメロディも本当に自然できれいで、“耳に残る”というよりは“安心する”メロディのように思いました。なので、歌っていてもとても心地よかったです。

――実際歌っていくとき、「こうしたいな」と鹿乃さんが意図されたのはどんなことでしたか?

鹿乃 A・Bメロの部分は儚いというか、春の切ない感じが表現できればと思っていて。儚めというか、ウィスパー全力みたいな感じで歌ってました。

――コントラストをつけていくような感じ。

鹿乃 そうですね。サビにこうパッと花が咲いた感じで。ただ、A・Bメロは歌っていて楽しかったんですけど、サビに行くにつれて、うまくA・Bメロから離れすぎず、でもパッと明るい感じ……っていうニュアンスが難しくて。ちょっと苦戦はしたかもしれないです。

――一気に離れすぎてもいけないし、でも差がつかないのもいけない。

鹿乃 目がだんだん死んでいってたと思います(笑)。「頭で想像できてるのに、なんでできないんだろう?」みたいに。でも完成した音源を聴いて、それが実現できている感じはしましたね。やっぱりフルで聴くのと1コーラスだけで聴くのとでは印象が違うというか。自分の中でも「やっぱりフルで完成なんだな」という感覚があるので、ぜひフルで聴いていただきたいなって思います。

――そんなこの曲は今回配信シングルという形でリリースされますが、配信を前に『実験品家族』のEDテーマとして聴かれた方からのリアクションはすでにありましたか?

鹿乃 「A・Bメロは今までとちょっと違うけど、サビは鹿乃ちゃんでちょっと安心した」みたいに言っていただけました。それに、新しく好きになってくださる方も、結構多かったように思います。海外からコメントくださる方もいらっしゃいましたし……あとびっくりしたのが、放送時間帯もあってだと思うんですけど、ものすごく若い、中学生ぐらいの方から「曲よかったよ」って言われたり。

――タメ口で(笑)。

鹿乃 明らかに小学生ぐらいの方とかもイベントに来てくださって喋りかけてくれるんですけど、誰よりもタメ口だったりもして。「おおぅ……ありがとうございます……!」って思いますし、すごくかわいらしいなとも思いますね。

――配信になると、またフルコーラスを聴いての感想もいろいろ来ると思いますし。

鹿乃 そうですね。配信日は“エゴサ芸人”になろうと思います(笑)。

――エゴサされるんですね。

鹿乃 します。というのも、ファンの人がイラストを描いてくれたりもするんですけど、通知の取得漏れが多くて。なのでそういうのをちゃんと見たくてサーチするんですよ。やっぱり私の持ち味ってファンとの距離の近さだと思うので、できる限りは身近な存在でいたいな、と思っています。なのでこれを読んでくださっている方も、ぜひフルでたくさん聴いて、私に感想を届けていただけたらうれしいです。

――keenoさんの楽曲と鹿乃さんの歌声の相性も、とてもいいものになっていると思いますし。

鹿乃 ありがとうございます。いつか「寂しそうな曲を作ったら、keenoさんと鹿乃のタッグの右に出るものはいない」という感じになれたらいいなと思ってるんですよ。keenoさんの曲って、あんまりハッピーエンドなイメージがないんですけど、アンハッピーだからこそわかるものも、きっとあると思いますし。

――そのタッグで、主題歌をうたってみたいジャンルの作品はありますか?

鹿乃 アンハッピーな百合アニメの主題歌をうたってみたいです。報われないような曲を。

――では、keenoさんとのタッグにこだわらずに、主題歌をうたってみたいアニメのジャンルを挙げるなら?

鹿乃 魔法少女的な作品ですね。正統派なものも、『まどマギ』みたいに「えっ!?」っていう感じの作品でも。あとは『結城友奈は勇者である』みたいな系統の作品の曲も、すごくやりたいです。でも、ガンダムとかもすごく好きなんですよ。この間も『THE ORIGIN』を観てきましたし……。ただどんな作品でも、アニメの世界観に合う曲を自分のできる限りで表現していきたいな、とは思っています。

――ちなみに、アニメと紐づくかどうかは別として、歌ってみたい曲調はありますか?

鹿乃 あります。『みんなのうた』みたいな感じというか……『みんなのうた』の曲の歌詞って、ちゃんと見ると怖かったりぶっ飛んでたりするものが多くないですか?私、最近「何にでも牛乳を注ぐ女」っていう曲の動画を観たんですけど、めちゃめちゃシュールで。そういう曲を歌ったらじわるかな?って思ったり(笑)。それに子供も結構好きなので、子供がふざけて歌ってくれるような曲も歌ってみたいです。それにお子さん向けの作品の曲って、耳に残るじゃないですか?それこそ『おジャ魔女どれみ』のOPテーマとか、未だにみんなすぐ歌えたり。やっぱりアニメの曲のいいところって、「誰が歌ってる」とかじゃなくて「このアニメの歌だ!」みたいなところだと思うので、中毒性のある曲もいいなって思います。……もしかしたら、「アンインストール」みたいにすごく鬱々とした曲を歌ってるかもしれないですけど(笑)。でも怯えさせるにしろ楽しくさせるにしろ、聴いてくれる方の心に残ればいいなって思います。

Interview&Text By 須永兼次


●リリース情報
デジタル・シングル
TVアニメ『実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-』EDテーマ
「春に落ちて」

各配信サイトにて配信中

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【期間】
2018年6月1日~2018年6月19日

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