“fhána(ファナ)“は、佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunaga、3人のサウンド・プロデューサー+女性ヴォーカルのtowanaによるユニット。元々はポストロックやエレクトロニカなどを起点としたフィールドで別々に活動していたメンバーがネットなどを介して出会い意気投合、そして結成された。影響を受けた様々な音楽をポップに消化したサウンドと、towanaの美しいヴォーカルが融合した彼らの音楽は、アニソンというジャンルを超えて幅広い層に支持されている。
2013年夏にメジャー・デビューを果たし、TVアニメ『有頂天家族』のEDテーマ「ケセラセラ」、TVアニメ『ぎんぎつね』のOPテーマ「tiny lamp」、TVアニメ『ウィッチクラフトワークス』のOPテーマ「divine intervention」、TVアニメ『僕らはみんな河合荘』のOPテーマ「いつかの、いくつかのきみとのせかい」、TVアニメ『天体のメソッド』EDテーマ「星屑のインターリュード」と5枚のシングルが連続してTVアニメのタイアップとなった。リリースの度に楽曲への評価と人気が高まる中、完成したのが1stアルバム『Outside of Melancholy』。シングル曲はもちろんのこと、そのカップリングナンバーや書き下ろしの新曲など全14曲が74分に渡り収録されている。
このアルバムはCDとハイレゾ版ではマスタリングが異なる。CDのマスタリングは、スーパーカーや砂原良徳らの作品でおなじみの、そしてROVOのメンバーである益子樹。ハイレゾ版のマスタリングは、アナログ時代から第一線で活躍しているエンジニア、原田光晴によるもの。益子樹のマスタリングは、CDのフォーマットに音を押しこめることなく、楽曲の持つダイナミックさを生かしており、バランスよくまとめ上げたこれもひとつの完成系だ。ハイレゾ版ではそこからさらに一歩進め、微妙なニュアンスや空間表現のディテールを描ききることを意図してマスタリングされている。このようなマスタリングの違いを聴き比べるのも面白い。
『ガールズ&パンツァー』などでおなじみの水島 努監督によるTVアニメ『ウィッチクラフトワークス』のOPテーマとなりアニメ作品とともに大ヒットした、彼ら名を広く知らしめた3rdシングル。
ハイレゾでは、エディットされたヴォーカルとシンセが明滅するように駆け抜けるイントロからそのアグレッシヴなサウンドは鮮烈に響く。引き締まった低域と歯切れの良いリズムが楽曲の勢いを加速させ、たたみかけるような展開でスリリングに旋律を奏であげる。
それを追いかけるようにストリングスは宙を舞い、緻密なプログラミングとともにさらなる昂揚感を導きだす。ヴォーカルは直線的に進むサウンドに乗りながらもしなやかに弧を描き、高いテンションを保ちながら力強さを爆発させるサビの情熱的な歌声は圧巻。楽曲全体を覆うクライマックス感がいっそう高まる、さらに刺激的な仕上がりとなっている。
TVアニメ『僕らはみんな河合荘』のOPテーマとなる4thシングル。アルバムでは旅立ちを告げる「はじまりのサヨウナラ」から、新たな季節を綴るこの「いつかの、いくつかのきみとのせかい」へと続いており、その印象をいっそう深くする。
水面に反射する光が輝くようなサウンドが奏でられ、緊張感のある「divine Intervention」とは対照的に柔らかい空気感が漂うこの曲のハイレゾは、解像感が鮮やかに情景を照らし出す。ピアノの音色や流麗なストリングスに若葉のようなみずみずしさが満ち溢れ、彼らのメロディの美しさがひときわ冴え渡る。
リアルな質感は楽器の音色のみならず楽曲のもたらすイメージまで影響を与え、後半に挿入される秒針が刻む音は過ぎ去った時間と少しずつ近づく二人の距離を描くように響く。歌声は目の前に焦点を結び、透き通る高域の倍音やビブラートの繊細さ、声がさらに上へと伸びゆくさまを描き出す。優しい笑顔が思い浮かぶtowanaのヴォーカルと佐藤純一のコーラスが重なり合う後半のパートも美しい。
TVアニメ『天体(そら) のメソッド』EDテーマとなる5thシングルは、田辺トシノのファンキーなベースラインが特徴的な、fhána流ディスコティックともいうべき、ダンサブルなサウンドが鳴り響く。エンディングテーマというと本編で帯びた熱をクールダウンさせるようなものが多いものだが、この曲では興奮や感動をさらに引き延ばすようなダイナミックなサウンドが展開されている。
ハイレゾではスケールを増した音空間での、濃密さを凝縮した低域とキラキラと煌めく高域との対比が強く、楽曲の持つメリハリをさらに高めた仕上がりだ。グルーヴィなベースとタイトなドラムが曲をグイグイと引っぱり、6分という長さをまるで感じさせない躍動感。またそのリズム隊と呼応するようにストリングスが重厚に奏でられ、なおかつヴォーカルを引き立てているようなバランスだ。
歌声は活き活きとした表情をたおやかに示し、声域をコントロールする柔軟さも伝わってくる。豊かな声量が空間に広がり、よく伸びる高音部の絶妙な抑揚も描写されている。
躍動感が清々しく広がるアルバムのオープニングナンバー「Outside of Melancholy~憂鬱の向こう側」、クラムボンのミトがベースで参加した、洒脱なメロディが光る「lyrical sentence」、声とサウンドが美しく混じり合う後半の展開も印象的な「Paradise Chronicle」、エモーショナルなシューゲイズ・サウンドが流れ落ちる「ARE YOU SLEEPING?」、渡辺等(ex.Shi-Shonen、Real Fish)と矢口博康(Real Fish、東京中低域)が参加したテクノポップ回帰な「innocent field」、高らかにポップに走り出すサウンドが爽やかな「君という特異点 [singular you]」などヴァラエティに富んだ楽曲の数々を収めた今作は、デビューアルバムにしてベストアルバムのようなクオリティの高さを感じさせる仕上がりだ。コンテンポラリーなポップ・スタンダードを奏でるfhánaの魅力がとめどなく溢れている。
towanaのヴォーカルが入っていないインストゥルメンタル・ヴァージョンのアルバム『Inside of Melancholy』がハイレゾ版のみでリリースされている。『Outside of Melancholy』とはまた異なった印象を受けつつも、やはりfhánaらしさを感じさせる面白い内容で、洗練されたアレンジやこだわり抜いたサウンド・メイキングに改めて驚かされる作品だ。
Lantis
2015.02.04FLAC・WAV 96kHz/24bit
ハイレゾの購入はこちら
1.Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
2.tiny lamp
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
3.divine intervention
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
4.lyrical sentence
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
5.スウィンギングシティ
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
6.はじまりのサヨウナラ
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
7.いつかの いくつかのきみとのせかい
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
8.Paradise Chronicle
作詞:林 英樹 作曲:yuxuki waga 編曲:fhána
9.ARE YOU SLEEPING?
作詞:林 英樹 作曲:kevin mitsunaga 編曲:fhána
10.ケセラセラ
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
11.innocent field
作詞:林 英樹 作曲:yuxuki waga 編曲:fhána
12.君という特異点 [singular you]
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
13.星屑のインターリュード
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
14.white light
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
fhána
Inside of Melancholy
Lantis
2015.02.18FLAC・WAV 96kHz/24bit
ハイレゾの購入はこちら
1.Outside of Melancholy 〜憂鬱の向こう側〜-Instrumental-
2.tiny lamp-Instrumental-
3.divine intervention-Instrumental-
4.lyrical sentence-Instrumental-
5.スウィンギングシティ-Instrumental-
6.はじまりのサヨウナラ-Instrumental-
7.いつかの いくつかのきみとのせかい-Instrumental-
8.Paradise Chronicle-Instrumental-
9.ARE YOU SLEEPING?-Instrumental-
10.ケセラセラ-Instrumental-
11.innocent field-Instrumental-
12.君という特異点 [singular you]-Instrumental-
13.星屑のインターリュード-Instrumental-
14.white light-Instrumental-
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