Q. サウンドトラック『Elektronische Musik für ILLYA』はどのようなアルバムですか？
A. 電子音楽と生楽器によるTECHNOBOYSならではのサウンドが詰まっています。

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND『Elektronische Musik für ILLYA』

──「CDを映像プレーヤーで聴く」という方法が、新しい常識のひとつになるといいですね。さて、今回のサウンドトラック『Elektronische Musik für ILLYA』についてお話をお伺いしようと思います。以前『トリニティセブン』の取材の際にもお聞きしましたが、『プリズマ☆イリヤ』という作品は何テクノぐらいでしょう？　またTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの親和性の鍵はどのようなところだと思われますか？

石川　うーん、『トリニティセブン』が80テクノだとしたら、『プリズマ☆イリヤ』は50テクノくらいですかね（笑）。

フジムラ　親和性は、どんより暗いってところでしょうか（笑）。

──親和性の部分、そこですか！（笑）。今作は『Elektronische Musik für ILLYA』というアルバムタイトル、また「Ein Thema Prisma Illya 3rei!!」「Nachtgedanken eines Zweiflers」「Ankündigung」など曲名もドイツ語で統一されてますね。

石川　それはやはり、イリヤさんがドイツ人だからです。曲名がもたらすイメージも大切ですからね。

フジムラ　主役がドイツ人だから、タイトルもドイツ語にしないとねと。TECHNOBOYSもドイツの電子音楽に影響を受けていますので、ドイツ語に親しみはありますね。

──なるほど。さて”Elektronische Musik＝電子音楽”と銘打ちつつもストリングスが入った曲など、曲によってかなりバラエティに富んだサウンドトラックになっています。また、全体的にデジタルサウンドの中で、皮モノやグロッケン、マリンバのようなパーカッションの音色が印象的に使われているように感じました。

石川　生楽器が多いのは、監督の意向でもあります。デジタルサウンドが請け負うのは、その作品に対する意外性。対して生楽器は協調性を担っています。

フジムラ　生楽器が入るとハイレゾで聴いた時に効果的というのもありますね。生楽器の音色はハイレゾでは非常に映えますので。

──全体を通してシリアスな楽曲が多いサントラのように思えました。制作にあたって、どのようなオーダーがあったのでしょうか？

石川　今までの『プリズマ☆イリヤ』とは違うサウンドにしてほしいというオーダーがありました。今作のストーリーはシリアスな場面も多いですからね。また、作品に冬のシーンが多いので、そのような雰囲気の曲が多くなったのではないでしょうか。

フジムラ　同じシリアスな雰囲気でも、シーンやキャラクターが違うので、自然と変化をつけることはできました。

──今作は「実は“オリジナル”が付かない“サウンドトラック”」とお聞きしていますが、これはどのようなことでしょうか？

フジムラ　オリジナルが付かないというのは、TV Ver.とMIXを変えているからですね。TVで流れていた音楽をそのまま収録したのではなく、アルバムとしてMIXをし直しています。ですので「“オリジナル”＝そのまま収録」ではないサウンドトラックという意味になります。

石川　アルバムの方は、音楽的によりよく聴こえるようにMIXを施しています。TECHNOBOYSとしての音のこだわりも表われているかと思います。

──２枚組のサウンドトラックということですが、インストにまた歌モノも収録されています。マスタリングに立ち会わせていただいて感じたこととしまして、歌モノは一本軸として歌があるのに対し、インストは様々な音色で軸となる部分が入れ替わるような印象を受けました。

石川　どちらも作品に寄り添える意識で制作していますが、歌モノは歌手の魅力をさらに引き出せるようにもしています。

フジムラ　インストと違って歌モノは歌手の方が主役なので、そこはMIXでも心がけている部分ですね。

──歌モノの曲についてなんですが、放送時、9話のみのEDテーマとして使用された、ChouChoさんのボーカルによるナンバー「cuddle」がサウンドトラックには収録されていますね。

石川　この曲については『プリズマ☆イリヤ』1期の挿入歌「kagami」のアンサーソングとして依頼を受けました。そして、「kagami」をインストの劇中音楽にしてほしいという要望も受けました。さらに、それらをくっつけてほしいというリクエストもあり……で、くっつけたものが、9話のエンディングで流れました。サウンドトラックにはそのバージョン（「Spiegel Kuschelnde」）も収録してあります。〈END〉

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佐藤純之介
1975年大阪生まれ。YMOに憧れ90年代後期よりテレビや演劇の音楽制作の仕事を始める。2001年に上京し、レコーディング・エンジニアとしてJ-POPの制作に参加する。2006年、株式会社ランティスに入社。現在は音楽制作部のチーフ・プロデューサーを務める。

『ひだまりスケッチ』『ラブライブ！』『ウィッチクラフトワークス』『トリニティセブン』『コンクリート・レボルティオ～超人幻想～』『おそ松さん』『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『紅殻のパンドラ』『ラブライブ！サンシャイン!!』『フリップフラッパーズ』『ACCA13区監察課』『小林さんちのメイドラゴン』『アリスと蔵六』『魔法陣グルグル』『メルヘン・メドヘン』など、TVアニメの音楽や、μ’s、ChouCho、fhána、緒方恵美、寺島拓篤、渕上舞、結城アイラ、ORESAMA、rionos、Chima、marble、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDなどのアーティスト作品にプロデューサーやディレクター、エンジニアとして携わっている。

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TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
トラックメーカー・フジムラトヲル（Ba/Syn/Vo）、作曲家・石川智久（Pf./Syn/Vo）、作詞家・松井洋平（Gt./Syn/Vo）からなるテクノユニット。現在まで2枚のオリジナル・アルバムをリリースしており、その活動範囲は海外にまで及ぶ。細野晴臣氏が音楽監修を務めた2007年の映画『EX MACHINA -APPLESEED SAGA-』をはじめとして、『ウィッチクラフトワークス』『トリニティセブン』『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『紅殻のパンドラ』『プリズマ☆イリヤドライ!!』『賭ケグルイ』『魔法陣グルグル』など、数々のアニメ作品に劇伴や主題歌、キャラソン等の楽曲を提供。ユニットだけでなく、個人として作品に携わることも多い。宇都宮隆氏、松岡英明氏、浅岡雄也氏ら、時代を創ったボーカリストとのコラボレーション・ナンバーや、TVアニメ『おそ松さん』のEDテーマ「SIX SAME FACES ～今夜は最高!!!!!!～」など、制作したそれらの楽曲は大きな話題を呼んでいる。

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TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
Elektronische Musik für ILLYA 【DIGITAL EDITION】

Lantis
2016.10.12

FLAC・WAV 96kHz/24bit　WAV 96kHz/32bit

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