『アイカツ！』シリーズの大空あかり役でもおなじみの声優・下地紫野がアーティスト・デビュー。kz（livetune)が手がけたタイトル曲を含む3曲入りシングルが登場。

TVアニメ『アイカツ！』シリーズでは3rdシーズンの主役となる大空あかりや『アイドルマスターシンデレラガールズ』の中野有香などを演じる声優の下地紫野（しもじしの）。“小さい頃から歌うことが大好きだった”と語る彼女だが、2016年10月より放送されているTVアニメ『ステラのまほう』のOPテーマ「God Save The Girls」でアーティストとして遂にデビューを果たした。そして10月26日にデビューシングル『God Save The Girls』をリリース。明るくポップなタイトル曲と、静かに響き渡るチェロの音色が美しい「プ・レ・ゼ・ン・ト」と、爽やかに広がるナンバー「せかいが終わるまえに」の3曲が収められている。持ち味である澄んだ声の魅力が余すところなく発揮された、彼女の歌声を知るにはもってこいの内容に仕上がっている。

「God Save The Girls」

下地紫野も出演しているTVアニメ『ステラのまほう』のOPテーマ。ClariS「irony」、千菅春香「プラネット・クレイドル/ワンダーリング」など、アーティスト・デビューを飾る曲を手がけてきたkz（livetune)が作曲・編曲を務めている。

kzらしいポップなサウンドがはじけるこの楽曲のハイレゾでは、キラキラとした華やかさがいっそう伝わってくる、情報量が描き出す豊かな彩りが印象的だ。CDよりも音の輪郭はマイルドながらもキレの良さはそれを上回っており、丁寧に積み重ねられたリズムの細やかさを描写する解像感やビートの存在を鮮明に浮き彫りにする分離感が、サウンドのスピード感を加速させる。悠木碧やfhána、また『ラブライブ！』などの楽曲に参加している真部裕によるストリングスも深みを増した音色を響かせつつ、重厚感といった方向性ではなく音の立ち上がりが早い、勢いのある旋律を奏でている。

距離感がさらに縮まったヴォーカルは、ヴィジュアル的に表現すれば画面いっぱいに広がるとも言うべきか、溌剌な歌声がこの上なくまばゆい。語頭にちょっとアクセントを置く“そんなんじゃ” “大丈夫” “あっちこっち”など繰り返す岩里祐穂による言葉それぞれに声優ならではの異なった表情を加え、物の見方や意味の捉え方をポジティヴに切り替えるだけで素敵な毎日が訪れる、“私”にとっておきの魔法をかける。自身に贈られたデビュー曲なれど、“誰もが星になれるんだ” “いつの日か光を放つことができるよきっと”とその祝福を“みんな”に授けるように、清々しさが鮮やかに響きわたる。

「せかいが終わるまえに」

作詞・作曲は下浦晃裕と秋山智美の二人からなるonetrapのユニット“秋浦智裕”。TVアニメ『アイカツスターズ！』の新オープニングテーマ「1,2,Sing for You!」やゲーム『バトルガールハイスクール』のアイドルソング「Pop☆Girls!」、原由実や神楽坂ゆか、最近では異色のアイドル・グループ“ベッド・イン”などの楽曲も手がけている。アレンジはTrySailの「High Free Spirits」や「フレンド」（『アイカツ!』2ndシーズン挿入歌ミニアルバム2 「Cute Look」に収録）などを手がけている同じくonetrapの山﨑佳祐。

ハイレゾでは、メロディを銀の絹糸で縫い上げるようにピアノが舞い踊る様子や、弾力感を伴って音が放たれるドラムの軽やかな音色をリアルに映し出す解像感が伝わってくる。また梶浦由記やKalafina、ワルキューレの楽曲などでもその旋律を響かせている今野均によるストリングスが空間にすっと広がりゆくさまも感じ取ることができる。賑やかな楽曲の音の鳴りが程よく整理され、立体的に配置されている印象を与えるのがこのハイレゾ版の特徴といえるだろう。

明るさを照らし出すサウンドとともに澄み切った歌声から、例えば世界の終わりよりも君にこの気持ちを伝えられないことの方が耐えられないと綴る恋する乙女の一途さと、そのようにして自分を追いつめて今日こそは告白をしようと決心させるいじらしさが伝わってくる。曲の前半では何処か切なさが漂う歌声は惑い揺れ動く中盤を過ぎて、やがては笑顔の瞬間へと導かれる。その移り行く抑揚の繊細な変化もしっかりと表わされている。